• 更新日 : 2023年8月10日

e-文章法とは?要件や対応方法の解説

e-文章法とは?要件や対応方法の解説

経理担当として扱う書類は非常に多く、管理の仕方について不安に感じる方も多いでしょう。電子帳簿保存法やe-文書法により一部の文書は電子的に保存することも可能で、紙保管に比べると簡便に取り扱えます。この記事では、e-文書法の意味と条文にある要件、e-文書法の対応と対象文書、e-文書法の下にある電子帳簿保存法を中心とした改正と要件緩和などについて解説します。

e-文書法とは?

e-文書法は電子帳簿保存法より後の2005年に制定された法律です。この法律もパソコンとインターネットの普及を受け、ペーパーレス化による業務効率化やコスト削減などが制定の背景にあります。

e-文書法は、文書の電子化の全体を定義づけるような法律で、e-文書法以下のさまざまな法律に影響するものです。制定後、コンピュータの利用やIT技術の発展もあり、傘下の電子帳簿保存法では、より多くの事業者が電子化を実現できるように何度も改正が行われています。

e-文書法の要件

e-文書法の基本要件は見読性、完全性、機密性、検索性の4つです。

見読性表示や印刷などで情報が読み取れること

※CDで保存している場合には、CDドライブを用意しておくなど、読み取り機器なども保持しておく必要があります。
完全性作成された文書とデータが同じものであり、作成後改変されていないこと(真正性)確実に保存されていること(保存性)
機密性盗難、漏洩、不正アクセスなどが防止できていること
検索性必要に応じて必要な文書が探し出せること

電子帳簿保存法は国税庁が所管し、国税関係帳簿書類について定義されていますが、e-文書法は厚生労働省が所管している法令です。「通則法」「整備法」の2つから構成されており、それぞれ以下について定めています。

  • 「通則法」:紙文書の電子保存に関する共通事項
  • 「整備法」:紙文書の電子管理のために必要な手続きなど

つまりe-文書法は電子帳簿保存法の上流にあたる法律で、会社法や商法を含む、より包括的な書類の電子保存について定めたものです。例えば、社内の稟議書や有価証券報告書などの電子保存について、e-文書法が根拠になります。

参考:
「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」の概要|厚生労働省
電子帳簿保存法の概要|国税庁

e-文書法への対応方法

e-文書法は、データで内容を保存できる便利な方法ではありますが、すべての文書に対応しているわけではありません。前述したe-文書法の要件を満たして保存することはもちろんですが、現物の重要性が高い文書など一部は電子化が認められないものもあります。

各書類の扱いについてはそれぞれの省庁で定めがありますので、電子化の際によく確認しておくと良いでしょう。

なお電子化について、国税関係帳簿書類に関しては、さらに厳しい制限があります。国税関係帳簿書類は紙での保存が原則とされていますので、すぐに電子化できないこともあります

帳簿書類の電子化

ソフトウェアなどを使って作成する仕訳帳総勘定元帳などの帳簿、決算関係書類、見積書請求書などの取引相手へ送付する書類の写しが対象です。(※詳しくは後述します)

税務署長の承認を受ければ、電子データのまま保存できますが、訂正・削除の事実確認ができる、システムに関連する書類の備え付けがある、主要な記録項目で検索できるなど、複数の要件を満たさなければなりません。

制度を利用した電子保存をしたい場合は、電子帳簿保存法に対応した会計ソフトなどを選ぶようにしましょう。

参考:はじめませんか、帳簿書類の電子化!|国税庁

書類のスキャナ保存

取引相手から受領した書類、取引相手へ送付する書類の写しについては、スキャナ保存制度によってスキャナでの電子保存ができます。こちらも、解像度200dpi以上、タイムスタンプを付与すること、など複数の要件がありますので、要件を満たすための対応が必須です。

参考:はじめませんか、書類のスキャナ保存!|国税庁

保存すべき帳簿とは何か?

個人、法人を問わず、国税関係帳簿書類のうち保存を求められているものは多岐にわたります。法人税法や消費税法で保存すべきものとして定められている書類には以下のようなものがあります。

帳簿総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳など
国税関係書類貸借対照表損益計算書、棚卸表、その他決算書

これらの書類は、一部を除き確定申告書の提出期限の翌日から7年間、証憑類は5年間保存することが定められています。

従来は、原則として紙による保存が必要でした。しかし、すべてを紙で保存するとスペースが必要になったり、ファイル代や用紙代などのコストがかかったりします。また、保管期間を過ぎて破棄する場合にもコストやセキュリティへの配慮などが必要です。そのため、一定の条件を満たせば電子データを使った保存が認められています。
また、スキャナ保存の制度もあります。

電子帳簿保存法によってデータ保存する方法は、2通りあります。

電磁的記録による保存

電磁的記録とは、各書類を電子データのまま一定の媒体を通じて保存する記録方法です。例として、サーバやDVD・CD、クラウドサービスなどによる保管が挙げられます。

COMによる保存

COMとは「電子計算機出力マイクロフィルム」のことです。COMには耐久性があり、長期保管に適しています。最初からパソコンなどで帳簿類を作成している場合は、COMでの保存が認められています。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法と、原則的な紙の保存に代わり、電子データでの保存を認めた法律です。電子帳簿保存法の範囲は、コンピューターで作成した帳簿書類の保存を定めた「電子帳簿等保存」、紙で受け取った書類の保存を定めた「スキャナ保存」、電子的なやり取りで発生した書類の保存を定めた「電子取引」に区分されます。

このうち、電子取引については電子データの形で保存するように定められました。2023年12月31日まではプリントアウトして保存することも認められますが、2024年1月1日以降はすべての事業者において電子データでの保存が義務付けられます。

電子帳簿保存法の対象書類や適用要件などは以下の記事で詳しく説明していますので、こちらをご覧ください。

e-文書法の意味と重要性

e-文書法は、帳簿書類の電子化に関わる電子帳簿保存法にも関連する法律で、すべての文書の電子化の要件を定めた、基となる重要な法律です。要件は、すべての文書の電子化に通じていますので、まずは要件だけでも確認し、電子化に対応できるようにしましょう。

よくある質問

e-文書法とは?

電子帳簿保存法より後の2005年に制定された法律で、文書の電子化の全体を定義づけるような法律です。詳しくはこちらをご覧ください。

保存すべき帳簿とは?

個人、法人を問わず、国税関係帳簿書類のうち保存を求められているものは多岐にわたり、現金出納帳や損益計算書などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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