• 作成日 : 2021年3月4日

印紙が必要な契約書の種類と金額まとめ

収入印紙

契約書をはじめ、一部の文書には印紙税が課されるため、収入印紙を貼りつけ、消印しなくてはなりません。ただし、収入印紙による印紙税の納付は、必ずしも印紙税の範囲に含まれる文書に必要なわけでもありません。

同じ契約書、あるいは領収書であっても、収入印紙を貼りつける場合とそうでない場合があるのです。この記事では、収入印紙(印紙)が必要なケースと不要なケース、契約書に貼りつけなければならない収入印紙の金額について解説します。

印紙とは

印紙とは、国が発行する切手サイズのもので、印紙税を納付する際に使用します。国が発行する印紙にはいくつか種類があり、収入印紙のほか、健康保険印紙、雇用保険印紙、自動車重量税印紙などがあります。

印紙による納税では、収入印紙による納税が原則とされているため、一般的に「印紙」といえば、「収入印紙」のことをいいます。

印紙は印紙税の課税文書に必要なもので、課税文書を作成した時点で、印紙税の納税義務が発生するのが特徴です。印紙税の納税義務者は、課税文書を作成した者となり、法人の場合は作成者でなく、法人自身が納税義務者となります。

なお、印紙税はすべての作成した文書に対して課される性格のものではありません。印紙税の課税対象は、印紙税法別表第一、課税物件表に掲げられる20種類の課税事項に該当する文書に限定されます。次に、印紙が必要なケースと、不要なケースについて簡単に見ていきましょう。

印紙が必要なケースとは

印紙が必要なのは、印紙税法別表第一にある、以下20種類のいずれかに該当する場合です。

  1. 不動産・鉱業権・無体財産権・船舶・航空機また営業の譲渡に関する契約書
    地上権・土地の貸借権の設定や譲渡に関する契約書
    消費貸借に関する契約書
    運送に関する契約書
  2. 請負に関する契約書
  3. 約束手形為替手形
  4. 株券・出資証券・社債券・投資信託・貸付信託・特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券
  5. 合併契約書・吸収分割契約書・新設分割契約書
  6. 定款
  7. 継続的取引の基礎となる契約書
  8. 預金証書・貯金証書
  9. 倉荷証券・船荷証券・複合運送証券
  10. 保険証券
  11. 信用状
  12. 信託行為に関する契約書
  13. 債務の保証に関する契約書
  14. 金銭・有価証券の寄託に関する契約書
  15. 債権譲渡・債務引受けに関する契約書
  16. 配当金領収書・配当金振込通知書
  17. 売上代金に係る金銭・有価証券の受取書
    売上代金以外の金銭・有価証券の受取書
  18. 預金通帳・貯金通帳・信託通帳・掛金通帳・保険料通帳
  19. 消費貸借通帳・請負通帳・有価証券の預り通帳・金銭の受取通帳などの通帳
  20. 判取帳

【参考】国税庁|印紙税額一覧

さらに、20種類の課税文書のうちいずれかに該当し、当事者間で課税事項を証明する目的で作成されていること。また、非課税文書に該当しないこと、のいずれの条件にも当てはまる場合、印紙税の課税の対象とされます。

なお、課税事項の証明は、文書の名称などによって決まるわけではありません。契約書などの名前でなくても、実質的な内容が課税対象の契約書に当てはまる場合は、印紙が必要になります。

印紙が不要なケースとは

印紙が不要なケースとは、文書を作成する場合であっても、印紙税法上、非課税文書に該当すると判断される場合です。非課税文書には、以下の4つのケースがあります。

  1. 課税物件表のうち非課税物件に掲げられた文書
  2. 国や地方公共団体が作成、または印紙税法別表第二に掲げられたものの作成した文書
  3. 印紙税法別表第三の上欄の文書のうち、同表の下欄のものが作成した文書
  4. 特別の法律で非課税となる文書

中でも、法人や文書を作成する個人にとって重要なのが、「1.課税物件表のうち非課税物件に掲げられた文書」です。インターネット上から取得できる国税庁の「印紙税額一覧表」のうち、「主な非課税文書」の欄に該当する文書を指しています。

17号文書の売上代金に関わる金銭や有価証券の受取書を例にすると、受取金額5万円未満のものが非課税項目のひとつです。このように、課税文書に分類されても、取引金額などで最終的に印紙が不要なケースも存在します。

印紙が必要な契約書と印紙税額

税法上、「契約書」に該当するのは、当事者間の契約の成立、契約の更改(既存の債務を消滅させて新たに債務を成立させること)、契約内容の変更や補充を証明する目的で作成する文書と定義されています。

印紙税の課税文書のうち、以下の契約書に該当するものは、契約の予約の文書や写しも含み印紙と消印が必要です。契約書に貼りつけなければならない印紙税の金額は、文書の種類、文書に記載された契約金額に異なります。

契約金額については、金額そのものが記載されていない場合でも、取引数量や単価などから総額が推定できる場合は、推定できる金額を契約金額として扱います。印紙税の課税文書にあたる契約書の種類と印紙税額を以下、簡単に見ていきましょう。

第1号文書

第1号文書に該当する課税文書は、不動産などに関連するもの、権利に関連するもの、消費賃貸に関連するもの、運送に関するものの、4つに分類できます。

課税文書にあたる具体的な書類の名称は、不動産売買契約書、土地賃貸借契約書、金銭借用証書、運送契約書などです。

なお、第1号文書と、第3号から第17号の2種類に該当する文書で、第1号文書に属すると認められる文書を除き、契約金額1万円未満のものは非課税で、印紙は不要とされています。また、第1号文書のうち、不動産の譲渡に関する契約書については、ほかの第1号文書と比べて印紙税が軽減されます。

【印紙税額(原則)】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
印紙税
10万円以下200円
10万円超 50万円以下400円
50万円超 100万円以下1,000円
100万円超 500万円以下2,000円
500万円超 1,000万円以下10,000円
1,000万円超 5,000万円以下20,000円
5,000万円超 1億円以下60,000円
1億円超 5億円以下100,000円
5億円超 10億円以下200,000円
10億円超 50億円以下400,000円
50億円超600,000円
契約金額の記載なし200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第2号文書

第2号文書は、工事請負契約書、広告契約書、映画俳優専属契約書など、請負契約などに関連する契約書をいいます。

第1号文書と同じように非課税金額が設けられており、第2号文書と、第3号から第17号の2種類に該当する文書で、第2号文書に属すると認められる文書を除き、契約金額1万円未満のものは非課税です。

なお、建設業法第2条第1項規定の建設工事の請負契約に基づいて作成された文書に関しては、印紙税が軽減されます。

【印紙税額(原則)】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
印紙税
100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下1,000円
300万円超 500万円以下2,000円
500万円超 1,000万円以下10,000円
1,000万円超 5,000万円以下20,000円
5,000万円超 1億円以下60,000円
1億円超 5億円以下100,000円
5億円超 10億円以下200,000円
10億円超 50億円以下400,000円
50億円超600,000円
契約金額の記載なし200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第5号文書

第5号文書は、合併契約書のうち会社法や保険業法に規定の文書吸収分割契約書や新設分割計画書のうち会社法に規定の文書のことです。簡単に説明すると、会社という組織間における合併、株式会社や合名会社の吸収分割など、会社単位での契約文書に印紙が必要となります。会社法や保険業法において合併契約等で定めることとして規定されていない事項、例えば、労働契約の承継に関する事項などの文書は印紙を必要としません。

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
  印紙税  
一律 40,000円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第7号文書

第7号文書とは、継続取引の基本となる契約書のことです。具体的には、下請基本契約書、代理店契約書、保険特約書などの文書のことをいいます。基本的な契約書であることから、印紙税額は一律で、負担も大きくはありません。

なお、継続取引を前提としていますので、契約期間が3ヶ月以内で短いもの、更新の定めがない文書に関しては第7号文書として扱わないこととされています。

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
  印紙税  
一律 4,000円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第12号文書

通常の企業の取引ではあまりなじみがありませんが、信託行為についての契約書も課税文書の範囲に含まれます。第12文書にあたるのは、特別の法令に基づく信託契約を証明する文書含む、信託法第3条第1号に規定の信託契約を証明する文書です。

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
  印紙税  
一律 200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第13号文書

第13号文書に該当するのは、債務の保証に関連する契約書です。連帯保証を含む、債務者の債務を保証する契約書が該当します。

ただし、委託に基づく保証委託契約書、損害を補償する損害担保契約書、主な債務の契約書に併記される債務保証の契約書は課税文書には含みません。

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
  印紙税  
一律 200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第14号文書

第14号文書は、金銭や有価証券の寄託に関する契約書のことです。金融機関が預金の受け入れ事実を証明するために作成する預り証、勤務先預金明細書、ATMで発行される預け入れ事実を証明する紙、などが第14号文書に該当します。主に金融機関と関連のある種類です。

なお、企業などが金融機関に対して作成する預金口座振替依頼書は第14文書としては扱いません。

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
  印紙税  
一律 200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第15号文書

第15号文書は、債権者、債務者、引受人のすべてまたはいずれかによる、合意に基づく債務の移転についての文書を指します。第15号文書については、記載の契約金額1万円未満については非課税です。

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
印紙税
1万円以上200円
契約金額の記載なし200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

印紙が必要なその他の文書

印紙が必要な文書は、契約書のほかにも、さまざまなものがあります。

第3号文書(約束手形・為替手形)

【印紙税額】

記載の金額(1通また1冊につき)
印紙税
10万円以上 100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下600円
300万円超 500万円以下1,000円
500万円超 1,000万円以下2,000円
1,000万円超 2,000万円以下4,000円
2,000万円超 3,000万円以下6,000円
3,000万円超 5,000万円以下10,000円
5,000万円超 1億円以下20,000円
1億円超 2億円以下40,000円
2億円超 3億円以下60,000円
3億円超 5億円以下100,000円
5億円超 10億円以下150,000円
10億円超200,000円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

10万円未満は非課税となります。
なお、約束手形や為替手形のうち、一覧払、金融機関相互間、外国通貨での表示、非居住者円表示及び円建銀行引受手形表示に該当するものについては、10万円以上は一律200円の印紙税、10万円未満は非課税です。

第4号文書(株券・出資証券・社債券・投資信託・貸付信託・特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券)

【印紙税額】

記載の金額(1通また1冊につき)
印紙税
500万円以下200円
500万円超 1,000万円以下1,000円
1,000万円超 5,000万円以下2,000円
5,000万円超 1億円円以下10,000円
1億円超20,000円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

日本銀行や特定の法人による出資証券、譲渡禁止の特定の受益証券、額面株式無効手続きにともなう新たな株券のうち一定の要件を満たすものは非課税です。

第6号文書(定款)

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
  印紙税  
一律 40,000円

【参考】国税庁|印紙税額一覧
第6文書における定款とは、株式会社等の設立で作成される定款の原本で、公証人の保存するもの以外を指します。

第8号文書(預金証書・貯金証書)

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
  印紙税  
一律 200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第9号文書(倉荷証券・船荷証券・複合運送証券)

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
  印紙税  
一律 200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第10号文書(保険証券)

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
  印紙税  
一律 200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第11号文書(信用状)

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
  印紙税  
一律 200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第16号文書(配当金領収書・配当金振込通知書)

【印紙税額】

記載の契約金額(1通また1冊につき)
印紙税
3,000円以上200円
契約金額の記載なし200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第17号文書(売上代金に係る金銭・有価証券の受取書、売上代金以外の金銭・有価証券の受取書)

【印紙税額】

記載の受取金額(1通また1冊につき)
印紙税
5万円以上 100万円以下200円
100万円超 200万円以下400円
200万円超 300万円以下600円
300万円超 500万円以下1,000円
500万円超 1,000万円以下2,000円
1,000万円超 2,000万円以下4,000円
2,000万円超 3,000万円以下6,000円
3,000万円超 5,000万円以下10,000円
5,000万円超 1億円以下20,000円
1億円超 2億円以下40,000円
2億円超 3億円以下60,000円
3億円超 5億円以下100,000円
5億円超 10億円以下150,000円
10億円超200,000円
受取金額の記載なし200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧
受取代金以外の金銭や有価証券の受取書の印紙税は、5万円以上及び金額の記載のないものについては一律200円です。
受取金額5万円未満、営業に関しないもの、特定文書に追記した受取書に関して印紙税は課税されません。

第18号文書(預金通帳・貯金通帳・信託通帳・掛金通帳・保険料通帳)

【印紙税額】

1通また1冊につき
  印紙税  
1年ごと 200円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第19号文書(消費貸借通帳・請負通帳・有価証券の預り通帳・金銭の受取通帳などの通帳)

【印紙税額】

1通また1冊につき
  印紙税  
1年ごと 400円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

第20号文書(判取帳)

【印紙税額】

1通また1冊につき
  印紙税  
1年ごと 4,000円

【参考】国税庁|印紙税額一覧

印紙税を納付しなかったらどうなる?

印紙税は特例による納付も認められていますが、原則は、課税文書に必要な税額分の印紙を貼りつけて、消印することによって納付したものとします。印紙税の納付は、課税文書作成時となりますので、本来なら作成時に印紙の貼り付けと消印まで済ませなければなりません。

納付していなかった場合、調査までに不納付を申し出れば印紙税の1.1倍の徴収で済みますが、調査後に不納付が判明するとさらに重いペナルティが課されます。印紙税を納付しなかったときに課せられる過怠税は、本来納付するべき印紙税の額とその2倍に相当する金額との合計額、すなわち当初の印紙税の3倍に相当する金額となります。例えば、印紙税が2万円だとしたら、過怠税は6万円になります。

過怠税は、ペナルティであって、法人税計算時の損金や、所得税計算時の必要経費には算入できない性格のものです。印紙税を納付しないことは、デメリットが大きいですので、納付漏れには注意するようにしましょう。

なお、印紙を貼り付けていたとしても、消印まで行われていない場合も消印されていない印紙税に相当する金額の過怠税が課されます。

印紙税を誤って納付してしまったら?

印紙税の軽減措置を見逃して本来より多く納付してしまったり、課税文書でないものに印紙を貼って消印してしまったり、誤って過剰に納付してしまうケースもあります。

印紙税については、以下のいずれかに該当する場合であれば、還付請求を行うことが可能です。

  • 印紙税の課税文書のうち、過大に印紙を貼り付けた
  • 印紙税の課税文書でないものに誤って印紙を貼り付けた
  • 印紙を貼り付けたものの、課税文書を使用しないことになった

文書の作成から5年を経過していない文書であれば、納め過ぎてしまった分の還付を請求できます。還付の請求で必要な手続きは、印紙税過誤納確認申請書への記入と、管轄の税務署長への提出です。さらに、申請書に添付する形で、過誤納になった旨の文書、ほかに印鑑(法人の場合は法人の代表印)を用意します。

契約書など文書によっては印紙が必要

印紙とは、国が発行しているもので、一般には収入印紙のことを指します。印紙は、印紙税を納付するときに必要なものです。印紙税の課税対象である課税文書に印紙を貼り付け、消印する形で納付します。

契約書をはじめ、領収書などさまざまな文書の作成時に、印紙による納付が必要です。納付が必要な課税文書に印紙を貼っていないときや貼っていても消印していないときは、ペナルティが発生します。とくに印紙を貼っていない場合は、本来の納付額の3倍に相当する過怠税を支払わなければなりませんので、納付漏れには注意しましょう。過剰に納付した場合は、還付請求が可能です。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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