勤務時間インターバル導入の可能性とは!?

勤務間インターバルとは

長時間労働の是正対策を考えている企業の人事担当者であれば、「勤務間インターバル」という言葉を1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
勤務間インターバルとは、勤務と勤務の間に一定時間以上の休息時間を設けることを制度化したものです。労働者の生活時間や休息時間を確保することにより、過重労働の防止や健康保持に努めようとするもので、ワーク・ワイフ・バランスの確保策として注目されているものの1つです。
導入方法には以下の2つが挙げられます。

(1)勤務間に一定時間の休息時間を設ける方法
(2)定められた時刻以降の就業を禁止し、次の始業時刻以前の就業を禁止する方法

勤務間インターバルの導入により期待される効果は?

日本の年間総労働時間は少しずつ減少傾向にはありますが、それでもヨーロッパ諸国と比較すると、依然として高い水準にあることが下図から分かります。また、このデータの算出母数には、正社員だけではなくいわゆるパートやアルバイト、日雇い労働者などの非正規雇用者が含まれており、パート等短時間労働者の割合が高まることによって平均労働時間が押し下げられる効果も含まれている点にも留意する必要があります。

長時間労働は労働の負荷を大きくするだけでなく、休息・生活の時間を短くさせ、さらなる疲労の蓄積をもたらします。長時間労働と関連する健康問題のなかでも、脳・心臓疾患(過労死)と精神障害・自殺は深刻な社会問題となっています。従業員の長時間労働が常態化している企業では、大きな潜在リスクを抱えているといえるでしょう。

勤務間インターバル制度により休息時間を確保することは、労働時間の短縮につながり、健康被害から労働者を守ることにつながります。さらには、確保された休息時間により、心身だけでなく精神の健康も保たれ、仕事意欲の向上、プライベートの充実にもつながると考えられます。企業にとっても労働安全・衛生面の責任を果たし、魅力ある企業として長期安定雇用の確保、生産性向上、優良人材の確保も期待できるでしょう。

日本における勤務間インターバル制度導入に向けて

(1)勤務間インターバル制度の導入を努力義務化

厚生労働省では、勤務間インターバル制度について普及促進のための有識者検討会の設置や導入企業に対する助成金の整備などを行っており、2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」において、2019年4月1日から企業規模に関わらず、すべての企業で勤務間インターバル制度の導入を努力義務としました。また、中小企業向けに助成金などの環境整備と、導入事例を周知することにより、導入を加速化させるための取り組みを始めています。

(2)勤務間インターバル制度の周知や導入に関する数値目標の設定

2018年7月に「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更が閣議決定され、勤務間インターバル制度の周知や導入に向けた数値目標が設定されました。数値目標は以下の通りです。
2020年までに…
・勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を20%未満とする。
・2020年までに、勤務間インターバル制度を導入している企業割合を10%以上とする。

(3)勤務間インターバル導入企業への助成金

中小企業事業主に対して、過重労働の防止及び長時間労働の抑制に向け勤務間インターバルの導入に取り組んだ際に、その実施に要した費用の一部に助成金を出し、成果目標を設定しています。対象となる取組は、研修やコンサルティング費用、規程類の整備、労務管理用ソフトウェア・機器類等の導入費用などです。
目標とされる成果は、新たに制度を導入することの他に、既に導入している企業に対しては、適用労働者の範囲を拡大したり、休息時間を拡大する事とされています。
助成金の支給額は各条件により最大50万円となるので、上手に利用して導入を進めたいものです。

勤務間インターバルの活用事例

EU諸国では1993年に制定されたEU労働時間指令により、24時間につき最低連続11時間の休息が定められていますが、日本においても、上記施策の他、普及を図るために厚生労働省から導入企業の活用事例が紹介されています。

《TBCグループ株式会社》
TBCグループは2017年に勤務間インターバル制度を導入し、社内的には就業規則に明記し、対外的には労働組合と協約を締結しました。対象労働者は全社員とし、有期雇用労働者も含めています。インターバルの時間設定は、必ず守らなければならない時間を9時間とし、社員の健康管理上の指標として、11時間のインターバルを付与することを規定しています。
インターバル時間の管理については、これまでアナログな方法で管理していたタイムカードと出勤簿を、ICカードの導入により電子化を順次行う事としています。

勤務間インターバルの導入については、ハード面の整備はもちろん、従業員の意識改革が非常に重要になります。各企業に合ったインターバルの時間を設定し、その時間までに帰ることは「悪いこと」ではなく「当たり前のこと」であるという雰囲気を作っていくことが制度導入成功の秘訣といえるでしょう。

長時間労働の是正に向けて、勤務間インターバル制度を活用していきましょう

働き方改革が叫ばれる中、勤務間インターバル制度は、労働者の健康と安全を守り長時間労働を是正できる手段の1つです。
導入に当たっては、インターバルの時間設定、有効な勤怠システム、規程類の整備、意識改革等、自社に合った制度づくり・環境づくりが必要といえます。
導入企業はまだ少ないですが、今後導入が努力義務となるなかで、従業員満足を高め魅力ある企業作りの施策の1つとして、少しずつ導入企業が増えていくことが予想されます。

<参考>
勤務間インターバル制度の周知や導入に関する数値目標の設定
「時間外労働等改善助成金」(勤務間インターバル導入コース)のご案内
勤務間インターバル制度 導入事例

<関連記事>
就業規則を変更する前に知っておくべき手順と2つの注意点

【監修】金田朋子(かねだ ともこ) 社会保険労務士

社労士事務所にて給与計算、各種社会保険事務、就業規則の作成・改定、行政機関調査対応等に関する社会保険・労務コンサルティング業務に従事後、現在はベンチャー企業内の社内社労士として勤務。
社労士事務所での外部コンサルタント、ベンチャー企業内での労務担当者としての経験を生かし、ベンチャー・中小企業に強い社労士として社会保険・労務コンサルティングを行っている。
Twitter : @tok0moco

【おすすめ】働き方改革をサポートする勤怠管理システム

働き方改革に対応 自動アップデートの勤怠管理システム Money Forward クラウド勤怠