- 更新日 : 2026年7月23日
税理士報酬の勘定科目は?仕訳・源泉徴収・インボイスまとめ
税理士に決算書作成や顧問業務を依頼したとき、報酬の仕訳に使える勘定科目はひとつではありません。支払手数料・支払報酬料・支払顧問料など複数の選択肢があり、どれを選ぶかで迷う経理担当者は少なくないでしょう。本記事では、税理士報酬の勘定科目と仕訳例、源泉徴収やインボイス制度への対応まで、実務で押さえるべきポイントをまとめて解説します。
税理士報酬は経費に計上できる?
税理士に決算書作成・確定申告・顧問業務などを依頼した費用は、事業に関連するものであれば経費として計上できます。法人・個人事業主のいずれも対象で、事業所得に直接関係する部分は全額を経費化できる点が特徴です。
税理士に依頼できる主な業務には、記帳代行、決算書・申告書の作成、税務調査対応、節税相談、資金調達のサポートなどがあります。これらの報酬は事業上の支出として処理しますが、用いる勘定科目は単一ではなく、取引内容に応じて使い分けるのが一般的です。
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税理士報酬の仕訳に使える勘定科目は?
税理士報酬の仕訳に使える勘定科目は、支払手数料・支払報酬料・支払顧問料・業務委託費・雑費の5つです。最もよく使われるのは支払報酬(料)です。
それぞれの意味と使い分けの目安、仕訳例を順に確認します。
支払手数料
支払手数料は、取引や契約で発生する手数料の支払いに使われる勘定科目です。
税理士をはじめ、弁護士や司法書士などの専門家と取引したときにも利用できます。銀行振込手数料や代引き手数料にも使われるため、後で識別しやすいように補助科目に「税理士契約」などと入れておくとよいでしょう。
税理士との税務相談手数料(顧問料)で5万円を支払った場合の仕訳例
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 |
支払報酬料(最も使われる勘定科目)
支払報酬料は、専門的な業務を依頼した際に支払う報酬を計上する勘定科目です。
確定申告などを代行する「税務代行」、申告書作成などの「税務書類の作成」、税金に関する助言などの「税務相談」は、いずれも税理士の専門業務にあたります。これらの報酬は支払報酬料として処理します。
税理士の専門業務以外の記帳代行などをまとめて支払報酬料として計上しても、実務上は問題ありません。振込手数料を支払手数料で処理している場合は、専門家への報酬を支払報酬料で分けておくと管理がしやすくなります。
税理士に確定申告書作成の報酬15万円を支払った場合の仕訳例
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払報酬料 | 150,000円 | 現金 | 150,000円 |
支払顧問料
支払顧問料は、専門家と顧問契約を結んだ際の報酬を計上する勘定科目です。
支払報酬料と性質は似ていますが、単発の依頼が支払報酬料、継続的な顧問契約に基づく支払いが支払顧問料という違いがあります。税理士や弁護士への顧問料を支払顧問料として独立させると、年間でどれだけ顧問料を支払ったかを可視化しやすくなります。
顧問契約している税理士に追加で記帳代行や申告書作成を依頼した場合の費用も、まとめて支払顧問料で処理して差し支えありません。
税理士に顧問料15万円を支払った場合の仕訳例
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払顧問料 | 150,000円 | 現金 | 150,000円 |
業務委託費
業務委託費は、自社の業務を別の会社や個人に委託した際の報酬を計上する勘定科目です。
外注費と呼ばれることもあります。税理士に確定申告書の作成や経理代行を依頼するケースで使われる勘定科目です。複数の業務委託先がある場合は、補助科目に委託先や業務内容を記入しておくと、後から内容を識別しやすくなります。ただし上述の通り支払報酬(料)がもっとも使われます。
税理士との業務委託契約で10万円を支払った場合の仕訳例
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 業務委託費 | 100,000円 | 現金 | 100,000円 |
雑費
雑費は、他の勘定科目に当てはまらない一時的な支出に用いる勘定科目です。
税理士への依頼が頻繁にない場合、雑費として計上する選択肢もあります。ただし雑費は内訳が不明瞭になりやすいため、税理士に継続して依頼している場合や金額が大きい場合は、支払手数料や支払報酬料など内容のわかる科目で処理する方が望ましいといえます。
参照:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
勘定科目はどう使い分ければよい?
税理士報酬に使える勘定科目は複数あるため、迷ったときの判断軸を表で整理しておくと選びやすくなります。基本的な使い分けの目安は次のとおりです。
| 勘定科目 | 適した取引内容 | 補助科目の例 |
|---|---|---|
| 支払手数料 | 単発の契約手数料・他の手数料と混在する場合 | 税理士契約 |
| 支払報酬料 | 確定申告・税務相談など専門業務への単発報酬(もっとも使用頻度が高い) | 税理士報酬 |
| 支払顧問料 | 継続的な顧問契約に基づく月額報酬 | 税理士顧問料 |
| 業務委託費 | 記帳代行・申告書作成の業務委託 | 税理士業務委託 |
| 雑費 | 依頼頻度が低く金額も少ない一時的な支出 | — |
もうひとつ重要なのが、企業会計原則の「継続性の原則」です。これは、一度採用した会計処理の方針を正当な理由なく変更してはならないというルールで、税理士報酬の勘定科目も同様に扱う必要があります。仕訳のたびに科目を変えると取引の管理が難しくなるため、社内ルールとして使用する科目を決めておくのが安全な進め方です。
税理士報酬で源泉徴収が必要なのはどんな場合?
税理士報酬を支払う側は、原則として所得税および復興特別所得税を源泉徴収して、税理士に代わって納付する義務を負います。ただし、支払先や支払者の属性によっては源泉徴収が不要となるケースもあるため、判定基準を整理しておきましょう。
源泉徴収が必要なケース
税理士個人と契約して報酬を支払う場合、原則として源泉徴収が必要です。
法人や個人事業主が、税理士個人(税理士法人ではない個人の税理士)に報酬を支払う場合、支払者が法人または源泉徴収義務を負う個人であれば報酬から所得税および復興特別所得税を差し引いて、税務署に納付しなければなりません。源泉徴収義務を負う者を源泉徴収義務者といい、給与の支払いがある法人・個人事業主が原則として該当します。
源泉徴収が不要なケース
税理士法人への支払いや、給与の支払いがない個人事業主の支払いは源泉徴収が不要です。
源泉徴収が不要となるケースは、大きく次の3つに整理できます。
- 支払先が税理士法人である場合
- 給与の支払いを行っていない個人事業主が支払う場合
- 常時2人以下の家事使用人のみに給与を支払っている個人事業主が支払う場合
税理士法人への支払いは法人税の対象となるため源泉徴収の必要はありません。また、給与の支払いを行わない個人や、家事使用人のみを雇う個人は源泉徴収義務者から除外されているため、税理士報酬から所得税を差し引く処理は不要です。
源泉徴収額の計算式と仕訳例
源泉徴収額は支払金額が100万円以下か100万円超かで計算式が分かれます。
源泉徴収額の計算式は次のとおりです。
・支払金額が100万円以下:支払金額×10.21%
・支払金額が100万円超:(支払金額−100万円)×20.42%+102,100円
※1円未満の端数は切り捨て
源泉徴収の対象額は、原則として消費税等を含む支払額です。ただし、請求書で報酬の額と消費税の額が明確に区分されている場合は、消費税抜きの報酬額のみを源泉徴収の対象とすることもできます(インボイス制度開始後も取扱いは変わりません)。
また、「支払金額」は1件の請求額ではなく、原則として1回に支払う源泉徴収対象額で判定する点にも留意しましょう。
税理士報酬10万円(税抜)で源泉徴収を行う場合の仕訳例
源泉徴収税額:100,000円×10.21%=10,210円
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 100,000円 | 預金 | 89,790円 |
| 預り金 | 10,210円 |
納付期限と支払調書の提出
源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納付します。
源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、原則として、支払った月の翌月10日までに納付します。給与の支給人員が常時10人未満で「源泉所得税の納期の特例」の承認を受けている場合は、1月から6月分は7月10日まで、7月から12月分は翌年1月20日までにまとめて納付できます。
また、一定額以上の報酬(※)を支払った税理士・弁護士などについては、翌年1月31日までに「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」を税務署へ提出します。
※税理士、弁護士等への報酬については、原則として、同一人に対する年間の支払金額が5万円を超える場合に支払調書の提出対象となります。
報酬額と消費税額が明確に区分されている場合は、提出基準の5万円判定を税抜額で行っても差し支えありません。支払調書の支払金額も税抜額で記載できますが、その場合は摘要欄に消費税額を記載します。
参照:No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金|国税庁
税理士報酬の消費税とインボイス制度の扱いは?
税理士報酬は消費税の課税対象であり、一定の要件を満たす場合、原則として仕入税額控除の対象になります。ただし、2023年10月から始まったインボイス制度の下では、控除を受けるための要件が変わっています。
仕入税額控除の対象になる条件
仕入税額控除を受けるには、税理士から交付された適格請求書(インボイス)の保存が必要です。
適格請求書は、登録番号や適用税率、消費税額などの法定事項を記載した請求書で、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者だけが発行できます。税理士から受け取った請求書がこの要件を満たしていれば、税理士報酬にかかる消費税額を売上の消費税額から差し引けます。
適格請求書がない場合の取扱い
税理士が適格請求書発行事業者でない場合、原則として仕入税額控除を受けられません。
免税事業者の税理士など、適格請求書を発行できない相手への支払いについては、原則として仕入税額控除の対象外となります。ただし制度開始後の一定期間は、免税事業者からの仕入れについても消費税相当額の一定割合を控除できる経過措置が設けられているため、契約前に税理士の登録状況を確認しておくと安心です。
源泉徴収と仕入税額控除を両方行う場合の仕訳例
税理士報酬の仕訳では、源泉徴収と仕入税額控除を分けて処理します。
適格請求書発行事業者である税理士に報酬を支払い、源泉徴収と仕入税額控除をあわせて行う場合の例を確認します。
税理士報酬10万円(税抜)・消費税1万円・源泉徴収を行う場合の仕訳例
消費税額:100,000円×10%=10,000円
源泉徴収税額:100,000円×10.21%=10,210円(消費税抜きで計算)
支払額:110,000円−10,210円=99,790円
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 100,000円 | 預金 | 99,790円 |
| 仮払消費税 | 10,000円 | 預り金 | 10,210円 |
参照:No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)|国税庁
税理士報酬などの費用における仕訳と勘定科目の課題
税理士報酬の科目選択にとどまらず、日々の取引でも勘定科目の判定に時間がかかっている経理担当者は少なくありません。株式会社マネーフォワードでは、仕訳作業に関わる担当者を対象に、会計業務の実態と課題を調査しています。
最も工数がかかる作業は勘定科目の判定
仕訳作業の工程において、最も工数がかかっている作業を尋ねたところ、最も多かったのは「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。次いで多かったのは「銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業」で、34.5%でした。
税理士費用の仕訳にも複数の勘定科目があるように、日々の取引における適切な勘定科目や税区分の判断は、経理担当者にとって大きなボトルネックとなっていることが読み取れます。こうした判断に迷う時間を削減し業務負担を軽減するためにも、社内で使用する勘定科目のルールをあらかじめ明確に定めておくことが有効です。
出典:マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:707名、集計期間:2026年3月実施)
税理士報酬の勘定科目は継続使用とインボイス対応がカギ
税理士報酬の勘定科目は、支払手数料・支払報酬料・支払顧問料・業務委託費・雑費の中から、取引内容に合うものを選んで使い分けます。一度決めた科目は継続して使い、社内でルール化しておくのが基本です。
仕訳の際には、税理士個人への支払いで源泉徴収が必要となる点、そして仕入税額控除を受けるには適格請求書(インボイス)の保存が必要となる点もあわせて押さえておきましょう。今回紹介した科目別の仕訳例と判定の考え方を参考に、自社に合った処理ルールを整えてみてください。
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よくある質問
税理士報酬・費用を仕訳する場合の勘定科目は?
一般的に使われる勘定科目は「支払手数料」「業務委託費」「支払報酬料」「支払顧問料」です。ただし、継続して同じ勘定科目を使用すれば、自分がわかりやすい勘定科目を使って問題ありません。詳しくはこちらをご覧ください。
源泉徴収の義務が発生するのはどんなとき?
事業者が税理士に報酬を支払うときは、源泉徴収義務者として所得税を源泉徴収する必要があります。ただし、税理士法人に支払う場合や源泉徴収義務者ではない個人の場合は、この限りではありません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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