- 作成日 : 2024年11月5日
経費精算の自動化は必要?導入方法や注意点を解説
経費精算の自動化は、経理担当者や従業員の業務負担を軽減できる有効な施策です。しかし、実際に経費精算業務を自動化するには手間や導入費用がかかるため、なかなか決断に踏み切れない企業も少なくありません。
本記事では、経費精算の自動化が必要な理由や具体的な導入方法について解説します。
目次
経費精算業務に自動化が必要な理由
近年、少子高齢化による人材不足の課題を抱える企業が増えています。経費精算に時間が取られると、経理担当者や従業員の業務負担が大きくなることは間違いありません。
限られた人材で経費精算を進めるには、業務効率化を図ることが重要です。ここでは、経費精算業務における自動化の必要性について解説します。
申請書の作成や承認作業に手間がかかる
従業員にとって、経費精算の申請書を作成するのはかなり面倒な作業です。多忙な役職者も例外ではなく、普段の業務と並行して申請書を作成する必要があります。
少子高齢化により人材不足の課題を抱える企業が増えるなか、従業員が経費精算業務に多くの時間を費やすのは得策ではありません。
承認者や経理負担者においても、経費精算の申請書に不備がある場合は差し戻しが発生するため、承認作業に手間や時間がかかります。
経費精算を自動化できれば、申請書作成の時間短縮や不備による差し戻しの回数を大幅に削減可能です。
管理ファイルへの入力・転記など経理担当者の負担が大きい
経費精算業務において、経理担当者の作業負担はかなり大きいです。
手作業による申請の場合、経理担当者は入力漏れや計算ミス、二重申請の有無等を一つひとつ細かく確認しなければいけません。申請書に不備がある場合は差し戻し作業が発生し、問題がない場合はその情報を管理ファイルに入力・転記する必要があります。
手作業による入力や転記の場合は多くの時間がかかり、経理担当者の業務負担が増えます。管理ファイルに入力・転記する際に誤入力や転記漏れなど人的ミスが発生する場合もあり、修正に時間が取られる経理担当者もいるでしょう。
経費精算を自動化すれば、手作業による誤入力や転記漏れなどの人的ミスが減るため、申請書の確認作業や管理ファイルへの入力・転記にかかる時間を削減できます。
経費の発生から精算まで時間を要する
紙による経費精算の場合、経費発生から精算までに多くの時間がかかります。経費精算を自動化すれば、申請から承認までシステム上で完結できるため効率的です。
従業員はボタンひとつで申請を承認でき、経理担当者は不備による差し戻しをシステム上で行えます。申請承認の進捗状況も確認できるため、経理担当者は承認漏れも把握できます。
また、紙の申請書の場合、承認者は承認作業のために企業に出向く必要がありました。スマホに対応している経費精算システムを導入すれば、隙間時間で承認作業を進められます。
経費精算を自動化するメリット
紙の経費精算でも業務は進行できますが、自動化により企業は多くのメリットを得られます。どのようなメリットを得られるのか見ていきましょう。
オンラインで申請フローが完結する
経費精算の自動化により、申請フローをオンラインで一本化できるメリットがあります。従来の手作業による経費精算は非効率的であり、申請から承認まで膨大な時間を要していました。経費精算を自動化すれば、申請から承認までシステム上で行えます。
会社に出向いて申請書を物理的に提出する必要はなく、外出先から申請書の作成や提出が可能です。経理担当者は申請書の確認が容易になり、承認作業の滞りも随時確認できます。計画的に経費精算業務を進められるため、経理担当者の管理業務を軽減できます。
経理担当者の事務手続きが削減できる
経費精算の自動化により、経理担当者の業務負担が大きい事務手続きを削減可能です。手作業による経費精算では、経理担当者が記載内容を一つひとつ確認する必要がありました。記載漏れや間違いがある場合は、申請不備として申請者に修正を依頼しなければいけません。
経費精算システムを導入すれば、手作業による記載漏れや間違い、申請書の確認時間や差し戻し回数が改善されるため、経理担当者の業務負担を軽減できます。
経費を申請する従業員の入力工数を軽減できる
経費精算の自動化により、経費を申請する従業員の入力工数を軽減できます。
たとえば、電車やバスなど公共交通機関を経費精算したい場合、定期区間と重複した分を差し引く必要があるため、計算が非常に煩雑です。経費精算システムを導入すれば、交通系ICカードやクレジットカードの履歴を読み込んでデータ化できます。
レシートや領収書を読み取れる経費精算システムもあるため、手作業で申請書を作成する必要はありません。レシートや領収書、申請書など紙の書類を紛失するリスクも低減できるため、経費担当者の管理負担を軽減できるメリットもあります。
経費精算を自動化する方法
経費精算を自動化するには、さまざまな方法があります。自社で抱える課題を解決するには、その課題を解消できる方法を選ぶことが大切です。
ここからは、経費精算を自動化する方法を見ていきましょう。
経費精算システムを導入する
経費精算を自動化する方法として、経費精算システムの導入があります。経費精算システムは、経費に関連する業務を効率化できるシステムです。経費精算システムの導入により、申請作業の時間短縮や承認作業の負担削減、経理の業務効率化が期待できます。
ただし、経費精算システムの導入には社内の規定やワークフローの変更が必要です。また、経費精算システムの操作方法は難しいものではありませんが、従業員の混乱を避けるために説明会を設けたりマニュアルを作成したりすることも検討しましょう。
書類を電子化しペーパレス化する
経費精算を自動化するためには、書類を電子化することも有効です。電子帳簿保存法の改正により、近年は帳簿や領収書の電子化が進んでいます。電子帳簿保存法は、国税関係帳簿や経理書類の電子保存を認める法律です。
要件を満たした書類は電子保存できるため、経費精算に関連する書類もペーパーレス化が可能になりました。各書類をペーパーレス化することで、申請書作成時の記載ミスや漏れの減少、印刷費用や管理スペースの削減、セキュリティの向上等につながります。
法人カードの自動取り込み機能を活用する
経費精算業務を効率化するには、法人カードを導入することも有効です。
法人カードの利用明細書の自動取り込み機能が搭載された経費精算システムがあり、申請書作成や申請・承認作業を簡略化できます。また、法人カードの導入により、従業員が現金で立て替える金銭的負担や経理担当者が費用を払い戻す手間も削減可能です。
従業員は申請書の作成時間を短縮できるうえに、差し戻しの回数も低減されます。
経費精算の自動化前に確認しておきたいポイント
経費精算業務を単に自動化するだけでは、期待した効果は得られません。自社の経費精算業務における現状を把握したうえで、計画的に進めることが重要です。
経費精算を自動化する前に、自社で確認しておくべきポイントについて見ていきましょう。
既存の業務フローを整理する
経費精算の自動化に取り組む前に、現状を把握するところから始めましょう。
既存の経費精算業務は、どのようなフローで進められているかを確認します。経費精算の業務フローを確認することで、「申請書の作成に時間がかかる」「差し戻し回数が多い」「承認の遅れで作業が停滞している」など自社で抱える課題が見つかるでしょう。
逆に、自動化しないほうがよい部分もあるかもしれません。実際に自動化することをイメージしながら、全体の経費精算業務を確認していきましょう。
現状の工数や所要時間を洗い出す
申請書の作成・申請から承認を得るまでにかかる工数や所要時間を洗い出しましょう。
現状の工数や所要時間を可視化できれば、実際に経費精算を自動化する際に効果測定できます。多くの時間や手間がかかる業務を自動化できれば、より大きな効果が期待できます。
自動化により解決したい課題を確認する
経費精算の自動化により、優先的に解決したい課題を確認しましょう。課題解決の優先順位を明確にすることで、どのような方法で自動化すればいいのかを検討しやすくなります。
優先的に解決したい課題例には、以下のようなものが挙げられます。
- 交通費精算に時間がかかる
- 電子帳簿保存法に対応したい
- 申請書作成の手間を減らしたい
- 外出先でも申請・承認したい
経費精算を自動化する注意点
経費精算業務を自動化する場合、経費精算システムの導入を検討する企業は多いでしょう。
経費精算システムにはさまざまな種類があるため、自社の課題を解決できる製品を選ぶことが大切です。経費精算を自動化する際の注意点を確認していきましょう。
社内のフローと親和性が高いか
経費精算システムを選ぶ際は、自社と親和性が高い製品を選びましょう。
とくに、承認作業のプロセスは企業によって必要な手順や作法に大きな差異が出ることが多いです。「自社の承認プロセスに適しているか」といった観点から経費精算システムを選ばないと、実際に導入しても期待した効果は得られません。
階層的な承認プロセスや承認者の代行設定等の機能があると便利です。
既存のツールや他業務のシステムと連携できるか
既存ツールや他業務のシステムと連携できるかを確認しましょう。
経費精算で取り扱う情報は、会計や給与計算と密接に関わります。たとえば、会計システムや給与計算システムと連携可能な場合、それぞれで入力した情報が自動的に反映され、手入力による記入ミスや打ち込みの手間を軽減できます。
煩雑な勘定科目の仕分け作業も削減され、経理担当者の業務負担も改善可能です。
入力精度が高いか
自動入力が可能な経費精算システムを導入する場合、入力精度の確認も重要です。
入力精度が低いと都度手直しが必要になり、逆に業務負担が大きくなる可能性があります。現在、OCR機能の精度は非常に高く識字率も向上していますが、手書きの領収書や複雑なレシートを正確に読み取るには限界があります。
領収書やレシートを正確に読み取るには、高精度なOCR技術が必要です。
経費精算はマネーフォワード クラウド経費で自動化!
煩雑な経費精算業務を効率化したいなら、クラウド型経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。
主なメリットは、以下のとおりです。
- 明細データ・領収書画像の自動取得
- スマホアプリやWebで申請・承認が完結
- 手入力による人的ミスを削減できる
マネーフォワード クラウド経費は、交通系ICカードやクレジットカードなど200を超える各種サービスと連携可能です。また、経費精算の作成や申請、承認までスマホアプリやWeb上で完結するため、隙間時間にいつでも対応できます。
さらに、マネーフォワード クラウド経費は、OCR入力・オペレーター入力にも対応しています。領収書やレシートをスマホで撮影すると、日付・金額・支払先のデータ化が可能です。手入力による記入ミスを削減でき、経理担当者や従業員の業務負担を軽減できます。
経費精算を自動化して業務効率を上げよう
煩雑な経費精算は、経理担当者や従業員にとって負担が大きい業務です。
人材不足の課題を抱える企業が増えるなか、限られた人数で効率よく業務を進めるには経費精算の自動化が必要不可欠です。
申請書の作成から承認までの工程を効率化したいなら、クラウド型経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費」の導入を検討しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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