• 更新日 : 2022年4月22日

2022年版 – 損益計算書と貸借対照表の違いと見方

2022年版 – 損益計算書と貸借対照表の違いと見方

損益計算書貸借対照表は、決算において作成を求められる重要な財務諸表です。そのためには、2つの帳票の関係を正しく理解し、作成することが重要です。また、財務諸表をはじめとする書類の保存については、電子帳簿保存法にも注意が必要です。

この記事では損益計算書や貸借対照表の見方・作り方について解説しています。なお、この記事は法人向けに記載していますが、個人事業主についても触れています。

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損益計算書と貸借対照表とは?どんな違いがある?

会社の一会計期間経営成績を表す損益計算書とその会社の財政状況を表す貸借対照表。この2つは同じ会計帳簿から生み出され、どちらも企業活動の状況を端的に表した帳票です。それぞれについて見ていきましょう。

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損益計算書の内容

損益計算書の内容

損益計算書は、会社の一定期間の経営成績を表します。大まかに言うと、上の図のような構造をしていて、基本的に次のようにして利益を求めます。

利益 = 収益 ー 原価・費用

 

【収益】

収益とは、会社の収入を指します。売上高や会社の預金についた利息も収入ですがそれ以外にも、古い機械が売れるなど突発的な収入も含みます。これら会社の本業だけでなく本業以外の細かな収入も全部合わせて「収益」と言います。

売上高とは、損益計算書のトップにその会社の主たる商品やサービスの提供によって得られた売上の合計額として示され、営業収益とも言われます。

基本的な収益科目としては次のものがあります。

売上高
本業の営業活動によって得られる収益
営業外収益
本業以外の活動によって得られる収益
特別利益
本業に直接関係のない、臨時的に発生した金額的にも大きな利益

【費用など】

原価と費用は、少し意味が異なります。原価とは収益と対応関係にあるものを言い、売上高に対応する原価を「売上原価」と呼びます。売上原価を考える上で最も大切なことは、「収益との対応関係」です。

製造業では原価計算を行ったり、商品販売業などでは期末棚卸を実施したりして、正しい売上原価を求めます。

これに対し、費用は売上とは個別の対応関係はなく、期間的に対応します。例えば、商品販売業で従業員の給与は個々の商品には対応しませんが、期間を通じて発生しているので費用となります。

主たる費用としては、「販売費及び一般管理費」に集約される項目が挙げられます。

販売費及び一般管理費とは、商品や製品を販売するために必要な費用(販売費)と会社の業務全般を管理するために必要な費用(一般管理費)の合計額のことです。

基本的な原価(費用、損失)科目としては次のものがあります。

売上原価
売上高と対応関係にあるコスト
販売費及び一般管理費
本業にかかる販売費と業務全般を管理するための管理費
営業外費用
本業以外の活動により経常的に発生する費用
特別損失
本業では通常発生しない、臨時的に発生した金額的にも大きい損失

【利益】

収益や費用にいくつか種類があるように、利益も基本的に5種類に分けられます。

売上総利益
売上高から売上原価を差し引いたもの
営業利益
売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いたもの
経常利益
営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いたもの
税引前当期純利益
経常利益に特別損益を加え、特別損失を差し引いたもの
当期純利益
税引前当期純利益から税金関連項目を差し引いたもの

【収益、費用、利益の構造】

上記の収益、費用、利益などを順に並べると下の図のようになります。

損益計算書の内容

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貸借対照表の内容

貸借対照表の内容
貸借対照表は、会社が決算時において、どのくらいの財産を保有しているのかを示す帳票です。期末日現在の財政状態を、上の図のように「資産」「負債」「純資産」の3つに分けて表示します。貸借対照表では、基本的に次のような構造になっています。

資産 = 負債 + 純資産

【資産】

資産とは、会社の保有する財産のことで、換金性のあるものばかりではなく、将来的に会社に収益をもたらす可能性のあるものも含まれます。

また、資産を表示する際には、正常営業循環基準や1年基準などに基づき、流動資産と固定資産に区分します。そのほかに、繰延資産として開業費などが計上されることがあります。

主な資産科目としては次のものがあります。勘定科目は多いため一部の紹介となります。この表では棚卸資産までが流動資産です。

現金・預金
会社の現金や預金
※有高帳や預金通帳と一致します
売掛金
本業において掛取引で、まだ入金されていない売上代金
この他受取手形、未収入金、短期貸付金などがあり、「債権」と呼ばれます
棚卸資産
期末において会社に在庫として残った製品や商品など
有形固定資産
不動産、建物、機械、備品など
無形固定資産
法律上の権利、ソフトウェアなど
投資等
投資目的で保有する有価証券など

【負債】

負債とは、将来の支出となるもので、これも1年基準などに基づき、流動負債固定負債に区分します。長期借入金以下が固定負債です。

買掛金
本業において仕入における掛取引をした場合の仕入費用
未払金
上記以外の仕入に直接紐づかない経費などの未払額
他に未払費用、未払税金などがあり、「債務」と呼ばれます
短期借入金
期末から1年以内に返済すべき借入金
長期借入金
返済予定が期末から1年超の借入金
その他の固定負債
退職給付引当金資産除去債務、リース債務などで1年超のものなど

【純資産】

純資産とは、資産と負債の差額です。純資産は主として、株主からの出資(資本金)と会社が営業活動などによって過去から獲得した利益の保留分からなります。

主な純資産科目としては次のものがあります。勘定科目が多いので一部の紹介となります。

資本金
株主が会社に出資したお金で資本金に組み入れたもの
資本剰余金
新たに株式を発行した時など資本取引によって発生する余剰金
利益剰余金
営業活動によって得た利益で社内に留保している額

【資産、負債、純資産の構造】

上記の資産、負債、純資産などを配置すると下の図のようになります。
【資産、負債、純資産の構造】

損益計算書と貸借対照表の関係

損益計算書と貸借対照表は密接に関係しています。通常は次のことが言えます。

    • 損益計算書の収益が増えると、貸借対照表の資産は増えます。又は損益計算書の収益が増えると、貸借対照表の負債が減ります。
借方
貸方
摘要
売掛金
10,000円
売上
10,000円
収益(売上高)が増え、貸借対照表科目である資産が増える
貸倒引当金
5,000円
戻入益
5,000円
収益(特別利益)が増え、貸借対照表科目である負債が減る
  • 損益計算書の費用が増えれば貸借対照表の資産は減ります。又は損益計算書の費用が増えれば貸借対照表の負債が増えます。

借方
貸方
摘要
減価償却費
10,000円
建物
10,000円
費用が増え、貸借対照表科目である資産が減る
仕入
5,000円
買掛金
5,000円
費用が増え、貸借対照表科目である負債が増える

また、損益計算書と貸借対照表の関係は、「当期純利益」を通じて密接に関連します。損益計算書と貸借対照表の関連は下図のとおりです。
損益計算書と貸借対照表の関連
前期末の純資産が150万円、当期純利益が200万円であった場合、当期末の純資産は350万円になります。このように、純資産は過去の純利益の積み上げとなります。

ただし例外的に、当期純利益を通さずに純資産が増減するパターンがあります。
例えば、その他有価証券の時価が増加した場合、その評価益は「その他有価証券評価差額金」として、純資産の部に直接計上されます。

純資産へ直接計上されることで、損益計算書を通さないという点に留意が必要です。

損益計算書と貸借対照表の数字の見方

損益計算書と貸借対照表の数字を見るとき、注意すべきポイントは「フローとストック」の区別です。フローとは一定期間の増減額であり、ストックはある時点の残高(量)を表しています。

すなわち、損益計算書で表す数字は「フロー情報」であり、貸借対照表で表す数字は「ストック情報」を表しているのです。一定期間内に、「フローの分だけ、ストックが増加した」ことを損益計算書と貸借対照表がセットになって伝えています。

したがって、フローと比較すべきはフローであり、ストックと比較すべきはストックです。

損益計算書のフロー情報を分析するためには、

  • 過去の損益計算書と比較する
  • 月ごとの損益計算書の推移表で比較する

などの方法をとります。貸借対照表も同様です。

損益計算書と貸借対照表の作り方

正しい損益計算書や貸借対照表をなるべく早く作成するには、会計ソフトを利用しましょう。手書きやExcelなどでも、損益計算書や貸借対照表を作成できますが、完成までの人件費などを考えると会計ソフトを利用することをおすすめします。

例えば、マネーフォワード クラウド会計-無料で試せる経理・会計ソフトのような会計ソフトを利用して、業務の効率化を図りましょう。

会計ソフトを利用して転記などにかかる時間を節約できたときに、根拠資料の整備や個々の仕訳をチェックしてより精度の高い会計帳簿をめざしましょう。

電子帳簿保存法の改正に注意

電子帳簿保存とは、法人税や所得税に係る帳簿書類を電子データで保存することです。保存義務のある帳簿書類について、サーバーやハードディスクなどに残された電子データをそのままで保存するので、会社の事務負担やコストの軽減につながります。

令和4年1月から施行された電子帳簿保存法は、電子帳簿保存制度の手続が簡素化され、事前承認制度が廃止されたり、紙の領収書などをスキャナ画像で保存するスキャナ保存要件が緩和されたりと、大きな改正がなされました。

増え続ける帳簿や書類を電子化することは、会社にとってもコスト削減につながり、リモートワークなどに対応できるため、メリットもあると思います。

なお、今後会計ソフトを導入しようと予定されている場合には、マネーフォワード クラウドのように電子帳簿保存に対応したソフトの中から選択しましょう。

個人事業主に損益計算書と貸借対照表は必要?

今までは、法人を対象とした損益計算書、貸借対照表の説明を続けてきましたが、ここでは個人事業主向けに解説します。

結論から言いますと、損益計算書はすべての個人事業主に必要な帳票です。しかしながら、現状では貸借対照表は必ずしも必要とはされていません。

所得税にも法人税同様、青色申告白色申告があります。青色申告による帳簿形式にも次の3種類あります。

簡易帳簿においては、いずれも損益計算書のみの提出で問題ありませんが、複式簿記を採用し、最高65万円の控除を得る場合には貸借対照表の作成が必要です。

簿記の種類
簡易帳簿
複式簿記
現金主義*
単式簿記
青色申告
特別控除額
10万円
10万円
最高65万円
記帳方法
現金主義
発生主義
発生主義
申告期限超えたら
控除適用あり
控除適用あり
控除額が10万円に減額される
確定申告書に
添付する帳票
収支計算書
(損益計算書)
損益計算書
損益計算書
貸借対照表

*現金主義を採用できるのは、前々年の所得が300万円以下で、現金主義によることの事前届出が必要です。

参考:[手続名]現金主義による所得計算の特例を受けるための手続|国税庁

マネーフォワード クラウド確定申告は、個人事業主の確定申告をサポートします。詳しくは、確定申告ソフト|個人事業主向け会計ソフトマネーフォワード クラウドをご覧ください。

損益計算書と貸借対照表の違いを認識して正しい決算を!

会社の事業活動の結果を損益計算書と貸借対照表によって、よく理解するためには十分な分析が必要です。

それぞれの帳票の意味するところを理解した上で、例えば売上高だけでも何年か分の推移を見てみましょう。または、純資産の部の利益剰余金の動きだけでも数年分を追ってみましょう。

損益計算書や貸借対照表を申告のためだけに作成するのはもったいない話です。それらの変化が何を物語っているのかを理解し、次の予算に活かしていきましょう。

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金融口座の取引明細データが自動で取り込まれ、各取引の勘定科目も自動で仕訳される。以前はインストール型ソフトを利用していたので、それがクラウドに変わるとこれほど自動化されるものなのかと本当に驚きました。

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よくある質問

損益計算書と貸借対照表の違いは?

損益計算書で表す数字は「フロー情報」であり、貸借対照表で表す数字は「ストック情報」です。フローとは一定期間の増減額であり、ストックはある時点の残高(量)です。詳しくはこちらをご覧ください。

損益計算書と貸借対照表の関係は?

損益計算書の収益が増えると貸借対照表の資産は増え、反対に、損益計算書の費用が増えれば貸借対照表の資産は減るという動きをします。貸借対照表の純資産は過去の(損益計算書で計算した)利益の積み上げです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岡 和恵 (税理士 / CFP)

大学卒業後、2年間の教職を経て専業主婦に。システム会社に転職。 システム開発部門と経理部門を経験する中で税理士資格とフィナンシャルプランナー資格を取得。 2019年より税理士事務所を開業し、税務や相続に関するライティング業務も開始。

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