• 作成日 : 2015年6月4日
  • 更新日 : 2018年10月10日
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労災保険未加入のリスク

労災保険未加入のリスク

労災保険未加入のリスク

労災保険は、人を雇っている事業主は加入することが義務付けられていますが、もし未加入だった場合はどうなるのでしょうか。今回は、労災保険に未加入だった場合のリスクについて解説していきます。

労災保険に未加入で事故を起こした場合

労災保険に入っていない従業員が業務で事故に遭ったらどうなるのでしょうか。じつは、労災事故が発生した場合には、労災に未加入であっても労働者は労災の給付を受けられます。

なぜかというと、人を雇えば、労災保険の強制適用事業所になるので、保険料が未納であっても、労働者は保護され、労災申請ができるのです。

労災保険未加入の場合であっても労災申請ができるのであれば、とりあえず未加入でよいのではないかと思われるかもしれませんが、未加入の事業主にはペナルティがあります。

保険料の追徴

労災保険に未加入であっても、労災補償はされると説明しましたが、その場合、当然のことながら、未払いの保険料が遡って徴収されます。

ただし、最大2年間を限度とします。さらに、労働保険料額の10%の追徴金が課せられます。また、故意又は重大な過失による未加入であれば、労災給付金の全部又は一部が費用徴収されることになります。

故意に労災保険加入の手続をとらなかった場合

故意に労災保険の加入手続をとらなかった場合とは、労働局職員あるいは労働基準監督署監督官からの勧奨・指導を受けていたにもかかわらず、労災保険に加入をしていない場合をいいます。この場合、事業主の故意による未加入と判断し、労災給付金額の全額を費用徴収することになります。

重大な過失により加入の手続をとらなかった場合

重大な過失により加入手続をとらなかった場合とは、労働局職員あるいは労働基準監督署の監督官から加入勧奨・指導がないまま、労働保険の適用事業となってから(労働者を雇用してから)1年以上経過している場合をいいます。

この場合、事業主の重大な過失と判断し、労災保険給付の40%を費用徴収することとなります。

【例】3年前から従業員を雇用しているにも関わらず、労災保険未加入でいたところ、従業員のA(給付基礎日額※=15,000円)が、作業を行っていた際、機械に挟まれて死亡した。年間の賃金総額は1億円で保険料率は1000分の7だった。遺族(補償)年金の受給要件を満たす遺族がいなかったため、遺族補償一時金が支給された。

※給付基礎日額=原則として労働基準法上の平均賃金に相当する額

上記の例の場合、具体的に保険料・追徴金等の徴収額はいくらになるかを見ていきましょう。

【未払保険料、追徴金の徴収額】
2年間遡って徴収されるため、計算式は次のようになります。

① 労災保険料=140万円(1億円×1000分の7×2年)
② 追徴金=14万円(140万円×10%)

【故意に労災保険加入の手続をとらなかった場合】
遺族補償一時金の額=1,500万円(給付基礎日額15,000円×1,000日分)
③ 労災給付費用徴収額=1,500万円(1,500万円× 100%)

合計(①+②+③)=1,654万円(140万+14万+1,500万)

【重大な過失により加入の手続をとらなかった場合】
遺族補償一時金の額=1,500万円(給付基礎日額15,000円×1,000日分)

④ 労災給付費用徴収額=600万円(1,500万円× 40%)

合計(①+②+④)=754万円(140万+14万+600万)

このように、労災保険に未加入で事故が発生すると莫大な金額が請求される可能性があるわけです。

労働局、労働基準監督署によるきびしい取締り

労働局では、義務にもかかわらず、労災保険へ加入しない事業主に対し、上記のような厳格な対応を行うこととしています。

また、労働基準監督署では、労災未加入のリストをもとに監督や指導を強め、未加入の事業所に立ち入り調査することもあります。労働基準監督署の監督官は特別司法警察職員であり、違反等があれば事業主は逮捕され、刑事罰(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)が科されることもあるのです。

まとめ

労災保険はたしかに一時的な出費となります。しかし、労災保険に未加入で事故が発生した場合には、莫大な金額が請求されるおそれがあります。また、事業主を賠償責任から護ってくれますし、従業員のくらしを保障してこそ事業を続けてゆけるわけですから、こうした保険を掛ける経費は、今後の事業にもつながるものとなるはずです。

これから事業を始めようとお考えの方、また、未加入の事業主の方は、労災保険を負担だと思わず、必ず入加入するようにしましょう。

監修:川本 祐介 (社会保険労務士)

税理士法人ゆびすい
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