• 更新日 : 2024年8月8日

送料にかかる消費税や軽減税率を解説

モノやサービスを消費したときにかかる消費税は、普段の生活の中で関わることが多くさまざまな場面で課税されます。

身近な税金であるだけに課税対象や税率など仕組みを正しく理解しておくことが大切ですが、間違えやすく注意が必要なのが「送料にかかる消費税」です。

送料無料や送料込みなどケースごとの消費税の考え方や軽減税率の適用有無、送料の仕訳方法について解説していきます。

送料にも消費税はかかる?

消費税の課税対象について、国税庁HPでは以下のように記載されています。

消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の引取り(輸入取引)です。
引用元:国税庁HP

上記の「資産の譲渡等」とは「事業として有償で行われる商品や製品などの販売、資産の貸付け及びサービスの提供」です。つまり「配送というサービス」にかかる送料も「サービスの提供」に該当するため消費税がかかります。

送料無料や送料込みの場合は?

商品を購入する際、商品の本体価格にも送料にも消費税がかかるので、送料込みで金額が表示されていれば表示価格(商品代金と送料の合計額)に対して消費税が課税されます。

一方で「送料無料」の場合ですが、消費税に関して国税庁HPでは「無償で行われた資産の譲渡等には、原則として消費税がかかりません」とされています。そのため、送料が無料であれば消費税はかかりません。

ただし、仮に送料無料と表示されている場合でも、実態としては送料込みの値段で商品の価格が設定されていることもあるので、その場合は実質的に送料込みの表示価格(商品代金と送料の合計額)に消費税がかかることになります。

いずれにしても送料無料であれば、商品の表示価格を使って消費税を計算するため、実質的に送料込みである場合でもそうでない場合でも、消費税の課税計算で使う金額は同じです。

軽減税率の対象商品にかかる送料は?

消費税の税率は原則として10%ですが、以下の品目では軽減税率が適用されるため税率が8%になります

  • 飲食料品(ただし外食やケータリング等は含まない)
  • 新聞(一般社会的事実を掲載する週2回以上発行されるもの)

送料に軽減税率が適用されるかどうかですが、商品が軽減税率の対象で送料込みであれば送料にも軽減税率が適用されます。しかし、商品が軽減税率の対象でも宅急便などの送料が別でかかる場合は、送料には通常の税率が適用されるので軽減税率の適用は受けられません。

そのため、軽減税率の対象商品を送ってもらう際、送料込みのケースと送料別のケースでは消費税額に違いが生じます。一例を示すと以下の通りです。

<出前3,000円・送料1,000円にかかる消費税>
■送料別の場合
  ・出前(そば)3,000円 消費税240円(消費税率8%)
  ・送料1,000円 消費税100円(消費税率10%)
  ・合計4,340円(消費税340円)
■送料込みの場合
  ・出前(そば)4,000円 消費税320円(消費税率8%)
  ・合計4,320円(消費税320円)

配達手数料は軽減税率の対象?

UberEatsなどの配達業者に支払う配達手数料は軽減税率の対象外です。配送手数料は配送というサービスに対して支払う料金であり、配送サービスは飲食料品や新聞のように軽減税率の対象にはなりません。配送している商品が軽減税率の対象かどうかで税率が変わるわけではなく、配送サービスにかかる手数料には通常の税率10%が適用されます。

軽減税率の対象になる送料と対象にならない配達手数料は、混同しやすいので注意が必要です。なお、送料とは一般的に商品提供に付随して発生する料金のことをさします。商品提供サービスの一部として送料がかかり、軽減税率の対象商品を送る際に送料込みであれば、送料も軽減税率の対象です。

しかし、UberEatsなどの配達業者を利用する場合は、配送サービス自体が独立していて商品提供サービスの一部とは言えず、配達にかかる手数料は軽減税率の対象にはなりません。

送料の仕訳方法と考え方

送料がかかったときの仕訳方法は、取引内容によって異なります。商品を仕入れて送料がかかった場合は勘定科目「仕入」を使い、消耗品などを購入した場合の送料は「荷造運賃」などの勘定科目を使って仕訳するのが一般的です。以下で、いくつかの仕訳例を紹介します。

全国一律料金の場合

送料全国一律1,100円(税込・税率10%)の業者から食材10,800円(税込・税率8%)を経営者が仕入れて現金で支払った場合、税抜経理方式での仕訳方法は以下のようになります。

借方
貸方
仕入10,000円現金   11,900円
仕入1,000円
仮払消費税900円

すべて送料無料の場合

送料無料の業者から事業で使うパソコン22,000円(税込・税率10%)を個人事業主が購入して現金で支払った場合、税抜経理方式での仕訳方法は以下のようになります。

借方
貸方
消耗品費20,000円現金  22,000円
仮払消費税2,000円

注文額によって送料割引または無料

送料が税込1,100円(税率10%・ただし購入額が1万円以上だと送料無料)の業者から、食材10,800円(税込・税率8%)を飲食店経営者が仕入れて現金で支払った場合、税抜経理方式での仕訳方法は以下のようになります。

借方
貸方
仕入10,000円現金  10,800円
仕入1,000円
仮払消費税900円
仕入割引1,000円
仮払消費税100円

発送先によって異なる料金

発送先によって送料が異なる業者から、消耗品11,000円(税込・税率10%)を個人事業主が購入して現金で支払った場合、仮に当個人事業主のケースでは送料550円(税込・税率10%)がかかったのであれば、税抜経理方式での仕訳方法は以下のようになります。

借方
貸方
消耗品費10,000円現金   11,550円
荷造運賃500円
仮払消費税1,050円

発送手段によって異なる料金

発送手段によって送料が異なる業者から食材10,800円(税込・税率8%)を飲食店経営者が仕入れて現金で支払った場合、仮に当飲食店経営者のケースでは660円(税込・税率10%)の送料がかかったのであれば、税抜経理方式での仕訳方法は以下のようになります。

借方
貸方
仕入10,000円現金   11,460円
仕入600円
仮払消費税860円

配送にかかる税率を正しく理解しよう!

商品購入時に送料がかかれば、送料にも消費税がかかります。軽減税率の対象商品の送料は送料込みであれば軽減税率の対象ですが、送料別であれば軽減税率の適用対象外です。

また、UberEatsなどの配達業者に支払う配達手数料は、軽減税率の対象になりません。帳簿付けや納税を正しく行うためにも、消費税の課税関係や軽減税率の適用範囲を正しく理解するようにしましょう。

よくある質問

送料にも消費税はかかる?

商品を購入する際、商品の本体価格にも送料にも消費税がかかります。詳しくはこちらをご覧ください。

配達手数料は軽減税率の対象?

UberEatsなどの配達業者に支払う配達手数料は軽減税率の対象外です。詳しくはこちらをご覧ください。

送料の仕訳方法は?

取引内容によって異なりますが、「仕入」や「荷造運賃」などの勘定科目を使って仕訳するのが一般的です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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