• 更新日 : 2023年3月23日

社用車を経費にする方法まとめ

社用車を経費にする方法まとめ

法人名義で購入した社用車は、経費に計上できます。ほかにも社用車にかかるガソリン代や保険料、車検費用といった費用も経費計上が可能です。経費にする方法は、ローンを利用した購入やリース契約などで異なります。

本記事では、社用車の経費計上の方法や経費にできる費用を紹介します。

社用車の経費計上の方法

法人名義で購入した社用車は、一般的に経費計上が可能です。さらにガソリン代・駐車代など、自動車の使用に関わる費用も経費にできます。経費の処理方法は、ローンを利用した場合やリース、中古車の購入などで異なります。

それぞれの方法について、仕訳例とともにみていきましょう。

ローンで購入した場合

社用車の購入では、カーローンを利用する場合も多いかと思います。ローンで購入した場合は、現金購入と同じく「車両運搬具」の勘定科目で固定資産に計上し、毎年減価償却を行わなければなりません。ローンについては、「長期未払金」で処理します。

固定資産に計上できるのは車両本体の価格だけではなく、カーナビなどの付属品や検査・車庫証明の登録といった法定費用も含みます。

ローンの元金と一緒に支払う利息分は「支払利息」として経費計上が可能です。

ローンを利用して社用車(普通車)を200万円で購入し、頭金として30万円を支払った場合の仕訳をみてみましょう。

まずは、頭金の支払いを仕訳します。

借方貸方摘要
前払金300,000円普通預金300,000円社用車購入の頭金

次に、社用車のローン購入を仕訳します。

借方
貸方
摘要
車両運搬具
2,000,000円
前払金
300,000円
社用車購入の頭金
長期未払金
1,700,000円
ローン元本

普通車の法定耐用年数は6年で、200万円を6年かけて減価償却します。定額法で計算する場合、以下の計算式で計上します。

200万円×償却率0.167=33,400円

決算にあたり、当期分の減価償却費を計上する場合の仕訳は以下のとおりです。

借方貸方摘要
減価償却費33,400円車両運搬具33,400円社用車の減価償却

リース契約した場合

社用車をリースする場合は、リース会社と契約して毎月リース代金を支払います。リース費用には車両本体価格だけでなく自動車税や新車登録諸費用、自賠責保険料などの費用が含まれ、リース費用としてまとめて経費処理できるのがメリットです。

リース契約には「ファイナンス・リース取引」と「オペレーティング・リース取引」があり、それぞれ処理方法は異なります。ファイナンス・リース取引は中途解約できない契約で、修理は利用者が行う方式です。購入の場合と同じく、資産計上と減価償却が必要になります。ファイナンス・リース取引は「所有権移転ファイナンス・リース取引」と「所有権移転外ファイナンス・リース取引」に分けられ、所有権移転ファイナンス・リース取引は契約終了後、利用者に所有権が移ります。

一方、オペレーティング・リース取引は単に貸与を受ける契約で、会計では賃貸借処理を行います。自動車の所有権はリース会社にあるため固定資産に計上する必要もなく、減価償却を計算する手間がありません。リース料金をすべて経費計上でき、購入と比較して節税が可能です。

オペレーティング・リース取引で5年契約・毎月1万円のリース代で契約した事例では、以下のような仕訳を行います。

借方貸方摘要
リース料10,000円普通預金10,000円社用車のリース代金

中古車を購入した場合

中古車を購入した場合も処理は新車と同様で、固定資産に計上して減価償却を行います。普通自動車の耐用年数について、新車では以下のように定められています。

  • 一般事業者:6年
  • タクシー会社などの運送事業者:4年

中古車は新車よりも耐用年数が短くなり、中古車の状態により以下の計算式による算出が必要です。

  • 法定耐用年数のすべてを経過している場合:法定耐用年数の20パーセントに相当する年数
  • 法定耐用年数の一部を経過している場合:法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に、経過年数の20パーセントに相当する年数を加えた年数

計算結果が2年に満たない場合は、一律2年となります。

一般事業者が7年経過した中古車を30万円で購入した事例では、中古車の耐用年数は「6年×20%=1.2年」です。

2年に満たないため、償却期間は2年になります。

まず、購入時は以下のように仕訳します。

借方貸方摘要
車両運搬具300,000円現金300,000円社用車を購入

決算時は、耐用年数2年に基づいて減価償却を行います。

借方貸方摘要
減価償却費150,000円車両運搬具150,000円社用車の減価償却

参考:国税庁「中古資産の耐用年数」

社用車関連の費用で経費にできるもの

社用車の購入や利用に際して、以下のような費用が必要になります。

  • ガソリン代
  • 税金
  • 保険料
  • 車検費用
  • 洗車費用
  • 修理費
  • 駐車場代
  • 備品代

これらはすべて経費計上が可能です。それぞれの内容と処理方法について紹介します。

ガソリン代

ガソリン代は、「車両費」「燃料費」「旅費交通費」などの勘定科目で処理します。自社で会計処理をしやすい科目を選んで処理しますが、一度決めた科目は途中で変えずに以後も統一することが大切です。

社用車に1ヵ月かかったガソリン代が1万円だった場合、以下のように仕訳します。

借方貸方摘要
車両費10,000円現金10,000円社用車のガソリン代

税金

社用車を購入した際には、自動車税環境性能割や自動車税・自動車重量税などの税金がかかります。これらの税金は「租税公課」で処理します。

社用車購入時に税金15万円を支払った場合の仕訳例は、以下のとおりです。

借方貸方摘要
租税公課150,000円現金150,000円社用車購入時に
自動車税環境性能割・自動車税・
自動車重量税を支払い

保険料

社用車購入の際は、一般的に強制保険の自賠責保険と任意保険に加入します。これら保険料は、「車両費」または「保険料」の勘定科目を使います。

1年以上の契約で支払った場合、自賠責保険と任意保険では処理方法が異なるため注意しましょう。

強制加入の自賠責保険は支払った会計年度に全額を経費計上できますが、1年以上の任意保険は「長期前払費用」として資産に計上し、経過期間ごとに按分して計上します。

社用車購入時に自賠責保険と1年の任意保険に加入し、合計3万円を支払った場合の仕訳は以下のとおりです。

借方貸方摘要
保険料30,000円現金30,000円社用車の自賠責保険と
任意保険

車検費用

車検費用は大きく分けて、「法定費用」「整備・点検費用」の2つに分類されます。

法定費用には「自賠責保険料」「自動車重量税」「印紙代」が挙げられます。

これらの車検費用はひとつの勘定科目で計上できません。会計処理で使う勘定科目は、以下の5種類です。

  • 車両費:整備・点検費用、部品交換費用など
  • 租税公課:自動車重量税、印紙代など
  • 保険料:自賠責保険料など
  • 支払手数料:車検代行手数料
  • 事業主貸:プライベートでも使用している分

車検代で13万円支払った場合、以下のように仕訳します。

借方
貸方
摘要
車両費
50,000円
現金
130,000円
車検費用
租税公課
25,000円
保険料
25,000円
支払手数料
30,000円

洗車費用

洗車費用は一般的に、「車両費」「消耗品費」「雑費」の勘定科目で仕訳します。車両にかかる経費が多い場合、車両費でまとめると処理しやすくなるでしょう。

ガソリンスタンドで洗車を行い、洗車代として1,000円支払った事例では、以下のように仕訳します。

借方貸方摘要
車両費1,000円現金1,000円洗車代

修理費

パンクなど修理にかかった費用は、「車両費」または「修繕費」で処理します。故障など通常の修理にとどまらず、改良を加えたり新しい機能を追加したりして車の価値を高めた場合、「資本的支出」に該当する場合もあります。そのようなケースでは車両運搬具に計上して減価償却が必要になるため、注意が必要です。

営業の途中に社用車がパンクした事例で、修理に1万円支払った場合、以下のように仕訳します。

借方貸方摘要
修繕費10,000円現金10,000円社用車のパンクを修理

駐車場代

駐車場代は、月極駐車場と不定期で発生するものとで勘定科目が異なります。

月極駐車場は「地代家賃」で毎月計上し、コインパーキングなど不定期で発生する駐車代は「旅費交通費」「車両費」「雑費」のいずれかで処理します。

月極駐車場を利用し、5万円を駐車場代を支払った際の仕訳は以下のとおりです。

借方貸方摘要
地代家賃50,000円現金50,000円月極駐車場〇月分を支払い

備品代

社用車を購入した際、タイヤのホイールやエアコンなどの備品代は車両本体と一緒に購入した附属品として自動車の購入価格に含めます。「車両運搬具」として固定資産に計上しましょう。

洗車用品などの商品は、「車両費」または「消耗品費」で計上します。

社用車と一緒に洗車用品1万円を購入した事例について、仕訳は以下のとおりです。

借方貸方摘要
車両費10,000円現金10,000円社用車と一緒に購入した
洗車用品の代金

社用車は経費にできるものをチェックしよう

社用車を購入した場合は新車も中古車も車両運搬具として資産計上しますが、中古車の場合は耐用年数が異なり、減価償却の処理も変わります。リース契約の場合はリース代金のみのシンプルな計上で、担当者の負担がありません。

社用車に関連する費用は幅広く経費に計上できるため、どのようなものができるのかチェックしておくとよいでしょう。

よくある質問

社用車を経費にする方法は?

車両運搬具として固定資産に計上し、ローンを利用した場合は長期未払金で処理します。詳しくはこちらをご覧ください。

社用車で経費にできるのはどんなもの?

ガソリン代や保険料、税金など、社用車に関連する費用は経費に計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。


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