- 更新日 : 2024年8月8日
収入印紙の取り扱いに注意!印紙税を納める際に気をつけたい3つのこと
「印紙税」や「収入印紙」と聞いて、すぐにピンとくる方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?
「領収書で必要になるもの」くらいしか思い当たらない方も少なくないのではないでしょうか。たしかに印紙税は、日常生活では領収書発行の際に目にすることがほとんどだとは思いますが、不動産の売買や金銭消費貸借を行う際の契約書などにも必要となってきます。納付を怠ってしまったり収入印紙の貼り方を誤ってしまうと、後で問題になってしまうので注意が必要です。
そこで今回は、印紙税の基本事項と抑えておきたい3つのポイントについてみていきます。
印紙税とは何?
印紙税の基本事項
まずは印紙税がどんなものなのかをみていきます。
印紙税は、課税文書に対してかかる税金のことを指します。課税文書とは、基本的に経済取引に関わる文書のことで、印紙税法では不動産等の譲渡契約書、請負契約書、約束手形、為替手形、株券、定款、継続的取引の基本契約書、預貯金証書、金銭又は有価証券の受取書のような文書が課税文書に該当すると定められています。
印紙税の額は、印紙が必要となる文書の種類やその記載金額に応じて定められています。詳しく知りたい方は印紙税額一覧表を参照ください。また、印紙を貼付した際には、所定の方法により消印を押すことが義務付けられており、これを怠ると過怠税が徴収されることになります。
印紙税の納付方法
1. 印紙の貼付
これは収入印紙を課税文書に対して貼付する、印紙税の納付方法として最も一般的なものとなります。
2. 税印を押す
参照:国税庁
課税文書に対して印紙を貼付する代わりに、税印を押す方法となります。印紙税を事前に金銭で納付し、特定の税務署に設置されている税印押なつ機を用いて税印を押す方法です。この方法は、課税文書を大量に作成する場合に、課税文書ごとに印紙を貼付する手間を回避するために設けられました。
3. 印紙税納付計器により納付印を押す
参照:国税庁
税務署長の承認により設置した印紙税納付計器を用い、課税文書へ納付印を押す方法となります。印紙税を事前に納付した上で、印紙税納付計器へ納付した金額をセット。セットした金額内で、課税文書の作成者が納付印を押すことができます。この方法は、課税文書を継続的に作成する場合に、毎回課税文書に対し印紙を貼付する手間を回避するために設けられました。
4. 書式表示による方法
参照:国税庁
税務署長の承認により、複数の課税文書に同一の書式を表示することで、金銭で印紙税を納付できるようにする方法となります。課税文書に同一の書式を表示した上で、1ヶ月間での文書の作成数を翌月末日までにまとめて申告。それをもとに印紙税額を金銭で納付します。この方法は、同一種類の課税文書を継続的に作成、大量に作成する場合に、課税文書に対し印紙を貼付する手間を回避するために設けられました。
印紙税に関する注意点
印紙税法の改正
印紙税法の改正により、平成26年4月1日以降の売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書に対する非課税の範囲が拡大されました。これまでは、金額が3万円以上の文書が課税の対象となっていましたが、今回の改正により対象金額が5万円以上の場合に変更されました。領収書などの文書を発行するときのために覚えておきましょう。
間違って印紙を貼付した場合の対処法
では、上記の印紙税法改正による変更を知らず、3万円の領収書に印紙を貼付してしまった場合、印紙を貼付した文書を書き損じてしまった場合などは、どうすればいいのでしょうか?
多く支払った場合や、間違って支払ってしまったなどのケースは、印紙税法第14条第1項・第2項、印紙税法施行令第14条第1項・第4項による「印紙税過誤納手続」を所轄の税務署長に対して行うことになります。過誤納金の還付手続を行う場合には、印紙税過誤納確認申請書の提出とともに過誤納となった文書を提示する必要があります。
税務署にて事実が確認された後、1ヶ月ほどで還付を受けることができます。
なお、過誤納に関する確認申請書は国税庁よりダウンロードすることができます。
印紙税の納付を忘れると
収入印紙を貼付する必要がある文書に関し、その作成時までに印紙税を納付しなかった場合、印紙税法20条により過怠税が課されることになります。
過怠税は、納付しなかった印紙税額の3倍となります。ただし、自主的に納付していなかったという申し出を行った場合には、過怠税は1.1倍に減額されます。
また、貼付した印紙に対し、決められている方法で消印を行わなかった場合、過怠税として消印が行われていない印紙の金額相当が徴収されます。
ちなみに過怠税は、法人税の損金、所得税の必要経費には算入されません。
最後に
以上のように、印紙税は経済取引に関する文書を作成した際に課税されます。
ぜひ、本記事を参考に印紙税の正しい取り扱い方を学んでみてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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