• 作成日 : 2016年11月11日

中小企業の人手不足にどう対応する?経営者が知っておくべき3つの道

景気回復に伴って浮き彫りになってきた中小企業の人手不足問題。
ここではその現状を解説するとともに、企業が取るべき3つの対応策、すなわち「攻め」の採用活動、女性雇用促進、外国人雇用促進について考えます。

人手不足している中小企業は50.2%

中小企業は慢性的な人手不足

2015年6月に中小企業庁が発表した「2015年版中小企業白書について(概要)」(以下、中小企業白書)によれば、2009年から2011年初頭にかけて全国的に過剰気味だった人手は、2011年半ば以降に不足の一途をたどっています。
この傾向は現在も変わらず、日本商工会議所が平成27年6月1日から6月23日の間に行ったアンケート調査でも、人手が「不足している」と回答した企業は50.2%に上っています。
この状況は業種問わず同じです。「卸売・小売・飲食店」「金融・保険業」「製造業」以外の業種で5割以上、「運輸業」「建設業」では6割以上、「介護・看護」に至っては7割以上が人手不足の問題を抱えています。

中小企業の採用活動

人手不足を解消するためには積極的な採用活動が必要不可欠です。
日本商工会議所の調査によれば人手が「不足している」と回答した企業の7割近くが、「求める人材」に「一定のキャリアを積んだミドル人材」を挙げています。したがって中小企業が行なうべき採用活動は、新卒採用ではなく中途採用だと言えます。
中小企業白書によれば、そのための施策として多くの企業が利用しているのが「ハローワーク」「知人・友人(親族含む)の紹介」、次点で「就職情報誌や新聞・雑誌等の求人広告」です。
しかしこうした施策は必ずしも効果を上げているわけではありません。だからこそ慢性的な人手不足が続いているのです。

中小企業の女性・外国人の活用状況

人手不足解消のためには既存の従業員の活用、あるいは海外労働力の活用も視野に入れなければなりません。
日本商工会議所の調査では女性の活躍推進を「実施している」と回答した企業は42.8%、「実施していない」と回答した企業は35.1%、「実施を検討している」と回答した企業は21.0%となっています。
国内労働力の減少を考えれば、「実施している」の数値はもっと高くなっていくべきでしょう。
特定の技術や技能が必要ない分野に対する外国人労働者の受け入れについて「自社に受け入れたい」「自社には必要ないが、産業界として受け入れるべき」と回答した企業は合計で5割を超えている反面、「分からない」と回答した企業が35.1%に上っています。
外国人労働者を実際に受け入れるかどうかの以前に、まずは自社にそれが必要かどうかを判断するところから始めたいところです。
以上のことから、中小企業の中には「人手不足という問題を抱えながら、適切な対策をとっていない」企業が一定数存在することがわかります。

「攻め」の採用活動への転換

中小企業が「待ち」の採用活動になる理由

「ハローワーク」や「就職情報誌や新聞・雑誌等の求人広告」などを使った採用活動は、応募者を待つという点において「待ち」の採用活動と言えます。中小企業がこの「待ち」の採用活動に陥ってしまうのには理由があります。
企業の採用力を次の3つの要素に分けて考えてみましょう。
すなわち認知度や将来性などの「企業ブランド」、企業風土や仕事内容、福利厚生等の待遇などの「労働条件」、そして採用担当者のスキルや採用にかける予算などの「採用活動」です。
中小企業はこのうち「企業ブランド」と「労働条件」の2つですでに大企業に差をつけられています。その結果、採用活動に消極的になってしまうのです。
しかしそれではいつまでも人手不足からは抜け出せません。残る「採用活動」において、攻めの姿勢に転じる必要があります。

「攻め」の採用活動とは

「攻め」の採用活動とは応募者を待つのではなく、企業から人材に直接アプローチをかけていく採用活動のことです。
SNSやインターネットを使った人材データベースを活用し、自社が求める人材を探し、直接連絡を取って採用する方法を「ダイレクトリクルーティング」と呼びます。
欧米では日本に比べてメジャーな採用方法で、日本でも少しずつ普及し始めています。従来の書類選考や面接選考の枠組みを取り払い、「まずは実際に会って話してみる」というところから始められるため、企業理念や事業方針への共感度や会社の期待度を確認しやすいという点がメリットです。
また「知人・友人(親族含む)の紹介」で採用活動をする場合も、SNSを通じて知りあった人材を紹介してもらうことで、より広い範囲で候補者を探すこともできます。人手不足を解消するためには、採用活動で攻める必要があるのです。

女性雇用促進・外国人雇用促進

女性雇用促進

日本商工会議所の調査に対して女性の活躍推進を「実施している」と回答した企業が実施する取組みのうち、最も多いのが「出産・育児等に対応した制度の変更」です。
また27.6%の企業が「出産・育児等を理由に退職した女性の再雇用(復職制度)」を、25.6%の企業が「フレックスタイム等、柔軟な勤務制度の導入」を実施しています。
国や自治体には女性雇用促進のための助成金制度などを設けているところもあり、これらを利用して企業内保育施設を設置している企業もあります。出産・育児は働く女性にとって非常に大きな問題です。
こうした問題に対して企業側が歩み寄り、働き続けられる環境を整えることが、既存の女性社員の退職を防止するためだけでなく、採用対象を女性に拡大していくためにも必要です。

外国人雇用促進

日本に留学している外国人学生をアルバイトとして雇い入れ、勤務成績によって正社員に登用する中小企業も増えています。
他にも「外人在留資格認定証明書交付申請制度」を使えば海外の人材を日本に呼び寄せることもできますし、幅広い業種で外国人雇用が見込まれている「外国人技能実習制度」なども、人手不足解消のために中小企業が利用するべき制度です。
もちろん在留資格の確認などトラブル回避のために整備するべき社内ルールもありますが、うまくいけば日本人よりも低コストで優秀な人材が確保できる可能性があります。少子高齢化により国内労働力の縮小が進む今、外国人を雇用するための制度の整備はより必要性を増していくでしょう。

まとめ

人手不足を嘆いているだけで具体的な対策をとらない中小企業や、従来の採用活動をそのまま継続している中小企業の経営は、今後厳しくなっていく一方です。
「攻め」の採用活動や、女性・外国人の雇用促進など、自社の状況に合わせて取り得る最善の対応をしていく必要があるでしょう。

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
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