• 作成日 : 2019年10月10日

税効果会計のための法定実効税率の計算方法

税効果会計とは、会計上の費用・収益税務上の費用(借金)・収益(益金)の額に相違がある場合に、法人税やその他の所得にかかる税金(法人住民税、所得を課税標準とする法人事業税および地方法人特別税)を期間配分することにより、税引前当期純利益と法人税等の税金費用を合理的に対応させることを目的とする会計手法です。

そして、税効果会計の際に調整に使われるのが法定実効税率です。今回は税効果会計における法定実効税率の考え方について解説します。

税効果会計の必要性

法人税などは、法人税法上の利益(課税所得)をもとに算出されますが、損益計算書上の税引前当期純利益と法人税法上の課税所得は通常一致しません。

これが一致しないままだと損益計算書上の利益と税金費用の対応関係に相違が生じ、税引後の当期純利益が会社の業績を適切に反映しないということになります。

そのため、税効果会計が必要なのです。

簡単に言うと、会計上の利益と税務上の所得の計算方法が異なるため、その差異による不整合をアジャストさせるために税効果会計が導入されています。

税効果会計の流れ

1.会計上の利益計算に使用する収益と費用、税法上の課税所得の計算に使用する益金と損金の計上時期の差異である一時差異を算出
2.差異に対して法定実効税率を乗ずることで、繰延税金資産や繰延税金負債を算出
3.繰延税金資産と繰延税金負債の差額を期首と期末で比較した増減額を法人税等調整額として損益計算書に計上することで、会計上の利益と税務上の課税所得を調整

法定実効税率の計算式

税効果会計に用いる法定実効税率の計算式は、以下のようになります。

法定実効税率={法人税率×(1+地方法人税率+法人住民税率)+(法人事業税率+法人事業税標準税率×地方法人特別税率)}/(1+事業税率+法人事業税標準税率×地方法人特別税率))

地方法人税は、H26年10月以降開始の事業年度から創設される国税で、法人税額の4.4%を国に対して納付します。(参照:H26年度税制改正|財務省

H26年度の地方税制改正においては、新たにできた地方法人税の税率と法人住民税の引き下げ分が同じであるため、上記の算出式に基づいても、算出される法定実効税率には原則として影響がありません。

一時差異とは

会計上の費用と収益の額と、税務上の損金と益金の差異を一時差異といいます。

収益と益金、費用と損金の考え方は同じであるものの、認識時期が異なることによって生じる差異のことです。

具体例として、会計上で減価償却を費用として計上しても、税務上損金として認識できない減価償却超過額などが挙げられます。

一方、交際費のように会計上費用として計上されても、税務上は損金不算入となる差異は永久差異といって税効果会計の対象とはなりません。

繰延税金資産と繰延税金負債

税効果会計の対象となるのは一時差異だけですから、その差異は将来必ず解消することになります。

解消期に課税所得、つまり法人税の課税対象額が減額するものを「将来減算一時差異」といい、繰延税金資産として計上します。

会計上は、前払い税金費用とみなされ、将来減算一時差異が確実な場合にのみ、法定実効税率を使って算出されます(減価償却費の損金算入限度額を超えた分や貸倒引当金などが該当)。

逆に、一時差異が解消したら、その期の法人税の課税対象額が増額するものを「将来加算一時差異」といい、繰延税金負債、つまり未払税金費用として計上します。

なお、繰越欠損金は一時差異ではありませんが、のちのち課税所得を減額するという点で「将来減算一時差異」と性格が似ているため、税効果会計上も同様に取り扱われます。

法人税等調整額

税効果会計の適用に伴い、損益計算書上の調整が必要です。

その方法としては、まず、期首の繰延税金資産額から繰延税金負債額を差し引きます。

期末でも同様の計算をし、その増減額を法人税等調整額として計上します。

まとめ

税効果会計は会計上の費用と収益、税務上の損金と益金の認識をする時期の相違を調整することが主な役割であり、会計上、費用や収益と認識されても税務上損金や益金として認識されないものがあるため、その差異を会計上の利益に反映させることが目的です。

ただし、税制改正が頻繁に行われていることから、法定実効税率については財務省ホームページなどで適宜確認する必要があります。※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:緒方 康人 (公認会計士 / 税理士)

税理士法人ゆびすい
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