• 更新日 : 2021年6月10日

安全余裕率とは?計算式や損益分岐点との関係を解説

会社の経営状態を確認するためには、さまざまな指標を確認する必要があります。その1つが安全余裕率です。安全余裕率は、損益分岐点比率とも関係のある重要な指標です。そこで、ここでは安全余裕率の計算式や目安、改善方法などについて詳しく解説します。

安全余裕率とは

安全余裕率とは、簡単にいうと経営の安全性を確認するための指標です。安全余裕率を見ることで、損益分岐点から現在の売上がどの程度の比率で上回っているか確認することができます。

安全余裕率が高ければ高いほど、その会社の経営は安全ということを意味します。赤字転落のリスクも低いといえるでしょう。安全余裕率は、経営の安全性を確認する指標であることから、経営安全率と呼ばれることもあります。

安全余裕率の計算式

安全余裕率は、次の計算式で求めることができます。

安全余裕率=(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高×100(%)

計算式を見てもわかるとおり、安全余裕率は、売上高から損益分岐点売上高を差し引いたものを、売上高で割ったものです。

損益分岐点売上高は、利益がプラスマイナスゼロになる売上高のことです。売上高から損益分岐点売上高を差し引くことで、現在どれだけの利益を出しているのかがわかります。さらに、この数値を売上高で割ることで「売上高があとこの比率分だけ下がっても、まだ赤字には転落しない」という目安がわかります。

例えば、売上高が100万円、損益分岐点売上高が60万円だったとします。この場合の安全余裕率は、次のとおりです。

安全余裕率=(売上高100万円-損益分岐点売上高60万円)÷売上高100万円×100(%)=40%

この場合、売上があと40%、つまり金額にすると100万円×40%=40万円下がっても、赤字にならないことを示しています。それは、売上の100万円から40万円を差し引いても、損益分岐点売上高の60万円となるためです。

会社が赤字の場合

では、赤字会社の場合、安全余裕率はどうなるのでしょうか。

例えば、売上高が100万円、損益分岐点売上高が120万円だったとします。利益がプラスマイナスゼロになる損益分岐点売上高よりも、売上が低いので赤字の状態です。この場合の安全余裕率は、次のとおりです。

安全余裕率=(売上高100万円-損益分岐点売上高120万円)÷売上高100万円×100(%)=-20%

赤字の場合の安全余裕率は、マイナスの数値で表示されます。

安全余裕率の目安

安全余裕率とは、簡単にいうと、経営の安全性を確認するための指標です。では、どの程度の数値であれば、適切なのでしょうか。その目安を見ていきましょう。

安全余裕率の目安

安全余裕率指標
0%未満赤字(経営不振)
0%~10%未満要注意
10%~20%未満平均的数値
20%以上安全

上記の指標は、あくまで一般的なものです。職種的に、固定費がどうしても多くなる会社などは、安全余裕率の値が悪くなることもあります。

安全余裕率の改善方法

ここまでは安全余裕率の内容について見てきました。では、数値が悪い場合はどうすればよいのでしょうか。
安全余裕率の改善方法には、大きく分けて「売上高を伸ばす」「損益分岐点売上高を下げる」の2つの方法があります。それぞれ見ていきましょう。

売上高を伸ばす

安全余裕率の改善方法で最も分かりやすいのが、売上高を伸ばすことです。

安全余裕率は、経営の安全性を確認するための指標であるため、売上高を伸ばすことで経営の安全性が向上し、安全余裕率も改善します。

安全余裕率の計算式を見ても、「売上高-損益分岐点売上高」が計算の基礎となるため、売上高を伸ばすことで、数値も改善します。

損益分岐点売上高を下げる

売上高を伸ばすことがすぐには難しい場合は、損益分岐点売上高を下げることを考えます。
売上高が同じでも、損益分岐点売上高が下がれば安全余裕率は改善します。売上高が同じ状態で損益分岐点売上高を下げるためには、経費を抑える必要があります。

安全余裕率と損益分岐点の関係

ここまでお伝えしたとおり、安全余裕率と損益分岐点売上高は、密接な関係にあります。

損益分岐点とは、損益が0円の状態になる指標のことです。損益分岐点を計算するためには固定費と変動費を理解する必要があります。

簡単にいうと、固定費は人件費など売上に関係なくかかる費用のことで、変動費は仕入高など、売上の増加や減少とともに変動する経費のことです。固定費は売上に関わらず発生するため、損益分岐点売上高は固定費を基準として計算します。計算式は、次のとおりです。

損益分岐点売上高=固定費÷{(売上−変動費)÷売上}

また、実際の売上高を100%とした場合、損益分岐点が何%かを示す、損益分岐点比率という指標もあります。

損益分岐点比率=損益分岐点売上高÷実際の売上高×100(%)

実際の売上高を100%とした場合、損益分岐点までを表す指標が損益分岐点比率、損益分岐点からの利益までを表す指標が安全余裕率となり、安全余裕率と損益分岐点比率を合計すると100%になります。

会社の経営の安全性を見たいなら、まずは安全余裕率を確認しよう

安全余裕率は、経営の安全性を確認するための指標です。実際の売上高と損益分岐点売上高がわかればすぐに計算できるため、使いやすい指標のひとつでもあります。

経営に余裕があるかどうか確認したい場合は、まずは安全余裕率を確認し、問題があるなら経費項目など別の指標を確認するようにしましょう。

よくある質問

安全余裕率とは?

経営の安全性を確認するための指標で、損益分岐点から現在の売上がどの程度上回っているかを確認することができます。詳しくはこちらをご覧ください。

安全余裕率の計算式は?

「安全余裕率=(売上高-損益分岐点売上高)÷売上高×100(%)」によって求められます。詳しくはこちらをご覧ください。

安全余裕率の改善方法は?

売上高を伸ばす方法と、損益分岐点売上高を下げる方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。


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