- 更新日 : 2026年7月22日
還付金の仕訳と勘定科目は?法人・個人事業主のケース別に解説
税金の種類と納税主体で使い分けます。
益金算入の可否は税金の種類で異なります。
法人税や所得税を納めすぎた場合に戻る金額が還付金で、勘定科目は法人と個人事業主で異なります。法人は未収法人税等、個人事業主は事業主借が基本で、還付加算金は雑収入または雑所得で別途処理します。本記事では具体的な仕訳例とあわせて、税金別の処理方法と注意点を整理します。
目次
還付金とはどのようなお金?
還付金は、納めすぎた税金が戻ってきた金額のことです。確定した税額を超えて納付していた場合や、納付後の更正で減額された場合に発生します。
納めすぎていた税金が返ってくること
還付金は、すでに納付済みの税金のうち本来支払う必要のなかった部分が返還されたものです。
法人税では事業年度の中間に中間納付、所得税では確定申告前に予定納税という形で、年度の業績が確定する前に税金を納付する制度があります。両者ともに、前年度の実績に基づいて納付額が定められるため、当年度の業績が前年度を下回ったときには納めすぎが生じます。
このとき返還されるのが還付金です。実際には払いすぎた税金が戻るだけですが、すでに帳簿に計上したお金であるため、還付されたタイミングで正しく仕訳をおこなう必要があります。
還付金が発生する主なケース
還付金が発生するのは、確定税額が中間納付や予定納税の額を下回ったときが中心です。
代表的なケースは次のとおりです。
- 中間納付の税額が確定した法人税額を上回ったとき
- 業績悪化や災害により赤字が確定し、納税が不要になったとき
- 申告税額を超過して納付してしまったとき(誤納金)
- 確定後に減額更正や不服審査の裁決で税額が取り消されたとき(過納金)
参照:No.6901 納付税額又は還付税額の経理処理|国税庁
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法人税還付金の仕訳と勘定科目は?
法人税の還付金は、中間納付時に計上した仮払法人税等を確定税額に充当し、超過分を未収法人税等として計上します。後日入金された時点で、未収法人税等を取り崩します。
中間納付が確定税額を上回ったケースの仕訳
中間納付額のうち確定税額を上回った部分を、未収法人税等として計上します。
中間納付時には税額が確定していないため、仮払法人税等という勘定科目を用います。決算で税額が確定したら、その金額を法人税等に振り替え、超過分は未収法人税等で計上します。
・中間納付税額が300,000円だったが、法人税額が200,000円と確定した
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 法人税等 200,000円 | 仮払法人税等 300,000円 | 中間納付より還付 |
| 未収法人税等 100,000円 |
決算で赤字が確定したケースの仕訳
赤字確定により法人税が発生しない場合は、中間納付額の全額を未収法人税等に振り替えます。
決算で赤字が確定すると、当期の法人税は発生しません。すでに納付済みの中間納付額は、全額が還付対象となります。
・中間納付税額が300,000円だったが、決算により赤字が確定した
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 未収法人税等 300,000円 | 仮払法人税等 300,000円 | 中間納付より還付 |
還付金が入金されたときの仕訳
還付金が事業用口座に入金されたタイミングで、未収法人税等を取り崩します。
未収法人税等として計上していた金額が預金口座に振り込まれた段階で、預金の増加と未収法人税等の減少を相殺します。
・未収法人税等として計上していた法人税還付金100,000円が預金に入金された
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 預金 100,000円 | 未収法人税等 100,000円 | 法人税還付金 |
消費税の還付金はどう処理する?
消費税の還付金は、選択している経理方式(税抜方式か税込方式)によって仕訳が異なります。税抜方式では未収消費税等、税込方式では雑収入で処理するのが原則です。
税抜経理方式の場合は未収消費税等で処理する
仮払消費税と仮受消費税を相殺し、超過した仮払分を未収消費税等に振り替えます。
税抜方式では、課税仕入れにかかる消費税を仮払消費税、課税売上げにかかる消費税を仮受消費税として個別に計上しています。決算時に両者を相殺し、仮払消費税が仮受消費税を上回った場合、その差額を未収消費税等として計上します。
新店舗の設備投資や輸出取引が多い事業者では、仮払消費税が仮受消費税を上回るケースが起こりやすく、消費税の還付対象になります。
税込経理方式の場合は雑収入で処理する
税込方式では、還付額を雑収入として益金に算入します。
税込方式は、仕入金額や売上金額に消費税を含めて計上する処理方式です。決算時に払いすぎた消費税が判明したら、未収消費税等を計上したうえで、相手勘定を雑収入として益金に算入します。
日々の仕訳の手間が少ない反面、税込経理方式では、還付を受ける消費税等の額を収益(雑収入など)として計上する点が税抜方式との大きな違いです。
参照:No.6901 納付税額又は還付税額の経理処理|国税庁
個人事業主の所得税還付金はどう仕訳する?
個人事業主の所得税還付金は、確定申告で予定納税額が確定税額を上回ったときに発生します。事業用口座への入金であれば事業主借で仕訳します。
事業用口座に入金されたときは事業主借で処理する
事業用口座に所得税還付金が入金されたら、事業主借を貸方にして仕訳します。
所得税は事業主個人にかかる税金であり、事業の収益や費用ではありません。そのため、事業用口座に入金されても事業の収入には該当せず、事業主借という勘定科目で処理します。
・事業主の所得税還付金150,000円が、事業用預金口座に入金された
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 預金 150,000円 | 事業主借 150,000円 | 所得税還付金 |
事業主個人の口座に入金されたときは仕訳不要
事業に関係のない個人口座に入金された場合、帳簿上の仕訳は発生しません。
所得税還付金が事業用以外の個人預金口座に振り込まれた場合は、事業の取引には該当しないため、仕訳は不要です。事業用口座と個人口座を分けている場合は、入金先がどちらかを確認したうえで処理を判断します。
還付加算金の勘定科目と仕訳のポイント
還付加算金は、還付金が発生してから支払われるまでの期間に対する利息に相当する金額で、還付金とは別に課税対象となります。仕訳でも勘定科目を分けて処理します。
法人の還付加算金は雑収入として益金算入する
法人が受け取った還付加算金は、雑収入として益金に算入します。
法人税の還付金そのものは、もともと納める必要のなかった税金が戻ったものであり、原則として益金不算入です。一方、還付加算金は新たに発生した利息相当額のため、雑収入として益金に算入します。
・還付金100,000円およびその3%相当が還付加算金として、あわせて預金に入金された
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 預金 103,000円 | 未収法人税等 100,000円 | 法人税還付金 |
| 雑収入 3,000円 | 法人税還付加算金 |
還付加算金の利率は、本則では年7.3%とされていますが、実際には特例基準割合が適用されるため、近年は年1%前後(1%を下回る年もある)で推移しています。最新の率は国税庁公表値を確認しましょう。
参照:延滞税の割合|国税庁
個人事業主の還付加算金は雑所得として申告する
個人事業主が受け取った還付加算金は、確定申告で雑所得として申告します。
個人事業主の場合、所得税還付金は課税対象になりませんが、還付加算金は雑所得として課税対象となります。仕訳では、事業用口座に入金された場合は事業主借で処理し、個人口座に入金された場合は原則として事業の帳簿上の仕訳は不要です。
還付加算金は、確定申告のときに雑所得として別途申告する必要があります。
・還付金150,000円とその3%相当が還付加算金として、あわせて預金に入金された
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 預金 154,500円 | 事業主借 150,000円 | 所得税還付金 |
| 事業主借 4,500円 | 所得税還付加算金 |
還付加算金の消費税区分について
還付加算金は、税金の還付に伴って国から支払われる利息的な性質のお金です。
消費税法上、消費税は「国内において事業者が対価を得て行う資産の譲渡・貸付や役務提供」を課税対象としていますが、還付加算金はこの対価性に該当しません。
そのため、消費税の課税対象外(不課税取引)となります。仕訳をする際は、課税売上高に含めないよう、課税区分を「対象外(または不課税)」として処理することが重要です。
還付金の経理処理で迷わないためのチェックポイント
還付金の処理では、税金の種類による益金算入の可否や、同じ会計期間内かどうかで仕訳方法が変わります。実務で迷いやすいポイントを整理します。
益金算入と益金不算入を税金別に整理する
法人の還付金は、税金の種類によって益金算入と益金不算入に分かれます。
法人税や法人住民税のように発生時に損金不算入となる税金は、還付時も益金には算入しません。一方、法人事業税のように発生時に損金算入する税金は、還付時に益金へ算入する必要があります。消費税の還付金は、税込方式を採用している場合に益金算入となります。
| 税金の種類 | 還付金の扱い | 還付加算金の扱い |
|---|---|---|
| 法人税 | 益金不算入 | 雑収入として益金算入 |
| 法人住民税 | 益金不算入 | 雑収入として益金算入 |
| 法人事業税 | 益金算入 | 雑収入として益金算入 |
| 消費税(税込方式) | 雑収入として益金算入 | 雑収入として益金算入 |
参照:No.6901 納付税額又は還付税額の経理処理|国税庁
同じ期内の還付は反対仕訳で処理する
同じ会計期間内に納付と還付が発生したときは、納付時に使った勘定科目で反対仕訳をおこないます。
たとえば自動車税を誤って二重に納付したり、社用車を抹消登録して還付を受けたりするケースでは、納付時に使用した勘定科目(租税公課など)で貸方に計上し、過払い分の金額を相殺できます。仮払金で処理していた場合も同様に、納付時の勘定科目を使って反対仕訳をおこないます。
還付金の仕訳や勘定科目の判定に悩む担当者は多い
法人や個人の還付金など、日常的に発生しない取引の仕訳では、どの勘定科目を使うべきか迷うこともあるでしょう。実際、マネーフォワード クラウドが実施した調査では、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業は「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。次いで、「銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業」が34.5%となっています。
最も工数がかかる作業は「勘定科目の判定」
この調査結果から、多くの担当者が勘定科目の判断に時間を割いており、日々の業務における大きな負担となっていることが読み取れます。還付金の処理では、法人の場合は未収法人税等、個人の場合は事業主借などと用いる勘定科目が異なるため、より慎重な判断が求められます。
仕訳作業の負担を軽減するためには、還付金の仕訳方法を正しく理解し、迷わず処理できる体制を整えることが重要です。また、過去のデータから勘定科目を自動推測する会計ソフトなどを活用することで、毎回の判定にかかる時間を削減できるでしょう。
還付金の勘定科目と仕訳を正しく押さえよう
法人と個人事業主では、還付金の仕訳に使う勘定科目が異なります。法人は仮払法人税等から未収法人税等への振替が中心で、個人事業主は事業主借で処理するのが基本です。還付加算金は法人なら雑収入、個人事業主なら事業主借として仕訳処理をおこない、雑所得として確定申告が必要となります。
消費税の還付では税抜方式か税込方式かで仕訳の流れが変わります。税金の種類と経理方式を確認したうえで、適切な勘定科目を選んで処理しましょう。
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法人の還付金の仕訳はどうやる?
仮払法人税等から確定した法人税等を差し引いた金額を未収法人税等として計上します。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主の還付金の仕訳はどうやる?
事業用預金口座へ入金された場合は、貸方に事業主借を用います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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