- 更新日 : 2024年8月8日
特許権の会計処理と償却方法を仕訳まで解説
特許権の耐用年数は8年間で、その間に償却することになります。特許権を購入したときなどには、適切に会計処理を行わなくてはいけません。具体的にどのように会計処理を行うのかについて、仕訳例を用いて解説します。
特許権とは
特許権とは、特許を受けた発明を権利者が一定期間独占的に使用できる権利のことです。特許権は自動的に付与される権利ではありません。発明をした人が特許権を主張したい場合に限り、特許庁に申請書類などを提出し、審査官の審査を受けて特許査定を受け、特許が認められたときのみ、特許権を有することになります。
また、正しく申請して特許権を取得した場合でも永続的に所有し、権利を独占することはできません。特許権の権利の存続期間は、原則として出願の日から20年間となります。
特許権は売買できる権利です。特許権を購入、あるいは取得したときは、会計上は「固定資産」のうち「無形固定資産」に分類します。
特許権の会計処理
業務を行う上で、特定の技術や商品などの特許権を獲得しておく必要が生じることがあります。業務に必要な特許権をA社から50万円で購入したとしましょう。普通預金から口座振替などで支払ったときは、以下のように仕訳ができます。
他者から取得した特許権の場合、特許権の購入対価と付随費用の合計額を取得原価にできます。付随費用には、出願料や特許料などの事業に用いるために支払った費用を含めることが可能です。
一方、自社で取得した特許権を他社に売却することもあるでしょう。B社に70万円で所有する特許権を売却し、口座振込みで代金を受け取ったときは、以下のように仕訳ができます。
特許権の償却
特許権の権利の存続期間は20年ですが、特許権の耐用年数は8年間です。購入した特許権は8年間に分けて同額ずつ償却していきます。例えば800万円で購入した特許権を同額ずつ8年間で償却したとしましょう。特許権を購入した最初の年は、以下のように仕訳ができます。
1年目/8年 |
2〜8年目も同様に償却します。
2年目/8年 |
上記の仕訳例のように摘要欄に償却何年目か記載しておくと、帳簿が見やすくなるでしょう。
なお、特許権の耐用年数は8年ですが、権利の耐用年数は種類ごとに異なります。例えば、実用新案権は5年、商標権は10年です。いずれも耐用年数に従って償却し、帳簿に記載しておきましょう。
商標権を年初に500万円で購入し、その年内に最初の償却を行ったときは、以下のように仕訳ができます。
1年目/10年 |
2年目以降も同様に償却し、10年目まで毎年帳簿に記します。
特許権を適切に帳簿に記入しよう
特許権は20年間存続する権利です。特許権を特許庁に申請し、受理された場合には、20年間所有して独占的に使用できます。また特許権は売買が可能な権利です。購入したときには「借方」に「特許権」と記入し、購入した価格と購入時や事業に用いるためにかかった費用を合算して計上しましょう。
特許権の耐用年数は8年です。特許権を購入した場合は、8年間で償却します。「借方」に「特許権償却費」、「貸方」に「特許権」と記入し、1/8の金額ずつ償却していきましょう。
特許権を売却したときは「貸方」に「特許権」と記入して仕訳ができます。売却にかかった費用を研究開発費に計上し、経費にすることが可能です。また、研究費以外にも出願料や登録費用なども含めて経費計上できます。
特許権以外にも売買できる権利は少なくありません。商標権や実用新案権なども購入し、事業に必要な権利であれば経費計上できます。それぞれ耐用年数が決まっているので、各年数に分けて償却し、帳簿に記入しておきましょう。例えば商標権であれば耐用年数が10年のため、10年に分けて償却できます。
よくある質問
特許権の会計処理のポイントは?
特許権を購入したときには「借方」、自社で取得した特許権を売却したときには「貸方」に「特許権」の勘定科目を記載し、会計処理を行います。詳しくはこちらをご覧ください。
特許権の償却のポイントは?
特許権は20年間続く権利ですが、耐用年数は8年なので8年間で償却します。基本的に同額ずつ8年間に分けて「借方」を「特許権償却費」、「貸方」を「特許権」で仕訳をします。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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