- 更新日 : 2026年5月29日
減価償却はいくらから必要?10万・20万・30万・40万の基準や特例の上限額をわかりやすく解説
取得価額が10万円以上の固定資産は、原則として減価償却の対象になります。
- 10万円未満は購入した期にまとめて経費とする
- 20万円未満なら一括償却資産で3年に分けて処理する
- 青色申告者は少額減価償却資産の特例により取得年度に全額を落とせる
令和8年4月1日以後の取得分は、対象が40万円未満まで広がります。
減価償却が必要かどうかは、資産の取得価額や利用できる特例 によって変わります。取得価額が10万円以上であれば原則として減価償却を行いますが、20万円未満の場合は一括償却資産、青色申告を行う中小企業者等については、令和8年4月1日以後に取得する40万円未満の資産について、少額減価償却資産の特例が適用できる場合があります。
本記事では、減価償却はいくらから必要なのかについて、処理方法の分かれ目となる10万円・20万円・30万円・40万円の金額にわけて解説します。
目次
減価償却が必要な金額はいくらから?
減価償却は、固定資産の取得にかかった経費を複数年で分割して計上する処理のことです。対象となるのは時間の経過とともに価値が減っていく固定資産のうち、原則として取得価額が10万円以上、耐用年数が1年以上のものです。
つまり、取得に10万円以上の経費が掛かった備品などは、原則として資産計上して減価償却を行う必要があります。
減価償却については、こちらで詳しく解説しています。
ただし、3年間で均等に償却できる「一括償却資産」や、青色申告を行う事業者が利用できる「少額減価償却資産の特例」により取得年度に全額経費処理ができる場合もあります。
従って、10万円以上の固定資産すべてに必ずしも減価償却が必要という訳ではありません。これらが利用できるかどうかは、固定資産の取得価額により、10万円・20万円・30万円が判断の分かれ目となる金額です。
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減価償却における10万円、20万円、30万円の基準
取得価額ごとの処理方法は以下のようになっており、10万円・20万円・30万円が区切りとなっていることがわかります。それぞれを具体的に見ていきましょう。
【現行(令和8年3月31日までの取得)】
| 取得価額の範囲 | 経費(※1) | 減価償却資産 | 一括償却資産 | 少額減価償却資産(※2) |
|---|---|---|---|---|
| 10万円未満 | ○ | × | × | × |
| 10万円以上 20万円未満 |
× | ○ | ○ | ○ |
| 20万円以上
30万円未満 |
× | ○ | × | ○ |
| 30万円以上 | × | ○ | × | × |
| 償却資産税 | 非課税 | 課税 | 非課税 | 課税 |
※取得価額の判定は、税込経理方式の場合は税込金額、税抜経理方式の場合は税抜金額で行います。
※1「経費」は、取得時に全額損金算入・必要経費算入できる処理を意味します。
※2 少額減価償却資産の特例は、青色申告を行う中小企業者等が対象です。白色申告者や対象外法人は利用できません。
【改正後(令和8年4月1日以後の取得/大綱ベース)】
| 取得価額の範囲 | 経費 | 減価償却資産 | 一括償却資産 | 少額減価償却資産 |
|---|---|---|---|---|
| 10万円未満 | ○ | × | × | × |
| 10万円以上 20万円未満 |
× | ○ | ○ | ○ |
| 20万円以上 30万円未満 |
× | ○ | × | ○ |
| 30万円以上 40万円未満 |
× | ○ | × | ○(令和8年度改正により対象範囲拡大 ) |
| 40万円以上 | × | ○ | × | × |
| 償却資産税 | 非課税 | 課税 | 非課税 | 課税 |
※改正後の区分は令和8年度税制改正大綱に基づく内容であり、最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
10万円未満は全額経費計上
取得価額が10万円未満のものは、資産計上するのではなく、購入した期の経費として全額計上します。勘定科目は「消耗品費」「事務用品費」「雑費」などを使うことが一般的です。
10万円以上は原則資産として減価償却が必要
取得価額が10万円以上のものは固定資産として計上し、毎期の減価償却を行います。品目ごとに定められている耐用年数で分割し、1期ごとに経費計上しなくてはいけません。
通常セットで1つとして扱われるものは、1セットごとに減価償却を行います。つまり、パーツの取得価額は10万円未満でも、1セットの合計取得価額が10万円以上であれば固定資産として減価償却の実施が必要です。
個人事業主は、減価償却費は法定耐用年数に基づき必要経費として計算します。 一方、法人税法上、 法人は任意とされています。しかし、実務上減価償却のメリットは大きく、かつ会計上は適正な期間損益計算のため、通常は減価償却を行います。
ただし特例を利用することで、10万円以上の固定資産の償却方法は変わります。
10万円以上20万円未満の資産は一括償却資産として処理できる
一括償却資産の特例を利用すれば、固定資産の取得価額を3年間で均等償却できます。対象となるのは10万円以上20万円未満のもので、企業の規模を問わず利用できる方法です。
事前の届け出は必要なく、取得した月による按分も不要であるため、処理も簡単であるといえるでしょう。さらに3年間と短い期間で全額費用化でき、償却資産税の対象にもならないため、節税に繋げられる可能性もある点がメリットです。
従って実務上、一括償却資産の特例を利用する資産を、通常の固定資産のように個別資産ごとに耐用年数管理をするのではなく、取得した事業年度ごとにまとめて管理し、3年間で均等に損金算入・必要経費算入します。
なお、令和8年度税制改正大綱で示された取得価額の上限引き上げは少額減価償却資産の特例側のみであり、一括償却資産(10万円以上20万円未満)の枠組みに変更はありません。
一括償却資産については、こちらで詳しく解説しているのであわせてご確認ください。
30万円未満(改正後は令和8年4月1日以後に取得する40万円未満)の資産は少額減価償却資産の特例を利用できる
少額減価償却資産の特例を利用すると、一定の要件のもと、30万円未満の資産(改正後は令和8年4月1日以後に取得する40万円未満)を取得年度に全額償却できます。対象となるのは青色申告を行う中小企業や個人事業主で、取得時期によっては従業員数も限定されるため、最新の情報を国税庁のホームページでチェックしましょう。
特例を利用するには、以下の方法での申告が求められています。
参考:国税庁 「中小企業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の 特例制度」を適用する場合の明細書の添付について
少額減価償却資産の特例には、取得時期も指定されていますが、これまで延長が繰り返されています。取得時期がさらに延長することや、特例が使えなくなることも考えられるため、利用を考える場合は最新の情報を確認することが望ましいです。
令和7年12月26日に閣議決定された令和8年度税制改正大綱では、本特例について以下の3点の見直しが示されました。
- 対象となる資産の取得価額の上限を30万円未満から40万円未満に引上げ
- 適用期限を令和8年3月31日から令和11年3月31日まで3年延長
- 対象法人の要件を見直し、常時使用する従業員が400人を超える法人を除外
つまり、令和8年4月1日以後に取得する資産については、従来よりも広い範囲(40万円未満)の資産が即時償却の対象となる一方で、一定規模以上の法人は本特例の対象から外れる点に注意が必要です。
なお、実務では取得日だけでなく、事業の用に供した日も確認が必要です。購入しただけで未使用・未稼働の場合は、原則としてその時点では損金算入・必要経費算入できません。
※本内容は令和8年度税制改正に基づく記載であり、国会での審議を経て最終的に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
参考:令和8年度税制改正の大綱|財務省、国税庁 No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
少額減価償却資産については、こちらで詳しく解説しています。
「少額減価償却資産の特例」の上限額
一括償却資産の特例には上限額はありません。しかし、少額減価償却資産の特例は、年間で計上できる上限額が300万円と決まっています。
ただし、設立初年度であったり決算時期が変わったりすることにより、事業年度が12ヶ月でない場合は、300万円を12で割り、事業年度の月数を掛けた金額が上限となります。これは、少額減価償却資産の特例を利用できる青色申告の中小企業者等に適用される限度額です。
税抜と税込のどちらの金額で計算すべき?
資産の取得価額を税抜・税込のどちらで考えるかは、その個人事業主や法人の経理方式によります。同じ取得価額でも経理方式が異なれば、経費・資産どちらに計上するかや、特例を適用できるかどうかも変わる場合があります。
例えば、取得価額が税抜29万円の資産について少額減価償却資産の特例を利用しようとした場合は、税抜経理なら対象です。しかし、税込経理なら取得価額も税込で考えるため31万9,000円となり、(現行の30万円未満基準では)特例の対象外となります。
令和8年度税制改正により令和8年4月1日以後取得分の上限が40万円未満に引き上げられると、同じロジックが「税抜39万円/税込42万9,000円」といった境界帯で生じることになります。経理方式による判定の違いは、金額基準が引き上げられた後も同様の考え方で判断します。
税抜経理と税込経理については、以下記事の内容もご確認ください。
特例を利用すれば節税や業務負担の軽減ができる
減価償却は取得価額が10万円以上なら行うことが原則です。しかし、一括償却資産や少額減価償却資産の特例を利用することで、節税や業務負担の軽減ができる可能性があります。2つの特例は、内容を理解して申告しなければ適用されません。ぜひ理解を深めて有効活用しましょう。
※本記事の内容は2025年12月公表の税制改正大綱をもとにしています。税制改正大綱は自民党が毎年12月頃に発表する改正のドラフトであり、国会での審議を経て翌年春頃に法律として制定されます。最終的に制定された法律の内容と異なる場合があります。
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