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  • 作成日 : 2019年5月31日
  • 更新日 : 2020年9月17日

粗利益と営業利益はどう違う?決算書の基本「5つの利益と計算」

会社の経営状態を見るために使う「財務諸表決算書)」。その中でも経営判断の重要な指標にもなる、会社の経営成績を示すものが「損益計算書(PL)」です。ただ、その数字を見ても、解釈の仕方がわからない、そもそも読み方がわからないという人もいるでしょう。

損益計算書の読み方を覚えるにあたって、まず必要なのは利益について知ることです。本稿では粗利益営業利益などの5種類の利益と、その計算方法について解説します。それぞれの利益の違いや何が分かるのかを見ていきましょう。(執筆者:ファイナンシャルプランナー たじりひろこ)

粗利益と営業利益、何がどう違う?

はじめに粗利益と営業利益を確認していきましょう。

粗利益


※Bizpedia編集部が作成

粗利益は損益計算書上では「売上総利益」と呼ばれ、売上から売上原価製造原価を引いたものを指します。粗利益からわかることは、「会社が本業でどの程度の利益を出しているか」です。

粗利益(売上総利益)=売上高-売上(もしくは製造)原価

例えば、スーパーマーケットなどの小売業の場合、原価1,000円の商品300個を1,500円で販売して完売したら、粗利益は15万円(500円×300個)となります。製造業の場合は製品の売上から製造原価を引いた金額が粗利益です。粗利益が高いと「本業が儲かっている」と考えられます。

なお、粗利益の計算に使う売上原価と製造原価ですが、小売業と製造業で「人件費」を含むか含まないかが分かれます。小売業では人件費は「販売費」になるため売上原価に含まれません。しかし、製造業では人件費は製造原価に含まれるのです。

営業利益

営業利益は、粗利益から販売費および一般管理費を引くと算出できます。売上に対し営業利益が高いことを「営業利益率が高い」と表します。利益率が高いと「本業での収益を上げる力が高い」とみなされます。

営業利益=粗利益-(販売費+一般管理費)

販売費は商品を販売するのにかかった費用です。例えば、広告宣伝費、小売業では販売員などの人件費、商品を運ぶための運送費がこれに当たります。一般管理費は企業を管理するのにかかる費用のことです。役員の報酬、通信費などを指します。

販売費および一般管理費は「販管費」とも呼ばれ、勘定科目上では同じもののように扱われています。明確にそれぞれを区分けしていないのも特徴です。

営業利益の高さは、販売費等を使わずとも利益を上げることができている証拠でもあるので、商品力が高いという証明にもなります。各企業の営業利益率ランキングはニュースにも取り上げられることが多いので、注目してみてはいかがでしょうか。

その他の3つの利益で何がわかるの?

粗利益、営業利益以外にも会計上には3つの利益があります。

経常利益

本業での利益(営業利益)とそれ以外の業務で得た利益(営業外収益)を足したものが経常利益です。経常利益からわかることは、「企業が行っている全ての活動でどのくらいの利益を得ているか」です。

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

本業が小売業であっても、不動産を保有していれば、賃貸として出すことで収入が発生することもあるでしょう。この場合、不動産賃貸で得た利益は「営業外収益」となります。

その他の営業外収益には、受取利息受取配当金、株式など有価証券の売却益などがあります。なお、支払利息や有価証券の売却で出た損は「営業外費用」といわれ、経常利益の計算をする場合は差し引かれます。

ちなみに、経常利益には特別に発生した利益は含まれません。例えば、ある年に保有する土地やビルの売却で利益を得たとします。この利益は特別に発生した利益となりますので、営業外収益には含まれず、経常利益の計算には影響を及ぼすことはありません。

本業に限らず、通常時にその企業に儲ける力がどれほどあるかを見たいときは経常利益をチェックしましょう。

税引前当期純利益

税引前当期純利益は、経常利益と特別利益を合わせたものです。特別利益とは「通常は発生しないが、臨時で出た利益」のことです。不動産・ビルなどの固定資産の売却益は特別利益に当たります。

税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失

反対に特別損失というものがあります。固定資産の売却損は特別損失です。また災害等で被った損失などもこれに当たります。税引前当期純利益を計算するときは特別損失を差し引いて計算します。もし経常利益+特別利益より特別損失が大きかったならば、「税引前当期純損失」となるのです。

税引前当期純利益には支払うべき法人税・住民税・事業税等がまだ含まれている状態です。この利益からわかることですが、税金を支払う前の時点で企業にどのくらいの可処分利益があるかということです。企業に出資している立場からすれば、出資した資本を現時点でどの程度回収できるかを知る指標にもなります。

しかし、税引前当期純利益を算出するために利用する特別利益・特別損失は翌期以降も必ず発生するものではありません。そのため、税引前当期純利益だけでは企業の信用度までを知ることは不可能だといえます。

当期純利益

税引前当期純利益から法人税・住民税・事業税等の社会的コストを差し引いたものが当期純利益です。「当期の企業の活動でどのくらい利益が出たか」がわかります。また、従業員に賞与をどの程度出せるかを算出するための指標にもなります。

当期純利益=税引前当期純利益-(法人税+法人住民税+法人事業税など)

また、当期純利益は株式投資をする際の目安にも使われています。株価を一株当たりの当期純利益で割ると「株価収益率(PER)」が算出されますが、この数字で現在の株価が割高か、もしくは割安かがわかるのです。

そして、企業が自己資本でどれだけ効率よく利益を出したかがわかる「自己資本利益率(ROE)」を計算するときも当期純利益が使われます。自己資本利益率は次の計算式で求められます。

自己資本利益率/ROE(%)=当期純利益÷自己資本×100

自己資本利益率が高い企業は、「自己資本を使って効率よく稼げる企業」とみなされるのです。

ただし、税引前当期純利益同様に当期純利益には特別利益や特別損失が含まれています。通常の企業活動で出る「経常利益」とは違い、来期以降も必ず出るものとは限りません。これによって企業の信用度まではわかるわけではなく、翌期以降の株式投資の目安にも使えないので注意しましょう。

5種類の利益をどのように利用する?

5種類の利益について解説してきましたが、ここで得た知識はどう利用すればいいのでしょうか。まずは企業業績の推移のチェックに使いましょう。

経常利益でわかること

経常利益は企業の活動で得た利益が分かります。毎年見ていくと業績の上下を確認することができます。

粗利益・営業利益でわかること

粗利益・営業利益を見れば、企業がどれだけ魅力的な商品・サービスを生み出しているかがわかります。粗利益・営業利益が上昇しているということは、製造原価や販売費をかけずに、商品・サービスが売れているという証拠です。

税引前当期純利益・純利益でわかること

税引前当期純利益・純利益は企業で特別な動きがあったとき、それがどのように業績に影響したかを知る目安にもなります。不動産売買を行った、ある分野の事業を売却した等の出来事があった場合はこれらの項目をチェックしてください。

利益は必ず同業他社と比較しよう

ところで、利益を見る際、特に他社と比較する際は気を付けないといけない点もあります。自動車メーカー同士など必ず同業他社と比べるようにしなければなりません。

例えば粗利益ですが、小売業と製造業では売上・製造原価に人件費を含めるか含めないか、という部分から違います。業種が違うと正確に比較できないので注意しましょう。

まとめ

企業の利益が読めるようになると、業績の上下はもちろん、業界内での順位などもわかるようになります。投資先の選定、取引先の業績チェック、就職・転職活動などさまざまな場面で活用してみてください。

>>決算書の見方を正しく理解していますか?理解しておきたい決算書の見方の基礎※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

執筆:たじり ひろこ(ファイナンシャルプランナー)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士
証券外務員第一種資格保有。証券会社営業、生命保険会社営業サポート、銀行コールセンター等複数の金融機関勤務経験あり。2016年末からライターとして活動し、主に金融系サイトで執筆。

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