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  • 更新日 : 2021年7月15日

先入先出法での棚卸資産の評価・商品有高帳の記入例 移動平均法との違いも解説

決算においてその事業年度の売上原価を求めるには、今までに仕入れた商品や製品が期末にどれだけ残っているかを調査しなければなりません。
多くは、商品や製品が実際にある倉庫などで物理的に確認する必要があります。
よく簿記の教科書に「先入先出法」などとあるのを見かけますが、実際はどのように評価するのでしょうか?
この記事では期末の在庫商品について、わかりやすく解説します。

先入先出法とは?

先入先出法とは、決算における棚卸資産の評価方法の一つであり、先に仕入れた商品から先に販売したと仮定して、期末在庫の評価(計算)する方法をいいます。
先入先出法は、英語では「First In First Out」といい、「先に入ったものが先に出る」と表現されているためわかりやすいですね。頭文字を取って「FIFO:ファースト・イン・ファースト・アウト」として卸売店や販売店、特に食品を扱う事業の在庫管理の方法として広く利用される評価方法です。

そもそも棚卸資産とは商品や製品、半製品、原材料、仕掛品、貯蔵品等の資産をいい、将来販売を予定しているもののだけでなく、販売用ではない消耗品で貯蔵中のものも含みます。
なお棚卸(たなおろし)とは、倉庫に残っている商品などを棚からおろして、残っていることを確認する作業です。

先入先出法

商品を仕入れる場合、同一品種のものであっても、仕入先や仕入時期、仕入量などによって、1単位あたりの価額が異なってきます。
例えば4月に単価80円、5月に単価110円で仕入れた同じ商品を6月に売り上げた際、先入先出法では先に仕入れた4月の商品(単価80円)から払い出したものと仮定して在庫の管理をします。もちろん4月より前に仕入れた商品があれば、そこから払い出したものとします。
先入先出法では期末の在庫分を最も新しく取得されたものからなるとみなして計算するものであり、現実の販売による商品の払い出しがそのとおりにされるものではありません。

先入先出し法と同じく、棚卸資産を取得した時の原価で期末棚卸高を評価する方法として、移動平均法があります。
商品の仕入れ単価は変動しているため、在庫の商品の仕入れ価格はそれぞれ異なっているのが実情です。そこで、移動平均法では、仕入れごとにその時点の在庫と仕入れから棚卸資産の平均単価をその都度、計算して評価します。
したがって、移動平均法では在庫商品の平均価額に基づいて、出庫していくなどの会計管理をする必要があります。
移動平均法についての詳細は、「移動平均法による評価方法をわかりやすく解説」を参照ください。

先入先出法で棚卸資産を評価する際の計算方法

先入先出法は、仕入れ時期が早い商品から先に出庫して販売すると仮定して、棚卸資産の取得原価を出庫原価と期末原価に配分する計算方法です。
事業年度末の在庫分は新しく取得した棚卸資産の単価で計算されていくことになります。

先入先出法で棚卸資産を評価する際の計算方法

上の例では、期首の棚卸高がなかったとして、仕入総額16,400円(160個)を次のとおりに配分したことになります。

  • 売上原価  140個 14,800円(@90円×40個+@120円×80個+@80円×20個)
  • 期末棚卸高  20個  1,600円(@120円×20個+@80円×40個)

この例では期末近くになって単価が下落したため、期末棚卸高が低くなる半面、売上原価が高くなってしまい、利益が抑えられる結果となっています。

移動平均法との違い

移動平均法は、在庫に変化があるたびに平均単価を算出して売上原価とし、棚卸資産の評価額として取り扱うための計算法です。同様の例を移動平均法で見てみましょう。
3/5に仕入れた時に平均単価を求め、さらに3/20においても平均単価を求めます。

移動平均法との違い

したがって、この移動平均法の例では、仕入総額16,400円(160個)を次のとおりに配分したことになります。

  • 売上原価  140個 14,600円(@110円×100個+@90円×40個)
  • 期末棚卸高  20個  1,800円(@90円×20個)

このように、期末棚卸の評価方法が異なると売上原価と期末棚卸高の配分が異なってきます。

期末棚卸の評価方法は決算において注記することになっており、評価方法は簡単に変更できるものではありません。税法上も、棚卸資産の評価方法の変更には申請が必要です。

先入先出法の場合の商品有高帳への記帳例

ここで、商品有高帳の記入方法について簡単に解説しておきましょう。
実際には、多種多様な商品について商品有高帳を手書きで管理するのは煩雑となるため、販売管理ソフトなどを使うことも多いです。しかし基本的な商品有高帳の記入方法を見ておけばシステム入力にも役立つと思います。

先入先出法の場合の商品有高帳への記帳例

先入先出法では、単価の異なる商品を仕入れた場合には、それぞれ区別して記入します。
さらに、払出しの場合においても先に仕入れた順に払いだすため、区別して記入します。
計算方法で説明したものが上記の商品有高帳ですが、単価の動きなどもわかりやすくなると思います。
なお、返品があった場合などにはどれを返品するのかが明らかな場合には、返品対象となる商品単価で計算し、摘要欄にはその旨を記入します。

先入先出法のメリット・デメリット

先入先出法は取り扱い商品によっては、非常に理にかなった計算方法と考えられますが、そのメリット、デメリットを見ていきましょう。

先入先出法のメリット

先入先出法には、原価配分の予測と実際の商品の流れが一致しやすいというメリットがあります。
期末の在庫として残された棚卸資産には、一般的には新しく取得されたものが多いと考えられるため、棚卸資産の評価方法としての先入先出法は、現実の商品の受払いの流れとほぼ一致していると考えられます。
このように現物の流れと、それに付されている単価の流れが非常に似た動きをしているため、期末棚卸高が時価に近い値で表示されていることとなります。したがって、単価の変動しやすい商品や変動の激しい時期においても、期末棚卸資産は貸借対照表への表示に信頼性があるといえます。

先入先出法のデメリット

先入先出法では、取り扱う商品の種類や頻度、返品の運用方法などによっては記帳が煩雑となります。仕入の都度、単価が変動するような商品などでは管理が大変だといえます。

また、例でも見てきたように先入先出法は先に仕入れた商品から順に払い出すため、在庫分には常に最新の単価が付され、期末に大量に仕入れた商品単価が大きく上昇又は下落していても、売上と原価を即座に対応させることはできません。

先入先出法は簿記の必須項目!

先入先出法は商品や製品だけでなく、製造業などにおける原価計算の中でも広く利用される方法です。
また、仕入や払出しの都度、商品有高帳への正しい記入によって維持されるものでもあります。
先入先出法は、移動平均法とともに簿記の必須項目といえますので理解しておきましょう。

よくある質問

先入先出法とは?

先に仕入れた商品から先に販売したと仮定して、期末在庫の評価(計算)する方法です。詳しくはこちらをご覧ください。

移動平均法との違いは?

移動平均法では、在庫に変化があるたびに平均単価を算出して売上原価とし、棚卸資産の評価額として取り扱います。詳しくはこちらをご覧ください。

先入先出法のメリットは?

原価配分の予測と実際の商品の流れが一致しやすいというメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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