- 更新日 : 2025年2月20日
中期経営計画表の作り方は?無料のテンプレートと共に作成ポイントを紹介
法人を経営するにあたって、「将来の売上はこれくらいにしたい」「前期より〇%利益を上げたい」と考える方は多いでしょう。そこで大事になるのが、経営理念や事業計画をしっかり作り、それに沿って経営することです。
今回は、法人が中期的に目指す姿を明確にする「中期経営計画表」についてご紹介します。作る目的や作り方について解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
中期経営計画とは
中期経営計画表は、法人の中期的な計画を明確にするために作成します。具体的には「3~5年後の法人の方向性や売上、数値目標」について記載したものになります。
短期・長期経営計画との違い
中期経営計画と短期経営計画、長期経営計画の違いを理解しておきましょう。
■ 長期経営計画
法人の5年~10年後の目標達成のために作成する計画です。10年後になると、社会情勢や消費動向が大きく変化している可能性が大きいため、変化があったとしても実現できる目標を示します。
具体的には、将来の景気予測なども加味した業績見通し、既存事業や新規事業の計画、投資計画などを記載します。
なお中小法人の場合、長期的な予測が難しい部分がありますので、長期経営計画までは立てないというところもあります。
■ 短期経営計画
中期経営計画の実現のために、1年ごとの目標を策定したのが短期経営計画です。内容は中期経営計画よりも詳細になっているのが特徴です。
具体的には、売上の計画や部門ごとの数値目標、経費等について記載します。法人によっては、日々の行動について示す場合もあります。
短期経営計画は毎日の行動に直結するため、定期的に見直しを行い、問題点があれば修正することも重要です。
事業計画との違い
経営計画とは、法人の目指す姿を描いたものです。売上目標だけでなく、経営理念や方針、今後の戦略なども作成します。
事業計画は経営計画を達成するためにするべき行動について策定するものです。売上目標を達成するためにするべき行動、資金運用や販売戦略等についても具体的に考えます。
事業計画は経営計画の一部であると理解しておきましょう。
中期経営計画を作成するメリット
3~5年後の法人の姿を描く中期経営計画を作成するメリットを確認しましょう。
現状や経営課題の把握
中期経営計画では、売上目標はもちろん、利益についても目標を策定します。目標が明確になることで、現状の課題が見えてくるはずです。また、現状と目標の差を埋めるために、仕事の仕方を見直すきっかけにもなるでしょう。
経営ビジョンの社内共有
経営計画がない法人の場合、従業員が何を目指したらいいのか分からないという状態になりがちです。中期経営計画で経営ビジョンを明確にしておくと、従業員の目指す方向も統一できるでしょう。結果的に目標達成、業績向上につながることが期待できます。
取引先や顧客からの信頼向上
きちんとした計画に基づいて経営している法人は取引先や顧客から信頼されます。売上や販路拡大につなげることもできるでしょう。
融資申込や補助金・助成金申請の際に役立つ
中期経営計画では、目標だけでなく今後の見込みについても策定します。融資申込や補助金・助成金申請の際、自社の計画や今後の姿について説明する際の資料としても役立つでしょう。
中期経営計画表の記載項目
中期経営計画を記載する「中期経営計画表」ですが、決まったフォーマットはありません。そのため、自社が使いやすいように作ることができるのです。ここでは、経営理念や戦略以外で記載しておくとよい項目についてご紹介します。
売上高
売上高目標を記載します。5年後の目標のみを書いてもよいのですが、1年後~4年後の目標および実績を記載すると、進捗状況が分かりやすいのでおすすめです。
売上原価
売上原価を記載しておくと、売上に対し、仕入や製造に関する費用をどの程度使えるかの目安が分かります。実績と照らし合わせると、無駄な部分が見えてくるはずです。
売上総利益
売上から原価を差し引いた売上総利益(粗利)も記載しましょう。
粗利益率
粗利益率を記載してコストも意識しましょう。運営の健全性を保つために確認しておきたい項目です。
販管費
法人の事業活動で発生する経費「販管費」を記載しておくことで、無駄なコストを抑えるよう意識できます。
営業利益
営業総利益から販管費を引いた金額です。どの程度の利益を上げたいかを記載しておきましょう。
営業総利益
売上高から仕入額を引いた金額です。
営業外収益
不動産収入や有価証券の配当など、事業以外で得られる収益のことです。不動産収入がある法人、投資をしている法人は記載しておきましょう。
営業外費用
支払利息や雑支出など、かかると予想される費用を記載すると、将来出ていくお金の予測が立てやすくなります。
経常利益
営業利益と営業外収益を合算し、営業外費用を差し引いた金額です。企業全体の収益が確認できる指標になるため、中期経営計画にも入れておきましょう。
中期経営計画表のテンプレート(無料)
マネーフォワード クラウドでは、中期経営計画表の無料テンプレートをご用意しています。
無料でダウンロードできますので、ぜひお気軽にご利用ください。
中期経営計画表の作り方
中期経営計画表の作成手順は以下の通りです。
- 現状の分析と把握
- ビジョンと経営理念の数値化・明確化
- 事業計画の作成
詳しく見ていきましょう。
現状の分析と把握
中期経営計画表を作成する前に、現状を分析し把握しましょう。具体的には以下の点です。
- 自社の強みを理解する
- 自社の課題を明らかにする
- 競合他社との相違点を確認する
- 今までの売上や利益の推移を確認する
- 従業員の働き方を確認する
ビジョンと経営理念の数値化・明確化
現状の確認ができたら、次の5年間(もしくは3年間、4年間)のビジョンや経営理念を考えましょう。その際は売上高や利益率などをきちんと数値化することが重要です。また、経営理念についても、経営陣だけでなく従業員が理解できるものを作成する必要があります。
事業計画も作成しよう
中期経営計画表の完成後は、計画で立てた目標を達成するために、事業計画も作成することをおすすめします。
事業計画では、日々の行動や販売計画、資金計画を具体的に考えましょう。
中期経営計画表を作成する際に意識したいポイント
中期経営計画表を作成する際に、意識したいポイントをまとめました。
具体的な計画にする
中期経営計画表を作成する際は、なるべく具体的な計画にしましょう。「5年後までに売上を〇億円にする」「○○費を〇%削減する」など、数字を出して作成してください。
PDCAを意識する
PCDAを意識できる計画を立てましょう。1年ごとに見直し、実行、到達できなかった部分は修正するのもおすすめです。
従業員と共有できる計画にする
経営陣だけでなく、従業員と共有できる計画にすることも重要です。数字を明確にするだけでなく、分かりやすい経営理念や課題を掲げると浸透しやすいでしょう。
会社の未来を考えて中期経営計画を策定しよう
会社を長年存続させたいと考えるのであれば、経営計画を立て、それに従って経営することをおすすめします。特に、3年~5年後の目標達成までの計画を立てる中期経営計画を立てておくと、会社の進む方向が明確になり、日々の仕事に生かしやすいでしょう。
また、中期経営計画の中で経営理念を記載するのであれば、従業員にも分かりやすいものにしてください。全ての従業員に目標となる数字や理念が浸透することで、達成に近づくはずです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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