- 更新日 : 2024年8月8日
公課証明書とは?記載内容と取得方法について解説
公課証明書は固定資産の所有権の移転に伴う固定資産税の按分などに使用する書類です。
ここでは公課証明書にどのような情報が書かれているのか、どのようにすれば取得できるのかについて解説します。また公課証明書と混同しがちな書類との違いや、取得に必要な書類の書き方についても解説しています。
目次
公課証明書の記載内容とは?
公課証明書には何が書かれているのか?
公課証明書は別名「固定資産課税台帳登録事項証明書」と呼ばれます。固定資産に含まれるのは土地だけではありません。家屋や償却資産も固定資産です。そのため公課証明書も土地公課証明書・家屋公課証明書・償却資産公課証明書の3種類があります。それぞれの記載内容は以下の通りです。
・土地公課証明書
→所有者の住所、氏名、所在地、現況(地目、地積)、評価額、課税標準額、固定資産税相当額、都市計画税相当額
・家屋公課証明書
→所有者の住所、氏名、所在地、家屋番号、現況(種類、構造、床面積)、評価額、課税標準額、固定資産税相当額、都市計画税相当額
・償却資産公課証明書
→所有者の住所、氏名、資産の種類、評価額、課税標準額、固定資産税相当額
「公課」とは税額を意味します。 そのためどの公課証明書にも固定資産税相当額や都市計画税相当額など、固定資産の種類に応じた税金の額が記載されています。
「評価証明書」「名寄帳の写し」との違いとは?
書類名 | 記載内容 | 目的 |
---|---|---|
評価証明書 | 所有者の住所氏名等、評価額、課税標準額 | 証明 |
公課証明書 | 評価証明書の内容に税額を加えたもの。 | 証明 |
名寄帳の写し | 評価証明書の内容に税額を加えたもの。 | 閲覧 |
公課証明書と混同されやすい書類に「評価証明書」と「名寄帳の写し」があります。
評価証明書は公課証明書と同じ「固定資産課税台帳登録事項証明書」ですが、公課ではなく評価を証明するための書類です。そのため公課証明書の記載内容のうち、固定資産税相当額及び都市計画税相当額の記載のないものを言います。
対して名寄帳の写しは固定資産についての証明を目的としたものではなく、所有物件の明細を確認するだけの書類です。記載内容は公課証明書や納税通知書に添付されている課税明細書とほとんど同じとなっています。
記載内容の違いや、用途の違いを理解して必要な書類を申請するようにしましょう。
公課証明書の取得方法は?
公課証明書はどこで手に入れられる?
公課証明書は住宅家屋証明以外のものについては、すべての市税事務所及び区役所等の窓口で発行してもらうことができます。住宅家屋証明については市税事務所のみでの受付となっているので注意しましょう。
公課証明書は誰が手に入れられる?
公課証明書の取得ができるのは以下の人たちです。
・同居している家族
・相続人
・法人
・宅地建物業者
・競売申立人
・借地・借家人
・代理人
公課証明書の申請に必要な書類とは?
公課証明書を発行してもらうためには運転免許証やパスポート、年金手帳などの本人確認書類のほか、「固定資産評価証明書申請書」と取得しようとする人の種類に応じた書類が必要となります。以下ではまず後者について見ていきましょう。
納税義務者または固定資産の所有者である本人や同居している家族の場合は例外で、本人確認書類のみの提出で申請ができます。しかし相続人の場合は戸籍や除籍謄本などの相続権が確認できるものが必要です。
法人の場合は法人の代表者印が押された委任状が必要となります。ただし代表者印を持っていくか、代表者印が押されている固定資産評価証明書申請書を持参した場合は、社員証や健康保険証などの従業員が確認できる書類を提示すれば発行してもらえます。
宅地建物業者の場合は証明書取得の委任の特約事項が記載された媒介契約書が必要です。ただし媒介契約書が法人の場合は、その従業員であることが確認できる書類も提示しなくてはなりません。
競売申立人は競売申立書及び物件目録の写しが必要で、借地・借家人の場合は賃貸契約書などの賃貸権を証明する書類が必要となります。代理人の場合は委任状の提示が必要です。
「固定資産評価証明等請求書」の書き方
固定資産評価証明書申請書(以下、申請書)は公課証明書を取得する際に提出しなければならない書類です。ここでは京都市の申請書の個人用を例にとって、具体的な書き方を説明します。
(出典:固定資産評価証明|京都市情報館)
申請書は大きく6つのステップに分類することができます。
1つ目のステップは「どなたの証明が必要ですか」です。ここでは住所・氏名・生年月日等を記入します。ここで記入する内容は「納税義務者」のものです。本人以外が申請書を提出する場合は注意しましょう。
2つ目のステップは「必要な証明・通数」です。ここでは「公課証明」にチェックを入れ、必要な枚数を記入します。
次のステップは「必要な場合は証明書に添付します」の欄です。共有者氏名表や家屋明細書が別途必要な場合は該当書類にチェックをつけます。
(出典:固定資産評価証明|京都市情報館)
4つ目のステップは「どの資産の証明が必要ですか」の欄です。当該年の1月1日時点の状況に基づいて、資産の種別(土地か家屋か)と所在地を記入します。この時に家屋番号も記入するとより速やかに発行を受けられます。
次のステップは「使い道」です。7つの選択肢から該当するものを選びます。最後のステップは「窓口に来られたあなた」の欄です。本人でない場合はこの欄の記入が必要となります。
まとめ
公課証明書は不動産を持っている人や、固定資産についての業務を担当する人は知っておくべき書類です。
「評価証明書」や「名寄帳の写し」との違い、必要な書類をあらかじめ把握し、いざという時は速やかに取得できるようにしておきましょう。
関連記事
・固定資産評価証明書はどのようなときに必要?
・固定資産税の支払い方法と概要
・有形固定資産と無形固定資産の違いと間違えやすいポイントを解説
よくある質問
公課証明書にはどんな種類がある?
土地公課証明書・家屋公課証明書・償却資産公課証明書の3種類があります。詳しくはこちらをご覧ください。
公課証明書はどこで手に入れられる?
公課証明書は住宅家屋証明以外のものについては、すべての市税事務所及び区役所等の窓口で発行してもらうことができます。詳しくはこちらをご覧ください。
公課証明書の申請に必要な書類とは?
運転免許証やパスポート、年金手帳などの本人確認書類のほか、取得しようとする人の種類に応じた書類が必要となります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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