- 更新日 : 2026年7月24日
協賛金の勘定科目とは?仕訳と消費税区分を整理
協賛金は対価性・宣伝効果・取引関係を見て広告宣伝費・交際費・寄付金・諸会費に振り分けます。
- 不特定多数への宣伝なら広告宣伝費を選ぶ
- 取引先の催しに支払うなら交際費に該当する
- 対価性のない支出は寄付金として処理する
など、選んだ勘定科目によって損金算入の範囲と消費税の扱いが変わるため、判断軸を押さえておくと迷いが減ります。
協賛金の勘定科目は、支払う目的や対象に応じて広告宣伝費・交際費・寄付金・諸会費に振り分けます。経理担当者にとって判断に悩む場面が多く、取引の実態によって、適切な勘定科目・法人税・消費税処理が決まります。本記事では、支払った場合・受け取った場合それぞれの仕訳例と税務上の取り扱いを整理します。
協賛金とは?協賛費・スポンサー料との違いも整理
協賛金は、イベントや事業の趣旨に賛同し、支援のために企業や個人が拠出する金銭です。広告掲載や企業名の表示などの見返りがある場合と、見返りを求めずに資金を提供する場合があり、それぞれで仕訳の考え方が変わります。
「協賛金」という勘定科目は存在しない
「協賛金」という、すべての会社が使用しなければならない標準的な勘定科目は会計上にはありません。 従って、領収書の但し書きに「協賛金」と書かれていても、そのまま「協賛金」で計上することは通常なく、支出の目的や対象に応じて広告宣伝費・交際費・寄付金・諸会費のいずれかへ振り分けることになります。
おおまかな振り分け先の目安は次のとおりです。
| 勘定科目 | 振り分けの目安 |
|---|---|
| 広告宣伝費 | 不特定多数への宣伝効果が見込まれる |
| 交際費 | 特定の取引先との関係維持が目的 |
| 寄付金 | 対価性がなく広告宣伝費・交際費等に該当しないもの |
| 諸会費 | 事業に関連して加入する団体へ支払う |
実務では、相手先・対価性の有無・宣伝効果を確認しながら振り分けるのが基本です。たとえばイベント主催者が取引先なら交際費、自社名が会場やパンフレットに掲示されるなら広告宣伝費、というように1件ずつ性質を見極めます。
協賛費・協賛品・スポンサー料の扱いは協賛金と同じか
協賛費・協賛品・スポンサー料も、協賛金と同じ判断軸で勘定科目を選びます。 金銭の支出を「協賛費」と呼ぶケース、物品で提供するものを「協賛品」と呼ぶケース、有償・無償を問わずスポーツやイベントへの支援全般を「スポンサー料」と呼ぶケースがありますが、いずれも対価性・宣伝効果・取引関係を確認しながら広告宣伝費・交際費・寄付金・諸会費に振り分けます。
物品で支援する協賛品の場合は、原価相当額を費用として処理し、貸方を「商品」や「製品」などの該当科目で計上するのが基本です。金銭ではない点を除けば、損金算入や消費税の扱いも金銭の協賛金と同様に判断します。
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協賛金を支払った場合の勘定科目と仕訳
協賛金を支払った場合に検討する勘定科目は、広告宣伝費・交際費・寄付金・諸会費です。それぞれの特徴と仕訳例、損金算入の可否を順に確認します。
広告宣伝費|不特定多数への宣伝目的なら広告宣伝費
広告宣伝費は、自社の商品やサービスを不特定多数の消費者に宣伝するために支出する経費です。 協賛金の支払い以外にも、ネット広告やテレビCM、パンフレットの作成などが該当します。
対象が「不特定多数」である点が判断のポイントで、特定の取引先との関係維持を目的とする場合は後述の交際費に該当します。広告宣伝費は原則として全額損金算入が可能で、消費税は課税取引として原則仕入税額控除の対象です。
地元の花火大会に広告宣伝費として普通預金から30,000円の協賛金を支払う場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 広告宣伝費 30,000円 | 普通預金 30,000円 | 花火大会協賛金 |
交際費|特定の取引先との関係維持なら交際費
交際費は、得意先や取引先との付き合いのために支出する経費です。 協賛金の支出が特定の対象者との取引を円滑にする目的の場合、交際費として計上します。
たとえば、協賛するイベントの主催者が取引先であるケースが該当します。取引先が主催するスポーツイベントに対し、普通預金から100,000円の協賛金を支払った場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 交際費 100,000円 | 普通預金 100,000円 | スポーツイベント協賛金 |
交際費については、支出が、すべて消費税の対象外になるわけではありません。消費税は、勘定科目ではなく、実際に何を購入・提供したかによって判断します。 また、損金算入の範囲は資本金の額によって異なります。
| 資本金の額 | 損金算入の範囲 |
|---|---|
| 1億円以下の中小企業 | 年間800万円または接待飲食費の50%のいずれか |
| 1億円超〜100億円以下 | 接待飲食費の50%まで |
| 100億円超 | 全額損金不算入 |
参照:No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算|国税庁
寄付金|反対給付を受けず、交際費等にも該当しない寄付なら寄付金として処理
寄付金は、国や地方自治体、団体などに対して事業性のない金銭や物品を提供する場合の勘定科目です。 寄附金と表記することもあります。
たとえば事業と関係のない団体が主催する雪まつりに協賛金を支払う場合、寄付金で処理します。ただし、自社の看板を会場に設置するなど不特定多数への宣伝効果が見込まれる場合は広告宣伝費に該当します。
雪まつりへの協賛金を寄付金として、普通預金から30,000円支払う場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 寄付金 30,000円 | 普通預金 30,000円 | 雪まつり協賛金 |
法人税法上、寄付金は「国や地方公共団体への寄付金」「指定寄付金」「特定公益増進法人への寄付金」「一般の団体や組織への寄付金」に区分され、損金算入の扱いが異なります。
| 寄付先 | 損金算入の取り扱い |
|---|---|
| 国・地方公共団体への寄付金 | 全額損金算入可能 |
| 指定寄付金 | 全額損金算入可能 |
| 特定公益増進法人への寄付金 | 寄付金額の合計または特別損金算入限度額のいずれか少ない金額まで |
| 一般の団体や組織への寄付金 | 一般寄付金の損金算入限度額まで |
指定寄付金は、広く一般に募集され、公益性および緊急性が高いものとして財務大臣が指定した寄付金を指します。
特定公益増進法人への寄付金については、次の計算式で求めた金額が特別損金算入限度額となります。
{資本金等の額×(当期の月数/12)×(3.75/1,000)+ 所得金額×(6.25/100)}×(1/2)
一般の団体や組織への寄付金については、次の計算式で求めた金額まで損金算入できます。
{資本金等の額×(当期の月数/12)×(2.5/1,000)+ 所得金額×(2.5/100)}×(1/4)
諸会費|加入団体への支払いは諸会費
諸会費は、事業に関連して加入している団体に支払う費用の勘定科目です。 商工会議所の会費などが該当します。事業に関連する協賛金であっても、広告宣伝費や交際費に該当しない場合は諸会費として処理する場合があります。
会社が加入する団体に対し、普通預金から30,000円の協賛金を支払った場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 諸会費 30,000円 | 普通預金 30,000円 | 加入団体協賛金 |
諸会費は原則として損金算入できますが、ロータリークラブやライオンズクラブなど社交的要素が強く事業性に乏しいと判断される団体への会費は、諸会費として損金算入できない場合があります。消費税は原則として不課税仕入れですが、役務提供との対価性が認められる場合は課税対象です。
協賛金を受け取った場合の勘定科目と仕訳
主催者側として協賛金を受け取った場合は、対価性や事業性の有無によって協賛金収入・雑収入・事業収益・寄付金収入のいずれかで計上します。
協賛金収入|協賛金からの収入を明確にしたい場合
協賛金からの収入を独立して管理したい場合、「協賛金収入」という勘定科目を設けて計上します。 主催するイベントの協賛金として、30,000円を受け取った場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 普通預金 30,000円 | 協賛金収入 30,000円 | イベント協賛金 |
協賛金収入は固有の勘定科目ではなく、社内ルールとして補助科目に近い形で設定するケースも多いです。協賛金の入出金を後から追跡しやすくしたい場合に適しています。
雑収入|本業以外の収益として処理する場合
本業以外の収益と判断される協賛金は、雑収入として計上します。 雑収入は営業外収益のうち他の勘定科目に該当しないものを集約する科目で、性格としては協賛金収入と同様です。
協賛金として30,000円を受け取り、雑収入として処理する場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 普通預金 30,000円 | 雑収入 30,000円 | イベント協賛金 |
事業収益|対価性のある協賛金は事業収益
会費としての性格を持つ協賛金や、パンフレットへの社名掲載など対価性のある協賛金は、事業収益として計上します。 事業収益として処理する場合の仕訳は以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|
| 普通預金 30,000円 | 事業収益 30,000円 | イベント協賛金 |
対価性がある協賛金は消費税の課税対象となるため、税区分の設定にも注意します。
寄付金収入|学校法人など特定の主体で使う
寄付金収入は、学校法人や非営利団体などが寄付として受け取った金銭を計上する勘定科目です。 中小企業などが協賛金を受け取る場合は、寄付金収入ではなく雑収入または事業収益で処理するのが大半です。
協賛金の消費税区分はどう判断する?
協賛金の消費税区分は、支出に対価性があるかどうかで決まります。 課税・不課税の判定軸は、協賛金と引き換えに何らかの役務やモノの提供があるかどうかです。
広告宣伝費に該当する協賛金は、広告掲載などの役務提供という対価性があるため課税対象です。一方、交際費・寄付金・諸会費は対価性がないため不課税仕入れとなり、仕入税額控除の対象外です。
各勘定科目について、損金算入と消費税の扱いを整理すると以下のとおりです。
| 勘定科目 | 対価性 | 損金算入 | 消費税区分 |
|---|---|---|---|
| 広告宣伝費 | あり | 全額算入可能 | 原則として課税 |
| 交際費 | なし | 中小企業は年800万円または接待飲食費の50%まで | 不課税(課税仕入れに該当しない) |
| 寄付金 | なし | 区分に応じた限度額まで | 不課税(課税仕入れに該当しない) |
| 諸会費 | 原則なし | 事業関連性があれば全額算入可能 | 原則不課税(課税仕入れに該当しない) |
協賛金が広告、物品、サービス等の対価でなければ、消費税の課税対象外となり、課税仕入れには該当しません。
会計ソフトでは「対象外」「不課税仕入」などシステムごとに異なる名称が使われますが、法的には、対価性がないため課税対象にならない取引と、消費税法上限定列挙された非課税取引を区別して説明するのが適切です。
協賛金をはじめとする仕訳作業で勘定科目の判定に悩む経理担当者は多い
企業において協賛金を支払う場面は多くありますが、その仕訳においてどの勘定科目や消費税区分を選択すべきか迷うケースは少なくありません。マネーフォワードが実施した調査では、仕訳作業の工程において最も工数がかかっているのは「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。次いで「銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業」が34.5%となっており、仕訳の判断や確認作業が経理担当者の大きな負担になっていることがわかります。
勘定科目の自動推測で仕訳業務を効率化
協賛金一つをとっても、目的や対象によって「広告宣伝費」や「交際費」「寄付金」などに分かれるため、手作業で都度判断するのは多くの時間と労力を要します。こうした判断の手間やミスを減らすためには、過去の取引データから勘定科目を自動推測する機能を持つクラウド会計ソフトの導入が有効です。システムの自動連携機能を活用することで、毎月の仕訳業務にかかる工数を削減し、よりスムーズな経理業務を実現できます。
出典:マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:アンケート回答者881名のうち仕訳業務に関与する方、集計期間:2026年3月実施)
協賛金の勘定科目を正しく選んで適切に仕訳しよう
協賛金の勘定科目は、対価性・宣伝効果・取引関係を確認することで広告宣伝費・交際費・寄付金・諸会費のいずれかに振り分けられます。 選んだ勘定科目によって損金算入の範囲や消費税区分が変わるため、協賛金(協賛費・協賛品・スポンサー料も同様)を支払う場面では、相手先や事業との関連性をふまえて科目を選ぶことが大切です。受け取った場合も同様に、対価性や事業性の有無で協賛金収入・雑収入・事業収益・寄付金収入を使い分けます。
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よくある質問
協賛金を支払った場合の勘定科目は?
対象先が不特定多数なのか、事業性があるものなのかといった基準により「広告宣伝費」「寄付金」「諸会費」「交際費」のいずれかに区分できます。詳しくはこちらをご覧ください。
協賛金を受け取った場合の勘定科目は?
本業以外の収入なので、雑収入とするのが一般的ですが、より個別に管理するために「協賛金収入」という勘定科目をつくることも可能です。詳しくはこちらをご覧ください。
協賛金の税区分は?
協賛金を支払うことで対価性があれば消費税の課税対象、対価性がなければ課税対象外です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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