• 作成日 : 2024年7月12日

労働保険番号とは?番号が必要なケースやわからない場合の調べ方を紹介

労働保険番号とは、労働保険の管理を効率的に行うために、日本国内の事業主や企業に割り当てられた識別番号です。労働保険番号は、労働保険関連のさまざまな手続きにおいて必要になります。

今回は労働保険番号の概要から、どのような手続きにおいて必要になるのかや番号がわからないときの調べ方まで、さまざまな角度から解説していきます。

労働保険番号とは?

労働保険番号は、日本国内の事業主や企業が労働保険の適用を受ける際に必要となる独自の識別番号です。労働保険は労働者の保護と雇用の安定を図ることを目的としている社会保険制度の1つです。労働保険番号は、労働保険の管理を効率的に行うために割り当てられます。

労働保険の概要

労働保険は、労働災害時の補償を行う労災保険と失業時の給付等を行う雇用保険を提供しています。労働保険番号は、これらのサービスを円滑に受けるために重要となるものです。

労働保険番号の重要性

労働保険番号には、以下のような重要性があります。

  • 識別と管理: 労働保険番号により、事業主の保険情報が正確に管理されます。
  • 手続きの簡素化: 保険請求や手続きが迅速かつ正確に行えるようになります。
  • 情報の一貫性: 事業主の保険履歴が一元的に管理され、必要なサービスの提供がスムーズになります。

労働保険番号は、業務を円滑に進める上で重要な番号です。

労働保険番号が必要になるケース

労働保険番号は、労働保険関連の様々な手続きに必要です。手続きを適切に管理し、必要な場面で正確に労働保険番号を使用できるようにしておくことで、事業運営の安定性を保ち、労働者の権利保護にもつながります。

具体的には、以下のような状況で労働保険番号を使用します。

1. 労災保険請求時

労働者が業務上の事故で病気やケガをした場合、治療費の補償や休業補償の請求を行う際に労働保険番号が必要です。

2. 保険料の納付

事業主が労働保険料を納付する際にも、労働保険番号を記載する必要があります。これにより、事業所の保険料が正確に収納されます。

3. 新規加入時の手続き

新たに事業を開始する際や初めて労働保険に加入する際に、労働保険番号の取得が求められます。これによって、労働保険の適用事業所と認められます。

4. 年度更新時

労働保険は毎年更新が必要であり、この更新手続きにおいても労働保険番号が必要になります。手続きの誤りを防ぎ、スムーズに年度更新をするために正確な労働保険番号の記入が必要です。

労働保険番号がわからない場合の調べ方

事業運営において重要な役割をもつ労働保険番号ですが、さまざまな事情で番号がわからなくなることがあります。ここでは、そのような状況に対処するため、労働保険番号の具体的な調べ方を解説します。

過去の書類を確認

最も手軽な調べ方は、過去に労働保険に関連する手続きを行った際の書類を確認することです。労働保険に関する通知書や申告書など、さまざまな文書に労働保険番号が記載されています。

労働保険事務組合に問い合わせる

文書から番号を確認できない場合、労働保険事務組合などの加入している団体に問い合わせる方法があります。加入団体は、労働保険番号を把握しており、本人確認ができれば番号を教えてもらえることが多いです。

会計士や社労士に相談する

相談できる会計士や社会保険労務士などの専門家がいる場合は、労働保険番号を確認できる可能性が高いです。これらの専門家は、クライアントの労働保険番号を管理していることが多く、迅速に正確な情報を提供してくれます。

労働保険番号を調べる際の注意点

労働保険番号は事業に関連する重要な情報です。第三者にこの番号を教える際は情報の取扱いに十分注意する必要があります。

労働保険番号の見方

労働保険番号はどのように見ればよいのでしょうか。順番に解説していきます。

11桁のケースと14桁のケースがある

労働保険番号には、11桁と14桁の2種類が存在します。これらの桁数は、事業主や事業の種類によって異なります。

11桁の労働保険番号

11桁の番号は一般的に小規模事業者や一人親方に割り当てられることが多い形式です。

14桁の労働保険番号

14桁の番号は大企業や複数の事業所を持つ企業に割り当てられることが多いです。

① 府県の番号

労働保険番号を理解する上で、最初の部分となる府県の番号は特に重要です。事業所の地理的位置を示すこの番号は、さまざまな保険手続きの際に、基礎データとして利用されます。各都道府県には、独自のコードが割り当てられており、それが労働保険番号に反映されるのです。

府県番号の役割と利用

  •  北海道は「01」、東京都は「13」、沖縄県は「47」といったように、府県番号によって、労働保険の手続きを行う都道府県が分かる。
  •  府県番号を用いることで、保険関連のデータを地域別に整理しやすくなり、政策立案や統計分析を行う上で有用な情報となる。

府県番号の確認方法

府県番号は、労働保険番号の番号の先頭2桁を見るだけで分かります。

府県番号を把握することで、事業主や従業員は自身がどこの都道府県の労働保険の適用を受けているのかを簡単に理解できます。

➁ 所掌(しょしょう)の番号

労働保険番号における「所掌の番号」は、行政機関を識別するためのコードです。

所掌番号の「1」は労働基準監督署を表し「3」は公共職業安定所を表しています。所掌番号は、労働保険の適用を受ける個人や事業所が適切な手続きを行うために必要な情報です。

所掌番号の役割と利用

  • 所掌番号を見ることで、労働基準監督署と職業安定所のどちらであるかを判別でき、労働保険番号をどの行政機関が管理しているかが識別できる。
  •  所掌番号が示す行政機関ごとに、保険料の徴収や給付、記録の管理などを行う。
  • ・労働保険番号の所掌番号を把握することは、保険関連の書類を提出する際や、労働保険に関する相談をする場合に重要な情報となる。

③ 管轄の番号

労働保険番号に含まれる「管轄の番号」は、各都道府県の管轄エリア内の行政機関を示しています。例えば岡山県内の労働基準監督署の場合、倉敷監督署は「02」、新見監督署は「07」というように番号が振り分けられています。管轄番号は、特に大規模な市や特別区などの広い地域をカバーする行政機関の特定に重要な役割を果たします。

管轄番号の役割と利用

  • 管轄番号によって、各都道府県にある複数の行政機関がどの行政区域を管轄しているのかが明確になる。
  • 管轄番号を知ることで、事業主や労働者は自分たちの事業所がどこの管轄区域に属しているかを把握でき、問い合わせや手続きがしやすくなる。

④ 基幹番号

基幹番号は事業場ごとに割り振られた番号で、労働保険事務を委託している事業所の場合、6桁の末尾の数字によって以下のように分類されます。

基幹番号事業の種類
0一元適用事業
2二元適用事業かつ雇用保険にかかる事業
4二元適用事業かつ林業にかかる事業
5二元適用の建設の事業に属する事業
6二元適用事業の林業または建設以外の事業
8一人親方や海外派遣労働者、家内労働者の事務組合

基幹番号によって、同一地域内や同一管轄内のそれぞれの事業主や事業所を明確に区別できます。

基幹番号の役割と利用

  • 労働保険関連の記録やデータベース内で、特定の事業主や事業所に関連する情報を追跡しやすくなる。
  • 基幹番号を把握しておくことで、今後の手続きや問い合わせを行う際に、スムーズに自分の事業所や事業主情報にアクセスできる。

⑤ 枝番号

労働保険番号の最後の部分である「枝番号」は、同一事業主の元で複数の事業所や部署が存在する場合に、基幹番号に続いて振られる番号のことです。この枝番号によって、特定の事業主内の異なる事業所や部署間での区別が可能になります。

枝番号の役割と利用

  • 組織内で保険関連の手続きを行う際には、枝番号を正しく確認し、対象となる部署や事業所を明確にすることで、手続きの誤りを防ぎスムーズな運営ができる。
  • 組織内の特定の事業所や部署に対する保険給付や費用の管理が正確に行えるようになる。

労働保険番号を取得するタイミング

労働保険番号の取得は、事業を運営する上で重要です。事業主と従業員が労働保険の恩恵を受けるために、適切なタイミングで取得する必要があります。労働保険番号を取得するのは、主に新たな事業を立ち上げたときです。事業主は労働保険に加入し労働保険番号を取得することにより、従業員の労働災害や失業のリスクに備えることができます。

また、 自営業者やフリーランサーが初めて従業員を雇用する場合も、労働保険への加入義務が生じるため労働保険番号を取得する必要があります。

労働保険の加入に遅延があると、保険の適用を受けられないリスクや罰則が発生することがあるので注意が必要です。

労働保険番号が変わるタイミング

労働保険番号は通常、事業所や事業主ごとに一度発行されると変更はありませんが、特定の状況下では番号の変更が必要となる場合があります。そのタイミングを理解し適切に対応することが、事業運営の安定性と従業員の保護に繋がります。

事業に変更が生じた時

個人事業主が法人として再編された場合、新しい法人に新たな労働保険番号が発行されるのが一般的です。

また、企業の合併や買収が行われる場合にも、新しい事業体に対して新しい番号が割り当てられることがあります。合併の場合には新設合併と吸収合併があり、前者の場合は全く新しい企業となるため新たな労働保険番号が必要です。一方、吸収合併の場合には主たる事業所は存続するため労働保険番号は主たる事業所の番号となります。

事業所の移転や組織変更時

管轄の異なる別の場所に事業所が移転した場合も労働保険番号が変更になります。その際、移転先を管轄する職業安定所や労働基準監督署に各種変更届を提出することで、新しい番号が発行されます。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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