• 更新日 : 2023年7月28日

会計業務とは?業務内容と流れを解説 経理・財務との違いも

会計業務とは?業務内容と流れを解説 経理・財務との違いも

「会計業務」と、「経理」や「財務」との違いについて、なんとなく認識している人が多いのではないでしょうか。この記事では、その「なんとなく」を明確にわかりやすく解説します。会計業務の基本はもちろんのこと、必要となるスキルやリモートワークの可能性、今後の業界動向まで、幅広く紹介していきます。

会計業務とは?

会計業務とは、お金の出入りを帳簿に記載して決算を行うといった、一連の記録をまとめる業務のことです。帳簿に記載することは「仕訳(しわけ)」といい、決算では仕訳を見やすいように集計・加工します。

ここでの「帳簿」には、どのような会社でも作成しなければいけない「主要簿」(仕訳帳総勘定元帳)と、会社が任意で作成する「補助簿」(現金出納帳・得意先元帳など)があります。

なお、会計業務を行う目的は大きく分けて以下の3つです。

  • 外部への開示
  • 税金の計算
  • 内部の管理

「外部への開示」は、「決算書」と呼ばれる、会計業務によって作成される財務諸表を社外へ開示することです。
株主や取引先、投資家などは決算書を通して、その会社にどれだけの利益が出ているか、財産はどのぐらいあるのかといった情報を確認することができます。決算書の開示については、会社法や金融商品取引法、その他の法律で義務付けられていることがほとんどです。

「税金の計算」は、主に法人税や法人住民税、事業税の計算のことを指します。これらの税金を正しく計算するには、日々の売上や仕入などを記録した帳簿・決算書から、利益を算出しなければいけません。なお、ほぼすべての会社には納税する義務があります。

「内部の管理」は、会計業務で記録した情報を経営管理に役立てることをいいます。
どのような経営管理を行うかは会社によって違うため、これを義務化している制度はありません。

会計業務の種類

会計業務は、会社が義務として行う業務と、会社が任意で行っている業務とに分けることができます。

義務として行う会計業務は「財務会計」といわれることが一般的です。
上述したように、決算書の開示や、法人税などの計算は、法律や制度によって義務付けられているため、ほとんどの会社は会計業務を行わなければいけません。さらに、財務会計には「会計基準」などといったルールがあり、これに従って帳簿と決算書を作成していくことになります。

任意で行う会計業務は「管理会計」といわれています。
管理会計は「自社の経営を管理するために行う会計」という意味です。会社の規模や業種によって管理の方法は異なるため、会社独自のルールで行っていることもあります。また、通常の仕訳だけでなく、労働時間などといった、さまざまな数値を記録することもあります。

経理・財務・会計の意味の違いは?

会計業務に似た意味を持つ言葉として、「経理」「財務」「会計」があります。
それぞれの意味と範囲を説明していきましょう。

まず、経理には広義と狭義があります。

広義では、売上の入金確認や立替経費の精算、銀行とのやり取りや税金の納付など「会社の経理部が行う業務全般」を指していることが多く、会計業務もその中に含まれます。

一方で狭義の場合、帳簿に記載すること、つまりは仕訳を意味します。
法人税については「損金(そんきん)経理を行う」ということがよくありますが、これは「費用として仕訳を行う」意味になります。

次に、財務は文脈によって多義的ですが、主に資金調達や投資を意味します。
具体的には、銀行からの借入や設備などへの投資、資金繰りなどです。「財務会計」といったときには「会社のお金に関すること」というような抽象的で広範囲な意味にもなります。

最後に、会計は「数えて記録する」ことを意味します。
例えば、コンビニやスーパーなどでの「お会計」が思い浮かぶのではないでしょうか。
なお、会社の経理部内での「会計」は、会計基準や帳簿・決算書を指します。これは、会計基準と法人税を区別するための使い方です。

会計業務の一覧

会計業務では、主に以下の仕訳を行います。

  • 売上
  • 仕入
  • 給与
  • 経費
  • 決算
  • 税金

これらの仕訳を帳簿に記載後、集計・加工を行います。

会計業務の流れ

ここからは「年間」「月間」「1日」と3つ分けて、期間ごとの会計業務の流れを説明していきます。

年間の業務フロー

年次で行う会計業務は主に以下の4つです。

  • 給与と年末調整の仕訳入力
  • 年次決算の仕訳入力
  • 法人税等の計算と仕訳入力
  • 決算書作成

会社では年末調整と決算が年に一度行われます。会計業務が忙しくなるのは、特に決算のときです。

決算の流れはまず、決算整理仕訳を入力し税引前の利益までを確定させます。利益が確定すると法人税などの計算と確定申告書を作成、法人税などに関する仕訳を入力します。そして、日々記載してきた仕訳から決算仕訳までを集計・加工し、決算書を作成します。

月間の業務フロー

月次で行う会計業務は主に以下の4つです。

  • 売上の仕訳入力
  • 仕入の仕訳入力
  • 給与の仕訳入力
  • 月次決算(任意)

会社では、基本的に月締めで請求書領収書を発行します。この場合、月単位で売上や仕入の仕訳を記載していくことになります。月締めでない場合は、発生の都度、仕訳を入力します。

会社の経営管理方針によっては月次で簡易的に決算を行うことがあるほか、月次試算表で代用することもあります。

なお補足として、「試算表」とは、記載してきた仕訳を勘定科目ごとに集計したものを指します。会計ソフトでは自動で作成される場合がほとんどです。

1日の業務フロー

日次で行う会計業務では主に、経費の仕訳を記載します。
経費には、消耗品費や従業員の出張旅費、雑費などがあります。従業員が多い会社は必然的に経費を記載する件数も多くなります。

会計業務を担当するために必要なこと

会計業務を担当するにあたって必要なことをいくつか挙げましょう。

必要な知識・スキルは

会計業務は大きく分けると、日常的な仕訳と決算です。会計業務を行う上では基本的な仕訳ができることが求められ、簿記3級程度の知識が必要となります。
さらに仕訳は、会計ソフトや表計算ソフトなどで入力することがほとんどのため、PCを操作できるスキルも大切です。

持っていると有利な資格

会計業務を行うにあたって必要な資格はありませんが、上述した通り簿記3級程度の知識は必要です。もしキャリアアップなどを考えるのであれば、簿記1級や2級、税理士、公認会計士の資格があると有利に働くでしょう。

未経験からでも担当可能か

会計業務は未経験からでも担当可能です。初めのうちは、会計ソフトや表計算ソフトに慣れるために、日常的な仕訳を入力する業務を行うことになります。
もちろん個人差はありますが、簿記3級程度の知識は一般的に1カ月から3カ月程度の勉強で身に付くため、未経験でもハードルは高くありません。

会計業務のこれから

AI技術の発展、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うリモートワークの広まりといった情勢に沿って、会計業務の形も変わりつつあります。「会計業務のこれから」について考察していきましょう。

AI時代で会計業務は不要になる!?

近年、AIの導入による業務効率化が進んでいますが、その影響は会計業務にも及んでいます。完全に自動化できるわけではありませんが、クラウド型会計ソフトやインストール型の会計ソフトには、ネットバンキングやWEB上のクレジットカード明細から入出金のデータを自動で取得する自動連携機能があります。この機能で対応できる仕訳については、人が入力する必要がなくなってきています。
しかし、会計業務は、Web上にないデータや現物確認を行った上で仕訳を行うこともあるなど、人の判断が必要となるケースが多いことも確かです。AIで完全に自動化することは難しい状況といえるでしょう。

会計業務のリモートワークは可能か

会社の業種や規模によっては、会計業務のリモートワーク化が可能な場合もあるでしょう。

現在は、一定の手続きが必要ですが、電子帳簿保存法により、帳簿とその関係書類(領収書や請求書など)を電子データで保存することが認められています。
さらに、クラウド型会計ソフトならインターネット環境があればどこからでも仕訳入力を行うことが可能です。

領収書や請求書などを電子データで受け取り、クラウド型会計ソフトで仕訳入力する、以上のフローが可能であれば、会計業務のリモートワーク化を図ることができます。

※領収書や請求書などを電子データで受け取った場合、その電子データは、一定の要件のもと保存(原則、紙での保存は認められない)する必要があります。

会計業務とはお金の出入りを明解にするもの

会計業務とは、お金の出入りを確認、明解にするために必要なものです。
会計業務における大切なスキルは、仕訳ができることです。また仕訳には表計算ソフトやクラウド型会計ソフトを使用する機会が多いため、PCをある程度操作できることも大切となります。

よくある質問

会計業務とは?

お金の出入りを帳簿に記載して決算を行うといった、一連の記録をまとめる業務のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

会計業務の流れは?

「年間」「月間」「1日」でことなります。年間の業務フローには、給与と年末調整の仕訳入力や決算書作成などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

今後、会計業務は不要になる?

AIの導入で業務効率化をはかることは可能ですが、AIで完全に自動化することは難しい状況といえるでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。


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