• 更新日 : 2021年6月4日

所得割額と均等割額との合計で算出される住民税 その意味や計算方法を解説

所得割額と均等割額との合計で算出される住民税 その意味や計算方法を解説

会社に勤める方なら通常、「特別徴収」といって毎月給与から天引きされている住民税。住民税を特別徴収されていない方は、自治体から届く納税通知書で原則として年4回(6月、8月、10月、翌1月)の納付期限までに自分で納税していることでしょう。

この住民税、その内訳は「所得割」と「均等割」という2種類の課税方法で構成されています。また、住民税の種類には個人に課せられる個人住民税のほかに、法人が支払う法人住民税というものもあります。

今回はこうした住民税の種類の解説と、「所得割額と均等割額」で決定される住民税額の計算方法・理論をひもといていきます。

住民税には法人住民税と個人住民税がある

まず、住民税の種類を確認しましょう。

住民税には企業が払う法人住民税と個人が払う個人住民税があります。それぞれの概要は下記のようになっています。

・法人住民税
企業の決算資料においては、「法人税(法人税等)」としてひとつにまとめられていることが多いのですが、「法人税(法人税等)」は、実は性質の異なる「法人税」、「法人事業税」、「法人住民税」の3つの税にわけられます。

その中でも法人住民税は「地方税」という性質を持っており、その法人の事業所がある地方自治体に税金を納めることになります。

そして、この法人住民税の金額は「法人税割額」、「均等割額」という2種類の計算方法で算出した税額の合計で決定されます。法人税割額とは当該年度の法人税額を課税標準として課される住民税額です。

そのため、その企業の所得により法人税割額は変動します。この「それぞれの所得により課税額が変動する」という点において、個人住民税における「所得割額」の性質を法人住民税において持っているのがこの「法人税割額」です。所得割額については後述します。

均等割は、資本金等の額や従業者数に応じて課されます。

・個人住民税
個人住民税は自身が居住する地方自治体に納める税金で、「行政のサービスに必要な経費をそれぞれの担税力に応じて広く住民で負担する」という意味があります。

住民税は道府県民税(東京都は都民税)、市町村民税(東京都23区は特別区民税)の2種類で成り立っていますが、道府県民税も市町村民税の納付先である地方団体に合わせて納付することになっています。

個人住民税も、金額の計算は法人住民税と同じように2種類の計算方法で算出する税額の合計であり所得割と均等割の2種類で計算されます。

個人住民税の所得割額と均等割額とは

個人住民税の金額を決定する所得割額と均等割額の計算根拠を詳しく見ていきましょう。まず所得割額と均等割額の概要と違いを簡単に理解したうえで、道府県民税(都民税)部分と市町村民税(特別区民税)部分にわけて計算方法を詳しく確認します。

所得割額と均等割額の概要と違い

所得割額とは

所得割額とは所得金額に比例して課税される住民税額であり、課税標準は前年の所得により算定されます。

住民税における課税標準額は「所得金額-所得控除金額」であり、所得控除の種類は保険料控除や配偶者控除など、控除の種類はほぼ所得税と同様となっています。

所得税と住民税が異なる点は、住民税の「控除額」のほうが少ないという点です。これはそれぞれの税金の思想が異なるからであり、住民税のほうが「その地域の福祉のため、住民から広く税をあつめる」という応益性の高い税思想であることによります。

・市町村民税(特別区民税)部分の所得割額
標準税率は6/100(6%)となっています。

・道府県民税(都民税)部分の所得割額
標準税率は4/100(4%)となっています。

このように、所得割額は市町村民税(6%)と道府県民税(4%)合計で10%になります。所得割額の税率は、平成18年度までは所得の額に応じて市町村民税(特別区民税)、道府県民税(都民税)合わせて5~13%の累進課税でしたが、税制改正をきっかけとして平成19年度から税率はフラットな合計10パーセントに改定されました。

均等割額とは

均等割額とは個人住民税における固定金額の部分であり、各人の所得等により変動することはありません。そのため、均等割額は住民税の「基本料金」のような意味合いになります。

しかし、収入が少ないと均等割額も課されない(免除)ということはあります。所得金額が一定金額以下の場合などは免除対象になりえます。

・市町村民税(特別区民税)部分の均等割額
市町村民税部分(特別区民税)の均等割は全国一律で平成26年度から平成35年度まで3,500円となっています。

・道府県民税(都民税)部分の均等割額
道府県民税部分(都民税)の均等割は全国一律で平成26年度から平成35年度まで1,500円となっています。

まとめ

住民税の理解には、分岐点がいくつかあるため整理して理解するのがなかなか難しいと思います、下記に箇条書きにて本記事のポイントを記載しておきます。

・住民税には法人住民税と個人住民税がある
・法人住民税額は法人税割額、均等割額の2種類の算出方法合計により決定される。
・個人住民税額は所得割額、均等割額の2種類の算出方法合計により決定される。
・住民税には市町村民税(特別区民税)部分と道府県民税部分(都民税)があり、それぞれの部分について所得割額・均等割額で計算される

このようなポイントが大まかな住民税の枠組みとなっています。大筋のポイントを押さえて住民税の全体像を理解しましょう。

関連記事

住民税の普通徴収と特別徴収、あなたはどちらの方法が適用される?
【法人税まとめ】法人事業税と法人住民税の違いを正しく理解していますか?
住民税の納付方法|知っておきたい住民税の基礎知識

よくある質問

住民税には種類があるの?

はい。法人住民税と個人住民税の2種類があります。詳しくはこちらをご覧ください。

法人住民税の内訳はどのようになっているの?

ベースとなる「均等割額」と企業の所得に比例する「法人税割額」の合計で構成されています。詳しくはこちらをご覧ください。

個人住民税の内訳はどのようになっているの?

ベースとなる「均等割額」と所得に比例する「所得割額」の合計で構成されています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談していただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事