- 更新日 : 2026年5月29日
【2026年・令和8年4月】パソコンの少額減価償却資産は30万円から40万円に!仕訳・勘定科目も解説
取得価額が30万円未満(令和8年4月以降は上限が40万円未満)なら、特例で全額をその年の経費にできます。
- 工具器具備品に計上し同額を即時に償却する
- 令和8年4月以降は上限が40万円未満へ広がる
- 周辺機器を含む合計額で可否を見極める
青色申告などの要件を満たす必要があり、年間合計300万円までが対象です。購入した日で新旧の基準が切り替わる点にも注意しましょう。
一定の要件を満たす中小企業など事業者であれば、少額減価償却資産の特例を使って、パソコンの取得費用をその年に経費計上できます。令和8年度税制改正により、令和8年4月1日以後に取得する資産は、その上限が「30万円未満」から「40万円未満」に引き上げられます。(従業員数要件も500人以下から400人以下に)。
本記事では現行制度の内容を中心に解説し、改正内容を適宜補足します。
目次
少額減価償却資産の特例とは?
少額減価償却資産の特例とは、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、その取得価額を全額即時に経費として計上できる制度です。この特例を利用することで、通常必要な減価償却の手続きを省略し、取得年度に全額を費用化できます。ただし、申告書への明細添付や、償却資産税の申告対象になる点には注意が必要です。
ただし無制限に利用できるわけではなく、年間の合計取得額は300万円が上限です。またこの特例には適用期限があり、令和8年3月31日以前に取得し事業の用に供した資産については、取得価額30万円未満が対象となります。
なお、令和8年度税制改正において、以下の見直しが示されています(令和8年4月1日以後に取得等する資産から適用予定)。
- 取得価額の上限:30万円未満 → 40万円未満に引き上げ
- 適用期限:令和8年3月31日まで → 令和11年3月31日まで(3年延長)
- 対象法人:常時使用する従業員数が400人を超える法人を対象外に(現行:500人以下)
- 年間合計300万円の上限は変更なし
法人の適用要件
法人が本特例を利用するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。
上記すべてに該当していても、大規模法人から2分の1以上の出資を受ける法人、2つ以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受けている法人は適用外です。
個人事業主の適用要件
個人事業主の場合は、以下の要件を満たさなければなりません。
- 青色申告を行っていること
- 常時使用する従業員が500人以下であること(令和8年4月1日以後取得分からは400人以下に厳格化)
この条件に当てはまらない個人事業主は、少額減価償却資産の特例を使用できません。
30万円未満のパソコンは少額減価償却資産に(令和8年4月1日以降は40万円未満)
一般的に事業に使用するパソコンは固定資産として扱われ、法定耐用年数にわたって減価償却を行うのが原則です。しかし、購入金額が30万円未満であり、なおかつ前述した要件を満たす場合は、少額減価償却資産の特例が活用できます。
たとえば、事業を営む法人や個人事業主が、1台あたり25万円のパソコンを購入したとき、一定の青色申告や中小企業者等の要件をクリアしていれば、その25万円分を一括で必要経費または損金に算入可能です。
ただし、パソコン本体だけではなくディスプレイやキーボードなどの周辺機器を「一体として利用している場合」には、それらも取得価額に含まれるため、周辺機器も含めてトータルで30万円未満に収まっているかに注意しましょう。
- 令和8年度税制改正大綱により、令和8年4月1日以後に取得する減価償却資産については、取得価額の上限が40万円未満に引き上げられます。これにより、従来は30万円以上で資産計上が必要だった高性能パソコンや業務用機器についても、一括で経費計上できる範囲が広がります。ただし、同じ事業年度の中でも令和8年3月31日までに取得した資産は30万円未満基準、令和8年4月1日以後に取得する資産は40万円未満基準と、取得時期で判定基準が切り替わる点に注意が必要です。
ただし、同じ事業年度内でも、令和8年3月31日以前に取得・事業供用した資産は30万円未満基準、令和8年4月1日以後に取得・事業供用した資産は40万円未満基準で判定します。購入日だけでなく、実際に事業の用に供した日も確認しましょう。
30万円未満のパソコン購入時の仕訳・勘定科目
事業用の30万円未満のパソコンを購入した場合の、仕訳方法について、紹介します。
少額減価償却資産の特例を使用(資産計上後に即時償却)する場合
パソコンを28万円で購入し、普通預金から支払った場合の仕訳は以下のとおりです。まず工具器具備品として資産勘定に計上します。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 工具器具備品 | 280,000円 | 普通預金 | 280,000円 | パソコン購入 |
そして、購入と同時に全額を減価償却費として計上します。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 280,000円 | 工具器具備品 | 280,000円 | 減価償却費計上(少額減価償却資産の特例) |
少額減価償却資産の特例を使用しない場合
少額減価償却資産の特例を適用しない場合、パソコンは通常の固定資産として計上されます。この場合は、法定耐用年数にわたって減価償却費として計上する必要があります。
※以下は、定額法を採用し、期首に取得して1年間使用した場合の簡易例です。実際には、法人・個人の区分、採用している償却方法、取得月・事業供用月により償却額が異なります。
購入時の仕訳は、以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 工具器具備品 | 280,000円 | 普通預金 | 280,000円 | パソコン購入 |
減価償却費(定額法:1年目の場合)の仕訳は、以下のとおりです。
| 借方 | 貸方 | 摘要 | ||
|---|---|---|---|---|
| 減価償却費 | 70,000円 | 工具器具備品 | 70,000円 | パソコン(耐用年数4年) |
2年目以降も同じように減価償却を行います。
30万円以上のパソコンは通常の減価償却が必要(令和8年4月以後は40万円以上)
購入したパソコンの取得価額が30万円以上となる場合は、少額減価償却資産の特例は適用できません。その場合は、法定耐用年数に基づいて減価償却を行い、毎期ごとに減価償却費を経費または損金として計上していくのが原則です。
なお、令和8年4月1日以後に取得する資産については、取得価額が40万円以上の場合に通常の減価償却が必要となります(令和8年度税制改正大綱による引き上げ予定)。
パソコンの減価償却費の計算方法
減価償却の方法は、「定額法」と「定率法」の2種類があり、それぞれ計算方法や特徴が異なります。
定額法は、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法です。取得価額を法定耐用年数で割ることで、1年あたりの償却額を計算します。定額法では償却額が毎年一定となるため、計算がシンプルで財務計画が立てやすい点が特徴です。
対して定率法は、未償却残高に一定の償却率を乗じて計算する方法です。「未償却残高」とは、取得価額からこれまでに計上した減価償却費を差し引いた残りの金額を指します。
定率法では初年度の償却額が最も大きくなり、その後は減少していきます。
パソコンの法定耐用年数
一般的なパソコンの法定耐用年数は、4年です。これに対して、サーバーとして使用される場合は耐用年数が5年に設定されており、長時間稼働を前提とした機器として扱われます。また、モニターについても耐用年数は5年です。
パソコン本体とモニターを同時に購入した場合でも、それぞれ異なる耐用年数を適用するケースもある点に注意が必要です。
用途や機器ごとに異なる耐用年数を正しく適用することが、適切な減価償却処理につながります。ただし、周辺機器は、パソコン本体と一体で使用するか、単独の器具備品として管理するかにより取扱いが変わる場合があるため留意が必要です。
パソコンには少額減価償却資産の特例が適用できる
30万円未満のパソコンを取得した場合、要件さえ満たせば一括で経費として計上できる少額減価償却資産の特例を利用できます。令和8年度税制改正大綱により、令和8年4月1日以後に取得する資産については上限が40万円未満に引き上げられる予定のため、より多くのPCや周辺機器が対象となる見込みです。
一方で、従業員数要件(400人以下)に厳格化される点や、取得日ベースで新旧基準が切り替わる点には注意が必要です。この特例によって取得費用全額を購入した年の費用として処理でき、キャッシュ・フローの観点からもメリットがあります。
ただし、少額減価償却資産の特例は年間上限額があり、仕訳方法も通常と異なるなどいくつかの注意点もあるため、会計ソフトなどを活用しつつミスのないように処理するよう心がけましょう。
※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
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