• 更新日 : 2025年2月20日

経理の無駄な作業を削減する3つの方法!課題や進め方を解説

経理の無駄な作業を削減する方法として、エクセルやクラウド会計ソフトの導入、アウトソーシングの活用が効果的です。作業時間の短縮や手入力によるミスを削減し、業務効率化が期待できます。ツールや外部リソースを上手に活用することで、日々の負担を軽減し、業務の正確性も向上させましょう。本記事では、よくある経理の無駄な作業や、無駄な作業を効率化する具体的な方法などを解説します。

よくある経理の無駄な作業

経理の仕事には、時間やリソースを無駄にし、業務効率を低下させる作業が存在します。本章では、よくある無駄な作業と問題点について解説します。

少額現金・小口現金の管理

小口現金とは、切手代や消耗品代、交通費など、日々の細かい経費精算に備えて用意しておく現金のことです。従業員から個別で不定期的に経費精算を依頼されるケースでは、経理担当者の負担が大きくなります。

少額現金・小口現金の管理には以下のような問題点が挙げられます。

  • 日々の管理負担:経費精算のたびに出納帳への記載、現金残高の確認、領収書のチェックを行う必要があり、経理担当者にとって負担が大きい。とくに、他の業務と並行して行う場合、効率が低下する可能性がある。
  • 盗難や不正のリスク:現金管理には常に盗難や不正のリスクが伴い、定期的なチェックや精査が必要になり、時間コストを増やす要因となる。

手作業による請求書などの帳票入力

請求書や伝票などの帳票を手作業で入力する作業は、多くの時間を割かれる日常業務です。

手作業による帳票の入力作業には、以下のような問題点が挙げられます。

  • 確認作業の負担:入力後にミスがないかを確認する必要があり、多くの時間が割かれる
  • 入力ミスのリスク:金額や日付の誤入力など、手作業による単純なミスが起こり、修正するための時間がかかる

とくに、企業に経理担当者が1人だけである「1人経理」の場合、ダブルチェックを正確に行うのが困難です。手入力による入力ミスに気が付かず、最終的な決算処理や税務申告に大きな影響を及ぼす可能性も考えられます。

転記などの二重作業

経理業務では、同じデータを複数のシステムや帳簿に転記する「二重作業」が頻繁に発生します。たとえば、請求書のデータを会計システムに入力した後、別の管理システムにも同じデータを入力するようなケースです。

転記などの二重作業には、以下のような問題点が挙げられます。

  • 時間の浪費:同じデータを複数回手入力することで、無駄な時間が発生する
  • ミスのリスク:入力作業を複数回行うことで、データの不一致や入力ミスのリスクが高まり、修正に多くの時間を要する

紙ベースによる押印、承認作業

紙ベースで書類を管理している企業では、請求書や経費精算書などの承認に押印が必要なケースがあります。

紙での承認作業には以下のような問題点が挙げられます。

  • 書類の受け渡しと保管:従業員間で書類を受け渡す手間や時間がかかる上に、保管スペースが必要になる
  • 押印待ち:承認者が不在の場合、押印ができず、業務が滞ることがある

郵送による書類のやり取り

書類の郵送は、時間やコストが大幅にかかる業務です。

郵送作業には以下のような工程があります。

  • 書類の印刷と押印
  • 送付状の作成
  • あて名書き
  • 郵送手続き

郵便局への移動時間や郵便局での手続きも、経理担当者の時間を浪費する大きな問題として挙げられるでしょう。加えて、郵送費用や封筒、用紙など、物理的なコストも発生します。

書類の整理や保管

紙の書類を物理的に整理し保管する作業は、経理担当者の時間を消費する業務です。

書類の整理や保管をする作業には、以下のような問題点が挙げられます。

  • 書類探しに時間がかかる:大量の書類の中から必要な書類を見つける時間がかかる
  • 書類の整理:帳票ごとや取引先ごとなど、帳票類を整理したり、ファイリングしたりする作業に時間がかかり、メイン業務の妨げになる可能性がある

財務データの集計やレポートの作成

財務データを分析・集計し、損益計算書貸借対照表などの財務レポートを作成する作業は、企業の経営状態を把握する重要な業務です。しかし、手作業で行う場合、作業効率が悪く、手間と時間が大幅にかかります。

また、多くの数値を入力し分析するため、入力ミスや計算式の誤りが生じるリスクも高まります。集計結果が正確でない場合、再度データを見直す必要が生じ、さらに時間を浪費することになるでしょう。

経理の業務効率化で直面する課題

経理業務の効率化を進める過程で、さまざまな課題が発生することも少なくありません。

本章では、経理の業務効率化を図る上での課題について詳しく解説します。

古い慣習が残っている

企業によっては、古い慣習や手続きが根強く残り、経理業務の効率化が難航することがあります。たとえば、紙ベースの書類や押印文化が強く残っている場合、デジタル化や自動化がスムーズに進まないことがあります。また、従業員は、長年の経験で確立された現行のやり方に安心感を抱いていることも少なくありません。

自社に残っている慣習を見直し、必要ない業務はカットすることが重要です。効率化しても問題のない業務と、現状のやり方が良い業務を明確にすることが重要です。

従業員や取引先から反発される

新しいシステム導入や業務フローの変更に伴い、従業員や取引先からの反発が大きな課題となるケースがあります。従来のやり方に慣れている従業員は、新しい仕組みへの適応にストレスを感じたり、負担が増えたと感じることがあるためです。また、取引先が従来のフォーマットや契約方式を希望する場合、新しいプロセスを導入するのが難しくなることもあります。

業務効率化を円滑に進めるには、事前に十分な説明を行い、従業員や取引先に新しい業務形態のメリットを理解してもらうことが重要です。

従業員の育成が必要になる

経理業務の効率化のため、新しい技術やソフトウェアを活用するには、従業員のスキルアップが必要です。とくに、ITスキルに不安を感じている従業員にとっては、新しいシステムや自動化ツールの使用に対する抵抗感がある場合も多いため、丁寧な教育を行いましょう。

従業員への適切な教育を提供し、実践的なスキルを身につけてもらうことで、効率化の効果を最大限に発揮できるでしょう。ただし、トレーニングの実施には時間とコストがかかるため、計画的な準備と実行が必要です。

経理の無駄な作業を効率化する際のポイント

経理業務の無駄な作業を効率化するためには、現状の業務フローを見直し、優先的に改善すべき箇所を明確にすることが重要です。

本章では、具体的なポイントを順に解説します。

現状の業務フローを把握する

効率化を進める1つめのステップは、業務フローの把握です。どのような手順で業務が進行しているのか、各担当者がどの作業をどのように行っているのかを確認し、業務の全体像を可視化します。導入しているシステムやツールの利用状況も併せて確認しましょう。

たとえば、請求書処理の場合、受領から支払いまでのフローを洗い出し、どこで手作業や重複作業が発生しているかを確認します。とくに、ミスが起きやすい部分や時間がかかる作業は重要な見直しポイントです。また、担当者へのヒアリングを通じて、属人化している業務を明確にし、改善の余地がある業務を見つけ出します。

経理業務の効率化を成功させるためには、現状のネックになっている部分を正確に把握することが重要です。

作業にかかっている時間を把握する

2つめのステップでは、各作業にどれだけの時間がかかっているかを具体的に把握しましょう。たとえば、帳票入力や請求書発行、転記作業などの各タスクが、どの程度の時間を消費しているかを数値で確認します。「請求書の入力・発行に1日2時間」「経費精算に週3時間」など、具体的な時間を計測することで、非効率な作業がどこにあるのかを見極められます。

さらに、日常的な定期業務と、年次や不定期に発生する業務を区別して把握することも重要です。

時間を把握することで、もっとも時間を費やしている業務や、頻繁に行われている非効率な作業を特定し、効率化の優先順位をつけやすくなります。

どの業務から効率化すべきか検討する

3つめのステップでは、効率化の優先順位を決めます。効率化の効果が大きい業務から着手することで、リソースを最大限に活用し、短期間で大きな改善を実現できます。

優先的に効率化すべき業務には、以下のような特徴があります。

  • 手作業が多い業務
  • ミスが発生しやすい業務
  • 単純な反復作業

たとえば、紙ベースの書類管理や手作業でのデータ入力は、デジタル化や自動化によって大幅に効率化できる上に、入力ミスや書類紛失のリスクも軽減されるでしょう。とくに、ミスや作業負担が大きい業務を優先することで、従業員の負担軽減や、業務の質向上にもつながります。

経理の無駄な作業を効率化する3つの方法

エクセルなどのツールで効率化する

手軽に導入できる効率化ツールとして、エクセルやスプレッドシートを活用できます。

たとえば、計算式や関数を活用すれば、帳票の自動集計やデータの整理がスムーズに行える上に、手作業によるミスのリスクを削減可能です。また、マクロ機能を使用すれば、定型業務を自動化し、作業時間を大幅に短縮できるでしょう。ただし、エクセルやスプレッドシートの基礎知識が必要なため、経理担当者の教育が必要です。

アウトソーシングを活用する

経理業務の効率化を進めるためには、アウトソーシングの活用が効果的です。たとえば、給与計算や税務申告、決算業務などをアウトソーシングすることで、社内のリソースを重要な業務に集中させられます。

専門的な知識をもつ委託業者に任せることで、ミスや業務遅延のリスクも減少します。また、業務の標準化や自動化などにも長けているため、効率化の面でも大きなメリットが期待できるでしょう。

クラウド会計ソフトを導入する

クラウド会計ソフトで効率化できる業務として、以下のような一例が挙げられます。

  • 伝票入力(仕訳入力)
  • 支払管理
  • 会計レポートの出力
  • 決算書の作成
  • 帳票出力
  • など

時間のかかる業務を効率化できる上、クラウド上でデータを管理するため、時間や場所に縛られることなく、リアルタイムでアクセスできるのが大きなメリットです。さらに、データのバックアップも自動的に行われるため、情報漏洩やデータ紛失のリスクも軽減されます。

クラウド会計ソフトを導入することで、経理業務の自動化やペーパーレス化、データ管理の強化など、効率化に大きな影響を与えるでしょう。

経理の無駄な業務の削減には自動化・ペーパーレス化が鍵!

経理業務の無駄を削減し、効率化を図るには、自社の業務フローを把握し、適切なツールを導入することが大切です。エクセルの活用やアウトソーシング、クラウド会計ソフトなどを上手にとり入れ、効率化を進めましょう。

とくに、クラウド会計ソフトは、手作業によるミスや時間の浪費を減らし、経理業務の自動化とペーパーレス化を実現する便利なツールです。また、リアルタイムでデータにアクセスできるため、在宅ワークにも対応できます。経理業務の効率化を目指すなら、クラウド会計ソフトの導入をぜひ、検討してみてください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事

会計の注目テーマ