長時間労働者向けの医師面接指導がこう変わる!

「長時間労働」「医師面接指導」とは?

そもそも「長時間労働」「医師面接指導」とはどういったものでしょうか。
1週間あたり40時間を超えて労働させた場合、その超えた時間を「時間外労働」、法定休日に労働させた場合、その時間を「休日労働」と呼びますが、一般的に「時間外・休日労働時間」が長時間に及ぶと健康障害リスクが高まると言われています。
従業員の健康障害リスクを予防するため、長時間労働(現行の制度では1か月あたりの「時間外・休日労働」時間が100時間超)により疲労が蓄積している従業員には、医師による面接指導が義務付けられており、これを「医師面接指導」と呼びます。「医師面接指導」では、問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて必要な指導を行います。

長時間労働者に対する医師面接指導を行う必要性

長時間労働者に対する医師面接指導の実施は会社の義務ですが、これらの取組みを行わないと、具体的にどのような影響があるのでしょうか?
もし、従業員が長時間にわたる過重労働を起因として過労死等(脳・心臓疾患・精神障害等)に至った場合、会社は貴重な人材を失うだけでなく、労働基準監督署による労災認定・書類送検や民事訴訟などで大きな影響(刑事罰や事業名の公表、社会的信用の失墜、新規採用難、多額の賠償金の支払い等)を受けることが考えられます。

現行の長時間労働者に対する医師面接指導の要件

現行の制度では、長時間労働者に対する医師面接指導が会社の義務とされる要件は、

(1)時間外・休日労働が月100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者であること
(2)(1)に該当する労働者から申出があること

で、中小企業も含めたすべての企業で実施義務が課されています。
一方、面接指導または面接指導に準ずる措置が努力義務として必要とされているのは、

(1)長時間労働(時間外・休日労働が月80時間超)により、疲労の蓄積が認められ、または健康上の不安を有している労働者であること
(2)(1)に該当する労働者から申出があること

に該当する従業員がいる場合です。

なお、上記(1)の時間外・休日労働の時間数の算定方法は、下記の計算方法によります。

1ヶ月の時間外・休日労働時間数=1ヶ月の総労働時間数*-(計算期間1ヶ月間の総暦日数/7)×40
*1ヶ月の総労働時間数=労働時間数(所定労働時間数)+延長時間数(時間外労働時間数)+休日労働時間数

また、これら時間数の算定は毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければならないとされています。

今回の改正点と長時間労働者への医師面接指導の今後の見通し

過重な労働により脳・心臓疾患等の発症リスクが高い状況にある労働者を見逃さず、労働者の健康管理を強化するため、長時間労働者に対する面接指導の実施義務要件が月100時間から月80時間に引き下げられました。
上述の「(1)時間外・休日労働が月100時間を超え」の部分が「(1)時間外・休日労働が月80時間を超え」に変更になるということです。改正の施行は、企業規模に関わらず、2019年4月からとされています。
また、面接指導の適切な実施を図るため、管理監督者を含むすべての労働者を対象として労働時間の把握について客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨が定められました。会社は、これまで以上に客観的な労働時間管理が求められることになります。把握の方法の詳細はまだ発表されていませんが、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン*」(平成29年1月20日策定)に近い内容になるのではと予想されます。

*「労働時間の適正把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」については、こちらをご参照ください。

長時間労働者への企業の対応策と、働きやすい環境整備の形成に向けて

上述の通り、今後、企業はより適正な労働時間の把握が求められるとともに、長時間労働の抑制と従業員の健康維持に向けた措置が必要になっていくと思われます。
施行日直前に慌てて体制を整えることは難しいと思いますので、早い段階から少しずつ社内の業務効率化を進めていく必要があるでしょう。

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【監修】金田朋子(かねだ ともこ) 社会保険労務士

社労士事務所にて給与計算、各種社会保険事務、就業規則の作成・改定、行政機関調査対応等に関する社会保険・労務コンサルティング業務に従事後、現在はベンチャー企業内の社内社労士として勤務。
社労士事務所での外部コンサルタント、ベンチャー企業内での労務担当者としての経験を生かし、ベンチャー・中小企業に強い社労士として社会保険・労務コンサルティングを行っている。
Twitter : @tok0moco

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