- 更新日 : 2026年4月22日
仮受金はなぜ負債なのか?理由や仕訳例をわかりやすく解説
不明な入金を処理する「仮受金(かりうけきん)」は、資産・負債・純資産・収益・費用のうち、負債に該当します。なぜ入金のあった金額であるにもかかわらず、仮受金は負債に分類されるのでしょうか。仮受金が負債になる理由や仮受金が負債に残ったままになることのリスクについて解説します。
目次
仮受金が負債の勘定科目である理由
仮受金は、基本的に内容がわからなかったり金額が確定しなかったりする取引を一時的に仕訳するための勘定科目です。仮受金は負債の項目として扱われます。仮受金が負債になるのは、仮受金が計上された時点では内容がわからないものもあり、返還が必要になることも考えられるためです。また、仮受金は内容が判明した時点で適切な勘定科目に振替える必要があることから、一時的な科目として負債項目に表示します。
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仮受金の負債計上と仕訳例
仮受金は詳細不明な取引による入金を一時的に処理するための勘定科目です。仮受金の計上や振替が生じる具体的な例を紹介します。
商品やサービスの提供が遅延している
(仕訳例)当初の予定よりサービスの提供が遅れていて、受取対価として20万円の普通預金への入金があったものの、今後キャンセルの可能性や遅延が生じたことによる一部返金が予想される場合。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 200,000円 | 仮受金 | 200,000円 |
取引時点(今回は入金のあった時点)において、キャンセルの可能性もあり入金の内容が確定していません。また、一部返金の可能性もあり金額自体も不確定といえます。このようなケースでは、仮受金を使って仕訳します。一方、受け取った金銭が商品やサービスの対価であることがわかっており、その提供がまだ先の場合は「前受金」の勘定科目が使用されます。
契約のキャンセル
(仕訳例)契約締結時にサービス提供の遅れによりキャンセルの可能性や一部返金の可能性があった金額20万円を仮受金として仕訳しており、全額キャンセルの連絡を受けて普通預金より全額を返金した場合。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 仮受金 | 200,000円 | 普通預金 | 200,000円 |
取引内容が確定していない、または金額が確定していないなどの理由で仮受金として仕訳していた取引について、キャンセルの申し出があったときは、返金とともに仮受金を解消する処理を行います。
法的な問題の発生
(仕訳例)すでに契約締結により内金として受領していた10万円について、クーリング・オフ制度の適用により返還の義務が生じる可能性がある場合。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 前受金 | 100,000円 | 仮受金 | 100,000円 |
すでに取引があった金額について、法的な問題や消費者に認められている法の適用などにより返金の必要が確定した場合には、返還義務のある負債として未払金の仕訳へと変更されます。
仮受金が負債として残るリスクと防止方法
仮受金は適切に処理することが重要です。いつまでも負債として残るリスクや対策について紹介します。
資金繰りが悪化する
企業がすぐに事業に投下できる金銭は、現金や普通預金のほか、定期預金などの流動性の高い資産です。企業の資金繰りに問題がないか確認する場合は、このような流動資産に加え、短期間のうちに返済や支払いが必要な流動負債に注目する必要があります。
仮受金は、負債の項目の中でも、流動負債に分類される勘定科目です。返済義務が生じる可能性があり、一時的に資金が拘束されることから、流動負債に分類されます。流動資産の額に対して仮受金の額が多いと資金繰りに影響を及ぼす可能性も考えられます。
仮受金が負債として残るリスクを防止するためにも、内容が判明したら直ちに適切な勘定科目に振替え、適切に管理するようにしましょう。資金繰りを確認するためには、資金繰り表の作成もおすすめです。
税務署や銀行の信頼が悪化する
仮受金として処理した取引について、内容や金額が確定したにもかかわらず仮受金のままになっている場合は、税務署や銀行とのやり取りで問題が生じる可能性があります。
仮受金は一時的な勘定科目であり、本来の勘定科目とは異なるものだからです。仮受金の金額が資産や負債の金額に比して大きいと、不明な入金が多いことになります。
税務調査や銀行からの融資審査において仮受金の指摘を受けないためには、適切に内容を説明できるようにしておくこと、適切に処理することが重要です。したがって、決算時には極力、「仮受金」や「仮払金」などの勘定科目を残さないようにし、どうしても残るものについては資料を残しておきましょう。
仮受金と混同しやすい勘定科目
仮受金と誤って使われやすい勘定科目の意味や仮受金との違いについて紹介します。
仮払金
仮払金とは、会社が出金した金額のうち、取引の内容の詳細がわからなかったり、金額が未確定であったりするものを処理するための勘定科目です。一時的な処理のための勘定科目で、取引の内容や金額が確定した際に適切な勘定科目に振替えます。仮払金は不明な出金であるのに対して、仮受金は不明な入金であることが異なります。
前受金
前受金とは、いわゆる手付金や内金といわれる種類の入金があったときに用いられる勘定科目です。商品やサービスの提供の対価として、引き渡し前に代金を受け取ったときに前受金として仕訳します。仮受金は内容が不明確であるのに対して、前受金は売買取引の対価で内容が確定していることに違いがあります。
預り金
預り金とは、会社が一時的に預かったお金を処理するための勘定科目です。従業員の給与支給時に給与から天引きした社会保険料や源泉所得税を処理する場合などに使われます。なお、預り金は会社が預かっているお金にすぎないため、社会保険料や源泉所得税のように会社が本人に代わって支払いが必要であったり、あるいは返還の義務が生じたりします。
仮受金の負債のリスクに注意しよう
仮受金は一時的に処理をするための勘定科目であって、場合によっては返済義務が生じることがあります。そのため、流動資産の部に区分されています。仮受金は流動負債であることから、資金繰りに影響を及ぼす可能性があるほか、内容を適切に説明できないと税務署や銀行との関係にも影響を与えるため注意が必要です。仮受金があることによる負債のリスクに留意し、適切に管理するようにしましょう。
税理士コメント
継続して頻繁に取引がある顧客との間でも、請求した順番で入金がなされなかったときなどに「どの売掛金を消し込むのかわからない」ことがあります。そのような場合にも一旦、「仮受金」として処理しておき、顧客に調べてもらうことがあります。
会計上、仮受金は貸借対照表の「流動負債」の「その他」のところに示されるように、あまり表に出てくるものではありません。日ごろから顧客とのコミュニケーションを強化し、決算までには仮受金勘定がなくなるようにしましょう。
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