中小企業も例外なし!1ヶ月60時間超の時間外手当割増率は50%以上

割増賃金とは?1か月60時間超の時間外手当割増率は50%超!

時間
割増率
休憩時間を除き、1日8時間、1週間につき40時間を超えた時間分(法定時間外労働)1.25倍
法定時間外労働が月60時間を超えた場合に、60時間を超えた時間分1.5倍
法定休日に労働させた時間1.35倍
深夜(22時~翌5時)の時間帯に労働させた時間0.25倍

2023年以降、中小企業向け適用猶予がなくなる!

上記の表に記載の通り、法定時間外労働が月60時間を超えた場合、60時間を超えた時間分については「1.5倍」の割増率で割増賃金の支払いを行うことが労働基準法上で定められていますが、これまでは、中小企業の支払い能力などを考慮して、労働基準法第138条に規定する中小企業には適用が猶予されていました。
ところが、今回の働き方改革関連法施行により、2023年4月1日以降は中小企業にも例外なく適用されることとなります。
なお、ここで言う「中小企業」とは、『資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5000万円,卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主、またはその常時使用する労働者の数が300人(小売業を主たる事業とする事業主については50人,卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100人)以下である事業主をいう。』とされています。

そもそも「労働時間」について誤解はありませんか?

「労働時間」とは、客観的にみて、労働者の行為が「使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるか」により認められる時間帯のことです。例えば、事業場内で制服に着替える時間、業務の準備や後片付けの時間、具体的な作業に従事していなくても業務が発生した場合に備えて待機している時間、さらに出席が義務づけられた業務研修の時間なども含まれます。

【参考判例1】三菱重工長崎造船所事件(業務の準備行為)(最高裁平成12.3.9)
「事業所での作業服・保護具などの着脱の時間も労働時間に当たる。
業務の準備行為等として使用者から義務付けられているもので、使用者の指揮命令下に置かれた時間と評価される。」

【参考判例2】大星ビル事件(仮眠時間・休息時間)(最高裁平成14.2.28)
「ビル管理の24時間勤務において連続して7~8時間の仮眠時間が与えられているが、外出禁止、電話接受、警報に対応した措置などが義務づけられている。
不活動仮眠時間といえども、労働契約上の役務の提供が義務づけられ、労働からの解放が保障されていない。使用者の指揮命令下に置かれている時間と評価される。」

働き方改革関連法の施行により、労働時間の上限がこれまで以上に厳しく規制され、違反行為には刑事罰が科されることもあります。
会社側としては「労働時間」として認識していなかった時間が上述のような「労働時間」とみなされる場合もありますので、労働時間について正しく理解し、労働時間の正確な把握に努めることが必要です。

長時間労働是正に向けて中小企業が今からできる対策とは?

これまで長時間労働を黙認していた中小企業では、今回の法改正により、人件費の負担が大きくなってしまう可能性があります。中小企業が人件費を増やさずにこれまでどおりのパフォーマンスを発揮し続けていくには、どういった対応策が必要でしょうか?

1.機械化やクラウドオートメーション化により業務を効率化する
2.業務の棚卸しを行い、クラウドサービスなどを活用してバックオフィス業務の効率化を行う
といったことが考えられます。

中小企業庁では、中小企業が少しの工夫で生産性を向上させた好事例を「中小企業白書・小規模企業白書における好事例について」として紹介しています。
機械化やクラウドサービスの導入にあたっては、初期費用がかかりますが、それらの導入に関連する補助金や助成金等をうまく活用することで、少しの自己負担で生産性を大きく向上させることもできると思われます。
これらの事例を参考に、長時間労働是正に向けて、各社に合った生産性向上を目指していきましょう。

なぜ、時間外労働の割増賃金率が定められているのかを理解しておきましょう

今回の改正で、これまで適用猶予となっていた中小企業にも、高い割増率での時間外手当の支給が必要となりました。労働者の健康確保等を図る観点から、長時間労働是正が喫緊の課題とされているということです。今回の改正は、現段階では2023年4月施行予定ですので、中小企業の経営者にはまだ猶予が与えられているものの、今後頭を悩ませる課題になると思われます。
上述のような取り組みを早い段階から始めていくことが重要でしょう。

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【監修】金田朋子(かねだ ともこ) 社会保険労務士

社労士事務所にて給与計算、各種社会保険事務、就業規則の作成・改定、行政機関調査対応等に関する社会保険・労務コンサルティング業務に従事後、現在はベンチャー企業内の社内社労士として勤務。
社労士事務所での外部コンサルタント、ベンチャー企業内での労務担当者としての経験を生かし、ベンチャー・中小企業に強い社労士として社会保険・労務コンサルティングを行っている。
Twitter : @tok0moco

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