• 更新日 : 2021年11月4日

マイナンバーの民間利用はこれからどうなる?利用範囲拡大の現状と展望

現在認められているマイナンバーの利用範囲

マイナンバーの利用範囲は?

民間利用の動きが始まっているマイナンバーですが、現在認められているの利用範囲は「社会保障」「税」「災害対策」の各分野に限定されています。
社会保障分野では年金に関する事務、雇用保険や労働者に関係する事務、福祉・医療分野に関する事務が対象となります。
税分野では確定申告書や届出書等に記載し、税務当局の内部事務等が対象で、災害対策では被災者支援に関する事務が対象です。
これ以外にも地方公共団体が条例で定める事務にも利用が可能ですが、どの場合もマイナンバーを利用できるのは行政機関等だけとなっています。したがってマイナンバーを民間で利用するには、現在のマイナンバー法の改正が必要なのです。

法律改正が必要な利用範囲、不要な利用範囲

社会保障・税・災害対策の3つの分野以外でのマイナンバーの利用のための法改正について、政府は法律の施行状況等を踏まえた上で3年後を目安に具体的に進めていく旨を公表しています。しかしこの法改正が必要のない利用範囲もあります。
それがマイナンバーではなく、マイナンバーカードを利用する分野です。マイナンバーカードには内蔵のICチップに標準搭載される電子証明書と、チップの空き領域が設けられています。
これらの利用はマイナンバーそのものを利用しない方法なので、法改正は必要ないのです。現在利用範囲の拡大が検討されている分野は、この法改正が不要な利用範囲についてのものが主となっています。

現在検討中のマイナンバーカードの民間利用方法

民間オンライン取引での利用

現在検討されているマイナンバーカードの利用方法の1つが「民間オンライン取引」での利用です。
この方法を利用する民間事業者にはショッピングサイトやネット証券、クレジットカード会社やビデオレンタル事業者、オークションサイトやお見合いサイト、クラウドソーシング事業者などが想定されています。
これらの事業者のサービスを利用する人がカードリーダを使ってマイナンバーカードで個人認証を行い、それを受けた民間事業者が地方公共団体等の情報システムを使って情報を確認するという仕組みです。

スマホ等を活用した新ビジネスでの利用

スマホ等の端末とマイナンバーカードを紐づけることで、端末自体を認証等に用いる方法も検討されています。

スマホ等を活用した新ビジネスでの利用

この場合マイナンバーカードと端末の紐づけを管理する事業者が、サービスの利用者に対してIDやパスワードを発行し、その上で他の様々なサービスを利用するという仕組みになります。
想定されるサービスは電子ポイントカードサービス、電子興行チケットサービス、電子診察券サービスなどです。氏名や住所等の情報をマイナンバーカードが備える高いセキュリティレベルでやりとりできるため、より安心・安全なサービスが提供できると考えられます。

マイナポータルと連携させた利用方法

マイナポータルとはマイナンバーが紐づけされた自分の情報がいつどこでやりとりされているのかを確認できるほか、自宅のパソコン等から行政機関が持っている自分の情報等を確認できるシステムです。
マイナポータルは現在整備中ですが、このシステムに民間事業者を組み込むという案が検討されています。実現されれば電力会社や電話会社、金融機関などでの認証手続きをワンストップで行うことが可能になります。

「公的個人認証サービスの利用を行う民間事業者」とは?

以下では平成28年2月21日に「公的個人認証サービスの利用を行う民間事業者」として認可された3社の概要と各社が検討しているサービスの展望について紹介します。

日本デジタル配信株式会社

日本デジタル配信はCS放送などを展開する事業者です。ケーブルテレビ業界でのID連携等を実現するための基盤作りを担う存在として、今回認可を受けています。
将来的にはケーブルテレビの画面とマイナンバーカードを連携させ、利用者それぞれに最適な行政情報の配信や、オンラインショッピング等の民間サービスなどを検討しています。

スマートテレビ連携・地域防災等対応システム対応普及高度化機構

スマートテレビ連携・地域防災等対応システム対応普及高度化機構 は、マイナンバーカードとスマートテレビを連携させた新サービスを実現を目指して技術・制度面からの課題を検討するとともに、開発等を行う事業者です。
将来的には各家庭のスマートテレビを利用して、個々の家庭に応じた防災・減災等の情報を配信するためのシステム基盤の提供を検討しています。

ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構

ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構は、マイナンバーカードを活用して地域住民が日常的に利用する情報を提供するシステム基盤の運営事業者です。
具体的方法としてはマイナンバーカードを「デジタル母子健康手帳」や「地域の病院カード」などとして使ったり、医療機関間のデータ連携に活用することを検討しています。

まとめ

平成28年から運用が本格化し、マイナンバーカードの民間利用についても動きが出始めたマイナンバー制度。
マイナンバーカードの利用範囲拡大のほか、3年を目処に検討されているマイナンバーそのものの利用範囲の拡大など、今後も様々な展開が予想されます。
マイナンバーは個人にとって非常に重要な情報です。これからも制度がどのように運用されていくか、注視する必要があるでしょう。


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