社会保険の算定基礎届とは

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社会保険料は、会社と従業員である被保険者が必要な金額を折半して負担します。
そして、被保険者が負担する保険料は、毎月支払われる給与や賞与などの報酬に比例した金額です。

しかし、実際に支給される報酬は毎月変動するものであるため、社会保険料やそれぞれの給付額の計算に手間がかかります。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)では、その手間を省くために計算用の枠を設け、これを「標準報酬月額」として算定の基礎としています。

社会保険の算定基礎届とは、この標準報酬月額が実際の報酬額とかけ離れることのないように、年ごとに行われる見直し作業、いわゆる「定時決定」の際に提出する届出書のことです。

算定基礎届の提出

社会保険の算定基礎届の提出には、各被保険者の報酬月額を算出することが必要です。

報酬月額の計算方法

定時決定が行われるのは、社会保険の被保険者のなかでも7月1日時点で働いている人だけです。
それらの被保険者に関しては、標準報酬月額の計算が行われ、算定基礎届が提出されることとなります。

報酬月額の計算方法は以下のとおりです。

■原則
4・5・6月に支払った賃金の総額を3で除して得た額

■4月の報酬支払基礎日数が17日未満で、5・6月の報酬支払基礎日数が17日以上の場合
5・6月の平均報酬額

■4・5月の報酬支払基礎日数が17日未満で、6月のみ報酬支払基礎日数が17日以上である場合
6月の報酬額

■5月入社の場合
5・6月に受けた報酬をもとに算出した額(定時決定の算定基礎となる期間が「その事業所で継続して使用された期間」に限られるため)

■パート・アルバイトなどの短時間就労者で、4月から6月の報酬支払基礎日数が、どの月も17日に満たなかった場合
15日以上17日未満の月を対象月として算出した額

■一時帰休の場合(定時決定の対象月に一時帰休が行われ、通常報酬より低額の休業手当が支払われた場合)
休業手当をもとに算出した額(決定後の状況がすでに一時帰休ではなくなっている場合には、随時改定の対象となります。)

なお、標準報酬月額が決定するのは9月1日ですから、その時点で一時帰休でなくなっている場合には、9月から受け取るべき報酬をもとに計算されます。

保険者等算定

以下の場合には、保険者等が報酬月額を算定することになっており、これを保険者等算定といいます。

保険者が健康保険組合の場合は、保険者等算定の方法について規約で定める必要があります。

1.算定が困難な場合

下記の場合は、従前の標準報酬月額のままで変更はありません。

・4~6月の報酬支払基礎日数が、どの月も17日に満たなかった場合
・4~6月に関しては報酬を受け取らなかった場合(病欠等)

2.所定の方法で算定した額が「著しく不当である」と認められた場合

・修正平均(本来、当該期間に受け取るべきであった報酬のみで算定)当該期間(4~6月)に、4月より前に支払われるべきだった給与の遅配分の支払いを受けた場合や、4月以前に昇給があったものとし、その時点で支払われなかった差額分が当該期間中にまとめて支払われた場合など

・4・5・6月のいずれかの月において定額の休職給を受けた場合(休職給を受けた月を除いて報酬月額を算定)

・当該期間(4~6月)中にストライキがあり、それが理由となる賃金カットがあった場合(賃金カットのなかった月で算定)

・年平均(年間の報酬額から平均値を出し、それを報酬月額とする)通常の方法で算出された標準報酬月額と、過去1年分(7月~翌6月が単位)の報酬平均月額を比較する(どちらも報酬支払基礎日数が17日未満の月を除いた月平均額から算出)。両者の間に2等級以上の差が認められ、それが通常、(繁忙期があるなどのため)毎年同様の状況が繰り返される場合

有効期間

定時決定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年8月(随時改定等が行われた場合は、その改定付きの前月)までの各月の標準報酬月額とします。

社会保険の算定基礎届の提出期限

事業主は、定時決定対象者の報酬月額を算定基礎届に記入し、その年の7月10日までに日本年金機構または健康保険組合に届け出なければなりません。

算定基礎届の対象者

算定基礎届により定時決定が行われるのは、社会保険の被保険者のなかでも7月1日時点で働いている人だけでしたが、そのなかでも、一定の要件に該当した被保険者は、算定基礎届の提出対象外となる場合があります。

算定基礎届の提出対象となる被保険者

1.7月1日の時点で働いており、保険資格を5月31日以前に取得している者
2.退職したものの、保険資格を失った日付が7月2日以降である者
3.育児休業や介護休業を利用している者や他の理由による休職・欠勤者
4.刑務所に収容された者

算定基礎届の提出対象外となる被保険者

1.7月1日の時点で働いているものの、保険資格を取得したのがその前月となる6月1日以降である者
2.保険資格を失った日付が7月1日以前である退職者
3.7月に月額変更届・育児休業等終了時変更届を提出する被保険者
4.8月または9月に月額変更届・育児休業等終了時変更届を提出する予定の被保険者

まとめ

社会保険の算定基礎届の提出は、被験者の報酬額に応じた適正な保険料を納めるために必要な作業です。

この算定基礎届の額が適正でない場合や提出を怠った場合、被保険者の将来の年金給付額に影響が出てしまいます。

そのような事態を避けるためにも、提出は毎年期限内に行いましょう。

参考:算定基礎届の提出

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