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  • 更新日 : 2021年3月17日

法人税申告書とは?作成手順から書き方のポイントまで

法人税納税者

法人税の申告書と聞くと難しいイメージを持つ人が少なくありません。
しかし、基礎的な理解があれば、あとはその法人によくある取引をマスターするだけです。
この記事では決算から法人税申告書に至る作成手順をベーシックな部分を中心に解説します。

法人税申告書とは

法人税申告書には「別表1~18」までがあり、そのうち別表1は「確定申告書」と呼ばれています。それ以外の別表は、確定申告書の「明細書」として取り扱われており、「確定申告書」と「明細書」を総称して法人税申告書と呼んでいるのです。
法人税は各法人の経営成績・会社規模などによってその額が異なります。そこで、法人税が「どうしてその金額なのか」という理由を説明する必要があり、その説明書に当あたるのが「明細書」なのです。

明細書の種類

実は「別表1~18」といいましても別表の数は18枚だけではありません。例えば、別表3には「3の1」「3の2」「付表」があります。全てを解説するのは煩雑になりますし、重要な別表は限られています。

そこで特に重要な別表1~7を中心に概要と注意点を解説します。

別表1:各事業年度の所得にかかる申告書(法人税申告書)

別表1:各事業年度の所得にかかる申告書(法人税申告書)

法人税申告書の本丸です。法人の基本情報の記載と申告がなされる書類で、申告については1~47の項目があります。

別表1には青色申告白色申告とがありますが、ここでは、「普通法人等の青色申告」について、概要と注意点を解説します。

  • この申告書には期末の申告だけでなく、中間申告や修正申告にも使用可能です。中間・修正申告用の記入欄もありますので注意が必要です。
  • 「代表者自署押印」は代表者の自筆署名が必要です。
  • 「一般社団・財団法人の区分」は、該当する場合のみ記入します。
  • 「税務署処理欄」は原則として記載不要ですが、「売上金額」の欄は記入するよう勧められています。(消費税の事業者免税点を判定する際に参考となる)
  • 「翌年以降送付要不要」の項目で「送付不要」にチェックを入れている場合は注意が必要です。翌年度以降に「要」にチェックを入れても、別表セットと勘定科目内訳明細書は送られてきません。

別表2:同族会社の判定に関する明細書

別表2:同族会社の判定に関する明細書

法人が「同族会社」、あるいは「特定同族会社」に該当するかどうかを判断するための明細書で、該当する場合には納税額が異なります。判断材料は「株主との関係性」と「保有株式比率」となり、判定基準は以下のとおりです。

  • 「特定同族会社の判定割合(17)」が 50%超の場合は特定同族会社
  • 「特定同族会社の判定割合(17)」が 50%以下で「同族会社の判定割合10」が50%超の場合は同族会社
  • 「同族会社の判定割合(10)」が 50%以下の場合は非同族会社
  • 別表3(1):特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する明細書

    別表3(1):特定同族会社の留保金額に対する税額の計算に関する明細書

    別表2で特定同族会社に該当した場合には、「特定同族会社の特別税率の規定」が適用されます。

    特定同族会社は一握りの株主によって支配されているので、株主が自由に経営をあやつり、納税額を縮小する可能性が高いため、特別な規定を適用しています。

    別表4:所得の金額に関する明細書

    別表4:所得の金額に関する明細書

    会社上の利益と税務計算における所得とは異なっています。そこで、損益計算書の利益(損失)をもとに、一定の調整を加えて税務計算上の所得金額あるいは欠損金額等を計算します。

    <「加算」欄>
    会計上は収益ではないが税務上は益金に当たるもの、会計上は費用だが税務上は損金に当たらないものが対象(減価償却超過額・役員給与と交際費の一部等)

    <「減算」欄>
    会計上は収益だが税務上は益金に当たらないもの、会計上は費用ではないが税務上は損金に当たるものが対象(還付法人税・受取配当金等)

    ここでの調整が「別表1(法人税申告書)」で行なう納税計算の基礎となるため、重要な明細書と言えるでしょう。通常は「簡易様式」を使いますが、特別な所得特別控除や特例に該当する法人の場合には様式が異なりますので注意が必要です。

    別表5(1):利益積立金額及び資本金などの計算に関する明細書

    別表5(1):利益積立金額及び資本金などの計算に関する明細書

    別表5は税務上の貸借対照表の機能を有しています。別表4で記載したとおり、企業会計の利益と税務計算による所得は異なります。ここでも期首の利益積立金額から当期の所得金額計算の異動を加減算(別表4の「加算」「減算」により調整)をして期末の利益積立金額を割り出します。

    別表6(1):所得税額の控除に関する明細書

    別表6(1):所得税額の控除に関する明細書

    期中に支払いを受ける利子・配当・償還差益等に課税された所得税の税額控除を受ける場合の明細書です。

    別表7(1):欠損金又は災害損失金の損金算入に関する明細書

    別表7

    繰越欠損金の繰越期間は7年間だったものが9年間に延長されました。適用は、平成20年4月1日以後に終了する事業年度となります。

    法人税申告書の作成手順

    法人税の申告書はたくさんありますが、必要となる別表について順を追って作成していけば難しくありません。ここでは法人税の申告書作成を3つのステップに分けて概要を解説します。

    第1ステップ 前期繰越額、決算利益等の転記(別表5、別表4)

    会計における繰越処理と同じく、法人税申告書においても前回提出した申告書から転記する項目があります。別表5は(1)と(2)がありますが、まずはどちらも前期繰越額の転記をします
    別表5(1)の期首現在利益積立金額や期首現在資本金等の額については、前期の申告書から転記します。また、別表5(2)期首現在未納税額や当期中の納付税額等について記入します。

    次に別表4に当期利益又は当期欠損の額を転記します。ここで法人税を計算しないと会計が締まらず最終利益が求まらない・・・と考えている方は、次の「法人税申告書作成のポイント」をご一読ください。

    第2ステップ 所得金額の計算(別表4を中心とする)

    前述した別表4の説明にもあるとおり、別表4において加算、減算をして所得金額を確定していきます。
    別表4への加算、減算額を算出するのは各明細書であり、別表4に転記するとともに必要な項目は別表5にも転記します。
    このステップにおいて申告書上で加算・減算した場合に税務上有効となるものを「申告調整」と呼びます。
    申告調整には、「任意的申告調整事項」「必要的申告調整事項」とがあります。

    任意的申告調整事項とは、申告書で調整するかしないかは法人の任意によるもので、調整しなければ税法上の摘要を受けられません。
    (例)別表4では受取配当等の益金不算入など(別表1では所得税額控除など)

    また、必要的申告調整事項とは、申告書で必ず調整しなければならないもので、調整しなければ税法上の更正処分となるものです。
    (例)別表4でよくあるものは次のとおりです。

    • 減価償却費引当金の超過額(減算及び加算)
    • 役員給与の損金不算入
    • 寄付金や交際費の損金不算入
    • 各種引当金・準備金等の超過額(減算及び加算)

    第3ステップ 法人税額の計算(別表1を中心とする)

    最終ステップとして、各明細書で計算した金額を別表1にまとめ、法人税額及び地方法人税額を計算します。実際に税額を乗じて法人税額を計算するのは「別表1次葉」という書式となります。用紙は別となりますが、次葉の項番は別表1を引き継いでいます。
    別表4のほか、別表3、別表6、別表7などを参照しながら、別表1の納税額を確定させます。

    法人税申告書作成のポイント

    ここでは法人税申告書作成のポイントとして、前述の第1ステップでの悩みを解決します。

    「損益計算書末尾の法人税等は、実際に申告書で確定させないとわからない。でも、法人税申告書は確定した決算に基づいて作成しなければならない」というジレンマです。

    損益計算書末尾の「法人税等」を繰り入れるに当たって概算で計上するという方法もあります。法人税、地方税ともエクセル等で計算して概算額で計上する方法もあります。
    しかしながら、こちらは法人税や地方税のしくみをエクセルに落とし込める法人税への理解力が必要となり、どちらかというと上級者向けです。

    会計ソフトだけでなく、法人税の申告ソフトがある方限定となりますが、次の方法があります。

    法人税等とは、国税の法人税だけでなく、地方税の法人住民税や法人事業税がプラスされていますが、地方税については、所得金額や法人税額等が確定すれば申告ソフトでは比較的簡単に求まります

    ここでは申告ソフトを使って事前に法人税額を求め、地方税についてはその後申告ソフトから算出される地方税額を参照し、合計するという方法を紹介します。

    (別表4 一部)
    明細書

    仮に、税引前当期純利益が200万円だとします。法人税等を計算する直前の利益です。
    別表4では、次の計算で所得金額を求めます。

     

    所得金額 = 当期利益の額 + 加算項目 – 減算項目

    すると、上の例では下線部の計算は、200万円 + 23万円となります。

    これに対し本来の計算では、法人税等の額をXとすると、(200万円 – X)が当期利益の額になり、
    本来であれば、下線部の計算は(200万円 – X) + (23万円 + X)として求めます。
    結局、納税充当金として損金経理した額は加算されるため加算項目は(23万円 + X)となり、結果としては、200万円 + 23万円と同じことになります。

    したがって、法人税等を計上する前での法人税の計算は、上の図のように税引前当期純利益を別表4に入れて、「損金経理をした納税充当金」をゼロにしたうえで所得金額を求めればよいのです。
    さらに申告システムで地方税も算出すれば、最終的に「法人税等」の額が求まります。

    そのようにして求めた法人税等を会計システムに入力して決算確定へすすめることができるわけです。
    まとめますと、次のようになります。

  • 決算の最終段階において、税引前当期純利益を別表4に入れて(仮)申告書を作成
  • (仮)申告書から求めた確定税額(法人税等)を未払計上する
  • 当期純利益を求め、決算確定
  • 申告書を本作成(別表4を正しく入れなおす)
  • まずは別表4と別表5をよく見て、申告書の形式に慣れること

    別表4は損益計算書に似ていて、別表5は貸借対照表に似ているというのは、別表4と別表5の関係性が損益計算書と貸借対照表に似ているという意味です。
    したがって、別表4や別表5に書いてある内容は決算書とは全く異なり、初めて見た人は戸惑ってしまうかもしれません。
    まずは、過去2~3年分の確定申告書を見てみましょう。その中でも、別表4、5と決算書を見比べることから始めましょう

    ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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