- 更新日 : 2026年1月8日
売上原価対立法とは?三分法や分記法との違いから仕訳例までわかりやすく解説!
商品売買時に仕訳する際の記帳処理方法には、「売上原価対立法」「三分法」「分記法」などがあります。売上原価対立法は、商品売買を「商品」「売上」「売上原価」の3つの勘定科目で仕訳する点が特徴です。
どの処理方法を用いるかによって、記帳のスピードや決算整理の手間が異なります。本記事で売上原価対立法の特徴や仕訳例を確認していきましょう。
目次
売上原価対立法とは?
売上原価対立法は商品売買の記帳処理方法のひとつです。「商品勘定」「売上勘定」「売上原価勘定」の3つを使用します。
おおまかな流れを4つのステップで確認しておきましょう。
- 商品仕入時に、原価を「商品勘定」の借方に記帳
- 商品販売時に、売価を「売上勘定」の貸方に記帳
- 2と同じタイミングで、商品の原価を「商品勘定」の貸方から「売上原価勘定」の借方へ振替
- (決算整理仕訳は不要)
売上原価対立法の仕訳例
「仕入」「売上」「決算」「返品」の4つのケースで、具体的な数字を用いて売上原価対立法の仕訳例を確認していきましょう。
仕入時の仕訳
まず、1万円の商品を現金で仕入れました(1)。売上原価対立法による仕訳は以下の通りです。
商品勘定の借方に、仕入原価である1万円を記入します。また、支払いが現金ではなく、掛けの場合、以下のような仕訳です。
売上時の仕訳
続いて1万円で仕入れた(1)商品のうち、5,000円分を8,000円の売値で販売することができました(2)。仕訳は以下の通りです。
まず売価8,000円を「売上勘定」の貸方に記帳します。販売した分の商品原価5,000円を「商品勘定」の貸方から「売上原価勘定」の借方へ振り替えます。
決算時の仕訳
決算時に、期末商品が1,500円のケースで仕訳を考えます。しかし、売上原価対立法では、決算整理仕訳は必要ありません。商品勘定と売上原価勘定は、それぞれ期末商品と売上原価の金額になることが、決算整理仕訳が不要である理由です。
ただし、棚卸減耗損や商品評価損を売上原価に含めるケースのように、決算整理仕訳が必要になることもあります。
返品時の仕訳
(2)の後に、1,000円分の商品(売価1,600円)が返品されたため、現金で返金しました(3)。この場合の仕訳は以下の通りです。
返品時には、販売した際との逆仕訳で対応します。掛けで販売しており、掛け代金から相殺する場合は、「現金」の部分が「売掛金」です。
分記法・三分法との違い
商品売買では、売上原価対立法以外にも分記法や三分法といった記帳処理方法が存在します。各処理方法によって、メリットデメリットが異なるため、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。
まず下表で「仕入」「売上」「決算」「返品」における仕訳例を比較しましょう。
| 売上原価対立法 | 分記法 | 三分法 | |
|---|---|---|---|
| 仕入 | (商品)100 (現金)100 | (商品)100 (現金)100 | (仕入)100 (現金)100 |
| 売上 | (現金)150 (売上)150 (売上原価)100(商品)100 | (現金)150 (商品)100 (商品販売益)50 | (現金)150 (売上)150 |
| 決算 | 無し | 無し | 前期からの繰越 (仕入)15 (繰越商品)15 翌期への繰越 (繰越商品)20 (仕入)20 |
| 返品 | (売上)75 (現金)75 (商品)50 (売上原価)50 | (商品)50 (現金)75 (商品販売益)25 | (売上)75 (現金)75 |
分記法との違い
売上原価対立法では、商品売買の仕訳を「商品」「売上」「売上原価」という3つの勘定科目で対応するのに対し、分記法は「商品」「商品売買益」の2つで仕訳をおこないます。決算整理が不要な点は売上原価対立法と同じです。
販売時の仕訳は売上原価対立法の方がやや手間がかかります。分記法を発展させた形が売上原価対立法と考えることもできるでしょう。
三分法との違い
三分法は、「仕入」「売上」「繰越商品」という3つの勘定科目で仕訳をおこないます。仕入時、販売時に「仕入」「売上」の金額をそのまま計上することができるため、多くの企業で用いられる方法です。
三分法を用いることで、スムーズに記帳処理することができます。一方で、売上原価対立法や分記法と異なり、決算処理を要する点がデメリットです。
売上原価対立法のメリットは?
ここまでに説明してきた特徴からもわかるように、商品売買における決算整理仕訳が不要な点が売上原価対立法のメリットです。また、売上の度に売上勘定や売上原価勘定が積み上がっていくため、リアルタイムに売上や売上原価が把握できます。
売上高と売上原価がわかれば売上利益率なども算出できるため、自社の業績や経営状況がつかめる点もメリットです。
売上原価対立法のデメリットは?
都度、売上原価を把握しておかなければならない点が売上原価対立法のデメリットです。また、三分法と比べると日々の仕訳に時間がかかります。
実務面でみても、三分法や分記法を用いている企業の方が多いです。例えば、商品の種類が多い小売業などでは三分法、不動産業のように商品の種類が少ない業種では分記法を用いる傾向があります。
売上原価対立法について理解できましたか?
売上原価対立法は、リアルタイムでの業績管理で効果的な方法です。その一方で、都度売上原価を把握しておかなければならない点が手間となるでしょう。
依然として実務面で三分法や分記法を用いる企業は多いです。しかし、より迅速な経営判断が求められる近年では、売上原価対立法も注目を集めはじめています。
自社の経営方針を踏まえ、売上原価対立法も検討してみてはいかがでしょうか。
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よくある質問
売上原価対立法とは?
商品売買の記帳処理方法のひとつで、「商品勘定」「売上勘定」「売上原価勘定」という3つの勘定科目を使用します。 詳しくはこちらをご覧ください。
分記法との違いは?
3つの勘定科目を用いる売上原価対立法に対し、分記法は「商品」「商品売買益」の2つで仕訳をおこないます。 詳しくはこちらをご覧ください。
三分法との違いは?
三分法の方がスムーズに記帳処理できますが、売上原価対立法と異なり決算整理仕訳が必要となります。 詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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