• 更新日 : 2021年3月17日

貸借対照表と損益計算書の関係まとめ

貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)は 、期末決算において作成を求められる決算書です。B/Sはストック情報、P/Lはフロー情報を示します。両者は完全に独立したものではなく一定の関連性があり、双方を正しく作成することで財務分析の精度も向上します。
本記事では、B/SとP/Lについてそれぞれの関係性と、両者を正しく理解し作成することの必要性を解説します。

貸借対照表(B/S)とは

B/Sは、今どのくらいの財産を保有しているのかを示す決算書であり、会社の安全性を示します。 B/Sでは、期末日現在のストック情報(財政状態)を、資産・負債・純資産に分けて表形式で表現します。簡単に解説します。

資産

会社が保有している財産全体を指し、例えば現預金、不動産などが相当します。

負債

会社が返済すべき義務全体を指し、例えば借入金などが相当します。

純資産

資産から負債を引いた残額を指し、会社が保有する正味の財産を意味します。

B/S上で扱う勘定科目の具体例として、現預金・建物・借入金で説明しましょう。現預金と建物は、現在保持している「資産」に相当します。一方、借入金は「負債」です。現預金を500万円、建物を1,000万円、借入金を700万円と仮定しましょう。すると、資産・負債・純資産は以下のようになります。

  • 資産:1,500万円(500万円+1,000万円)
  • 負債:700万円
  • 純資産:800万円(差額)

以上より、当期末時点で800万円の正味財産を保有していることがわかります。

損益計算書(P/L)とは

P/Lは、1年間の経営成績を示す決算書であり、収益性・成長性を示します。P/Lでは、収益・費用を表示し、差額を当期純損益として1つの表にまとめます。当年度で稼いだお金が収益になり、費やしたお金が費用になります。代表的な項目について簡単に解説します。

営業収益(売上高)

売上高とは、P/Lのトップにその会社の主たる商品やサービスの提供によって得られた売上の合計額として示される項目です。「売上」は取引の発生の都度、仕訳で使われますが、「売上高」は一定の期間における売上を合計した勘定科目として使われます。

また、「収益」も一定の期間において、資本金取引以外の営業活動によって生じた資産増加を表します。そして、収益のうち営業収益とは会社が継続して営む本業から得られる収益を指し、受取利息や配当金などのように本業以外から得られる営業外収益と区別します。

売上原価

売上原価とは、P/Lにおいて売上高の次に示される、いわゆる「コスト」の主たる項目です。

売上原価を考える上で最も大切なことは、「収益との対応関係」です。
売上高に対応する正しい売上原価を計算するために、製造業では原価計算を行ったり、商品売買においては商品等の販売では期末棚卸を実施したりして、正しい売上原価を求めます。

売上高から売上原価を差し引いたものが売上総利益(粗利ともいいます)といい、会社の基本的な利益となります。

販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費とは、商品や製品を販売するために必要な費用(販売費)と会社の業務全般を管理するために必要な費用(一般管理費)の合計額のことをいい、P/Lにおいて売上総利益の次に示される項目です。販管費などと省略されることがあります。

具体的には、販売費は、販売手数料、広告宣伝費など、一般管理費には、管理、間接部門の労務費減価償却費交際費旅費交通費租税公課などがあります。
一般に、「原価」は売上高に個別的に対応するのに対し、販管費などの「費用」は期間的に対応するものが基本となります。

売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引いて営業利益を求めます。

営業外収益・営業外費用

営業外収益とは、前述のとおり本業以外から得られる収益ですが、大きく2つに分かれます。

  • 会社の財務活動より生じる受取利息、受取配当金有価証券利息仕入割引などの金融収益など。投資不動産などからの経常的な投資収益も含まれます。
  • 特別利益として表示するほどの重要性のない項目など
  • また、営業外費用とは、会社の主たる営業活動以外の活動により「経常的に」発生する費用です。営業外費用には、支払利息社債利息有価証券売却損売上割引、為替差損などがあります。

    営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いて経常利益を求めます。

    特別利益・特別損失

    特別利益とは、会社の本業とは直接関わりのない、その期だけの特別な要因により発生した利益です。特別利益は、臨時性と金額の重要性からその計上を個別に検討する必要があります。

    特別利益には、固定資産売却益、投資有価証券などの売却益、貸倒引当金による戻入益などがあります。

    同様に、特別損失は会社の本業では通常発生しない、その期だけの臨時的、偶発的に生じた損失のことです。損失は費用とは異なり、売上を得るために貢献した支出ではありません。

    特別利益と同様、特別損失もその計上を個別に検討する必要があります。
    特別損失には、固定資産売却損、固定資産除去損、減損損失、投資有価証券などの売却損、災害や盗難などによる損失などがあります。
    経常利益に特別損益を加え、特別損失を差し引いて、税引前当期純利益(又は損失)を求めます

    P/L上で扱う勘定科目の具体例として、売上・売上原価・地代家賃で説明しましょう。売上は、稼いだお金なので「収益」に相当します。一方、売上原価・地代家賃は、費やしたお金なので「費用」となります。売上を500万円、売上原価を150万円、地代家賃を120万円と仮定しましょう。すると、収益・費用は以下のようになります。

    • 収益:500万円
    • 費用:270万円(150万円+120万円)
    • 純利益:230万円(500万円-270万円)

    このように、1年間の収益から費用を差し引くことで、当年度の純利益が明示されます。

    貸借対照表と損益計算書の関係

    B/SとP/Lは密接に関係しています。通常、P/Lの収益が増えるとB/Sの資産は増え、P/Lの費用が増えればB/Sの資産は減ります。1つの取引でB/S項目・P/L項目が同時に動く場合があることを知っておきましょう。

    例えば、今月の売上高として銀行口座に30万円振り込まれると、P/Lの収益はプラス30万円、B/Sの資産もプラス30万円です。今月の売上高を得るために、売上原価が10万円掛かっていて現金で支払っている場合、P/Lの費用はプラス10万円、B/Sの資産はマイナス10万円になります。

    また、B/SとP/Lは「当期純利益」を通じて密接に関連します。B/SとP/Lの関連は、下図のとおりです。

    BSとPLの関連

    前期末の純資産が150万円、当期純利益が200万円であった場合、当期末の純資産は350万円になります。このように、純資産は過去の純利益の積み上げとなります。

    ただし例外的に、当期純利益を通さずに純資産が増減するパターンがあります。例えば、その他有価証券の時価が増加した場合に、評価益は「その他有価証券評価差額金」として、純資産の部に直接計上されます。純資産へ直接計上されることで、損益計算書を通さない事象がある、という点に留意が必要です。

    タイミングによって価格の異なるその他有価証券を当期末時点で時価評価したときに、取得価額との差額が生じます。その場合は、B/Sの「その他有価証券評価差額金」の金額が、直接B/Sの繰越利益剰余金に合算されます。その他有価証券評価差額金と同様の項目は、他にも繰延ヘッジ損益(デリバティブ取引から生じる評価差額)や土地再評価差額金(土地の再評価差額)があります。

    また、B/Sはストック、P/Lはフローであるという関係性から、財務分析の際に留意が必要です。例えば「ROA」という分析指標は、企業全体の投資効率を示します。

    ROA=当期純利益/(前期末における総資産残高 + 当期末における総資産残高)× 2 × 100

    この際、分子はフロー、分母はストックから構成されるため、両者の性質が整合しません。そこで両者の性質を整合させるため、分母のストックは前期と当期の平均値として計算することが一般的です。

    財務分析の際は、B/SとP/Lの性質の違いに留意しましょう。

    貸借対照表と損益計算書は正確に作ろう

    正確なB/SとP/Lを作るようにしましょう

    B/SとP/Lは、組織の財務状況を示す重要な決算書です。B/Sは決算日現在の財政状態を表すストック情報、P/Lは1年間の経営成績を表すフロー情報を示します。2つの決算書は密接に関連しており、両者を正しく作成することで、財務分析の精度も向上します。日々の経理処理を正しく行い、正確なB/SとP/Lを作るようにしましょう。

    ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

    経理初心者も使いやすい会計ソフトなら

    【監修】マネーフォワード クラウド会計

    会計・経理業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード クラウド会計が提供します。
    取引入力と仕訳の作業時間を削減、中小企業・法人の帳簿作成や決算書を自動化できる会計ソフトならマネーフォワード クラウド会計。経営者から経理担当者まで、会計業務にかかわる全ての人の強い味方です。

    関連記事