- 更新日 : 2025年2月20日
経理はテレワークができないのか?必要な対応や課題について解説!
オフィスに出社せず、在宅やサテライトオフィスで働くテレワーク。テレワークに向いている職種は意外と多いのはご存じでしょうか。例えばプログラマーやエンジニアといった職種では多くの方がテレワークを実践しています。テレワークにはオフィス代や交通費が削減されるだけでなく、生産性が高くなるというメリットもあります。今回はテレワークについて、経理業務にスポットを当てて解説します。
目次
テレワークとは
テレワークとは総務省が推進する働き方のひとつで、情報通信技術(ICT)を活用し、自宅(在宅)やサテライトオフィスなどの離れたところで仕事をする働き方です。テレワークを導入することで、オフィス代や事務用品、社員の交通費などを削減できる可能性があります。また通勤や人間関係のストレスが軽くなることで、社員のポテンシャルが引き出されることも考えられます。
経理業務をテレワーク化するために必要なこと
経理業務はオフィスでなくともできる作業が多いのではないでしょうか。そこでテレワークを経理業務に導入するために必要なことを3つ解説します。
領収書の電子化
領収書は「紙」です。テレワークは離れたところで作業をするため、領収書はスキャナを使って電子データにしなければいけません。一手間かかるように思えますが、膨大な量の領収書の現物をオフィスで抱えているより、経理業務では電子データを使い、現物領収書の管理は別途行うように切り分ける方が効率的とも考えられます。
各種帳票の電子化
経理業務ではさまざまな帳票を扱いますが、これらの帳票も電子データ化しなければいけません。理想的には経理業務をシステム化して、紙の帳票を使わないことです。実務では帳票を印刷して費目などをチェックすることが考えられますが、できる限り電子化することで、テレワークはスムーズに進みます。
また後述しますが、経理業務のシステム化、テレワークの導入にはクラウド会計ソフトがとても相性が良いと考えられます。
ICT環境の整備(PC、ネットワーク、執務環境、クラウド、勤怠管理など)
テレワークはICTを活用した働き方のため、パソコンやセキュアなネットワークなどが必須となります。必要とされる環境整備には、パソコン、ネットワーク、執務環境(机や椅子、サテライトオフィスなど)、テレワークの勤怠管理方法等が考えられます。
ICT環境の整備はテレワーク導入の障壁となりがちです。しかしながらテレワークを導入するための助成金などもありますので、うまく活用すればテレワーク導入にかかる経費を削減することができます。
>>テレワーク・在宅勤務の導入費用が最大450万円戻ってくる「IT導入補助金」の詳細
自前でファイルを管理するサーバーやネットワークを準備するのはとてもコストがかかります。そこでテレワークを導入する企業様にはクラウドサービスを活用するケースも少なくありません。
続いて、クラウドサービスについて解説します。
経理業務のテレワークはクラウドではかどる
クラウドサービスはあらかじめ用意されたサーバーやネットワークを借りて、自社専用のICT環境を整えるものです。まずはクラウドから解説しましょう。
クラウドとは何か
テレワーク導入のために自社でサーバーやネットワークを構築するのはコストだけでなく、ICTの専門家の知識も必須です。そこでサーバーやデータベース、ネットワークなどをレンタルする感覚で利用できるサービスが、クラウドサービスです。単にクラウドと呼ばれることもあります。
クラウドサービスではインターネット上に自社専用のICT環境を構築するため、アクセスが許可されている利用者だけが、ファイルサーバーやデータベース、ネットワークを利用することができます。
セキュリティに強く、安全性が高いクラウドサービスを利用することで、情報漏えいなどのリスクが大きく下がるでしょう。
経理用の専用サーバーを用意しなくても良い
クラウドを使えば、経理業務のテレワーク化をするために経理用のサーバーを用意する必要がありません。正確にはサーバーは使いますが、自社で実機を購入して、自社あるいはデータセンターなどの設置場所を用意する必要がなく、低コストで経理用のサーバーを構築できます。
中小企業ならクラウド会計ソフトで経理業務をテレワーク化可能
中小企業様であればクラウド会計ソフトで経理業務をテレワーク化することもできます。経理専用サーバーを用意しなくても、すでにクラウド化されている会計ソフトがあるため、自社内のインターネットにつなげられるパソコンであれば離れた場所からでもアクセスできます。テレワーク化も容易でしょう。
経理業務をテレワークで行うメリット
メリットについて2つ解説します。いずれもコストや手間の削減につながるもので、業務効率がアップします。
ペーパーレスの促進
例えばクラウド会計ソフトを使えば、経理に必要な帳票の大部分はクラウド会計ソフトが作成しますし、印刷しなくても画面上で帳票を見ることができます。
またクラウド会計ソフトは常に現金や預金、経費を自動で取り込み計算するため、導入することで経理業務がとてもはかどります。テレワーク導入とクラウド会計ソフトはとても相性が良いです。
社員の経費申請の手間が大きく削減できる
経費申請では、社員が紙を使った用紙に記入をし、上司の印鑑をもらうというように手間がかかります。テレワークでは領収書をスキャンし、上司に送って確認してもらうというワークフローで済むため、経費精算もスムーズに進むでしょう。
デメリットはセキュリティ
テレワークのデメリットはセキュリティです。セキュリティはしっかり対策することで対応できるため、テレワーク導入に際してはメリットが上回ると考えられます。
財務情報が会社外から閲覧できる環境
テレワークは離れたところで仕事をするため、自社のオフィス外からでも財務情報が閲覧できてしまいます。お金を扱う業務であることに加え、セキュリティ・情報漏えいなどに対して漠然とした不安を抱く方も多いのではないでしょうか。
経理業務に限らず、テレワークではセキュアなネットワークを使います。例えばVPN(仮想プライベートネットワーク)など、自社専用のネットワークを持つことで、ネットワークのセキュリティは保たれます。
そして会社でセキュリティポリシーを作成して、全社員が遵守することで、テレワークのセキュリティの懸念は払拭できると考えて良いでしょう。
業務がクラウドサービスへ依存しがち
クラウドサービスを利用するため、クラウドサービスの利用料金や提供されるサーバーのスペックなどがクラウドサービス提供会社に依存します。またクラウドサービスを提供する会社の倒産リスクも考えられます。
ただ経理業務を行う上では、コンピュータにそこまで負荷のかかる処理はさせないため、サーバーのスペックはあまり考える必要はありません。またデータバックアップは必須です。バックアップがあれば万が一クラウドサービス提供会社が倒産しても備えられます。
まとめ
経理業務をテレワーク化するメリットはとても大きいです。また、クラウド会計ソフトを導入して、自社内のワークフローを整えるだけで、テレワーク化できるケースも考えられます。これを機会にワークフローを見直し、経理担当者のテレワークを実現させてみましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
経理の関連記事
新着記事
経理業務にAIを活用するには?メリット・デメリットやツールの導入事例なども解説
AIの発展により、経理業務は大きな変革期を迎えています。請求書処理や仕訳入力など、これまで人手で行っていた作業をAIが自動化しつつあります。本記事では、AIが経理業務に与える影響から、導入のメリット・デメリット、具体的な導入方法までわかりや…
詳しくみる中古車は一括償却できる?減価償却との違いや経費計上のシミュレーションも
中古車は取得価額20万円未満であれば、一括償却資産として3年で経費化が可能です。 本記事では、一括償却制度の概要をはじめ、減価償却との違いや法人・個人事業主を問わず利用可能な要件について解説します。さらに、2年落ちや4年落ち、10年落ちとい…
詳しくみる減価償却不足とは?発生する理由や確認方法・解消方法、損金算入などを解説
減価償却不足とは、会計によって算出された償却費の数字が、税務上の償却費の限度額を下回ることを指します。本記事では、減価償却不足がどのようなときに発生するのか、その原因や具体的な対策について解説します。 また、減価償却不足の有無を確認するため…
詳しくみる任意償却とは?減価償却との違いやメリット、仕訳・勘定科目などを解説
任意償却には2つの意味があり、一つは税法上で認められている償却方法の任意償却のことを指し、もう一つは減価償却において会計処理を任意で行うことを指します。後者の任意償却は法人だけに認められている制度でもあるため、注意しましょう。 本記事では、…
詳しくみる開発費の償却方法は?償却年数や仕訳・勘定科目、任意償却できる場合も解説
開発費とは、企業が新製品・新サービスの研究開発を行う際に投じる費用のことです。この開発費の会計処理には、発生時に全額を費用として計上する方法と、複数年にわたって償却する繰延資産として処理する方法があります。本記事では、開発費の基本的な考え方…
詳しくみる借地権は償却できる?減価償却の方法や会計処理、税会不一致についても解説
建物などの不動産は減価償却が認められているのに対し、借地権はどうなのか疑問に思う方もいるでしょう。結論からいうと、借地権は税務において減価償却はできません。 本記事では借地権とは何か、借地権と減価償却の関係を解説します。借地権を深く知りたい…
詳しくみる