• 更新日 : 2023年3月23日

携帯電話の減価償却方法は?耐用年数や特例などを解説

携帯電話の減価償却方法は?耐用年数や特例などを解説

携帯電話の端末は、購入価格が10万円以上なら法定耐用年数10年の固定資産として減価償却を行わなければなりません。ただし、携帯電話の価格によっては、より負担の少ない方法での会計処理もできます。この記事では、携帯電話の減価償却期間や計算方法、仕訳例について解説します。あわせて会計処理負担が少ない特例も紹介しますので、参考にしてください。

携帯電話の減価償却が必要な場合とは?

携帯電話の端末は、購入価格が10万円以上であれば、減価償却が必要です。10万円未満の場合は、消耗品費として全額を購入年度の経費に計上できます。

減価償却とは?

ここで簡単に「減価償却」についても触れておきましょう。

減価償却とは、時間が経つにつれて価値が減少する資産(減価償却資産)の購入費用(取得価額)を、耐用年数に応じて各事業年度に費用として配分する手続きです。

「減価償却資産」の多くは事業用の固定資産であり、建物や付随する設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などが挙げられます。減価償却を行う期間は、実際に資産を使用できる期間が不明であるため、財務省が資産種類ごとに定めた法定耐用年数に従って行われるのが一般的です。減価償却の方法は主に、毎年同じ金額ずつを償却していく「定額法」と、同じ割合で償却していく「定率法」の2つがあります。

ただし、取得価額が10万円以上20万円未満のものは「一括償却資産」として、法定耐用年数に関わらず3年での償却も可能です。また、中小企業・個人事業主の特例として、取得価額が30万円未満のものは、総額300万円まで、その事業年度の費用に計上できます。

なお、減価償却については以下の記事でも詳しく解説しています。

携帯電話の法定耐用年数は10年

携帯電話の法定耐用年数は10年です。国税庁のホームページに掲載されている「主な減価償却資産の耐用年数表」上での「電話設備その他の通信機器 - その他のもの」に該当し、耐用年数は「10年」とされています。
※スマートフォンをパソコンとして扱い、耐用年数を4年とする場合もあります。

この法定耐用年数は、実際に携帯電話が使用に耐えられる年数とは異なることに注意しましょう。

実際に携帯電話を使用できる年数は、大事に使えば10年以上になるかもしれません。あるいは、通信方式が変更になるなどして、10年経たずに使えなくなることもあるでしょう。

それに対して法定耐用年数は、あくまでも減価償却費を算出するため法令で定められている年数です。実際に使用できる期間が考慮されているとはいえ、同じ期間を指すわけではありません。

携帯電話の減価償却費計算と仕訳例

携帯電話の減価償却費の計算方法と、具体的な仕訳例を解説します。減価償却費の計算方法は、主に定額法と定率法の2種類があり、どちらも減価償却方法ごとに定められた「償却率」を用います。

定額法

定額法とは、法定耐用年数の全期間にわたり均等の金額を減価償却していく方法です。定額法による減価償却では、帳簿上に資産価値として残る「未償却残高(残存価額)」を考慮せず、取得価額に償却率をかけて減価償却費を求めます。

定額法の減価償却費 = 取得価額 × 定額法の償却率

携帯電話を12万円で購入した場合、法定耐用年数10年の償却率である0.100をかけて減価償却費を算出し、12,000円を計上します。

定率法

定率法とは、毎年同じ割合ずつ減価償却していく方法です。1年目の減価償却費は、定額法と同様に以下の計算式で計算します。

定率法の減価償却費(1年目) = 取得価額 × 定率法の償却率

定率法の償却率は、定額法の償却率とは異なる数値が用いられます。平成24年(2012年)4月1日以降に取得した減価償却率に適用される定率法の償却率は「定額法の2倍」とされています。法定耐用年数10年の携帯電話に用いられる定率法の償却率は、定額法の償却率0.1の2倍である、「0.2」です。

この償却率を、上記と同じ携帯電話の取得1年目に行う定率法減価償却費は、以下のようになります。

定率法の減価償却費(1年目)= 12万円 × 0.2 = 24,000円

1年目で減価償却をすると、減価償却すべき残りの残高(未償却残高)は、この例では12万円-24,000円で「96,000円」です。2年目の減価償却費は、この未償却残高96,000円に対して定率法の償却率をかけた金額となりますので、以下のように計算できます。

定率法の減価償却費(2年目)= 未償却残高(2年目) × 定率法の償却率
= 96,000円 × 0.2 = 19,200円

3年目、4年目も同様に、それぞれの時点での未償却残高に定率法償却率をかけ、減価償却費を算出します。

仕訳例

では携帯電話を12万円で購入し、年度末に減価償却を行った場合の仕訳例を見てみましょう。

携帯電話の勘定科目は「工具器具備品」です。購入時の仕訳例は以下のようになります。

(例)2020年1月1日に携帯電話を家電量販店の購入、代金の12万円を現金で支払った。

借方貸方取引先・摘要
工具器具備品120,000円現金120,000円家電量販店
携帯電話

決算時に減価償却を行います。減価償却を定額法、定率法それぞれで行った場合の仕訳例は以下のとおりです。

(例)2020年の決算において、携帯電話購入代金の減価償却処理を行った。会計期間は1月1日~12月31日、耐用年数は10年、減価償却処理は直接法とする。

▼定額法 ※定額法償却率は0.100とする

借方貸方取引先・摘要
減価償却費12,000円工具器具備品12,000円携帯電話
減価償却1回目

▼定率法 ※定率法償却率は0.200とする

借方貸方取引先・摘要
減価償却費24,000円工具器具備品24,000円携帯電話
減価償却1回目

上記の携帯電話を翌年度も減価償却処理を行った場合の仕訳は以下のとおりです。

(例)2021年の決算において、2020年1月1日に購入した携帯電話購入代金の減価償却処理を行った。会計期間は1月1日~12月31日、耐用年数は10年、減価償却処理は直接法とする。

▼定額法 ※定額法償却率は0.100とする

借方貸方取引先・摘要
減価償却費12,000円工具器具備品12,000円携帯電話
減価償却2回目

▼定率法 ※定率法償却率は0.200とする

借方貸方取引先・摘要
減価償却費19,200円工具器具備品19,200円携帯電話
減価償却2回目

携帯電話の減価償却仕訳例については、以下の記事も参考にしてください。

携帯電話の金額によっては特例を適用できる場合も

携帯電話の減価償却は、金額によっては特例を利用し、資金繰りの改善などのメリットを受けられる場合もあります。

10万円以上20万円未満:一括償却資産の特例

携帯電話の機種代金が10万円以上20万円未満の場合は、減価償却資産を3年で均等に減価償却できる「一括償却資産の特例」を適用できます。

通常の減価償却では、会計年度の途中で取得した資産は減価償却費を月割りで算出する必要があります。しかし、一括償却資産の特例を適用した資産は「一括償却資産」勘定で記録され、年度末に計上する減価償却費を月割りする必要がありません。

そのため、複数の一括償却資産の減価償却を一括処理できるようになるため、会計処理の負担が大きく軽減します。また、通常の減価償却処理に比べて計上する減価償却費が大きくなるため、法人税や所得税などの税負担の軽減に繋がります。

30万円未満:少額減価償却資産の特例

資本金1億円以下で青色申告をしている中小企業は「少額減価償却資産の特例」を利用できます。少額減価償却資産の特例とは、30万円未満の減価償却資産については、総額300万円まで当該会計年度に費用計上できるというものです。減価償却が不要になるため会計処理の負担が軽減され、当該年度の税負担の軽減に繋がることが期待できるでしょう。

なお、一括償却資産および少額減価償却資産の特例について詳しくは、以下でも解説しています。

中古で携帯電話を購入した際の減価償却

中古の携帯電話を10万円以上で購入した場合には、新品とは異なる会計処理が必要です。

新品と中古は、税法における耐用年数の扱いが異なります。新品ならこれまで解説してきたとおり、法定耐用年数である10年で減価償却を行えば問題はありません。しかし、中古品はすでに何年か使用されているため、法定耐用年数をそのまま適用できません。

中古品の法定耐用年数は、以下のように算出します。

  1. 新品の法定耐用年数の全部を経過している場合は、法定耐用年数の20%
  2. 新品の法定耐用年数の一部を経過している場合は、法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に、経過年数の20%を加えた年数

なお、上記の計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨てた年数を耐用年数とします。また算出した結果が2年に満たない場合には、耐用年数を2年として扱います。

会計処理の方法を理解して正しく減価償却を行おう

携帯電話の減価償却が必要なのは、機種代金が10万円以上の場合です。減価償却とは、減価償却資産の取得価額を法定耐用年数の期間にわたり、一定の方法で配分していく手続きを意味します。

配分の方法は、定額法または定率法を使用します。ただし、携帯電話の価格によっては、税負担の軽減などが見込める一括償却資産の特例、あるいは少額減価償却資産の特例の利用も可能です。

よくある質問

携帯電話の減価償却が必要なのはどんな場合?

携帯電話の機種代金が10万円以上であれば減価償却が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

携帯電話の耐用年数は?

携帯電話の法定耐用年数は「10年」と定められています。詳しくはこちらをご覧ください。


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