• 作成日 : 2015年6月29日
  • 更新日 : 2019年4月19日
  • 社会保険

引越ししたら、どうする? 住所変更時の社会保険手続き

社会保険の適用事業所に勤める従業員が結婚、転居、自宅の新築などで住所が変更になったときには、住所の変更状況を国が把握しなければなりません。

住所変更先が国内か国外かによって把握する方法が異なります。国外移住の場合は、移住先の社会保障制度に加入する必要があるかどうかを確かめる必要があります。

国内での住所変更と社会保険

以前は住所変更の届け出を提出する必要がありましたが、平成30年3月以降は原則として不要となりました。
理由としては、社会保険の領域でもマイナンバー制度の活用が次第に始まったためです。住所や氏名の変更に関しては、変更の際に住民票の異動や、マイナンバーの記載内容の変更手続きを行っていれば、日本年金機構が変更を認識します。
但し、マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない被保険者や、マイナンバーを有していない海外居住者等、一部の方については、なお届出が必要となりますのでご留意ください。

国外への一時派遣(5年以内の移住による住所変更)

国外へ移住して生活する場合は、移住先と移住期間によって取扱いが異なります。

社会保障協定の締結国への移住

派遣される期間が5年以内の予定なら、日本の社会保障制度に継続して加入します。そのため、相手国の社会保障制度への加入はしません。

その際、派遣先である国の社会保障制度への加入を免除してもらうための手続きとして「適用証明書」を発行してもらう必要があります。

社会保障協定を締結していない国への移住

勤務先がある国の社会保障制度へ加入する必要があります。それに加えて、日本の会社との雇用関係を継続しながら移住をした場合は、同時に日本の社会保障制度への加入が必要です。

国外への長期派遣(5年以上の移住による住所変更)

移住期間が5年以上の予定の場合は「長期派遣」扱いとなり、移住先の社会保障協定状況ごとに取扱いが異なります。

社会保障協定の締結国への移住

派遣される期間が5年を超える場合は、日本の社会保険の資格を喪失し、派遣国の社会保障制度のみに加入します。

社会保障協定を締結していない国への移住

勤務先の国が定める社会保障制度へ加入しなければなりません。日本の会社に雇用されながら移住をした場合は、同時に日本で定められている社会保障制度への加入が必要です。これは、国外への短期派遣の場合と同じです。

社会保障協定とは

海外へ長期間移住した人が現地で働くときは、その国の社会保障制度に加入をしなければなりません。そのため、海外移住期間は日本の社会保険料とその国の社会保険料を二重に支払う事態が発生する場合があり、負担が大きくなります。

また、海外で働いた期間が短期間の場合はその国での年金制度加入期間が短いため、受給資格期間を満たさないまま保険料の掛け捨てになってしまう可能性があります。

このような問題点を解決するため、国同士で社会保障協定が締結されるようになりました。

社会保障協定の内容と目的

・それぞれの国で社会保障制度に二重で加入し、保険料を支払う事態を防ぐ
・日本と海外の年金加入期間を通算し、年金が受給できるように加入期間を増やす

社会保障協定の発効状況

社会保障協定の署名・発効状況は2018年6月の時点で以下のとおりです。なお、署名を済ませただけでは効力はなく、発効して初めて二重加入防止や加入期間通算が可能になります。

署名済み:イタリア、フィリピン、スロバキア、中国(フィリピンについては、2018年8月に発行予定)

協定発効済み:ドイツ、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、イギリス、韓国、インド、ルクセンブルク

なお、イギリス、韓国、イタリア、及び中国については「保険料の二重負担防止」のみの摘要となります。
社会保障制度はそれぞれの国において内容や取扱いが異なる場合があります。そのため、渡航が決定した際には、渡航先の国の社会保障制度について綿密に調べておくことが重要です。

まとめ

将来の年金受給権が手続き不備などで受給できなくなる事態を防ぐため、すべての国民には「基礎年金番号」が付与されています。基礎年金番号をもとに国が管理するには、その国民の住む場所の情報が必要です。

そのため、住所変更の手続きは非常に重要な意味を持ちます。国外への移住の場合も、年金受給期間の不足や保険料の払いすぎを防ぐため、移住先の社会保障制度を事前に調べておきましょう。

監修:加地 延行 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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