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  • 作成日 : 2020年11月6日

簿記とは?意味は?資格をとるなら?初心者でもわかりやすく基本を解説!

商品売買、固定資産の購入、飲食をともなう打ち合わせなど、会社では、日々さまざまな取引や活動が行われています。「簿記」とは、そういった企業活動を記録するものです。簿記により記録され、整理された情報は、企業の財政状態や経営成績、キャッシュフローといった、財務状況を知るための決算書作成に利用されます。

簿記を理解することは、実務的な処理を行う経理事務には必須です。公認会計士や税理士といった国家資格の取得を目指している人についても、簿記の知識が試験範囲内に含まれること、専門知識の基礎になることから、重要といえるでしょう。直接実務に関わらないビジネス・パーソンにおいても、会社の経営状況を理解し、コスト意識をもつためには、簿記は身に付けておきたい知識です。

そこで今回は、そもそも簿記とは何か、簿記をはじめて知る人に向けて、簿記の概要と基本、関連する資格について解説していきます。

簿記とは?簡単に説明

簿記とは何か、簡単に説明すると、日々の企業のお金の出入りや取引を記録(帳簿記入)し、一定の期間(通常は1年)ごとに決算を行い、報告書にまとめる作業のことです。決算とは、一定期間の利益や損失を確定させることを指します。

簿記による取引記録のルールは、特に簿記初心者にとっては複雑な部分もありますが、最終的に整理した決算書は、はじめてでもわかりやすく読み取れるよう、項目ごとに決まった名称でまとめられています。このような記録から整理までの簿記を実行する仕事を「経理」といいます。

また、簿記に関連して耳にすることの多い「会計」とは、投資家や債権者など、企業外部の利害関係者に向けて、簿記による結果を決算書により報告することです。

ちなみに、英語で簿記は「bookkeeping」と書き、読み方は「ブックキーピング」です。

簿記の知識が役立つのはどんなとき?

簿記の知識が役立つ場面と言えば、経理を想像する人が多いかもしれませんが、生かせるのは経理だけではありません。簿記の知識は、経理職以外のさまざまな用途で使えます。例えば、以下のようなメリットが考えられるでしょう。

  • 会計的な考え方でビジネスを見られるようになる
  • 簿記をベースにした計算でコスト意識が養える
  • 経営管理や財務分析の理解が進む
  • 会社のキャッシュフローの予測ができる
  • 取引先の経営成績に不安はないかチェックできる
  • 投資先としての価値や成長の予測ができる

このように、直接経理に携わらない経営者、ビジネスマン、一般の人においても、簿記の知識は役に立ちます。

簿記の目的は「決算書」

簿記の目的は、事業単位ごとの決算書を作成することです。決算書の種類は、株式を公開する大会社を中心とした金融商品取引法、すべての企業を対象にした会社法で異なりますが、いずれにも共通し、よく知られているのが貸借対照表」と「損益計算書です。

貸借対照表は決算日の資産、負債、純資産(資本)の状況、つまり会社の財政状態を表したものです。損益計算書は、一会計期間の収益と費用を集計した、会社の経営成績を示した書類となります。

いずれも会社の経営状態を示す重要な書類であり、社内報告に活用されるだけでなく、金融機関などの債権者、株式会社であれば投資家などにとって、重要な判断材料となります。さらに、決算書は、企業が法人税を申告する際のベースの資料としても必要なものです。このように、簿記の目的である決算書は、利害関係者や投資家への企業の経営状態の公開、税務申告に活用されています。

簿記の基本

どのような流れで手続きが行われるのか、どのような種類があるのか、簿記の基本的なことを、まずは解説していきます。

基本的な簿記の仕組みと流れ

会社の取引を、ルールに従い仕訳して、決算書を作成するまでの簿記の流れを、「簿記一巡の手続」と言います。簿記一巡の手続きのフローは以下の通りです。

  • 仕訳
  • 仕訳とは、会社の取引を勘定科目に置き換えて、適当な勘定科目に振り分けることです。入金伝票(現金が入る取引)、出金伝票(現金が出ていく取引)、振替伝票(そのほかの取引)に分けて、勘定科目と金額、日付、などを記録します。

  • 総勘定元帳への転記
  • 仕訳を行った取引について、総勘定元帳(勘定科目ごとに取引を記録する帳簿)へ転記します。

  • 決算整理
  • 資産や負債を決算日時点の価格に評価し直すため、決算整理といわれる仕訳を行います。

  • 貸借対照表と損益計算書への振り分け
  • 日々の仕訳、決算整理仕訳により勘定科目に割り振られた取引は、最終的に貸借対照表の資産、負債、純資産、また損益計算書の収益、費用に振り分けられます。

簿記の種類は2つ

簿記の方法は、「単式簿記」、「複式簿記」の2つに分けられます。単式簿記は、主に現金の増減を単一の勘定科目で示した簡易的な方法です。複式簿記は、1つの取引を複数の勘定科目に振り分ける方法で、単式簿記では不足する情報を補った、より正確な簿記です。

単式簿記や複式簿記の詳細は、次の記事、「簿記の基本をおさえよう!複式簿記と単式簿記の違い」を参考にしてください。

簿記における仕訳

簿記は、取引を仕訳することから始まります。仕訳とは、お金の動きや取引を、勘定科目に振り分けることです。複式簿記の場合、以下のように、取引を借方(左側)と貸方(右側)に分けて仕訳します。

仕訳のステップ

  1. 取引の金額が借方=貸方になるよう、発生原因と結果に分ける
  2. 取引内容を適当な勘定科目に当てはめる
  3. 借方と貸方に分けて記入する

取引発生から仕訳までのステップを図にすると、以下のような流れです。

借方・貸方の覚え方

複式簿記の借方、貸方は、それぞれ借方(かりかた)、貸方(かしかた)と言います。基本的な会計用語ですが、はじめのうちは左側なのか右側なのか分かりにくいかもしれませんので、ひらがなに崩して、以下の画像のようなイメージで覚えると良いかもしれません。それぞれ“り”と“し”が異なりますので、“はらい”がどちらを向いているかで判断すると、借方と貸方の位置を覚えやすいです。

仕訳については、「仕訳帳とは?書き方や記入例、帳簿付けの流れを解説」の記事で詳しく紹介していますので、こちらの記事も参考にしてみてください。

勘定科目を使った仕訳例

企業の取引内容は、仕訳された後、最終的には決算書作成に使われると説明しました。仕訳で使われた勘定科目は、貸借対照表の資産、負債、純資産に、または、損益計算書の費用や収益に分類されます。そして、企業の財務分析や法人税の確定申告に使われます。

以上のように、それぞれの勘定科目は、資産・負債・純資産・費用・収益のいずれかに分類されますが、どのような取引内容がそれぞれの項目に該当するのでしょうか。この項では、資産・負債・純資産・費用・収益の概要と仕訳例を紹介します。

資産を仕訳するときの例

公益財団法人財務会計基準機構の内部組織である企業会計基準委員会が公開している討議資料「財務会計の概念フレームワーク」によると、資産とは「報告主体(企業)が支配する経済的資源」と定義されています。簡単に説明すると、企業が金銭や事業のために所有するモノや権利のことです。資産に関連する仕訳をいくつか解説していきます。

例1.事務用机1台20万円を3台購入し現金で支払った。
借方
貸方
工具器具備品600,000現金600,000

上記の仕訳は、事業で使用する事務机を購入したために、現金が減少したことを示しています。事業用に使用する工具器具備品(資産)に分類される事務用机が増えたので借方に、現金(資産)が減少したので貸方に、それぞれ仕訳します。現金は減ったものの財産は減少していないので、資産―資産の仕訳です。

例2.従業員の出張に際し5万円を現金で仮払いした。
借方
貸方
仮払金50,000現金50,000

仮払いにより仕訳の原因は発生したものの、仮払いされた額はまだ費用として精算されていないため、仮払金(資産)に振り分けます。

負債を仕訳するときの例

概念フレームワークによると、負債は「報告主体(企業)が支配する経済的資源を放棄、または引き渡す義務」と定義されています。融資を受けて企業の資産として活用されるものの、いずれは返さなければならない「借入金」などが負債の具体例としてはイメージしやすいでしょう。簡単に言えば、企業のマイナスの財産が負債です。負債に関連する仕訳をいくつか見ていきましょう。

例1.買掛金50万円を当座預金から支払った。
借方
貸方
買掛金500,000当座預金500,000

商品を仕入れたときに発生した買掛金(負債)を当座預金で支払ったときの仕訳です。当座預金(資産)は企業が取引用に利用する預金の一種で、支払うことによって預金が減額するため、「当座預金」を貸方に仕訳します。

例2.20万円の買掛金支払のために約束手形を振り出した。
借方
貸方
買掛金200,000支払手形200,000

企業が商品などを仕入れたときの未払の代金、買掛金(負債)を約束手形(負債)で支払ったときの仕訳です。約束手形を振り出しても、現実には現金などの資産はまだ減少していないため、負債―負債で仕訳をします。

例3.80万円の借入金を普通預金から返済した。
借方
貸方
借入金800,000普通預金
800,000

借入金(負債)を返済したときの取引の仕訳です。普通預金が減少したので貸方、貸方にあった借入金が減少したので、借方に借入金を振り分け、借入金を帳簿上から取り消す処理を行います。

純資産を仕訳するときの例

純資産は、資産と負債の差額です。返済の必要がない資本金(株式会社なら株主が払い込んだ金銭)、毎期の利益増加分などが純資産に含まれます。

例1.新株を発行し、普通預金に1,000万円の払い込みを受けた。全額を資本金とする。
借方
貸方
普通預金10,000,000資本金10,000,000

仕訳例は、株式会社が新株を発行し、払込みを受けた全額を資本金にしたときの仕訳です。資産である普通預金が増加したので、普通預金を借方、払い込みと同時に資本金が増加したので資本金を貸方に振り分けます。

費用を仕訳するときの例

概念フレームワークによると、費用は「純利益を減少させる項目」と定義されています。費用の多くは事業のために要したもので、販売する商品を仕入れるためにかかった額、事務所家賃や水道光熱費など、事業の運営にかかった額を表します。これに加え、固定資産の評価が著しく低下したことによる評価の切下げ額など、損失も費用の一種です。費用に分類される項目は多岐にわたるので、主要なものをここではいくつか取り上げます。

例1.商品30万円を掛で仕入れた。
借方
貸方
仕入300,000買掛金300,000

費用は発生した段階で認識するため、借方に仕入(費用)、代金は未払いなので、貸方に買掛金(負債)を振り分けて仕訳します。

例2.従業員5名分の給与100万円を普通預金より支払った。うち20万円を社会保険料等で天引きした。
借方
貸方
給与賃金1,000,000普通預金800,000
預り金200,000

従業員の給与は、給与賃金(費用)に振り分けられます
。社会保険料、源泉徴収税、雇用保険料など、従業員の給与から天引きし、後日会社が支払うものは預り金(負債)です。天引き分を差し引いた差額80万円は、普通預金から実際に出金した額で、資産の減少(貸方)で処理します。

例3.取引先訪問のために5,000円の手土産を現金で購入した。
借方
貸方
接待交際費5,000現金5,000

取引先に対する接待や贈答などは、接待交際費(費用)の勘定科目で処理します。この仕訳の場合、手土産の購入にともない現金が減少しているので、現金(資産)は貸方に振り分けられます。

例4.収入印紙5万円分を購入し現金で支払った。
借方
貸方
租税公課50,000現金50,000

収入印紙代や固定資産税など税金に関する内容は、通常、租税公課(費用)で処理します(ただし、法人税や法人住民税、法人事業税、などは租税公課には含めず別途処理します)。収入印紙の購入で現金が減少しているので、貸方は現金です。

例5.コピー用紙や筆記用具3,000円分を購入し現金で支払った。
借方
貸方
消耗品費3,000現金3,000

事務用品のうち少額なもの(1つあたり10万円未満)は、消耗品費(費用)として処理します。仕訳例では、コピー用紙と筆記用具を購入していますが、いずれも消耗品費に分類されるため、まとめて計上して問題ありません。現金が減少しているので、貸方は現金(資産)です。

収益を仕訳するときの例

概念フレームワークによると、収益は「純利益を増加させる項目」と定義されています。売上や利息の受け取りなどが、収益に分類されます。収益と似た言葉に「利益」がありますが、利益は「収益-費用」の差額で、費用より収益が上回ったときに発生するものです。収益と利益は異なります。

例1.商品の販売により200万円を売り上げた。代金は全額掛けとする。
借方
貸方
売掛金2,000,000売上2,000,000

簿記の資格は必要?

簿記の技術やレベルを測る、簿記に関連する資格には、建設業など特定の業種についての試験も含め、さまざまな種類があります。中でもよく知られているのが、日商簿記検定試験、簿記実務検定試験(全商簿記検定)、簿記能力検定(全経簿記検定)です。

全商簿記検定は、商業高校や普通科のビジネスコースなど、高校の授業で使われる教科書をベースにした検定試験です。主に高校生の学習成果を図ることを目的に活用されています。

日商簿記検定や全経簿記検定は、会計の基礎から、企業の経理担当者までを想定した試験です。上位の試験になると、全商簿記よりも高度な知識が必要で、日商簿記検定1級や全経簿記検定上級では、商業簿記や工業簿記だけでなく、会計学も出題範囲に含まれます。受験資格については、いずれの検定試験も制限はありません。社会人はもちろん、中学生や高校生など、年齢問わず受験が可能です。

このように、簿記にも資格試験が存在します。それでは、簿記の資格は必要な資格といえるのでしょうか。この項では、簿記の資格の必要性について触れます。

資格があると役立つシーン

簿記の資格が役立つのは、主に簿記の知識が必要な仕事に就くときです。例えば、就職や転職で経理事務を希望するときに、資格を取得していることが有利に働くことがあります。まったくの未経験や知識がないよりは、簿記に関する知識がある人の方が即戦力になるためです。

例えば、日商簿記検定の場合、実務レベルの会計処理が問われる2級以上であれば、履歴書や面接でアピールするのに十分なレベルといえるでしょう。

日商簿記検定1級、あるいは全経簿記検定の上級に合格すれば、税理士試験の資格による受験資格を満たすことになりますので、ほかの条件に満たない場合でも税理士試験の受験が可能になります。簿記の知識や技術を磨けば、税理士試験や公認会計士試験に合格し資格を得る、会計的な知識を生かして財務部門へ異動するといったキャリアアップもできるかもしれません。

このように、簿記の資格をもっていることは、主に仕事の面でメリットがあります。

資格を取るには

簿記の試験は、日商簿記検定のように、3級、2級、1級と、問題の難易度が複数設けられていることが多いです。これから学習を始めたいと考えている簿記初心者は、合格率が高く、比較的難易度の易しい試験から受験をはじめると、自信をもって次の試験に取り組めるのではないでしょうか。

一方、「すごい」と言われるような日商簿記検定1級程度になると、問題集などを使って独学で合格するのは難しくなります。難易度の高い試験は試験範囲も広くなりますので、効率良く学習するために、通信講座などを活用してみるのも良いかもしれません。

簿記とは覚えておいて損のない知識

簿記とは、日々企業で行われる取引を記録し、一会計期間ごとに決算書として整理することです。経理の仕事においてはもちろん、簿記の知識は、一般のビジネス・パーソンも理解しておいて損のない知識です。取引先の経営状態、コスト意識、企業の財務分析など、さまざまな面において活用できます。

日商簿記検定試験など、簿記の知識や能力を測る試験もありますので、簿記のレベルを確認するために受験してみるのも良いでしょう。キャリアアップを考えるなら、より難易度の高い簿記検定試験にチャレンジしてみるのもおすすめです。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岩波 竜太郎 (公認会計士 / 税理士 / 経営学修士)

公認会計士・税理士・経営学修士。大手監査法人、ベンチャー企業を経て、2015年に独立開業。大手監査法人での海外経験や管理本部長としての幅広い経験を武器に会計アドバイザリー業務を主たる業務として行うとともに、東証1部上場企業である株式会社OrchestraHoldingsの社外役員をはじめ、経営アドバイザーとして複数の企業に関与。Webメディア等の記事執筆・監修業務も積極的に行っている。

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