中小企業の平均年収は?現在の状況と今後の展望

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この記事は1年以上前に公開されたものです。法律・制度などに関して、現在とは異なる内容が含まれている可能性があります。

日本の経済を支える中小企業の平均年収はどれくらいなのでしょうか。

ここでは統計データからその数値を割り出すとともに、今後経営者が従業員の賃金についてどのように対応すべきかを考えます。

中小企業の平均年収の現在の状況

中小企業の平均年収と、大企業の平均年収

厚生労働省の「平成26年賃金構造基本統計調査の概況」(以下、賃金構造基本統計)によると大企業の男性の平均賃金が38万1,900円で、中企業が31万2,100円、小企業が28万5,900円となっており、女性は大企業が26万5,200円、中企業が23万3,800円、小企業が21万4,600円となっています。

中企業の男性の平均賃金は大企業に対して82%、小企業の場合は75%となっており、中企業の女性の平均賃金は大企業に対して88%、小企業の場合は81%です。

これらの比較に加えて、賃金に12ヶ月を掛けて計算した平均年収を計算したのが以下の表です。

  平均賃金平均年収指数
大企業男性38万1,900円458万2,800円100%
女性26万5,200円318万2,400円100%
中企業男性31万2,100円374万5,200円82%
女性23万3,800円280万5,600円88%
小企業男性28万5,900円343万800円75%
女性21万4,600円257万5,200円81%

※男女ともに大企業の年収を100%とする。

なお賃金構造基本統計における企業規模の定義と、賃金の定義は以下の通りです。

・大企業…常に雇用されている従業員が1,000人以上。
・中企業…常に雇用されている従業員が100人~999人。
・小企業…常に雇用されている従業員が10人~99人。
・賃金…平成26年度の6月分の所定の給与から時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当を差し引いた額で、税引き前の金額。

これらの定義はこれ以降の内容においても同様です。

都道府県別の年収の違い

続いて、都道府県別の平均年収の違いについて見ていきましょう。最も平均賃金が高いのは東京都で、37万7,400円。最も低いのが沖縄県で、22万7,700円です。その差は約15万円、年収に換算すると約180万円です。

ここでの平均賃金は企業規模別ではないため、中小企業の平均年収にどれだけの差があるのかは正確にはわかりません。しかし地域によってその差が出ることは間違いないでしょう。

年齢別の年収の違い

企業規模、性、年齢階級別賃金、対前年増減率、企業規模間賃金格差及び年齢階級間賃金格差

(出典:平成26年賃金構造基本統計調査の概況|厚生労働省

上表は年齢別、企業規模別の平均賃金と、大企業を100とした企業規模間の賃金格差、20歳〜24歳の平均賃金を100とした年齢階級間の賃金格差を男女別に示したものです。

年齢を重ねるほど平均賃金も上昇していき、企業規模が大きくなるほど年齢階級間での差は広がる傾向にあります。ただし60歳以上になると嘱託社員も増えるため、どの企業規模でも平均賃金は減少し、企業規模間での格差も小さくなっています。

平均年収にさらに差をつける「賞与」

賃金構造基本統計の「賃金」には「賞与」いわゆるボーナスは含まれていません。しかしこの賞与の金額、有無は平均年収に大きく関わってきます。

例えば38万1,900円の賃金を受け取っている大企業の男性が、賃金6ヶ月分の賞与を受け取った場合、年収は687万4,200円になります。一方で28万5,900円の賃金を受け取っている小企業の男性が賞与なしだった場合の年収は343万800円です。その差は約2倍です。

さらに「賃金」からは時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当が差し引かれているため、さらに格差は広がります。

賃金構造基本統計で挙げられているのは平均値なので、この数値だけを見て単純に比較はできません。しかし、それでも年収において大企業と中企業、小企業の間には大きな差があることは事実です。

中小企業の平均年収の今後の展望

中小企業の賃上げが進んでいる

商工組合中央金庫(以下、商工中金)の「中小企業の賃金動向に関する調査」によると、中小企業のうち約72%が2016年に定期昇給やベースアップ、賞与の引き上げなど、何らかの形での賃上げを行う予定であることがわかっています。2015年にも同様の調査を行ったところ、全体の77.3%の企業が何らの賃上げを行っています。

ベースアップに踏み切る企業が全体の約25%にとどまっていることから、未だ慎重な姿勢は見られるものの、中小企業の賃上げが進んでいることは事実です。

賃上げの背景

2015年に賃上げを行った中小企業のうちの45.6%、2016年に賃上げ予定の中小企業のうちの44.1%が、賃上げの理由に「自社の業績改善を反映」と回答しています。つまり景気回復に伴う、従業員への還元というわけです。しかしこのような前向きな理由だけで賃上げを行っているわけではありません。

2015年に賃上げを行った中小企業のうちの61.7%、2016年に賃上げ予定の中小企業のうちの64.6%は「処遇改善による人材の定着化」を理由に挙げ、2015年に賃上げを行った中小企業のうちの37.1%、2016年に賃上げ予定の中小企業のうちの43.3%が「人材確保(採用)のために必要」を理由に挙げています。

中小企業はどの業種でも慢性的な人手不足に悩まされており、それを打開する方法として賃上げを行っているというわけです。

中小企業は賃金をどう考えるべきか

「賃上げを行わない」と回答した中小企業の多くは業績低迷や景気見通しの不透明さを理由に挙げています。

しかし賃上げを行っている企業の多くが人材の定着化や確保を賃上げの理由に挙げていることからもわかるように、賃上げをしないままでは人材が流出してしまったり、良い人材を採用できないという不安感も広がっています。とはいえ無理に賃上げを実行して、今後の経営にリスクを抱えるわけにもいきません。

中小企業は「賃上げ」をあくまで1つの手段として認識し、他の様々な施策とバランスをとりながら、適正な賃金設定を行う必要があるでしょう。

まとめ

大企業と中小企業、都市部と地方部を比べると年収の格差は間違いなくあります。

この格差は中小企業の人手不足にも影を落としており、その影響を懸念する中小企業の多くは賃上げを対策として打ち出しています。しかし賃上げは人手不足解消のための唯一の施策ではありません。

賃上げができる中小企業も、できない中小企業も、他の施策とのバランスを考え、大局を見失わない経営を心がけたいところです。

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