- 作成日 : 2024年11月5日
経費精算にスプレッドシートは利用できる?メリット・デメリットや作成例を紹介
経費精算において、多くの企業でスプレッドシートが利用されています。コストがほとんどかからず、クラウド管理できるなどのメリットがある一方、注意点もあるため正しい知識を持って運用することが大切です。
本記事では、スプレッドシートを用いた経費精算・管理のメリットやデメリット、具体的な作成例などを解説します。
目次
経費精算・管理にスプレッドシートは利用できる?
スプレッドシートは、経費精算や管理において有効なツールといえます。表計算ソフトとしてごく一般的なMicrosoft Excel(以下Excel)と類似した操作性を持つオンラインツールであり、無料で利用できることに加えカスタマイズ性が高いため、特に中小企業や予算の制約がある組織において重宝されています。
インターネット環境があればどこからでもアクセスできる点も、現代のビジネス環境に適しているといえるでしょう。
なお、経費精算とは従業員が事業に関連して立て替えた金銭を会社に申請して払い戻しを受ける流れのことです。経費管理は経費を把握し、適切に使用されるよう調整するプロセスを指します。経費精算や経費管理の一連のフローにおいて、スプレッドシートの利用は効率化が期待できるツールのひとつです。
経費精算・管理にスプレッドシートを利用するメリット
オンライン上で管理できるスプレッドシートは、経費精算・管理に多くのメリットをもたらします。
詳しく見ていきましょう。
コストがかからない
スプレッドシートは、Googleアカウントを持ってさえいれば誰でも無料で利用できます。専用のソフトウェアを購入する必要がないため、予算に限りがある小規模な企業や部門にとっては大きなメリットとなるでしょう。
Googleアカウントを作る際も、それほど大きな手間はかかりません。初期投資を抑えつつ、効率的な経費管理システムを構築できる点が魅力です。
導入ハードルが低い
経費精算や管理にかかわる経理担当者のほとんどは、Excelの使用経験があるでしょう。提供する会社がExcelはMicrosoft、スプレッドシートはGoogleという違いはありますが、ユーザーインターフェースや基本的な機能がエクセルと類似しているため、Excel経験者であれば使いこなすまでにそれほど時間はかかりません。
導入してすぐに実務に使えるというハードルの低さも、スプレッドシートの利点といえます。
権限を細かく設定できる
スプレッドシートでは、ユーザーごとに閲覧・編集権限を細かく設定できるため、経理担当者や管理職など、必要な人員のみがデータにアクセスできます。
適切な権限管理を継続して行っている限りは、情報セキュリティの観点からも安心して利用できるといえます。
履歴が確認できる
スプレッドシートには変更履歴機能があり、誰がいつどのような操作を行ったかを追跡できます。変更履歴が確認できることは経費精算プロセスの透明性を高め、不正や誤りの早期発見に役立つでしょう。
履歴を追って必要なシートを復元することもできるため、監査対応もしやすくなります。
外出先からの申請やリモートワークにも対応
スプレッドシートはオンラインツールであり、シートのアドレスさえわかればどこからでもアクセスできます。
インターネット環境があれば外出先からでも経費申請や承認作業ができるため、経費精算のためだけに出社することがなくなります。リモートワーク時の経費精算も楽になり、申請遅れなどが減ることも期待できるでしょう。
経費精算・管理にスプレッドシートを利用する注意点
これまで紹介したように、スプレッドシートにはさまざまなメリットがありますが、一方で注意点もあります。
経費精算・管理にスプレッドシートを使用する際に気を付けるべき点について、見ていきましょう。
アクセス権限の設定には細心の注意を払う
スプレッドシートのアクセス権限設定の管理は、非常に重要です。「リンクを知っている全員」という設定にしていると、URLが誤って外部に共有された場合、機密性の高い経理情報が外部に漏洩するリスクがあります。誤って設定を変更しないように、細心の注意を払いましょう。
必要最小限の人員にのみアクセス権を付与し、定期的に権限設定を見直すことも大切です。また、従業員の退職や異動の際には速やかにアクセス権を削除または変更する必要があります。
手動入力によるヒューマンエラーの可能性
スプレッドシートでの経費精算は、何らかのツールと連動させない限り基本的に手動入力です。そのため、金額や日付の入力ミス、項目の記入漏れなどのヒューマンエラーが発生するリスクはゼロにできません。
入力ミスなどのヒューマンエラーは、経理精算の遅延や管理不足による不正確な財務報告につながる可能性があります。エラーを最小限に抑えるためには、入力フォーマットの標準化、データ検証ルールの設定、定期的なダブルチェックなどの対策が求められます。
データが大きいと動作が遅くなりがち
スプレッドシートは、データ量が増加すると処理速度が低下する傾向があります。特に、複雑な計算式や大量のセル参照を含むシートでは、この問題が顕著になりがちです。
経費データが蓄積されていくにつれ、ファイルの開閉や編集に時間がかかるようになり、業務効率が低下する可能性も否定できません。この問題に対処するためには、定期的にデータをアーカイブし、アクティブなシートのデータ量を管理可能な範囲に保つようにしましょう。
また、シートの構造をシンプルに保ち、不要な計算式や関数を削除することで、パフォーマンスを改善できる場合があります。
スプレッドシートを利用した経費精算書類の作成例
スプレッドシートを使用して効果的な経費精算書類を作成するには、以下の手順を参考にしてください。ごくシンプルな立替経費精算書の作成例です。
① 基本レイアウトの設定:新規スプレッドシートを開き、「立替経費精算書」などのタイトルを入力します。部署名、申請者名、申請日などの基本情報を入力する欄を設けます。
② 経費明細テーブルの作成:日付、内容、金額、支払方法などの列を設定します。必要に応じて、経費カテゴリの列も追加します。
③ 計算式の設定:金額列の合計を自動計算する数式を設定します。例: =SUM(D8:D20)
(D列の8行目から20行目までの合計)
合計金額を表示させたいセルに直接数式を入力します。
④ データ検証ルールの適用:日付列に日付形式の検証ルールを設定します。表示形式を選択し、数字をクリック、右から日付を選択します。
同じやり方で、金額列に通貨のみを許可する検証ルールを適用します。
⑤ 承認フローの組み込み:上長承認、経理確認などのチェックボックスや署名欄を設けます。
⑥ 保護設定:重要なセルや数式を含むセルを保護し、誤って編集されないようにします。
保護したいセルを選択、上部の「データ」をクリック、「シートの保護の範囲」を選択すると画像のような画面になるため、保護したいセルがあっているか確認します。その後権限を選択して完了をクリックしてください。
この手順で作成したスプレッドシートは、基本的な経費精書として使用できます。ただし、より複雑な要件や大規模な組織での運用には限界があることに留意してください。
そういったケースでは、スプレッドシートよりも経費精算システムが向いている可能性があります。
経費精算システムの導入で業務を効率化しましょう
スプレッドシートによる経費精算・管理には一定のメリットがありますが、より高度な業務効率化を目指すなら専門の経費精算システムの導入を視野に入れてみましょう。
経費精算システムには、以下のようなメリットがあります。
領収書をアップロードするだけで申請書ができる
多くの経費精算システムでは、スマートフォンで撮影した領収書画像をアップロードするだけで、自動的に申請書が作成されます。OCR(光学文字認識)技術により、領収書の内容が自動的にデータ化されるため、手動入力の手間が大幅に省けます。
申請者の負担が軽減されることはもちろん、入力ミスも減少し修正や差し戻しなどが減り経理担当者の負担軽減も期待できるでしょう。
クレジットカードやICカードとの連携ができる
経費用のクレジットカードや交通系ICカードと連携できる経費精算システムも多くあります。使用履歴がそのままシステムに反映されるため、スムーズかつスピーディーな交通費精算が可能になるほか、申請ミス、申請漏れもほとんどなくなります。
頻繁に発生する交通費精算や旅費精算の精算フローの大幅な簡素化ができるのは、スプレッドシートにはない経費精算システムならではのメリットです。
仕訳作業が自動的に行われる
経費精算システムでは、アップロードされた領収書や入力されたデータを基に、自動的に仕訳処理を行います。交通費、交際費、消耗品費などの科目に自動的に振り分けられるため、経理担当者は仕訳作業をする必要がありません。
スプレッドシートではあらかじめプルダウンに設定して選択制にできますが、完全な自動仕訳はできないため、経費計算システムを使用するメリットはかなり大きいといえるでしょう。
会計システムなどと連携できる
経費計算システムを会計ソフトなどと連携することによって、従業員が申請した経費をそのまま会計ソフトのデータに反映でき、申請から承認確認、払い戻しまで経費精算フローすべてを自動化できます。
不正やミス防止効果が期待できる
不正防止やミス検出のための機能が搭載されているのも、経費精算システムの利点です。事前の設定によって二重申請を自動的に検知したり、設定された上限額を超える経費に対してアラートを発したりできます。
また、申請から承認、場合によっては支払いまでの全プロセスがシステムに記録されるため、監査の際にも役立ちます。こうした機能により、不正リスクの軽減に加え経費管理の精度向上が期待できるでしょう。
業務の効率化を実現するなら、マネーフォワード クラウド経費の導入がおすすめ!
経費精算・管理業務には、データ入力や承認プロセスなど、多くの手作業が伴います。それはスプレッドシートを利用しても変わりありません。
その点「マネーフォワード クラウド経費」では、領収書データなどの作業を自動化し、業務の大幅な改善を図れます。スマートフォンでレシートを撮影すれば、自動的に経費として仕分けされ、入力ミスや手入力による作業負担が軽減されます。
さらに、システム上でのリアルタイムなデータ管理により、経費の申請状況や承認フローが可視化され、担当者同士のコミュニケーションが円滑になります。このように、経費精算のプロセスを自動化することで、時間の短縮や業務の効率化が実現できるだけでなく、正確性の向上も期待できるでしょう。
経費精算・管理をよりスマートにするために
スプレッドシートは導入ハードルが低く、少ないコストで経費精算・管理が効率化できますが、ある程度のデータ量になると動作が重くなるなど、限界もあります。
インボイス制度の運用開始や電子帳簿保存法の義務化など経費精算・管理を取り巻く状況を鑑みても、さらなる効率化を図る時期に来ているといえるでしょう。経費精算システムは経費精算・管理フローを自動化し、大幅な効率化が可能です。経費精算・管理フローをアップデートし、スマートな運用を実現しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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