• 更新日 : 2024年10月10日

突合(読み方:とつごう)とは?簡単に解説!

「突合(とつごう)」とは、異なるデータや情報の整合性を確認する作業のことです。

突合は、経理業務や点検作業、レセプト処理などビジネスの多岐にわたる分野で利用されています。突合を行うと、誤りや不整合を早期に発見し、情報の正確性が確保できます。

この記事では、突合の手法や英語での表現、効率化の方法をご紹介します。

突合と照合の違いは?

「突合」と「照合」は、どちらもデータや情報を比較・検証する作業を指しますが、目的や手法には明確な違いがあります。

この章では、これら二つの用語の違いを詳しく解説します。

突合とは

突合とは、複数のデータセットや記録を比較して、一致している部分を見つけ出す作業です。突合の特徴をまとめると以下となります。

  • 目的志向: 突合は、異なる情報源から得たデータの一貫性や整合性を確認するために行われます。 
  • データの統合: 突合により、複数のデータを統合し、全体像を把握できます。
    エラーの検出: 突合により、誤った情報や漏れを見つけ、迅速に対応できます。

照合とは

一方で、照合は、特定の条件や基準に基づいてデータを確認する作業です。照合の特徴は以下です。

  •  基準に基づく確認: 照合は、予め設定された基準に対してデータが満たしているかどうかを確認します。 
  • 部分的な検証: 照合は通常、特定の項目やパラメータのみを比較するため、全体を統合して見ることはありません。
  • 高い精度: 照合は、特定のルールや条件に基づいて行われるため、精度の高さが特徴です。

突合と照合の具体例

最後に、突合と照合の具体的な例を挙げます。

  •  突合の例: 経理部門で異なるシステムから得た売上データと請求データを照らし合わせ、不一致を洗い出す。
  • 照合の例: 商品在庫の数を登録された数量と比較し、実際の在庫数が合致しているか確認する。

突合と照合は、データ管理や分析の際に重要な役割を果たしています。使い分けを理解すれば、業務の効率化に繋がるでしょう。

ビジネスにおける突合

経理業務の突合

経理業務において、「突合」は重要な役割を果たします。突合では、異なるデータや記録を比較し、一致するかどうかを確認します。

経理業務における突合の目的や手法を見ていきましょう。

経理業務の突合の目的

経理業務で突合を行う目的は、以下のようにいくつかあります。

  • データの正確性の確保:財務報告や帳簿の正確な記録を担保するために、各データの一致を確認します。
  • 不正の防止:異なる情報を突合することにより、不適切な取引や誤記入を防げます。
  • 業務の効率化:定期的な突合を行うことで、エラーを早期に発見し、迅速に対応することが可能になります。

経理業務での具体例

経理業務においては以下のような場合に突合が行われます。

  • 銀行取引の突合:銀行口座と帳簿の取引明細を突合し、入出金や手数料が一致しているかを確認します。
  • 請求書と支払いの突合:受領した請求書と実際の支払いを突合し、金額や支払い日が一致しているかを確認します。
  • 売上と売掛金の突合:売上記録と売掛金の残高を突合し、売上が正しく記録されているかを検証します。

経理業務の突合の流れ

経理業務における突合作業は、以下のような手順で行われます。

  1. データ収集:突合を行うための必要なデータを収集します。
  2. 照合項目の選定:何を比較するかを明確にし、照合項目を設定します。
  3. データの比較:選定した照合項目に基づき、データを比較します。
  4. 異常の確認:差異が見つかった場合、原因を確認し、必要な修正を行います。
  5. 記録と報告:突合結果を記録し、必要に応じて関係者に報告します。

経理業務における突合は、企業の財務健全性を維持するために欠かせません。

定期的な突合を実施すれば、正確で信頼性の高い財務情報を確保できます。

点検作業の突合

点検作業における突合は、品質管理や安全性の確保において非常に重要です。

点検作業における突合の具体的な方法や目的について解説します。

点検作業の突合の目的

点検作業の突合は、異なるデータや記録を比較することで、作業の正確性や信頼性を確認することを目的としています。具体的には以下のような目的があります。

  • 不具合の早期発見:点検結果と基準データを突合することで、異常や不具合を早期に発見できます。
  • 業務の標準化: 過去の点検データと比較して作業が標準化されているかを確認し、不整合があればそれを基に改善策を打ち出せます。
  • 記録の正確性: 点検作業に関連する文書や記録の正確性を確保し、信頼性の高いデータに基づいた判断を行うことができます。

点検作業の突合の流れ

点検作業の突合は、以下のような手順で行われます。

  1. 点検基準の設定: まず、点検の基準となるデータを明確に定めます。これには、安全基準や性能基準などが含まれます。
  2. 実施記録の収集: 点検作業を実施した後、その結果やデータを収集します。作業員が記入した点検記録や計測データが一般的です。
  3. 突合作業の実施: 収集した点検データを基準データと比較し、矛盾や不一致を確認します。一般的に、スプレッドシートや専用のソフトウェアを使用します。
  4. 分析と報告: 突合の結果を分析し、不具合や改善点を洗い出します。最後に、結果を関係者に報告し、次のアクションを決定します。

点検作業の突合における注意点

点検作業の突合を行う際には、注意すべき点があります。 

  • データの整合性: 使用するデータが最新であり、正確であることを常に確認する必要があります。古いデータや間違ったデータを使用すると、誤った結論に至る可能性があります。
  • 文書化の徹底: 突合の結果を適切に文書化し、後の参照ができるようにしておきましょう。後の取り組みがスムーズになります。
  • 定期的な見直し: 点検基準や点検手順自体も定期的に見直し、必要に応じて更新が必要です。

レセプトの突合

レセプトの突合は、医療機関における診療報酬請求に関する重要な作業です。詳細を見ていきましょう。

レセプトとは?

レセプトとは、医療機関が保険者に対して提出する請求書のことです。診療内容や処置、薬剤などの詳細が記載されており、保険診療において必要不可欠な書類です。レセプトは、患者に対する医療サービスが適正に行われたことを示すために正確性が求められます。

レセプトの突合の目的

レセプトの突合は、以下の目的を持っています。

  • 請求内容の正確性を確認する
  • 二重請求や不正請求を防止する
  • 医療サービスに対する適正な報酬を確保する

レセプトの突合の流れ

レセプトの突合は、以下のような手順で行われます。

  1. データの収集:診療記録、処方箋、検査結果など、関連するデータを収集します。
  2. 突合の実施:収集したデータをもとに、レセプトの内容と照合を行います。
  3. 確認作業:突合結果に基づき、不一致があった場合にはその理由を確認し、修正します。
  4. 提出:正確なレセプトを保険者に提出します。

レセプトにおける突合の注意点

レセプトの突合を行う際には、注意点があります。

  • 関連法規の遵守:医療に関する法令やガイドラインに従った正確な処理が必要です。
  • データの保管:診療記録やレセプトのデータは適切に管理し、必要に応じて迅速にアクセスできるようにしておくことが重要です。
  • 見直しの実施:突合のプロセスは定期的に見直し、改善を図ることが必要です。

レセプトの突合は、医療業界において欠かせない業務ですが、正確かつ適正な請求を行うためには十分に注意しましょう。

突合を英語で言うと?

「突合」という用語は、日本のビジネスや経理業務においてよく利用されます。

しかし、英語でどのように表現するかは、国や業界によって異なります。

この章では、「突合」という言葉の英語訳と関連する用語について解説します。

突合の英語訳

「突合」は主に「reconciliation」と訳されます。この単語は、「調整」や「一致させる」という意味を持ち、特に経理や財務の分野で頻繁に使われます。

関連用語

突合と関連する用語を以下にまとめます。 

  • Reconciliation: 主に財務や経理における帳簿と実際のデータを照らし合わせる作業。 
  • Verification: データや書類の正確性を確認するプロセス。
  • Match: 2つのデータや情報が一致していることを示す言葉。 

ランダム突合とは

ランダム突合は、特定のルールや基準に従わない形でデータを組み合わせ、確認や照合を行う手法です。通常の突合が特定の条件に基づいてデータを比較するのに対し、ランダム突合では予測不可能な組み合わせでデータを照合します。

ランダム突合では、通常の突合より広範囲なデータの整合性を確認できます。

ランダム突合の目的

ランダム突合には、調査や品質管理、リスク管理に関連する目的があります。

以下に主な目的を挙げます。

  • 不正発見:ランダムに選ばれたデータの比較により、通常見落とされがちな不正や誤りを発見する可能性が高まります。
  • リスク評価:特定のパターンに依存せずにリスクを評価できるため、予期しない問題を早期に発見し対処できます。
  • データ品質の向上:データの整合性を確認し、データ品質の向上に寄与します。

ランダム突合の流れ

ランダム突合の実施手順を紹介します。

  1. データセットの選定:突合を行うデータを選定します。
  2. ランダムなサンプリング:選定されたデータの中からランダムにサンプリングを行います。
  3. データの確認:サンプリングしたデータの内容を突合し、整合性を確認します。
  4. 結果の分析:突合結果を分析し、必要に応じてフォローアップを行います。

ランダム突合は柔軟性がありながらも、効果的なデータ監視の手法です。

特に、金融業界や医療において、高い信頼性が求められるデータ管理の際に頻繁に用いられています。

突合を電子化するには?

突合を電子化すれば、業務の効率化や正確性の向上に繋がります。

ここでは、突合を電子化するための手順やツールについて説明します。

1. 電子化の目的を明確にする

まず、突合を電子化する目的を明確にしましょう。目的によって、導入するツールや手順が変わります。一般的な目的には以下のようなものがあります。

  • 業務の効率化
  • ミスの削減
  • リアルタイムでのデータ確認
  • データの集約と分析の強化

2. 必要なデータを収集する

突合に必要なデータを明確にし、収集します。データ収集の際は、異なるシステム間でのデータ連携を考慮しなければいけません。

  • データベースからの情報抽出
  • CSVファイルやExcelファイルの利用
  • APIを活用した自動取得

3. 専用ツールを選定する

突合を行うための専用ツールを選定します。以下のようなツールが利用されることが多いです。

  • 会計ソフト(例:マネーフォワード クラウド、弥生会計、freeeなど)
  • データ分析ツール(例:Tableau、Power BIなど)
  • 専用の突合システム

4. 自動化の仕組みを構築する

突合作業を自動化する仕組みを構築します。デジタルワークフローの導入やRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用が考えられます。

  • 自動化により人手を介さない突合プロセスを実現
  • 定期的な更新やチェックが自動で行える仕組みの導入

5. テストを実施する

実際に運用を開始する前に、テストを行い、システムの動作やデータの正確性を確認します。問題が発生したら、すぐに対策を講じましょう。

6. 運用と改善を繰り返す

電子化した突合の運用を開始した後も、定期的にレビューを行い、改善を図ります。新たな課題の発見や、業務の変化に応じた調整が必要です。

入金消込の突合を効率化するには?

会計処理における入金消込は、担当者にとって負担の多い経理業務です。

突合を効率化すれば、業務のスピードアップやミスの減少を図れます。

ここでは、入金消込の突合を効率化する方法について詳しく解説します。

自動化ツールの導入

入金消込の作業では、多くのデータを扱うため、自動化ツールの導入が非常に効果的です。自動化ツールを使うことで以下のメリットがあります。

  • 時間の節約: 手作業でのデータ入力を減らし、短時間で突合が可能になります。
  • ミスの削減: 自動化により、ヒューマンエラーが減少します。
  • リアルタイム更新: 入金情報が即座に反映されるため、迅速に対応できます。

マニュアル業務の見直し

現在行っているマニュアル業務を見直し、改善点を見つけることも重要です。次のポイントを確認してみましょう。

  • フローの簡素化: 必要な手続きだけを残し、無駄なステップを削減します。
  • 役割の明確化: 各担当者の責任を明確にして、業務の重複を防ぎます。
  • 定期的な研修: 新しいシステムやツールの利用方法を定期的に研修し、全員が理解している状態を保ちましょう。

デジタル化の推進

紙ベースの資料をデジタル化すると、迅速に情報へアクセスができます。デジタル化のメリットには以下があります。

  • 検索性の向上: デジタル化されたデータはキーワード検索が可能で、必要な情報をすぐに見つけられます。 
  • データ管理の効率化: デジタルシステムを使ってデータを一元管理することで、情報の整合性を保ちやすくなります。
  • バックアップの容易さ: デジタルデータはバックアップを取りやすく、万が一の際も安心です。

データベースの活用

データベースを活用することで、入金情報の突合をスムーズに行えるようになります。具体的には次の点が重要です。

  •  一元管理: 全ての取引データを一つのデータベースで管理することで、簡単に情報を突合できます。
  • 連携機能: 他のシステムやツールとも連携し、自動で情報を取得する仕組みを作ります。
  • 分析機能: 突合結果を分析して、入金傾向や問題点を把握することが可能です。業務プロセスを見直し、最適なツールや仕組みを導入することで、よりスムーズに業務を進めることができるでしょう。

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