• 更新日 : 2024年10月29日

法人のe-Taxの始め方は?事前準備から申告・納税方法までわかりやすく解説

e-Taxは、オンラインで法人税等の申告・納税ができる国税庁提供のシステムです。便利な一方で、e-Taxでできることがわからない、電子証明書の取得やマイナンバーカードを利用したログイン等の始め方がわからない、といった声も聞かれます。

この記事では、法人がe-Taxを始めるために必要な事前準備から申告方法・税金の納付方法まで具体的に解説します。

法人がe-Taxでできること

法人がe-Taxでできることは、国税の申告や納付、法定調書の申請・届出等の手続き、納税証明書の請求です。それぞれについて詳しく解説します。

国税の申告・納付

法人がe-Taxで申告・納付ができる税目は、国税である法人税、消費税、印紙税、酒税、更に揮発油税・石油ガス税といった間接諸税です。また、法人が源泉徴収した徴収高についてもe-Taxを経由して納付することができます。

なお、法人税および消費税については、資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人、通算法人、相互会社、投資法人及び特定目的会社等について、e-Taxによる電子申告が義務化されています。

参考:地方税については、e-Taxではなく、地方税共同機構が運用する地方税ポータルシステム「eLTAX」を利用して申告・税金の納付を行います。

国税関係法令に規定されている申請・届出

e-Taxでは、法定調書の申請・届出を行うこともできます。

対応している法定調書は幅広く、源泉徴収関係では「給与所得源泉徴収票」「退職所得の源泉徴収票・特別徴収票」「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」「支払調書等合計表付表」です。

不動産関係では「不動産の使用料等の支払調書」「不動産等の譲受けの対価の支払調書」「不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書」です。

なお、これらの法定調書については、一定の条件を満たした場合、e-TaxもしくはCD・DVDなどの光ディスク等による提出が義務となっています。具体的には、法定調書の種類ごとに、前々年に提出すべきであった当該法定調書の枚数が「100枚以上」であるものについて、義務化されています。

参考:法定調書のe-Tax等による提出義務化の概要について|【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

令和9年以降は、この枚数が「30枚以上」に変更されます。「給与所得の源泉徴収票」については、多くの法人が対象になると思われますので、注意が必要です。

納税証明書の請求

納税証明書の請求も、e-Taxから行うことができます。請求後は、電子納税証明書が電子ファイルで公布されます。 また、書面で受け取りたい場合は、税務署窓口で直接受け取るか、郵送で受け取ることができます。手数料は、税目ごと、年度ごとに、一律370円です。

法人のe-Taxの始め方

ここでは、法人がe-Taxを始めるための事前準備について解説します。具体的には、利用者識別番号の取得、電子証明書の取得、e-Taxソフトのダウンロード・インストールの3点です。

利用者識別番号を取得する

最初に行う準備は、利用者識別番号という16桁の番号の取得です。この番号は、法人がe-Taxを利用する際のIDのようなもので、この番号がなければ後述するe-Taxソフトにログインできません。

利用者識別番号の取得の方法は2つあります。

1つ目は「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」を利用して、開始届を提出する方法です。このコーナー内の「開始届出(法人用)新規」を開き、ここで「法人番号」「法人名称」「納税地情報」「提出先税務署」を記入します。「法人番号」について不明な場合は「国税庁 法人番号公表サイト」から調べることができます。続いて「法人の代表者情報」「本店情報」等を入力し、オンラインもしくは書面で提出すれば手続きは完了です。

参考:e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナーについて|【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)国税庁 法人番号公表サイト|国税庁

2つ目は「法人設立ワンストップサービス」を利用する方法です。デジタル庁が提供するポータルサイトで、法人設立に関連する手続きや書類の申請を一括して行うことができます。なお、利用の際には、法人代表者のマイナンバーカードが必要です。

参考:法人設立ワンストップサービス|デジタル庁

マイナンバーカードなどの電子証明書を取得する

次に、電子証明書を取得します。電子証明書とは、電子データを作成したのが利用者本人であり、かつ送信された電子データが改ざんされていないことを電子署名によって証明するためのものです。

e-Taxでは、複数のサービス提供者から電子証明書を取得することができます。例えば、法務省の「商業登記認証局」、民間の「帝国データバンク」「NTTビジネスソリューションズ」等です。

そのうち、最も簡単な方法は「公的個人認証サービス」いわゆるマイナンバーカードによって電子署名を行う方法です。マイナンバーカードには電子証明書が予め組み込まれているので、e-Taxの手続きを行う際に、このマイナンバーカードをICリーダー等で読み込むことで電子証明とするのです。なお、法人の場合は、法人の代表者のマイナンバーカードの利用が原則となります。

※ICカードリーダーは、家電量販店等で販売されており、安価に入手できます。「マイナンバーカード対応」と明記されているカードリーダーを購入することをおすすめします。

参考:電子証明書の取得|【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

e-Taxソフトのダウンロード・インストール

最後に、e-Taxによる手続きを行うため、e-Taxソフトを法人のパソコンにダウンロード・インストールします。ダウンロードは、e-Tax公式サイト内にある「e-Taxソフトのダウンロードコーナー」から行います。

このコーナーには、ダウンロードに先立って行う基本的なパソコンの設定(「利用環境の確認」や「信頼済みサイト及びポップアップブロックの許可サイトへの登録」等)も同じページ内に案内されているため、念のため確認しておいてください。

参考:e-Taxソフトのダウンロードコーナー|【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

e-Taxでの法人税の申告方法

ここでは、e-Taxによる法人税の申告方法を説明します。具体的には、e-Taxソフトへのログイン、申告・申請データの作成と送信、そして送信結果の確認の3点です。

手続きするソフト・コーナーにログインする

まずは、e-Taxソフトにログインをします。

インストールしたパソコンのデスクトップ上にあるe-Taxソフトのアイコンをクリックしてソフトウェアを起動させると、ログインに際して「マイナンバーカードを利用する」か「利用しないか」を選択するポップアップが表示されます。電子証明書をマイナンバーカードとしている法人はここで「マイナンバーカードを利用する」を選び、ICカードリーダーを利用してマイナンバーカードを読み取ります。

初めてログインする際は「利用者ファイルの新規作成」画面が表示されます。ここで、予め取得していた利用者識別番号と、法人名を入力します。

利用者ファイルの作成が完了すれば、e-Taxソフトのメイン画面に移動し、ログインは完了です。

申告・申請データを作成・送信する

e-Taxソフトのメニューバーの「作成」から「申告・申請等」を選択します。

初めて申告・申請データを作成する場合は「新規作成」をクリックし、手続きの種類(「申告」か、「申請・届出」か)、税目、作成する帳票を選びます。すると、入力画面に移行するので、そこで必要な情報を入力します。

入力後は「申告・申請等」の作成画面に入力した帳票の一覧が表示されます。入力した帳票は「帳票表示」ボタンを押すことで、実際の申告書類としてのイメージを確認することが可能です。

帳票が完成したら、次に送信を行います。送信は、メニューバーの「申告・申請等」の「送信」ボタンをクリックし、マイナンバーカードによる認証、もしくは利用者識別番号と暗証番号による認証を行います。その後、受信通知を格納するメッセージボックスのフォルダを求められるため、任意のフォルダを選択し「OK」ボタンをクリックすると送信が開始されます。

送信結果を確認する

申告・申請等の送信が完了すると、「即時通知結果表示」と記載されたポップアップが自動的に表示されます。ここに受付日時、受付番号等が表示されています。この画面は再表示できないため、必要に応じて「保存」「印刷」を行うと安心でしょう。ポップアップ内に専用のボタンが設けられています。

この時点では、送信データは「審査中」という段階です。この審査が無事に通過するとメッセージボックスに改めて送信完了を示す「受信通知」が届きます。

e-Taxでの法人税の納付方法

ここでは、e-Taxによる法人税の納付方法について解説します。代表的なものとして、口座振替である「ダイレクト納付」「インターネットバンキング」の2つの方法を取り上げます。

ダイレクト納付(口座振替)

ダイレクト納付は、事前に税務署に預貯金口座の届出を行うことで、税金が口座振替によって自動的に引き落とされるサービスです。 即時引落しに加えて、引落し期日を指定することもできます。

なお、留意するべきなのは、利用できる金融機関が決まっている点です。ダイレクト納付を検討している法人は、国税庁が提供する「利用可能金融機関一覧(ダイレクト納付)」にて自社が預貯金口座を有している銀行等が対象となっているかを確認しておく必要があります。

参考:利用可能金融機関一覧(ダイレクト納付)|国税庁

納税の方法は、いたってシンプルです。前述の「受信通知」内にダイレクト納付の案内が含まれています。そこで「今すぐに納付」「納付日を指定」いずれかのボタンを押すと、納付を行うことができます。

ダイレクト納付が完了したら、メッセージボックスに「ダイレクト納付完了通知」が届くので、滞りなく納付できたかどうかを確認できます。

インターネットバンキング

インターネットバンキングによって、税金を納付することも可能です。 この方法には、登録方式と入力方式という2つの方式があります。

登録方式とは、「申告・申請等」の手続きの際に、「納付情報登録依頼」を作成し、e-Taxに送信して事前に登録しておく方式です。納税の際には、申告送信後に受け取る「受信通知」内で案内される申請納付区分番号を使用します。

一方、入力方式とは、「納付情報登録依頼」を行わず、登録方式の納付区分番号に相当する番号を自ら作成する方式です。

申請納付区分番号もしくは入力方式による番号の登録が終われば、後は普段のインターネットバンキングと同様に振込手続きを行います。その際、振込先は国税庁を表す収納機関番号(00200)を入力するようにしてください。

インターネットバンキングは、普段から日常の支払に利用している法人にとっては便利な方法です。一方、ダイレクト納付と異なり、インターネットバンキング利用のための手数料がかかる場合もあるため、事前に確認しておくことをおすすめします。

e-Taxのやり方がわからない時はどうする?

e-Taxの操作方法がわからない場合、利用者はWebの確認、電話による問い合わせ、電子―メールによる問い合わせの3つの方法で解決を図ることができます。

Webでの確認

まず、一番手軽な方法として、Webでの確認が挙げられます。

最初に確認しておきたいのは、e-Taxの操作マニュアルです。e-Taxのホームページ内に「マニュアルコーナー」と題してポータルサイトが設けられています。このうち「e-Taxソフト」のコーナーでは、実際の操作画面のキャプチャ画像を見ながら、準備から税金の納付に至るまで、網羅的に学ぶことができます。

参考:マニュアルコーナー|【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

操作マニュアルを読んでもわからない場合は、「よくある質問(Q&A)」のコーナーを確認します。こちらには、e-Taxの事前準備から、e-Taxソフトのダウンロード・インストール、データの作成、送信、そしてエラーのトラブルシューティングに至るまで、過去に寄せられた代表的な質疑応答が掲載されています。

参考:よくある質問(Q&A)|【e-Tax】国税電子申告・納税システム(イータックス)

電話による問い合わせ

Webの確認でも解決しない内容については、ヘルプデスクへの電話による問い合わせが可能です。ナビダイヤルもしくは通常の電話口と2つの番号が提供されています。なお、問い合わせ受付時間は、平日月曜日から金曜日の9時から17時に限られているので注意が必要です。

電子メールによる問い合わせ

電話で問い合わせるほど緊急性が高くない、もしくは電話での問い合わせ時間に都合がつかない場合は、電子メールによる問い合わせも可能です。

問い合わせに際しては、予めWeb上のフォーマットが用意されており、そのフォーマットに従って記載する形になります。会社名や電話番号・メールアドレス等の基本情報、パソコンの利用環境、具体的な問い合わせ内容等を記載してから、送信してください。

e-Taxの利用で効率的な申告・納税を実現しよう

e-Taxは、国税に関連する申告・納付を、オンラインで完結させることができるシステムで、業務の省力化、コスト削減に直接的につながりうるサービスです。

導入にあたっては事前準備が必要で、実際の操作も慣れるまでは難しく感じるかもしれません。一方、フォローアップするためのマニュアルや問い合わせ窓口も充実しており、活用することで、誰でもe-Taxを始められるようになっています。

情報通信技術の発達に伴い税務申告の場面においても、ICT化が求められています。ぜひこれを機に導入を検討してみてはいかがでしょうか。


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