• 作成日 : 2018年12月3日
  • 更新日 : 2019年6月7日

フレックスタイム制とは?メリット・デメリットと実務の注意点

フレックスタイム制とは何か

フレックスタイム制とは、労働者が各日の労働時間や始業・終業時刻を自らの意思で決めることができる制度です。
1カ月以内(今後3カ月に延長予定)の一定期間(清算期間)における総労働時間をあらかじめ定めておき、労働者はその範囲内で各日の始業・終業の時刻を自らの意思で決めることができます。
労働者が自分の生活と業務との調和を図りながら、効率的に働くことができる制度であり、育児・介護等様々な事情を抱える社員、女性、高齢者、障害者等多様な人の多様な働き方を支えるダイバーシティ実現に有効な働き方といえるでしょう。
フレックスタイム制においては、コアタイム・フレキシブルタイムの2つの時間帯を定めることができます。(コアタイムは必ず設けなければならないものではありません。)

(1)フレキシブルタイム:労働者がその時間帯であればいつ出社、退社してもよい時間帯。
(2)コアタイム:対象労働者が必ず勤務していなければならない時間帯。

フレックスタイム制導入企業の割合は高くない

現状、フレックス制導入企業の割合はそう高くありません。
平成30年の調査結果をみると、全産業で5.6%、1,000人以上の大企業で25%程度となっています。10年前の平成20年時点に全産業で4.9%、1,000人以上の大企業で30%を超えていたのと比較すると、停滞ぶりが明らかになります。一旦導入したものの、廃止したという企業も少なくありません。

フレックスタイム制のメリット・デメリットとは?

フレックスタイム制のメリットを考えると、まず挙げられるのは多様な働き方への対応策となる点です。育児・介護等の様々な事情により、就業にあたって時間や場所に制約を受ける労働者は今後増加していくと想定されます。また、ワークライフバランスの観点から見ても、自分の働きやすい時間帯を選んで働けることは、自らの生活を守り、生産性の向上にも資するものと思われます。

一方、デメリットとしては次のような指摘があります。
(1)チームワークのために顔を合わせるコミュニケーションは必要。
(2)働く時間帯がバラバラだとチームとして力を発揮できない。
※例:緊急時に当該業務の担当者がいないと対処できない、MTGがセットしにくい等。
(3)出退勤管理をきちんと自己管理できない“だらしない人”にフレックスタイム制度を適用すると、出退勤管理がルーズになりやすい。

フレックスタイム制のデメリットは本当に克服できないものか

このようにフレックスタイム制のメリット・デメリットを考えたとき、上述のデメリットは本当に克服できないものでしょうか。
「顔を合わせるコミュニケーション」の問題は、テレワーク導入のときにも議論される問題ですが、四六時中、週5日間必ず顔を合わせていないと仕事ができないというのは、仕事の進め方として問題がないのか、一度考え直してみるべきでしょう。

また、緊急時の対応についても、そもそもチームで仕事しているならば、1人が欠けても仕事が回るようにすることこそが本筋です。天変地異が相次ぐ中、急に出社できない社員もいるでしょう。ご自身や家族の病気その他の事情で急に出社できなくなることもあるかと思います。現在は、育児や介護など様々な事情を抱える社員がともに働くダイバーシティ経営が求められています。「チームで助け合う」という組織こそ会社のあるべき姿とも思われます。

このように改めて考え直してみれば、デメリットがフレックスタイム制導入を妨げる根本原因とはならないようにも思われます。なお、ルーズな社員の対応はフレックスタイム制如何にかかわらず、考えるべき問題でしょう。一部にルーズな社員がいることが会社としてのフレックスタイム制導入の妨げになることは考えにくいと思われます。

フレックスタイム制をうまく活用し、様々な人が働きやすい環境を目指しましょう

フレックスタイム制の導入が進まないのは、顔を合わせて仕事をすることが当たり前になりすぎていて、それ以外の働き方にチャレンジする気風が失われていることが要因かもしれません。しかし、現在は、女性、高齢者、障害者など多様な人々が働けるダイバーシティ(多様性)が求められる時代です。そして、多様な社員・異質な社員を包摂する会社でこそ、イノベーションが生まれるとも考えられています。フレックスタイム制とは何かを見直し、その導入を真摯に検討してみてはいかがでしょうか。ダイバーシティを育み、イノベーションの生まれる新しい会社の姿が、そこに現れるかもしれません。

<参考>
フレックスタイム制の適切な導入のために東京労働局
平成30年就労条件総合調査結果の概況 厚生労働省
平成20年就労条件総合調査結果の概況  厚生労働省
フレックスタイム制が好評なのに廃止へ向かう理由」 ダイヤモンドオンライン 2016/9/19

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