• 作成日 : 2025年2月5日

30万円未満のパソコンは少額減価償却資産に該当!仕訳・勘定科目も解説

30万円未満のパソコンは少額減価償却資産の特例を活用することで、取得費用を即時に経費計上可能です。 ただし、適用条件は上限額などいくつか周囲するべきポイントもあります。

本記事では、30万円未満のパソコン取得時にパソコン 少額減価償却資産の特例を使用する際の仕訳方法や注意点を解説します。

少額減価償却資産の特例とは

少額減価償却資産の特例とは、中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合、その取得価額を全額即時に経費として計上できる制度です。この特例を利用することで、通常必要な減価償却の手続きを省略し、税務処理の負担を軽減できます。

ただし無制限に利用できるわけではなく年間の合計取得額は300万円が上限です。またこの特例には期限があり、2025年1月時点では2026年3月31日まで適用となっています。

法人の適用要件

法人が本特例を利用するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

  • 青色申告法人であること
  • 資本金または出資金が1億円以下(中小企業であること)
  • 常時使用する従業員数が500人以下
  • 適用除外事業者(過去3年間の所得金額の年平均額が15億円超)に該当しないこと
  • グループ通算法人に該当しない

上記すべてに該当していても、大規模法人から2分の1以上の出資を受ける法人、2つ以上の大規模法人から3分の2以上の出資を受けている法人は適用外です。

個人事業主の適用要件

個人事業主の場合は、以下の要件を満たさなければなりません。

  • 青色申告を行っていること
  • 常時使用する従業員が500人以下であること

この条件に当てはまらない個人事業主は、少額減価償却資産の特例を使用できません。

30万円未満のパソコンは少額減価償却資産に該当

一般的に事業に使用するパソコンは固定資産として扱われ、法定耐用年数にわたって減価償却を行うのが原則です。しかし、購入金額が30万円未満であり、なおかつ前述した要件を満たす場合は、少額減価償却資産の特例が活用できます。

たとえば、事業を営む法人や個人事業主が、1台あたり25万円のパソコンを購入したとき、一定の青色申告や中小企業者等の要件をクリアしていれば、その25万円分を一括で必要経費または損金に算入可能です。

ただし、パソコン本体だけではなくディスプレイやキーボードなどの周辺機器も取得価額に含まれるため、周辺機器も含めてトータルで30万円以未満に収まっているかに注意しましょう。

30万円未満のパソコン購入時の仕訳・勘定科目

事業用の30万円未満のパソコンを購入した場合の、仕訳方法について、紹介します。

少額減価償却資産の特例を使用(直接費用計上)する場合

パソコンを28万円で購入し、普通預金から支払った場合の仕訳は以下のとおりです。まず工具器具備品として資産勘定に計上します。

借方貸方摘要
工具器具備品280,000円普通預金280,000円パソコン購入

そして、購入と同時に全額を減価償却費として計上します。

借方貸方摘要
減価償却費280,000円工具器具備品280,000円減価償却費計上(少額減価償却資産の特例)

少額減価償却資産の特例を使用しない場合

少額減価償却資産の特例を適用しない場合、パソコンは通常の固定資産として計上されます。この場合は、法定耐用年数にわたって減価償却費として計上する必要があります。

購入時の仕訳は、以下のとおりです。

借方貸方摘要
工具器具備品280,000円普通預金280,000円パソコン購入

減価償却費(定額法:1年目の場合)の仕訳は、以下のとおりです。

借方貸方摘要
減価償却費70,000円工具器具備品70,000円パソコン(耐用年数4年)

2年目以降も同じように減価償却を行います。

30万円以上のパソコンは通常の減価償却が必要

購入したパソコンの取得価額が30万円以上となる場合は、少額減価償却資産の特例は適用できません。その場合は、法定耐用年数に基づいて減価償却を行い、毎期ごとに減価償却費を経費または損金として計上していくのが原則です。

パソコンの減価償却費の計算方法

減価償却の方法は、「定額法」と「定率法」の2種類があり、それぞれ計算不法や特徴が異なります。

定額法は、毎年同じ金額を減価償却費として計上する方法です。取得価額から残存価額を差し引き、その金額を法定耐用年数で割ることで、1年あたりの償却額を計算します。定額法では償却額が毎年一定となるため、計算がシンプルで財務計画が立てやすい点が特徴です。

対して定率法は、未償却残高に一定の償却率を乗じて計算する方法です。「未償却残高」とは、取得価額からこれまでに計上した減価償却費を差し引いた残りの金額を指します。

定率法では初年度の償却額が最も大きくなり、その後は減少していきます。

パソコンの法定耐用年数

一般的なパソコンの法定耐用年数は、4年です。これに対して、サーバーとして使用される場合は耐用年数が5年に設定されており、長時間稼働を前提とした機器として扱われます。また、モニターについても耐用年数は5年です。

パソコン本体とモニターを同時に購入した場合でも、それぞれ異なる耐用年数を適用するケースもある点に注意が必要です。

用途や機器ごとに異なる耐用年数を正しく適用することが、適切な減価償却処理につながります。

30万円未満のパソコンには少額減価償却資産の特例が適用できる

30万円未満のパソコンを取得した場合、要件さえ満たせば一括で経費として計上できる少額減価償却資産の特例を利用できます。この特例によって取得費用全額を購入した年の費用として処理でき、キャッシュ・フローの観点からもメリットがあります。

ただし、少額減価償却資産の特例は年間上限額があり、仕訳方法も通常と異なるなどいくつかの注意点もあるため、会計ソフトなどを活用しつつミスの内容に処理するように心がけましょう。


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