• 更新日 : 2025年3月5日

給付制限期間中のアルバイトは20時間以上働いても問題ない?注意点を解説

給付制限期間中に20時間以上アルバイトをすると雇用保険の加入条件を満たしてしまい、失業手当(失業給付)を受け取れなくなる可能性があります。

しかし、条件次第では失業手当を受け取りつつアルバイトをすることも可能です。

この記事では、給付制限期間中に働く際に注意したいポイントや、効率的な仕事の探し方を解説していきます。

週20時間以上のアルバイトは就職扱いの可能性がある

給付制限期間中に週20時間以上のアルバイトをすると、基本的にはハローワークから就職をしたものとして扱われます。

給付制限期間とは、自己都合での退職後、失業保険を受け取る前に設けられる手当が支給されない期間のことです。

失業保険の申請後は7日間の待期期間があり、その後の2ヶ月間が給付制限期間になります。

この給付制限期間中にアルバイトをして、下記の雇用保険の加入条件を満たすと、就職扱いになり失業手当の受給資格を失います。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上引き続き雇用の見込みがある

上記の加入条件を満たさないような形であれば、アルバイトをしても問題はありません。

また、給付制限期間は現在(2025年3月時点)は2ヶ月ですが、2025年4月からは雇用保険法の改正にともない1ヶ月になります。

参考:令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について│厚生労働省

2028年からは週10時間以上でも雇用保険加入の対象になる

雇用保険法が改正され、雇用保険の対象となる1週間の所定労働時間が2028年からは20時間以上から10時間以上へ短縮されます。

将来的に給付制限期間に影響が出る可能性が高いため、気になる方は覚えておいてもよいでしょう。

参考:雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要│厚生労働省

給付制限期間が適用されない場合もある

例外として、給付制限期間が適用されない場合もあります。

「会社都合退職(特定受給資格者)」に認定されている

自己都合退職の場合、受給開始まで原則2ヶ月の給付制限期間が必要ですが、会社都合退職の場合は給付制限期間が適用されません。

会社都合退職とは、本人の意思ではなく会社側の事情により退職を余儀なくされるケースで、下記のようなパターンが当てはまります。

▼会社都合退職に認定される退職の例

  • 会社が倒産した
  • 人員整理によるリストラを受けた
  • 業績悪化にともない希望退職の募集があり退職をした
  • 給与の未払いが解決されないため退職した

会社都合退職に給付制限期間が適用されない理由は、自己都合退職よりも生活へ与える影響が大きいと判断されるためです。

会社都合退職は7日間の待期期間を過ぎればすぐに失業手当の受給が開始され、失業手当の受給日数も自己都合退職より延びます。

また、会社都合退職の認定を受けると「特定受給資格者」と呼ばれるようになります。

関連記事:「会社都合退職とは?デメリットや自己都合を会社都合にできる条件を解説」

「特定理由離職者」に認定されている

特定理由離職者に認定された場合も、給付制限期間が免除されます。

特定理由離職者とは、会社都合退職に該当しないものの、本人の意思に反してやむを得ず離職した人を指します。

▼ 特定理由離職者に認定される退職の例

  • 持病が悪化し仕事を続けられなくなった
  • 親が亡くなり、父または母を扶養する必要性が出た
  • 配偶者や扶養家族との別居生活を続けることが困難になった
  • 勤務先が移転し現実的に通える距離ではなくなった
  • 「期間の定めのある労働契約」において、契約更新を希望していたが雇い止めされた

現在は撤廃されていますが、近年では新型コロナウイルスの感染にともなう家族の介護などで退職した場合も、特定理由離職者としての認定をされていました。

失業手当の給付日数は、自己都合退職と原則同じ日数になっています。

参考:特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要│ハローワークインターネットサービス
新型コロナウイルス感染症にともなう離職理由の特例が終了します│厚生労働省

給付制限期間中に働く際注意したい4つのポイント

給付制限期間中に働く際、注意すべき4つのポイントを解説します。

① 7日間の待期期間を守る

まずは7日間の待期期間をしっかり守ることです。

7日間の待期期間中に働くと、待期期間が延長されます。

この待期期間は、申請者が失業状態であることを国が判定するための期間であり、アルバイトやパートなどの就労は認められていません。

もし待期期間中に少しでも働いてしまうと、「就職している」とみなされ失業状態ではないという扱いになります。

その場合、待期期間が労働をした翌日から7日間再設定され、失業手当の受給開始日が遅れてしまいます。

待期期間終了後の給付制限期間中であれば、雇用保険の加入条件を満たさないよう注意は必要なもののアルバイトが可能です。

焦らず待期期間を守りましょう。

② 給付制限期間中のアルバイトの申告をしっかりする

給付制限期間中にアルバイトをしたら、忘れずハローワークに申告しましょう。

初回認定日や給付制限終了後の最初の認定日では、失業認定申告書を提出する必要があります。

この書類には、収入の有無に関わらず労働した日を正確に記載しなければなりません。

アルバイトはもちろん、失業給付の制度上はボランティアも労働として扱われるため、収入がなくても記載が必要です。

アルバイトの申告を怠ると受給資格を失う可能性があり、悪質だと判断された場合は不正受給を疑われ罰則が科せられるおそれもあります。

③ 求職活動実績作りを忘れない

給付制限期間中も、求職活動実績作りを忘れないようにしましょう。

求職活動実績は就職を目指して行った活動記録で、この実績がないと失業手当の給付が先送りになってしまいます。

求職活動実績には、下記のような活動が該当します。

  1. 求人への応募
  2. ハローワーク等が行う職業相談や紹介、セミナーの受講
  3. 許可・届出のある民間事業者(民間職業紹介事業者、労働派遣事業者)が行う職業相談や紹介、セミナーの受講
  4. 公的機関(地方自治体、独立行政法人など)が行う職業相談や企業説明会、セミナーへの参加・受講
  5. 再就職に関連する国家試験や検定の受験等

参考:求職活動実績について│厚生労働省(ハローワーク犬山)

求職活動実績の必要回数は自己都合退職か会社都合退職かで異なるため、自分の場合は何回必要かよく確認しましょう。

④ 雇用保険の加入条件を満たさないように働く

冒頭で説明した通り、給付制限期間中に雇用保険へ加入すると失業手当の給付条件から外れてしまいます。

そのため、給付制限期間中は加入条件を満たさないよう注意しながら働かなければいけません。

具体的には「所定労働時間が週20時間未満」かつ「契約期間が31日未満」の条件で働ける仕事を探しましょう。

応募しようとしている求人が加入条件を満たしていないか不安であれば、ハローワークの職員へ相談してみてもよいです。

給付制限期間中のおすすめのアルバイトの探し方

給付制限期間中に雇用保険の加入対象とならないように、アルバイト先を探す方法を解説します。

1日のみの単発バイトを探す

1日のみ働く単発バイトの専門サイト・アプリを使えば、希望に合った短時間勤務の仕事を見つけやすくなります。

現在は数時間単位のスキマ時間で働けるサービスも充実しているため、効果的に活用すれば週19時間など、20時間を超える一歩手前まで働き続けることも可能です。

求人の検索や応募までスマホで完結できるアプリも多く、手軽に仕事を探せます。

クラウドソーシングサイトを利用する

企業や個人がインターネット上で数多くの仕事を募集している、クラウドソーシングサイトの利用もおすすめです。

大手クラウドソーシングサイトであれば、データ入力やアンケートモニター、デザイン、プログラミングなどさまざまな仕事があります。

単発バイトと同じく労働条件の調整が効くメリットが有り、特殊なスキルを活かした仕事は単価も高くなります。

また、基本的には在宅作業になるため、時間の融通が効きやすい点も魅力です。

給付制限期間中に就職しても再就職手当を受給できる

給付制限期間中に再就職した場合、一定の条件を満たせば再就職手当を受け取れます。

また、再就職手当の制度は正社員だけでなく、アルバイト・パート従業員も対象になります。

再就職手当を受け取るには、下記8つの条件すべてを満たさなければいけません。

▼ 再就職手当を受け取るための条件

  1. 失業手当の残日数が1/3以上残っている
  2. 1年以上勤務する見込みがある
  3. 待期期間を満了している
  4. 給付制限期間中であれば、初めの1ヶ月はハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者の紹介で就職している
  5. 離職前の事業主。または離職前の事業主と深い関係性のある事業主からの雇用でない
  6. 再就職日の3年位内に再就職手当または常用就職支度手当の支給を受けていない
  7. 受給資格決定前に決まっていた採用ではない
  8. 原則として雇用保険の被保険者資格の要件を満たした雇用である

参考(Q39):Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~について紹介しています。|厚生労働省

再就職手当は、早く就職し失業手当の支給残日数が多いほど受給額が増えていきます。

しかし、再就職手当の受け取りを急ぐあまり、自分に合わない仕事へ突発的に就職するような事態は避けるようにしましょう。

再就職手当について、より詳しくは関連記事をご覧ください。

関連記事:「再就職手当とは?受給額の計算方法や手続き方法を解説」

給付制限期間中のアルバイトに関するQ&A

最後に給付制限期間中のアルバイトに関するQ&Aをご紹介します。

給付制限期間中に4時間以上アルバイトをしてはいけない?

給付制限期間中に4時間以上のアルバイトをしても問題なく、失業手当の支給には影響がありません。

給付制限期間に影響を与えるのは、雇用保険の加入条件のひとつである「週20時間以上」のアルバイトをした場合です。

ただし、失業手当を受給している期間中に4時間以上働くと「就労」とみなされ、その労働日の失業手当が支給されず先送りになります。

また、4時間未満の労働の場合は「部分就労」として、労働時間に応じて失業手当の支給額が減額されます。

4時間ピッタリで働いた場合も4時間以上に含まれるため注意しましょう。

また、2028年10月からは雇用保険法の改正にともない、1日の労働時間が2時間未満でも失業日と認定されるようになります。

参考(P4):「雇用保険法等の一部を改正する法律」の成立について│厚生労働省

給付制限期間中にアルバイトをしたら失業手当は減額される?

給付制限期間中にアルバイトをしても、失業手当は減額されません。

ただし、週20時間以上働いたり、雇用保険の加入条件を満たしてしまうと失業手当の受給資格を失います。

参考(Q6):よくあるご質問 雇用保険関係|大阪労働局

給付制限期間中にアルバイトをしたら失業手当は先送りになる?

給付制限期間中にアルバイトをしても、失業手当は先送りになりません。

ただし、先ほど説明した通り、失業手当中に1日4時間以上の労働をすると、失業手当の支給開始日が1日分先送りになります。

給付制限期間中は雇用保険の加入条件に注意してアルバイトしよう

給付制限期間中にアルバイトをして雇用保険の加入条件を満たしてしまうと、就職扱いとなり、失業手当を受け取れなくなります。

また、失業手当を受け取るためには、7日間の待期期間を必ず守り、収入の有無に関わらず労働の申告をしなければいけません。

給付制限期間中は単発バイトやクラウドソーシングサイトを上手く使って、週20時間を超えないように労働時間を調整して働きましょう。


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