• 作成日 : 2024年3月28日

MBO(目標管理制度)とは?人事への導入方法や目標設定、企業事例を解説

MBO(目標管理制度)とは?人事への導入方法や目標設定、企業事例を解説

MBO(目標管理制度)とは、社員が個別に目標を設定し、それに対する達成度合いによって評価をする制度のことです。この記事ではMBOの概要やメリット・デメリット、実際に導入する際のフローなどについて解説しています。また、企業における導入事例も紹介しているためぜひ参考にしてください。

MBO(目標管理制度)とは?

MBOとは、個別に目標を設定したうえでそれに対する達成度合いによって評価を決める制度のことです。Management by Objectivesの略の頭文字をとったものであり、経済学者として世界的に有名なピーター・ドラッカーによって提唱されました。

上司が一方的に出した指示に沿って業務に取り組むのではなく、個人の目標に基づいて取り組むこととなるため、業務をやらされている感覚がなくなります。

MBOを導入している企業の割合

2022年の労務行政研究所の調査によると、MBOは78.4%の会社で実施されています。数値を見る限りは、MBOが日本のビジネスにおいて浸透していることがわかります。

日本でMBOの導入が進んだのは1960年代初頭とされており、その後80〜90年代にかけてその数が増加しました。

参考:https://www.rosei.jp/readers/article/83268

MBOのメリット

ここではMBOに取り組むことで得られるメリットを紹介します。メリットを理解することでよりMBOに取り組みやすくなるため、ぜひ参考にしてください。

社員の自己管理能力の向上

MBOを導入することで社員の自己管理能力の向上が期待できます。上司から言われたことをするだけでは、自己管理能力を高めることはできません。しかし、MBOは自分で自分をマネジメントすることであるため、自然と自己管理能力が高まります。自分の仕事を管理する、スケジュールを管理するなど、ビジネスにおける各種自己管理ができるようになるでしょう。

モチベーションの向上

自分で考え、判断しながら業務に取り組むこととなるため、モチベーションも高まりやすいでしょう。上司に管理されながらの仕事は、部下の意思や意見が反映されにくいものであるため、中には嫌々業務に取り組んでいるケースもあるかもしれません。

しかしMBOは自分で自分のことを管理するため、やらされている感がありません。モチベーションも高く保ちやすいと考えられます。

組織全体の業績向上

MBOによって設定される個人の目標は、組織の目標と関連したものとなるため、MBOに取り組むことは長期的にみて組織の目標達成、業績向上などにつながると考えられます。そのため、社員一人ひとりが自分の目標に向かって真摯に取り組めるような環境を整備することが大切です。

MBOのデメリット

MBOにはメリットの一方でデメリットも存在します。ここでは具体的にどのようなデメリットがあるのか解説します。メリット・デメリットの双方を理解しておきましょう。

目標を低めに設定する傾向

MBOでは設定した目標の達成度合いがその人の評価につながるため、目標を達成したという事実を作るために目標を低めに設定する可能性があります。本人の能力であればより高い目標を設定できるような場合でも、容易に達成可能な低い目標を設定してしまうと、個人の成長にも組織の成長にもつながりにくくなるでしょう。

モチベーションの低下

個人の目標を設定するMBOですが、一歩間違えるとノルマ管理制度のようになってしまうため、社員のモチベーションが低下する恐れがあります。また、個人の目標を上司から押し付けられるような形になった場合も、モチベーションに影響する可能性があるでしょう。

目標以外の業務が行われない可能性

目標の達成が優先されるあまり、目標以外の業務が疎かになる恐れがあります。例えば、目標達成とは関係ないものの重要な業務が疎かになる、目標達成につながらない分野の勉強はしないといったことが起こる可能性もあるでしょう。

MBOを人事制度に導入するフロー

ここでは実際にMBOを人事制度に導入する際の具体的なフローを紹介します。どのようなステップで導入すればいいのかいまいちわからない人は、ぜひ参考にしてください。

目標設定

MBOの運用はまず目標を設定するところから始まります。いきなり個人の目標を決めるのではなく、企業や部署の掲げる目標を周知したうえで、それに関連するような個人の目標を設定することが大切です。そうすることで、結果的に企業の目標達成につながります。

行動計画の立案と実行

員と上司の間ですり合わせを行い、設定した目標の達成に向けて、行動計画を立て実行します。具体的には、目標達成の期日から逆算して、どのような行動が必要なのかを洗い出していきます。そのうえで各行動の優先順位を決め、優先度の高いものから取り組んでいきます。

進捗確認

行動計画に沿ったアクションが開始されてからは、定期的に進捗確認を行います。確認方法の例としては、部下から上司へ日報や週報を提出する、1on1でミーティングを実施するといったものが挙げられます。どのような点がうまくいっていて、何がうまくいっていないのか、課題はなんなのかといったことを確認できると、次の取り組みをイメージしやすくなります。

評価とフォローアップ

目標の期日になったら、目標の達成度合いを評価します。社員による自己評価と上司による評価を行ったうえで、すり合わせましょう。ポイントとなるのは、努力したかどうかではなく目標の達成度がどのくらいであるかどうかを評価することです。また、目標を達成できた場合はその理由を、できなかった場合はその原因を明確にし、次の目標に向けてどうするべきかを確認していきます。

MBOで重要な目標の立て方

MBOにおいてどのような目標を設定するかは非常に重要なポイントです。設定する目標が不適切だと、その後の成果にも影響するため注意しなければなりません。

目標を立てる場合、ポイントとなるのは組織の目標を踏まえたうえで、それに関連した目標にすることです。社員個人だけにメリットのあるような目標は適していません。社員の取り組みが自身の成長だけでなく、企業の成長にもつながるような目標を設定しましょう。

また、上司から目標を押し付けるのではなく、社員個人の自主性を尊重することも大切です。社員の自主性に則って目標を設定することで、目標管理能力や問題解決能力などの向上が期待できるでしょう。

そして、目標は客観的に評価できるものにしてください。客観的に評価できるものであれば達成度合いがわかりやすくなります。

MBOを導入している企業事例

先ほども説明しているように、日本では多くの企業でMBOが導入されています。ここでは以下の企業の事例を紹介します。

  • グリー株式会社
  • ヤフー株式会社
  • 株式会社ユー・エム・アイ

なお、掲載している内容は、2024年3月19日時点の情報です。

グリー株式会社

グリー株式会社は、ゲームを中心にエンターテイメント事業に取り組んでいる会社です。同社では2007年からMBOによる目標管理を導入しています。目標達成の基準を5段階の指標で明確にしている点が特徴であり、1on1の面談も実施するなど、個人が成長できるように制度を整えています。

出典:GREE

ヤフー株式会社

大手IT企業であるヤフー株式会社では、2012年の人事制度改定に伴い四半期に一度のサイクルでMBOを導入しています。しかし、導入したことで目標達成に依存しすぎてしまう問題が起こりました。この点を改善するために同社では「バリュー評価」と「プロフィット評価」という2つの評価軸を設け、制度を改良しました。

出典:mitsucari

株式会社ユー・エム・アイ

プラスチック製品やアルミ・チタン製品などを製造する株式会社ユー・エム・アイは、職場環境の改善を目的としてMBOを導入しました。この背景には、現場で優れたスキルを発揮する人材だからといってマネジメント能力が高いわけではないという課題がありました。MBOを通して一人ひとりのマネジメント能力を高めることで、管理職となったときのマネジメントに生かしていきたいという狙いがあると考えられます。

出典:mitsucari

MBOとOKR、KPIとの違い

MBOと混同しやすい言葉にOKRやKPIがありますが、これらはそれぞれ異なる言葉です。

OKRとの違い

(Objectives and Key Results)とは、シリコンバレーの企業を中心に導入されている目標管理制度です。MBOが年次評価を想定しているのに対して、OKRは四半期に一度と比較的短期間で評価が実施される点が特徴です。

シリコンバレーの企業を取り巻く環境は日々変化しており、1年前に設定した目標が評価時には適切でないケースも考えられます。このような点から、短期間で評価を下すOKRが導入されていると考えられます。また、OKRは人事評価に反映されないのが一般的であり、MBOとあわせて使用している企業も多くあります。

KPIとの違い

KPI(Key Performance Indicator)とは、「重要業績評価指標」を意味する言葉です。MBOが人事評価に直結するものであるのに対して、KPIは目標を達成するために細分化された指標であるため、人事評価に直接的に影響を与えることはありません。また、MBOは基本的に上司と部下の間で共有されますが、KPIはプロジェクトメンバー間などで共有される指標です。

M&AにおけるMBOの意味

MBOと聞くとM&Aをイメージする人もいるかもしれません。経済用語としてのMBOは、「マネジメントバイアウト」を意味する言葉です。これは企業の事業拡大や事業承継を目的として行われるもので、企業を買収することでオーナーになることを意味します。

MBOを通して個人・組織の成長を目指そう

MBOとは目標管理制度のことで、個別に目標を設定したうえでそれに対する達成度合いによって評価を決めます。個人で目標を設定するため、自己管理能力の向上やモチベーションの向上などを期待できる点が特徴です。日本でも大企業をはじめとして多くの企業で導入されているため、まだ取り入れていない企業はぜひ導入を検討してみてください。


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