• 更新日 : 2025年1月10日

懇親会の会費は経費計上できる?個人事業主の場合や勘定科目について解説

クライアントを招待した懇親会の会費などは接待交際費として経費計上できます。ただし、接待交際費として計上するには条件があるため注意が必要です。

本記事では、懇親会の会費を経費計上できるのかについて解説します。従業員全員を対象とした場合や一部の部署で開催する場合などの扱いについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

クライアントを招待した懇親会費用は経費になる?

クライアントを招待した懇親会費用は、接待交際費として経費計上できます。

接待交際費として計上できる

クライアントを招待した懇親会費用は、接待交際費として経費計上可能です。接待交際費とは、得意先や仕入先などのクライアントをもてなした場合や、金品をふるまった場合にかかった費用に対して用いる勘定科目を指します。

代表的な接待交際費には、次のようなものが挙げられます。

  • 飲食代
  • 会場代
  • 参加者へのプレゼント代
  • お中元・お歳暮費用
  • クライアントを招待した旅行やゴルフ費用 など

1人当たり10,000円以下の場合は会議費として計上する

クライアントを招待した懇親会費用のうち、1人当たり1万円以下の場合は会議費として計上することが可能です。1人あたりの費用が1万円以下(税抜経理の場合は税抜金額、税込経理の場合は税込金額で判定)の場合は接待交際費には該当しません。

クライアントを招待した懇親会でかかった飲食代が3万円(5人で)かかったとすると、1人あたりの金額は6,000円です。この場合、1万円に満たないため接待交際費として計上しなくても良いです。

また、日付や参加者の名前、人数、関係性、合計金額、場所などを記載した書類を保存しておかなければなりません。

従業員全員を対象とした懇親会費用の経費計上

従業員全員を対象とした懇親会費用の扱いはどうなるのでしょうか。従業員全員が参加可能な懇親会であれば、福利厚生費として処理できます。従業員全体が参加可能であるという条件さえ満たせば、実際に欠席者がいても問題ありません。

部署単位で行う場合も、全部署対象で1人当たりの支出がおおむね一律な場合は福利厚生費として計上可能です。なお、従業員全員を対象とした懇親会費用の上限に関して、明確な上限は設けられていません。あくまでも、常識の範囲内であることが重要です。一般的には、上限を5,000円程度で捉えるケースが多いようです。

従業員全員を対象とした懇親会のあとに、各々で二次会を開くこともあるでしょう。二次会は自由参加であるため、接待交際費として処理するのが一般的です。

従業員全員を対象とした場合の仕訳については、以下を参考にしてください。

■ 懇親会の開催で15万円かかった(30人参加)

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福利厚生費150,000円現金150,000円懇親会費(30人参加)

一部の部署で開催する懇親会費用の経費計上

部署懇親会のように、社内の一部の部署だけで懇親会を行うケースもあるでしょう。その場合は、社内飲食費として計上します。前述したように、部署懇親会を会社行事としてすべての部署で行う場合は、福利厚生費として計上可能です。

一部の部署で開催した懇親会費の仕訳については、次の表のとおりです。

■ 一部の部署で行った懇親会で5万円かかった(10人参加)

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社内飲食費50,000円現金50,000円部内懇親会費(10人参加)

ランチミーティングや忘年会の費用は経費になる?

ランチミーティングや忘年会の費用についても経費になるのか解説します。まずは、ランチミーティングについてです。1人5,000円までのランチミーティングであれば、会議費を使用します。その際は、領収書や参加者の名前、飲食店名など証拠となる資料を残しておく必要があります。

ランチミーティング時の仕訳表は、次のとおりです。

■ ランチミーティングで2万円かかった(5人参加)

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会議費20,000円現金20,000円ランチミーティング費(5人参加)

忘年会は交際費ではなく、福利厚生費として処理できます。一部の社員だけが参加した忘年会の場合は、社内飲食費扱いになるため注意しましょう。あくまで、全社員が参加することが前提の忘年会であれば福利厚生費として処理できます。

また、忘年会で出される景品が社員の誰にでも当たる可能性があるのであれば、景品代も福利厚生費として処理可能です。ただし、現金や金券を景品とした場合は給与扱いとなるため、注意しましょう。

忘年会時の仕訳表は、次のとおりです。

■ 忘年会の開催で100万円かかった(200人参加)

借方貸方適用
福利厚生費1,000,000円現金1,000,000円忘年会費(200人参加)

個人事業主が懇親会に参加したら経費になる?

個人事業主が懇親会に参加した場合は、接待交際費として経費計上します。該当するのは、クライアント開催の飲み会や食事会などです。

■ A社の開催した懇親会への参加費用として1万円を支払った場合

借方貸方適用
接待交際費10,000円現金10,000円A社懇親会参加費用

懇親会費用を経費計上する際に注意するポイント

懇親会費用を経費計上する際の注意点は次の3つです。

  • 接待交際費の計上上限額に留意する
  • 領収書を適切に保管する
  • 私的な飲食費と混同しない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

接待交際費の計上上限額に留意する

接待交際費の計上上限額に留意しましょう。接待交際費を経費として計上可能な額には上限が定められています。資本金が1億円超100億円以下の企業は接待飲食費の50%です。

中小企業の場合は、「接待飲食費の50%」または「年間800万円まで」のいずれかを選択することになります。知らずに異なる勘定科目を使用しないように注意しましょう。

領収書を適切に保管する

接待交際費に限らず、経費計上するためには領収書やレシートなどの証明書が必要です。領収書やレシートなどの証明資料がなければ、経費として計上できなくなるため注意してください。

また、法人税法では領収書について保存が義務づけられています。保存期間は、事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(繰越欠損金の控除を受ける場合は10年間)です。

領収書を保管するとともに、誰がどういう目的で使用したのかを後から把握できるように、参加人数や参加者の氏名などを一緒に記載しておきましょう。

私的な飲食費と混同しない

私的な飲食費と混合しないようにすることも重要です。接待交際費の上限に達していないからといって、私的な飲食費まで接待交際費として計上しないようにしましょう。そのまま計上すると、税務署からの指摘によってバレる恐れがあります。

私的利用が発覚した場合、減給処分だけではなく、最悪の場合は懲戒解雇となる恐れもあるため、混同しないようにしましょう。

懇親会費用の正しい扱いを理解しよう

クライアントを招待した懇親会費用は接待交際費として経費計上できます。飲食代や会場代、参加者へのプレゼント代などを経費として計上可能です。ただし、かかった費用が1人当たり1万円以下の場合は、会議費として計上することが可能です。

従業員全員を対象とした懇親会や一部の部署で開催する懇親会など、開催する目的に応じて仕訳方法が異なるため、間違った勘定科目を用いないように正しい知識を身につけておきましょう。


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