- 更新日 : 2025年4月23日
法定調書合計表とは?書き方や提出先、提出期限をわかりやすく解説
法定調書合計表は、法定調書の提出にあわせて用意する合計表のことです。
この記事を読めば、「法定調書合計表に何を記載すればよいかわからない」「提出先や提出期限は?」という悩みを解決できます。
本記事で、法定調書合計表の記載項目や提出方法について確認していきましょう。
目次
法定調書合計表とは?
法定調書合計表は、所得税法で提出が求められている資料のことです。法定調書合計表の提出には、2つのケースがあります。
- 法定調書合計表の提出が必要なケース
- 法定調書合計表を出さなくていいケース
それぞれを詳しく見ていきましょう。
法定調書合計表の提出が必要なケース
法定調書合計表の提出要件は、給与の源泉徴収票であれば150万円を超えた役員給与や、弁護士や税理士に250万円を超えて支払われた給与等があります。また、支払調書は外交員に50万円を超えて支払われた報酬や、弁護士等に5万円を超えて支払われた報酬などが提出対象です。
法定調書合計表を出さなくていいケース
源泉徴収票や支払調書は提出する金額に指定があり、金額を超えていないものは提出が不要です。そのため、提出すべき源泉徴収票や支払調書が無い場合は、法定調書合計表も提出が不要となります。
提出期限が近づく前に源泉徴収票や支払調書の提出要件を確認して、自社が対象の経費等を支払っているか調べておきましょう。
法定調書合計表の提出先
法定調書合計表の提出先は、事業所を管轄している税務署となります。自身が運営している事業所をどの税務署が管轄しているかどうかは事前に確認が必要です。
法定調書合計表の提出期限が近づくと、税務署の窓口が混み合います。直接窓口へ提出したい人は、税務署の場所を調べて早めに提出しましょう。
法定調書合計表の提出期限
法定調書合計表の提出期限は、法定調書に記載された支払いが確定した日を含む年の翌年1月31日です。
源泉徴収票を確定する年末調整の期限が1月10日若しくは1月20日となっているため、続く法定調書合計表の提出期限までの期間が1ヶ月もありません。そのため、12月の内に書類の作成方法や様式の確認をしておきましょう。
法定調書合計表の書き方・記載例は?
法定調書合計表に記載する項目は大きく分けて6つの項目があります。
大多数の事業者にとって記載が必要な給与所得の源泉徴収票や報酬の支払調書の他にも、不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書のような提出する機会が限られている書類も解説していきます。
自社では提出や記載の必要がない項目でも、今後提出する機会が出てくるかもしれないため、一度目を通しておきましょう。
給与所得の源泉徴収票
給与所得の源泉徴収票の項目では、俸給・給与・賞与等の総額と源泉徴収票を提出する人の人数を記載します。
人員の欄には、1年間に支払いを受けた従業員の人数を、途中で退職した人も含めて記入が必要です。中途入社した人がいる場合は、前職の給与等を含めずに自社が支払った給与や源泉徴収税額のみが計算対象となります。
年末調整の時は前職分の給与を含めて税金が計算されますが、法定調書合計表では前職分の給与を含めて合計値を出す箇所と、含めずに合計値を出す箇所が存在します。間違えて計算されていないかの確認が必要です。
源泉徴収票の提出範囲は、年末調整の有無で支払金額の基準が変動します。法定調書の記載項目の中で最も多くの人が提出する書類のため、必ず書き方を確認しておきましょう。
退職所得の源泉徴収票
退職所得の源泉徴収票の項目では、退職手当等の総額と源泉徴収票を提出する人の人数を集計して記載します。
給与所得の記載項目と同様に、支給額と源泉徴収税額の合計額を記入しますが、退職金を受け取った役員がいる場合は源泉徴収票の提出が必要です。
退職所得の源泉徴収票は個人番号の記載が必要ですが、退職者の交付用には個人番号を記載しないことになっています。そのため、退職者に交付したものと別に個人番号を記載した源泉徴収票を用意しておくべきです。
退職者がいる場合のみ記載や提出が必要な項目ですが、退職者が出てから慌てて調べるよりも事前に書き方を覚えると安心でしょう。
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書の項目では、対象者の報酬や契約金等を支払った人数と支払金額、源泉徴収税額を記載します。支払金額や源泉徴収税額は、記載する区分ごとに集計して合計額の記載が必要です。
支払報酬等は、支払先が法人の場合は源泉徴収の対象となりません。しかし、支払調書の提出範囲に該当する時は、合計数の記載が必要となります。源泉徴収の対象と支払調書の提出基準が異なるため注意が必要です。
給与所得の源泉徴収票に次いで提出することが多く、税理士や社会保険労務士の報酬を記載することが多いでしょう。
不動産の使用料等の支払調書
不動産の使用料等の支払調書の項目は、オフィスや社宅などの賃料や更新料を記載する欄です。使用料等の総額欄には、支払調書を提出しない取引先も含めて、件数と支払金額の合計を記入する必要があります。
支払調書の提出範囲は、年間の使用料が15万円を超える人です。法人に家賃や賃料を支払っている場合は、支払調書の提出の対象とはなりません。
法人に使用料等を支払っている場合は問題ないですが、個人に使用料等を支払っている場合は必要な情報を得るまで時間がかかる可能性が高いです。個人番号などの直接聞く必要がある情報は、契約時に確認しておきましょう。
不動産等の譲受けの対価の支払調書
不動産等の譲受けの対価の支払調書の項目では、譲り受けた土地や建物などの不動産に対して支払いを受けた対価について記載します。
不動産等の移転に伴い、各種の損失の補償金を支払った場合は補償金を支払金額に含めて記載が必要です。補償金は、摘要欄に「内●●補償金〇〇円」と記入します。
支払調書の提出範囲は、年間100万円を超えた支払いが対象となります。不動産が共有名義の場合は、共有者ごとに支払調書を作成する必要があるため、事前に共有名義の不動産かどうかを確認しておきましょう。
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
不動産の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書の項目では、不動産などの売買やあっせんの際に支払う手数料を記載します。
1月1日から12月31日までに発生したあっせん手数料の件数と支払金額の総額の記入が必要です。
頻繁に売買や貸付けをしていない人が定期的に提出する書類ではないため、該当の取引が発生した時は記載方法を確認しておきましょう。
支払調書の提出範囲は、年間15万円を超えた手数料等の支払いが対象です。
法定調書合計表は国税庁のサイトからダウンロードできる
法定調書合計表は、国税庁のサイトから様式をダウンロードできます。国税庁のサイトでは、法定調書合計表の他にも、給与所得の源泉徴収票や不動産の使用料等の支払調書など全ての様式がURLからダウンロード可能です。
参考:国税庁 F 法定調書関係
法定調書合計表の提出方法は?
法定調書合計表の提出は、以下の3つです。
- 税務署に直接提出する方法
- クラウドで提出する方法
- e-Taxで提出する方法
税務署に直接提出する時間が無い人は、その他の提出方法も確認しておきましょう。
税務署に直接提出する方法
税務署に直接提出する場合は、書面もしくは光ディスクを郵送や窓口で提出します。
光ディスクで提出する際は、法定調書をCSVデータで作成しCD・DVDなどにデータを格納して提出する流れです。事前に所轄税務署へ「支払調書等の光ディスク等による提出承認申請書」の承認を受ける必要があります。
クラウドで提出する方法
クラウドで提出する場合は、認定クラウド等の提出領域に法定調書のデータを記録し、税務署長にアクセス権限を付与して提出します。
事前に認定クラウド等の利用契約をして、所轄税務署へ利用開始を届け出る手続きが必要となります。
e-Taxで提出する方法
e-Taxで提出する場合は、e-Tax上で1件ごとに入力するかCSVデータを読み込んで法定調書の作成と提出を行います。事前に所轄税務署へ開始届出書を提出して、利用者識別番号を取得する等の手続きが必要です。
法定調書合計表を出さないとどうなる?
法定調書合計表は、必ず提出しなければならない書類です。提出期限の1月31日までに提出できなかったとしても、すぐに罰せられることはありません。しかし未提出の場合は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科せられる可能性があります。
法定調書合計表は毎年提出が必要な書類のため、期限内に提出できるように提出方法や書き方を調べておきましょう。
法定調書に記載する6項目を覚えよう
法定調書合計表に記載する項目は、以下の6つです。
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
- 不動産の譲受けの対価の支払調書
- 不動産等の売買又は貸付のあっせん手数料の支払調書
法定調書合計表の記載項目は、毎年提出が必要な項目からまれに提出する項目まであるため、提出期限が近づく前に提出方法や記載方法を確認しておくことが重要です。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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