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  • 作成日 : 2020年9月14日

売掛金とは?意味と回収・未回収時の元帳への仕訳方法をわかりやすく紹介

売掛金の定義とは?意味を簡単に説明

売掛金(読み:うりかけきん)とは、売上の対価として将来的に金銭を受け取る権利、売掛債権のことです。売上にかかる債権という意味で、受取手形と同じく売上債権に分類されます。経理上、販売時に手形や現金での受け入れがない、掛け取引で使われる勘定科目です。ツケや仮取引をイメージすると分かりやすいかもしれません。

売掛金は、手形のように証書が発行されるわけではないため、信用がないと成り立たず、信用取引にも区分されます。簿記の実務では、取引が発生した時点で仕訳をする発生主義ではなく、取引により相手方に商品などが引き渡された時点で売掛金の仕訳を行うのが原則です。これは実現主義と呼ばれます。

売掛金が多い業界は、卸売業、サービス業、製造業などで、幅広い業種において経理上の勘定科目として使われています。

ちなみに英文会計ではAccounts receivable(読み方:アカウンツ・レシーバブル)、またはAccounts receivable-trade(読み方:アカウンツ・レシーバブル・トレイド)と表します。

買掛金との違い

買掛金は、商品などを仕入れたときの未払金のことです。売掛金と同じように掛け取引によって生じたもので、信用取引に区分される点は同じです。しかし、売掛金は売上債権であるのに対して、買掛金は仕入債務であり、支払いの義務があることが異なります。

未収入金との違い

未収入金は、営業活動以外の取引に関して、金銭の回収ができていない金銭債権のことです。すでに取引が生じたもので、代金の回収ができていないという意味では売掛金と同じです。

しかし、売掛金が営業活動における売上によって発生するものであるのに対して、未収入金は営業活動以外で発生したものであることが異なります。未収入金の例は、本業以外で発生した土地や建物の売却代金、有価証券の売却代金のうち、回収できていないもの、などです。

前受金との違い

前受金は、商品の受け渡しなどを行う前(売上として上がる前)などに、手付金として受け取った金銭です。計上時は、売掛金と異なり貸方になりますが、引き渡しが完了していない点が売掛金と異なります。

前受金と似た性質の勘定科目に「預り金」があります。前受金との違いは、預り金は一時的な金銭の預かり、または、社会保険料など第三者に支払うための金銭の預かりであることです。

立替金との違い

立替金は、他者が負担すべき費用を一時的に支払うなど、代金を立て替えたときに使用する勘定科目です。受け取る権利がある金銭債権という意味では売掛金と同じですが、売掛金は売上債権に絞られ、代金の立て替えではないため意味が異なります。立替金は、取引先との間でも発生することがあり、本来は取引先が負担すべき発送費を一時的に立て替えた場合などで使われます。

仮払金との違い

仮払金は、従業員の出張にかかる費用のために仮に従業員に支払った費用など、支払いは済んでいるものの、支出の用途が確定していない勘定科目です。似た科目として「仮受金」があり、こちらは、金銭は受け取ったものの、用途が分からず一時的に処理するためのものになります。売掛金は、売上債権であり内容が明確ですので、取引に内容が分からない状態である仮払金、仮受金とは性質が異なります。

売掛金の勘定科目と処理の流れ

売掛金の生じる取引では、どのような処理をするのか、簡単な流れを紹介します。

  1. 売掛金の発生
  2. 売上によって売掛金が生じたら、振替伝票に仕訳を記入し、売掛金元帳に転記します。会計ソフトを利用する場合は、いずれか一方に入力することで、自動で帳簿が作成されます。

  3. 売掛金の入金
  4. 売掛金について入金があれば、入金伝票(現金や口座への入金をともなう場合)に仕訳を記入し、売掛金元帳に転記します。このように、入金にともない借方にあった売掛金を貸方に仕訳して消去する作業を「消し込み」といいます。

    取引先が特定の期日に入金するケース、口座振替の利用で特定の期日に入金されるケースも多いため、入金の可能性が高い期日付近にはどこから入金があったかよく確認するようにしましょう。

  5. 売掛金の残高を確認
  6. 1カ月など期限を決めて、売掛金の明細表である売掛金残高一覧表を使い、期日を過ぎても未入金のものがないか、金額のミスで残高に誤りがないか、漏れがないか確認していきます。売掛金全体でみると確認作業が煩雑になるため、取引先ごとに売掛金の補助科目を設定しておき、補助科目ごとに確認できるようにすると便利です。

  7. 期末には貸借対照表
  8. 期末の売掛金の残高は、貸借対照表の流動資産の部に記載されます。

売掛金の仕訳処理の例

売掛金の仕訳はどのようなケースで必要になるのか、売上計上があったとき、消込処理があったとき、入金にともない振込手数料が発生したとき、値引きが発生したとき、などいくつかのケースに分けて代表的な仕訳の例を紹介します。

売掛金の仕訳

売掛金の仕訳は、売上(商品などを引き渡したとき)の時点で、現金や預金での受け入れがなかった場合に発生します。

【例】掛け取引で商品税込み15万円を売り上げた。(税込み処理)※三分法

借方借方金額貸方貸方金額
売掛金150,000円売上150,000円

収益である「売上」が貸方にくるので、借方に「売掛金」をもってきます。

売掛金の回収

売掛金が回収できたときに、消込処理を行います。

【例】銀行振込の場合:売掛金10万円が普通預金に振り込まれた(振込手数料500円が差し引かれている)。
売掛金の額がそのまま振り込まれることもありますが、振込手数料が差し引かれた状態で振り込まれることもあります。振込手数料が差し引かれて入金された場合は、下記のような仕訳を行います。

借方借方金額貸方貸方金額
普通預金99,500円売掛金100,000円
支払手数料500円

【例】小切手の場合:売掛金の回収として他社振り出しの小切手20万円を受け取った。
他社振り出しの小切手は「現金」で処理します。自社が過去に振り出した小切手を回収代金として受け取る場合は、「現金」ではなく借方は「当座預金」です。

借方借方金額貸方貸方金額
現金200,000円売掛金200,000円

【例】手形の場合:売掛金の回収として20万円の手形を受け取った。

借方借方金額貸方貸方金額
現金200,000円売掛金200,000円

【例】クレジットカードの場合:クレジットカード払いで50万円の売上があり、その後クレジット会社より入金があった。

1.クレジットカード売上の処理(クレジットカード会社への手数料5,000円は販売時に計上することとする)

借方借方金額貸方貸方金額
クレジットカード売掛金495,000円売上500,000円
支払手数料5,000円

2.クレジットカードの売上50万円分の入金が普通預金にあった。

借方借方金額貸方貸方金額
普通預金500,000円クレジットカード売掛金500,000円

※クレジットカード取引による売掛金は、信販会社との取引で、顧客との取引ではないため「クレジットカード売掛金」で処理し、通常の売掛金と区別します。

未回収(回収不可能)の場合

売掛金は信用取引ですので、滞納により期日までに支払われないリスク、回収不能になるリスクがあります。回収不可能になった場合、貸倒の仕訳を行います。

【例】貸倒引当金を設定していた場合:A社売掛金20万円が貸倒れた(貸倒引当金はA社20万円を設定)。

借方借方金額貸方貸方金額
貸倒引当金200,000円売掛金200,000円

【例】貸倒引当金の設定がなかった場合:A社売掛金20万円が貸倒れた(引当金の設定はなし)。

借方借方金額貸方貸方金額
貸倒損失200,000円売掛金200,000円

回収不能により貸倒となった場合、決算時の貸借対照表上から、貸倒になった売掛金の額は上記の仕訳によって消去されることになります。貸倒が発生した場合は、損益計算書にも影響があり、損失が計上されることもあります。また、引当金がある場合は、過去に損失を計上しているため、貸倒の分がそのままが損失になるわけではありません。

なお、税法上の損金では、貸倒損失と認められる範囲に条件があり、貸倒が起きたからといって、すべてが損金にできるわけではないため注意が必要です。
税法上で、貸倒損失として損金にできる具体的な条件は、国税庁の「No.5320 貸倒損失として処理できる場合」よりご確認ください。

一部入金時の仕訳

一部入金時の仕訳は、売掛金回収時の仕訳と同じです。注意したいのは、一部入金であるため、後で金額だけ確認すると、いつの売掛金に対するものなのか、わからなくなってしまう点です。会計ソフトに仕訳を入力する際の適用欄に、一部入金であること、いつの売掛金に対するものか記載しておくと、わかりやすいです。会計ソフトで消込処理をする場合は、全額を消し込みしないようにします。

【例】売掛金15万円のうち、5万円の入金が普通預金にあった。

借方借方金額貸方貸方金額
普通預金50,000円売掛金50,000円

返品処理の仕訳

品質に問題があり返品されたときは、返金処理をするのではなく、売掛金から差し引く処理をすることが多いです。

【例】商品10個の返品(50,000円)があった。返品分は売掛金から差し引く。※三分法

借方借方金額貸方貸方金額
売上50,000円売掛金50,000円

【例】商品10個の返品(50,000円)があった。返品分は売掛金から差し引く(別勘定を使う場合)。

借方借方金額貸方貸方金額
売上戻り
(売上返品・売上戻り高)
50,000円売掛金50,000円

返品により発生する「売上戻り」は財務諸表には表示しないため、決算整理時に結局は売上高から差し引くことになります。会社の会計処理の方法によりますが、返品処理では売上から直接差し引く、上記の仕訳方法を採ることも多いです。

入金不足の場合

売掛金の入金不足は、回収時の仕訳でも説明した振込手数料が差し引かれているケース、値引きや返品で入金が減額されているケースなどが考えられます。このようなケースで解決する場合は、上に示したような仕訳で対応しますが、このほかのケースでは一部入金と同じ処理を行います。

取引先が金額を誤って入金している可能性もありますので、入金不足があった場合で振込手数料や返品などのケースに該当しない場合は、相手先に確認するのが確実でしょう。

売掛金の基礎知識

売掛金について知っておきたい基礎知識を紹介します。

売掛金を計上するタイミング

売掛金の計上タイミングは、売上を計上するタイミングであり、商品などの引き渡しが実現した時点で認識することとされています。このような実現主義的な収益認識では、出荷基準、引渡基準、検収基準が認められており、割賦販売に関しても入金に合わせた計上が認められていました。

しかし、2021年4月から適用の「収益認識に関する会計基準等」では、工事契約や受注制作のソフトウェアを除き、履行義務が充足した時点、すなわち相手の検収が完了した時点での認識が原則となります(国内の出荷に関しては出荷基準も認められます)。これにより、割賦販売は入金に合わせた収益認識ができなくなりました。

買掛金との相殺

顧客が仕入先でもあり、買掛金が発生している場合、該当する取引先に承諾を得ることによって、買掛金と売掛金を相殺できます。

【例】取引先の承諾を得て、売掛金10万円を買掛金10万円と相殺した。

借方借方金額貸方貸方金額
買掛金100,000円売掛金100,000円

売掛金担保ローンを利用する場合

売掛金は、増えすぎると資金の流動化が妨げられ、キャッシュフローが悪くなります。そこで利用できるのが、売掛金担保ローンです。売掛金を担保に金融機関などから融資を受ける方法で、実質的には売掛金の早期回収にあたります。基本的に、売掛金担保ローンは債務者(取引先)の承諾が必要ありません。

売掛金担保ローンに似た資金化にファクタリングもありますが、ファクタリングは売掛金自体を売り渡すことなので売掛金担保ローンとは異なります。ファクタリングは主にオフバランス(資産から売掛金を削除する)を目的としたもので、信用度や債権の規模などから、基本的に個人事業主は利用できない資金化の方法です。

領収書の作成方法

売掛金を直接現金で受け取るなど、金銭の引き渡しに客観的な証拠が得られないときは、領収書の作成が必要です。領収書には、日付や宛名、金額、発行元の名称や住所、連絡先を記載して作成します。取引の金額によって収入印紙の貼り付けと割印も必要です。

【売上代金に関わる収入印紙の税額】

受取金額収入印紙税額
5万円未満非課税
5万円以上 100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下600円
300万円超 500万円以下1,000円
500万円超 1,000万円以下2,000円
1,000万円超 2,000万円以下4,000円
2,000万円超 3,000万円以下6,000円
3,000万円超 5,000万円以下10,000円
5,000万円超 1億円以下20,000円
1億円超 2億円以下40,000円
2億円超 3億円以下60,000円
3億円超 5億円以下100,000円
5億円超 10億円以下150,000円
10億円超200,000円
※金額の記載がないもの200円

参考:「No.7141 印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」(国税庁)

売掛金の時効期間は5年

売掛金は信用取引ですので、支払期限になっても払わない顧客、資金繰りの悪化により実質的に支払いができなくなってしまった顧客が出てくることがあります。注意したいのは、滞納を放置することです。一定期間が過ぎると、売掛金を放棄したことになり、相手方への請求権を失ってしまいます。

売掛金における時効は5年です。以前は業種ごとに1年、2年など時効が定められていましたが、法改正により2020年4月より時効はいずれも5年となりました。売掛金の時効については、相手に支払いの督促を行ったり、相手方を提訴して民事裁判を起こしたり、差し押さえを実行したりすることによって、更新できます。

売掛金がマイナスになった場合の仕訳

売掛金は、売上に対する対価ですから、本来はマイナスになることはありません。マイナスになる場合は、過去の仕訳で金額のミスがなかったか、本来売掛金で処理しない取引で売掛金を使用していないかをまずは疑い、仕訳帳総勘定元帳などで確認していきます。

いずれの処理も適正な場合は、売掛金に対して過剰に入金されている可能性もあります。取引先に確認し、過剰に入金されているのであれば、全額を売掛金とするのではなく、過剰に入金された分を仮受金に振り替えるなどして仕訳を修正しましょう。

摘要には何を書くか

振替伝票や仕訳帳など、帳簿には摘要欄が設けられています。摘要は、取引の詳細について記載する部分です。売掛金の仕訳が生じる取引の場合は、別に請求書などの書類があると思いますので、詳細を記入する必要はありません。必要な書類をすぐに参照できるよう、相手先の名称、回収や返品ならいつの売上の分かなどを記載しておきます。

売掛金年齢表の必要性

売掛金残高の内訳を確認するために、売掛金年齢表を作成することがあります。売掛金年齢表とは、取引先ごとの売掛金を、発生した月、あるいは未入金の経過月数などに分けて作成する表のことです。売掛金年齢表などを作成して回収状況を確認することをエイジングといい、長期滞留売掛金の洗い出しや支払いの督促などに役立ちます。上場企業においては、会計監査で求められることもある資料です。

売上債権回転率

利益が出ていても、キャッシュフローが悪化することがあります。要因のひとつと考えられるのが、売上債権回転率の悪さです。売上債権回転率は、売掛金や受取手形などの売上債権が、売上に対してどの程度回収できているかを示します。回転率は高いほど、回収の効率は良いです。

売上債権回転率 = 売上高 ÷ 売上債権(売掛金など)

売上債権回転率に似た、売上債権の回収を示す値として、売上債権回転期間というものもあり、こちらは債権回収までの平均的な日数を示します。いずれもキャッシュフローの改善に役立つ指標です。

まとめ

掛け取引はさまざまな業界で行われており、売掛金を使う仕訳は一般的なものです。しかし、回収不能になる可能性、長期滞留になる可能性もあり、一般的な取引ながら、管理には注意が必要です。売掛金の回収が滞るとキャッシュフローも悪くなりますので、会計ソフトなどを活用して適切に管理できるようにしましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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