• 更新日 : 2026年9月15日

リース資産とリース債務が一致しない理由とは?ズレが生じる原因を解説!

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Pointリース資産とリース債務が一致しない理由は?

リース資産とリース債務は、税抜経理・償却ペースの差・減損会計などにより帳簿残高が一致しないケースがあります。

  • 税抜経理方式では計上時点からズレが生じる
  • 減価償却とリース料支払いのペース差が原因になる
  • 減損損失計上はリース資産のみ減少させる

Q. リース資産とリース債務が一致しない最大の原因は何ですか?

A. 税抜経理方式・償却と支払スケジュールのズレ・減損会計の適用が主な原因です。

現行のリース会計基準では、ファイナンス・リースの場合には売買取引に準じた会計処理が原則とされています。

売買処理を行う場合には、リース資産とリース債務を計上しますが、これらの勘定科目については、必ずしも帳簿価額が一致するとは限りません。

ここでは、リース資産とリース債務の考え方や、これらの帳簿価額が不一致となるケースについて解説します。

ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違いは?

リース取引は、現行の日本基準では「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分けて処理します。両者の違いは、借手がリース物件を実質的に購入したといえるかどうかです。

【ファイナンス・リース】売買取引に近いリース

ファイナンス・リースとは、リース物件を借りている形式であっても、実質的には売買取引に近い経済的実態をもつリース取引です。日本の会計基準では、ファイナンス・リースに該当する場合、借手は契約開始時に「リース資産」と「リース債務」を貸借対照表に計上します。その後、リース料の支払い時には、元本返済部分と利息相当額を分けて処理し、決算時にはリース資産について減価償却費を計上します。つまり、通常の賃借料として費用処理するのではなく、自社で固定資産を取得した場合に近い会計処理を行う点が特徴です。

【オペレーティング・リース】賃貸借取引に近いリース

オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リースに該当しないリース取引のことです。リース物件に関するリスクやリターンの多くを貸手が引き続き負担しており、借手は一定期間、物件を利用する対価としてリース料を支払います。現行基準では、借手側でリース資産やリース債務を貸借対照表に計上せず、支払ったリース料を「支払リース料」や「賃借料」として期間費用にするのが基本です。コピー機、車両、IT機器などを一定期間だけ利用する契約では、内容によってオペレーティング・リースに該当することがあります。

リース区分はノンキャンセラブルとフルペイアウトで判定する

ファイナンス・リースに該当するかどうかは、主に2つの要件で判定します。1つ目は、リース期間の途中で解約できない、または解約できても高額な違約金などにより実質的に解約が難しい「ノンキャンセラブル」です。2つ目は、借手がリース物件から得られる経済的利益を実質的に受け、使用に伴う費用も実質的に負担する「フルペイアウト」です。この2つを満たす場合はファイナンス・リース、それ以外はオペレーティング・リースとして扱います。

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所有権移転ファイナンス・リースの判定方法は?

ファイナンス・リースは、所有権が借手に移るかどうかによって「所有権移転ファイナンス・リース」と「所有権移転外ファイナンス・リース」に分かれます。

所有権が借手に移る場合は所有権移転ファイナンス・リース

所有権移転ファイナンス・リースとは、ファイナンス・リースのうち、リース期間の終了後またはリース期間の途中で、リース物件の所有権が借手に移転すると考えられる取引です。最終的に借手が資産を保有するため、実質的には資産を購入した取引に近い性質があります。

借手側ではリース資産とリース債務を計上し、減価償却についても自己所有資産に近い方法で処理します。一方、所有権移転外ファイナンス・リースは、リース期間が終わると物件を貸手に返却するなど、所有権が借手に移らないリースです。

所有権移転ファイナンス・リースは3つの条件で判定する

所有権移転ファイナンス・リースに該当するかどうかは、契約条項やリース物件の性質をもとに判定します。以下のいずれかに該当する場合、所有権移転ファイナンス・リースとして取り扱います。

  • 所有権移転条項がある場合
    リース契約上、リース期間の終了後またはリース期間中に、リース物件の所有権が借手へ移転すると定められている場合です。
  • 割安購入選択権がある場合
    リース契約上、借手がリース物件を著しく割安な価額で買い取れる権利を持っており、その権利を行使することが確実と見込まれる場合です。
  • 特別仕様物件に該当する場合
    リース物件が借手の用途に合わせて特別に製作・改造されたもので、リース終了後に貸手が第三者へリースまたは売却することが難しい場合です。

これらに該当しない場合は、所有権移転外ファイナンス・リースとして処理します。

リース資産とリース債務とは?

ファイナンス・リース取引では、借手がリース物件を実質的に取得した取引に近いものとして扱います。借手側では「リース資産」と「リース債務」を貸借対照表に計上し、資産の使用と将来の支払義務を会計上反映させます。

【リース資産】借手側で計上する固定資産

リース資産とは、ファイナンス・リース取引を締結した場合に、借手側の固定資産として貸借対照表に表示する資産科目です。形式上は貸手から借りている物件であっても、ファイナンス・リースでは借手が経済的利益や費用負担を実質的に引き受けるため、自社で取得した固定資産に近い扱いをします。リース資産として計上した金額は、機械装置や車両運搬具などの固定資産と同じように、減価償却によって各事業年度に費用配分します。

【リース債務】将来支払うリース料相当額を表す負債

リース債務とは、ファイナンス・リース取引において、借手が将来支払うリース料のうち元本部分に相当する負債科目です。リース開始時には、リース資産を借方に計上し、その相手科目としてリース債務を貸方に計上します。リース債務は借入金に近い金融負債として扱われ、毎月のリース料を支払うたびに、元本返済部分だけリース債務を減少させます。一方、利息相当額はリース債務とは分けて、支払利息などの費用として処理します。

リース資産とリース債務の算出方法

リース資産やリース債務として、資産・負債に計上する金額については、以下の3つの金額に基づいて算出します。

  1. 貸手の購入価額
  2. 見積現金購入価額
  3. リース料総額の割引現在価値

所有権移転ファイナンス・リースの場合には、1の金額が明らかな場合には1を採用し、1が不明な場合には、2と3のいずれか低い金額で計上します。

それに対し、所有権移転外ファイナンス・リースでは、1(1が不明な場合は2)と3のいずれか低い金額によって、リース資産とリース債務を計上します。

ファイナンス・リース(売買処理)の仕訳例は?

ファイナンス・リース取引について、売買取引に準じた会計処理を行う場合には、契約時やリース料支払時など、各取引時点において適切な仕訳を作成しなければなりません。

実務上は、以下のような具体例を参考に仕訳を作成しましょう。

リース開始時点

売買取引に準じた会計処理を行う場合、リース契約開始時には、借手は「リース資産」と「リース債務」を計上します。

たとえば、所有権移転ファイナンス・リースに関し、リース物件における貸手の購入価額が50万円の場合には、以下のように仕訳を作成します。

借方 貸方
リース資産 500,000円 リース債務 500,000円

リース料を支払った場合

リース料を支払う場合には、リース債務の元本返済部分と利息相当額を区分して計上します。

たとえば、リース料のうち4万円が元本返済分、1万円が利息分である場合、リース料支払時の仕訳は以下のとおりです。

借方 貸方
リース債務

支払利息

40,000円

10,000円

現金預金 50,000円

減価償却費の計上

リース資産を計上する場合には、決算整理仕訳などで減価償却計算を行います。

この場合の耐用年数については、所有権移転ファイナンス・リースの場合には経済的使用可能予測期間とし、所有権移転外ファイナンス・リースではリース期間となります。

たとえば、リース物件について、減価償却費として10万円を計上する場合には、以下のように仕訳を作成しましょう。

借方 貸方
減価償却費 100,000円 リース資産(間接法の場合には「減価償却累計額」) 100,000円

リース資産とリース債務が一致しないケースとは?

現行のリース会計基準では、「リース資産」と「リース債務」はセットで仕訳計上されますが、この2つの勘定科目は、常に帳簿残高が一致するとは限りません。

具体的には、消費税処理や減価償却、リース料の計上方法などによって、リース資産とリース債務の残高にズレが生じるケースもあります。

これらの勘定科目が一致しないケースを正しく理解して、異常点監査の精度向上に役立てましょう。

税抜経理方式の場合

消費税課税事業者の場合には、消費税の経理方法として「税抜経理方式」と「税込経理方式」の2種類があります。

税込経理方式の場合には、リース資産とリース債務がともに税込価額で計上されるため、両者の計上額は一致します。一方、税抜経理方式の場合には、リース資産の消費税部分は「仮払消費税等」として別建てで計上されるため、リース資産とリース債務は一致しません。

【例】税抜100万円(税込110万円)のリース物件を計上する場合

① 税込経理方式の場合

借方 貸方
リース資産 1,100,000円 リース債務 1,100,000円

② 税抜経理方式の場合

借方 貸方
リース資産

仮払消費税等

1,000,000円

100,000円

リース債務 1,100,000円

上記のように、税抜経理方式の場合、リース資産の取得価額は消費税分を除いた金額で計上される一方で、リース債務は税込価額で計上します。そのため、税抜経理方式を採用している場合には、リース資産とリース債務の帳簿価額は計上時点でズレが生じることとなります。

リース料の支払いと減価償却費のペースが一致しない場合

貸借対照表に計上されるリース資産とリース債務については、それぞれ異なる観点に基づいて、帳簿価額が次第に減少します。

具体的には、リース債務が「リース料の支払い」によって段階的に減少するのに対し、リース資産は「減価償却」によって帳簿価額が逓減していきます。

したがって、リース料の支払いと減価償却が同じペースで行われる場合には、リース資産とリース債務の残高は一致しますが、これらのペースが一致しない場合には、2つの勘定科目の残高にも差異が生じることとなります。

所有権移転ファイナンス・リースの場合

所有権移転ファイナンス・リースでは、リース期間終了後にリース物件の所有権が借手に移ることが前提です。

そのような取引の特性から、リース資産の減価償却費に関しても、「リース期間」ではなく「経済的使用可能予測期間」を耐用年数として計算されます。そのため、リース期間終了後も引き続き減価償却計算が行われるケースが一般的です。

それに対してリース債務については、リース期間を通じて支払われるリース料と連動して減少するため、原則としてリース契約の終了する時点では残高がゼロになります。

したがって、所有権移転ファイナンス・リースの場合は、リース債務の残高がリース期間を通じて減少します。一方、リース資産については、リース期間にかかわらず、実際の使用可能期間を通じて減価償却するため、これらの勘定科目の残高は一致しなくなります。

所有権移転外ファイナンス・リースの場合

所有権移転外ファイナンス・リースの場合、リース資産の減価償却については、残存価額をゼロとし、リース期間を耐用年数として計算します。

そのため、リース債務の減少要因である「リース料の支払い」と「減価償却」のペースが一致するケースも多く、そのような場合には、リース資産とリース債務の残高も一致します。

ただし、所有権移転外ファイナンス・リースの場合でも、「リース料の支払い」と「減価償却」のペースが不一致の場合には、リース資産とリース債務の帳簿価額にもズレが生じます。

たとえば、実際のリース期間から1ヶ月遅れてリース料を支払う場合や、初回リース料として2ヶ月分をまとめて支払うような場合には、「リース料の支払い」と「減価償却」のペースにも誤差が発生します。

支払リース料のスケジュールにかかわらず、減価償却計算はリース期間の経過に合わせて行われるため、リース料の支払方法によっては、リース資産とリース債務の残高不一致につながるケースもあるでしょう。

減損会計を適用する場合

減損会計とは、自社の固定資産の回収可能価額が著しく減少している場合に、減損損失を計上することで、その資産の帳簿価額を減額する処理のことです。

減損会計については、リース物件も対象となるため、既存のリース物件に減損の兆候があり、帳簿価額を回収可能価額まで切り下げる必要が生じた場合には、減損損失を計上しなければなりません。

たとえば、帳簿価額が100万円のリース物件について、回収可能価額が30万円であり、差額70万円を減損損失として計上する場合には、以下のように仕訳を作成します。

借方 貸方
減損損失 700,000円 リース資産 700,000円

このように減損会計を適用することで、リース資産の帳簿価額は回収可能価額まで減少するのに対し、リース債務の残高に影響が及ぶことはありません。これは、リース物件の経済的な価値が下落したとしても、借手としてのリース料の支払い義務は免除されないためです。

そのため、減損会計を実施する場合には、リース資産とリース債務の帳簿価額は乖離するケースが一般的です。

新リース会計基準適用がファイナンス・リース(売買処理)の仕訳に与える影響は?

新リース会計基準では、借手側のリースについて、原則として使用権資産とリース負債を計上する処理に統一されます。ただし、現行基準でもファイナンス・リースはすでに売買処理が原則であるため、オペレーティング・リースほど大きく処理が変わるわけではありません。

ファイナンス・リースは現行基準でもオンバランス処理が原則

現行基準におけるファイナンス・リースは、実質的に資産を購入した場合に近い取引として扱われます。借手側ではリース開始時に「リース資産」と「リース債務」を計上し、リース料の支払い時にはリース債務の返済部分と支払利息に分けて処理します。また、決算時にはリース資産について減価償却費を計上します。したがって、すでに売買処理を行っているファイナンス・リースについては、新リース会計基準の適用後も、資産と負債を貸借対照表に計上するという基本的な考え方は大きく変わりません。
なお、本会計基準等は2027年4月1日以後開始する事業年度から原則として適用され、2025年4月1日以後開始する事業年度から早期適用が可能です。

参考:企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の公表|企業会計基準委員会

新基準では勘定科目やリースの識別方法が変わる

新リース会計基準の適用後は、借手側では原則として「リース資産・リース債務」ではなく、「使用権資産・リース負債」を計上する考え方になります。仕訳の見た目としては、リース開始時に使用権資産とリース負債を計上し、その後、使用権資産の減価償却費とリース負債に係る利息費用を処理する流れになります。また、新基準では、現行基準のようにファイナンス・リースかオペレーティング・リースかを先に区分するのではなく、契約がリースを含むかどうかを識別することが重要です。

つまり、既存のファイナンス・リースの処理だけでなく、これまで対象外と考えていた契約も確認する必要があります。

使用権資産とリース負債は必ず一致するわけではない

新リース会計基準では、リース開始時に使用権資産とリース負債を計上しますが、両者の金額が常に一致するとは限りません。リース負債は、主に将来支払うリース料を現在価値に割り引いて算定します。一方、使用権資産は、リース負債の金額を基礎としつつ、当初直接コスト、原状回復費用、前払リース料、リース・インセンティブなどを加減して算定する場合があります。

契約内容によっては、リース開始時点から使用権資産とリース負債の金額が異なることがあります。仕訳例を作成する際は、単純に同額で両建てすると断定せず、資産側に加減算すべき項目がないか確認することが重要です。

所有権移転・購入オプションがある場合は償却期間にも注意する

ファイナンス・リースのなかでも、所有権移転ファイナンス・リースや、割安購入選択権がある契約では、リース期間満了後に借手が資産を取得する可能性があります。このような契約では、新リース会計基準適用後も、使用権資産の償却期間や購入オプションの扱いに注意が必要です。リース期間で償却すればよいとは限らず、資産の所有権が移転する見込みや、購入オプションの行使が合理的に確実かどうかを踏まえて判断します。

ファイナンス・リースの仕訳は大枠では継続しますが、勘定科目、契約識別、償却期間の判断を見直す必要があります。

リース資産とリース債務が一致しない理由を理解して正しく管理しよう

リース資産とリース債務は、ファイナンス・リース取引でセットで計上される勘定科目ですが、帳簿価額が常に一致するわけではありません。税抜経理方式では消費税部分の処理により、計上時点から差が生じることがあります。また、リース債務はリース料の支払いによって減少する一方、リース資産は減価償却によって減少するため、支払スケジュールや償却期間によって残高がずれることもあります。

所有権移転ファイナンス・リースや減損会計を適用する場合も、不一致が起こりやすい点に注意が必要です。

新リース会計基準の適用後は、使用権資産とリース負債を中心に処理しますが、両者が必ず一致するとは限りません。契約内容、消費税処理、償却方法、支払条件を確認し、残高差異の理由を説明できるように管理しましょう。

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