仕事と介護の両立をするための「介護休業」を理解しよう

介護休業とは?

厚生労働省の平成29年度就業構造基本調査によると、介護をしている人は627万6千人、うち仕事をしている人は346万3千人となっており、超少子高齢化が進む現在、介護と仕事の両立は他人事ではありません。
介護休業とは、要介護状態(注1)にある対象家族(注2)を介護のために取得する休業のことをいいます。労働者は、事業主に申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として分割して取得できます。なお、1回の期間は、原則として従業員が申し出た期間です。
(注1)要介護状態:負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態
(注2)対象家族:配偶者・父母・子・配偶者の父母、祖父母・兄弟姉妹・孫

介護の状況は、介護の原因疾患や要介護者の状態、家族形態によって様々であり、育児とは異なり先の見通しが立ちにくいとされています。これは事業主にとって負担となるだけでなく、労働者にとっても介護へ専念する期間が長期化し、継続就業を難しくする可能性が高いと考えられます。
生命保険文化センターの調査によると、介護期間は平均4年7ヶ月とされていますが、上述の通り、介護休業の上限日数は93日となっています。これは、介護休業が「自らが介護する期間」ということではなく、「介護の体制を構築するために、ある一定期間休業する場合に対応するもの」を目的としているためです。

介護休業を取得できるのは?

介護休業は育児休業同様、雇用形態(正社員・契約社員・パートタイマー等)に関わらず、一定の要件を満たせば取得することができ、有期契約労働者の場合、次の要件を満たす場合には利用することができます。

  • 入社1年以上
  • 介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに労働契約が満了し、更新されないことが明らかでないこと(要約すると、「介護休業を取得した後6ヶ月以内に明らかに契約が更新されない場合は対象から除く」ということです。)

なお、労使協定で、一定要件(入社1年未満、申出の日から93日以内に雇用関係終了することが明らか、1週間の所定労働日数が2日以下)の労働者については介護休業ができないとされている場合、その要件を満たす労働者は、介護休業を取得することができません。介護休業制度を設けるのは事業主の法定の義務です。事業主は、就業規則に記載がないからといって利用を拒むことや、介護休業を利用したからといって解雇などの不利益な扱いをすることはできません。

介護休業の取得手続きと注意点

介護休業を取得するためには、原則として介護休業取得開始予定日の2週間前までに、以下の内容を記載した介護休業申出書(書面の他、事業主が適当と認める場合には、FAX、電子メール等の提出でも可)を会社の人事労務担当部署等に提出します。

  1. 申出の年月日
  2. 労働者の氏名
  3. 対象家族(要介護状態にある家族)の氏名及び労働者との続柄
  4. 対象家族が要介護状態にあること
  5. 休業開始予定日及び終了予定日
  6. 対象家族についてのこれまでの介護休業日数

会社により添付書類等、手続きの詳細は異なりますので、詳細は人事労務担当部署等に確認しましょう。
また、休業開始予定日の前日までは申出の撤回が可能です。ただし、同じ対象家族について2回連続して撤回した場合には、それ以降の介護休業の申出については事業主から取得を拒まれてしまう可能性がありますので、注意が必要です。

介護休業中は給与は支払われない?

介護休業期間中は、基本的に労働をしていないため、「ノーワーク・ノーペイの原則」から、給料は支払われません。しかし、介護休業をしている従業員について、一定の要件に該当する場合には、雇用保険から介護休業給付金が支給されます。
介護休業給付金は休業開始時賃金日額(原則、介護休業開始前6か月間の賃金を180日で割った額)の67%が支給され、支給対象となる1回の介護休業期間(ただし、介護休業開始日から最長3か月間)について支給されます。また、支給対象となる同一の家族について取得した介護休業は93日を限度に、3回までに限り対象となります。
介護休業給付金の詳細については、「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します」の資料をご参照ください。

介護休業を利用して、介護の体制を整えて

介護の状況は人それぞれで、介護にかかる期間やかかる負担も一律ではありません。上述の通り、介護休業は介護のための体制を整える期間です。介護休業を利用し、地域包括支援センター(※)などで信頼できる専門家に相談することで、支援の体制を整えることが重要です。
介護のプロに任せられる部分は任せるなど、今後の介護について段取りを整えることで、要介護者に対し、より適切な介護を提供できることはもちろん、介護者自身も長期間仕事を休まざるを得なくなったり、精神的に追い詰められることもなく、介護と仕事の両立を図る道筋が見えてくるのではないかと思います。
(※)地域包括支援センター:地域の高齢者が健康で安心して暮らせるように、保健・医療・福祉の面から総合的に支援するための機関です。市町村や、市町村が委託する組織により公的に運営されており、市町村に1つ以上設置されています。 自治体により多少名称が異なることがありますが、「地域包括支援センター○○市区町村」でネット検索できます。

<参考>
仕事と介護の両立支援
介護保険制度・地域包括支援センターについて
介護休業給付の内容及び支給申請手続きについて
育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します
育児・介護休業法のあらまし平成30年9月作成 パンフレットNo.12
平成29年度就業構造基本調査結果の概要

<関連記事>
介護保険の要介護認定
介護保険サービスを受けるための手続き

【監修】金田朋子(かねだ ともこ) 社会保険労務士

社労士事務所にて給与計算、各種社会保険事務、就業規則の作成・改定、行政機関調査対応等に関する社会保険・労務コンサルティング業務に従事後、現在はベンチャー企業内の社内社労士として勤務。
社労士事務所での外部コンサルタント、ベンチャー企業内での労務担当者としての経験を生かし、ベンチャー・中小企業に強い社労士として社会保険・労務コンサルティングを行っている。
Twitter : @tok0moco

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