• 更新日 : 2023年8月10日

社内文書を電子化するメリットは?ポイントや関連法律まとめ

社内文書を電子化するメリットは?ポイントや関連法律まとめ

電子化に関する法律の要件緩和やデジタル化をサポートするシステムなどが発達し、書類を電子化しやすい環境が整ってきました。紙での保存から電子データでの保存に変化していくことで、社外文書だけでなく、社内文書の電子化にも多くのメリットが生まれています。

この記事では、社内文書を電子化するメリットや電子化のポイント、電子化に関連する法律について解説していきます。

社内文書は電子化すべき?4つのメリット

社内文書を電子化することで、以下のようなメリットが得られます。

保管スペースの削減

これまで原本を紙で保存していた社内文書は、e-文書法に基づき、電子化することで基本的に原本の破棄ができます。原本を紙の状態で保管しておく必要がありませんので、文書保存のためだけに物理的な保管スペースの用意は不要です。これまで文書の保管場所に苦慮していた会社は、物理的な保管スペースの問題を解消できます。また、社内文書の格納場所として倉庫などを借りていた場合には、費用も削減できるでしょう。

参考:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(e-文書法) | e-Gov

業務効率化

社内文書の電子化が進めば、社内の共有フォルダやシステムに保管することにより、必要なときに必要な人が社内文書にアクセスできるようになります。

電子化によって文書を確認するまでの時間が節約できるのと同時に、遠方にいても社内文書を閲覧できるようになるでしょう。システム設計次第では、複数の社員との共有も可能です。

検索性の向上

社内文書の電子化により、必要なファイルの検索性は大きく向上します。管理システムによるファイルの保管や、文書区分や日付を入れたファイル名での保管、電子化したファイル名での保管により、必要なファイルを必要なタイミングで探し出しやすくなります。

誰でも文書を検索して見つけやすい状態にしていれば、担当者不在の際にも他の人員が情報にアクセスできるでしょう。都度担当者にファイルの所在を確認する必要がなくなるため、担当者不在を理由に仕事がストップすることもなくなります。

紛失リスクの減少

重要な書類が紙の原本でしか保存されていないと、事故や災害などにより文書が消失してしまうリスクが大きくなります。

文書を紛失するリスクの低減には、電子化した文書の分散保存が有効です。紙に出力した文書を紛失した場合であっても、電子化したデータをバックアップしておけば、必要に応じて出力しなおすことができます。

社内文書を電子化するためのポイント

ここまで社内文書を電子化する有効性について紹介してきました。次に、社内文書を電子化するための3つのポイントを紹介します。電子化するにあたって何を検討するべきか確認していきましょう。

対象書類の精査

社内文書には、就業規則やマニュアル、上層部などに承認を得るための稟議書、アイデアや提案をまとめた企画書、会議の内容を記録した議事録、休暇などの届出書、会社での決まりごとを社員に通達する指示書、社内イベントを知らせる案内書など、さまざまな種類の書類があります。後述しますが、これらのうち国税関係帳簿書類については電子帳簿保存法により保存方法が決められています。

書類の管理が求められる業務は多岐にわたるため、すべての社内文書を電子化するとなると、多大な負担が予想されるでしょう。

社内文書の電子化は同時に行うのではなく、電子化による改善効果の大きさを精査して、段階的に電子化を進めるのをおすすめします。電子化の優先度は各部署にヒアリングを行い、共有頻度の高い書類、電子化によるフローの改善が見込める書類など、電子化による影響が大きい順に優先度をつけていくとよいでしょう。

原本の取り扱い

社内文書は、法令で原本の保存義務が定められている書類、法令で電子化が認められている書類、法令で保存義務が定められていない書類に分類できます。
原本の保存義務が定められている書類であっても、法令の要件に沿って電子化を行えば原本の破棄が認められる場合があります。しかし、電子化された文書の原本性が確保されていない場合には文書の効力を失ってしまうため、電子化後も原本の保管が望まれる書類もあります。

電子化の対象とする社内文書について一つひとつリスクを評価し、原本保存が必要かどうか取り扱いも決めていきましょう。

システムの選定・構築

電子化の対象にする社内文書と原本の取り扱いを決めたら、導入するシステムまたは構築するシステムを検討します。

ファイルサーバーに保存先となるフォルダを作成し、文書にわかりやすいファイル名をつけて保存する方法もありますが、保存義務の対象になる書類は、このような簡単な方法では法令の要件を満たせない可能性があります。

電子化の対象にしたい社内文書が保存義務の対象になる場合、あるいは社内文書の電子化にあわせて社外文書の電子化も考えているときは、法令に対応したシステムの導入や構築を検討するのがよいでしょう。あらかじめ法令に対応したシステムを用意しておけば、今後法令に従って保存しなければならない書類を追加で電子化したいときにも役立ちます。

社内文書の電子化に関する法律

社内文書を含めた文書の電子化に関する法律には、「電子帳簿保存法」と「e-文書法」があります。

電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。所得税や法人税などの国税に関連のある国税関係帳簿書類の電子保存を認める法律です。

電子データで作成した帳簿を保存する「電子帳簿等保存」、紙の書類をデータ化する「スキャナ保存」、電子取引によるデータを保存する「電子取引データ保存」の3つに区分され真実性や可視性の要件を満たした保存が求められます。

このうち電子取引については、すべての保存義務者を対象に電子データでの保存が必須となります(ただし、令和6年1月以降はデータ保存をした上での猶予措置があります)。

社内文書であっても、法人税など国税に関連する書類を電子化するときは、電子帳簿保存法の要件に従って保存しなければなりません。

電子帳簿保存法についての詳細は以下の記事でご確認ください。

e-文章法

e-文書法は、正式名称を「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」といいます。電子帳簿保存法の範囲を含む、法定で定められた文書の電子保存を認める法律です。

電子帳簿保存法の範囲である国税関係書類をはじめ、医療関係書類、建築関係図書などの法令などで保存義務がある書類がe-文書法の対象になります。

具体的な保存の要件は電子帳簿保存法などそれぞれの法令で定められていますが、基本的には検索性、機密性、完全性(証明力の確保)、見読性(明瞭性の確保)の4要件を満たした電子保存が求められます。

重要度や効率性も考えて社内文書の電子化を検討しよう

社内文書の電子化には、業務効率化や物理的な保管スペースの削減などさまざまなメリットがあります。一方、電子化を一気に進めると、業務フローの大幅な変更で業務負担が増加することもあるでしょう。

電子化する場合は、重要度の高い書類を優先して、システムを取り入れるなど効率のよい方法を検討しましょう。なお社内文書であっても、内容によっては法令により保存義務が定められているものもあります。そのような書類については法令の要件に沿った電子化に対応していかなくてはなりません。

よくある質問

社内文書を電子化するポイントは?

電子保存する書類を精査後、原本の取り扱いを決め、導入するシステムや構築するシステムを検討していきます。詳しくはこちらをご覧ください。

社内文書の電子化に関する法律は?

社内文書の電子化に関わる主な法律に、電子帳簿保存法(正式名称:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)とe-文書法(正式名称:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)があります。詳しくはこちらをご覧ください。


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